那覇市の気候とは?季節ごとの傾向などを解説

自然・気候

こちらでは、沖縄県の県庁所在地である「那覇市」の気候について、その全体的な特徴・基本となる気象データ・季節ごとの特徴などを解説していきます。

那覇市は、高温多湿・台風の影響が多い・冬場はすっきりしない天気…といった沖縄地方の典型的な気候の特徴を持つ地域である一方、他の都道府県ほど「都市化」の影響が強く見られないことも特徴です。

なお、記事の内容は全て「過去の一般的な傾向」について記述するものです。また、情報は2022年時点の確認状況に基づいております。今後変更となる・状況が変わる可能性もありますので、その点はご留意下さい。

【那覇市】全体的な気候の特徴・地理的特徴

海に近く、沖縄本島自体が海に囲まれているため、常に海からの影響を強く受ける温暖多湿な気候です。

那覇市の気候は「亜熱帯海洋性気候」とされますが、地理の教科で一般的な「ケッペンの気候区分」においては温暖湿潤気候(Cfa)に当てはまります。

気温は、本島北部よりはわずかに気温が高く、先島諸島方面と比べわずかに気温が低い傾向があります。1年を通しての気温差は小さめで、四季の移り変わりは限定的です。

雨量は5~6月の梅雨のシーズンと、8~9月の台風シーズンに2つの山が見られ、全体的に雨は比較的多い地域です。

天気は「夏によく晴れ、冬にすっきりしない」傾向がはっきりしています。

市内は狭い一方首里方面などは標高がやや高めで、「若干の気温差」があると考えられますが、体感するほどの違いはほぼないと言えます。

那覇市は、沖縄県の人口の大半が住む「沖縄本島」地方の中で最も人口が多い拠点都市であり、地理的には本島の南側に位置します。

市内は面積としては狭い環境で、西側を海に接しており、主な河川としては「国場川」・「安里川」が流れ、湖としては「漫湖」がありますが、緑豊かな自然環境は限られた地域です。

地形は必ずしも平坦ではなく、中心市街地方面の低い土地を除けば「丘陵地」となっている場所が多く、首里城周辺などは標高が100m以上の場所に市街地が広がっており、市内最高峰にあたる「弁ヶ岳」は、標高が165.6mとなっています。

【那覇市】基本の気象データ・観測の状況

沖縄気象台の雨温図(気象庁の2020年までの平年データによる)
降水量
(mm)
平均気温
(℃)
最高気温
(℃)
最低気温
(℃)
相対湿度
(%)
風速
(m/s)
日照時間
(h)
1月101.617.319.814.9665.393.1
2月114.517.520.215.1695.293.1
3月142.819.121.916.7715.2115.3
4月161.021.524.319.1755.1120.9
5月245.324.227.022.1784.8138.2
6月284.427.229.825.2835.5159.5
7月188.129.131.927.0785.3227.0
8月240.029.031.826.8785.2206.3
9月275.227.930.625.8755.3181.3
10月179.225.528.123.5725.5163.3
11月119.122.525.020.4695.3121.7
12月110.019.021.516.8675.3107.4
2161.023.32621.1735.31727.1
気象庁の平年データ(2020年まで)による
降水量
(mm)
平均気温
(℃)
最高気温
(℃)
最低気温
(℃)
風速
(m/s)
1月79.717.520.115.25.6
2月92.918.220.915.85.5
3月107.219.322.116.95.5
4月134.521.624.419.34.9
5月222.024.527.122.44.5
6月292.327.329.725.35.1
7月150.629.331.927.35.0
8月227.529.332.027.24.9
9月177.728.431.126.25.1
10月162.325.928.723.85.7
11月110.423.025.620.95.2
12月98.119.321.917.05.8
1855.123.626.321.45.2
気象庁の平年データ(2020年まで)による

那覇市内には、樋川地区(沖縄県庁や国際通り周辺からは1km以内の距離)に「沖縄気象台」があり、こちらで気温・降水量・風速・天気などの観測が広く実施されています。

また、那覇空港内(那覇航空測候所)では「安次嶺」のアメダスが設置されており、気温・降水量・風速の観測が行われています。

なお、那覇市内には沖縄県・国土交通省が設置した雨量計が複数あり(ひめゆり橋・安岡等)、そちらで観測されたデータを確認することも可能です(リンク:沖縄県河川情報システム川の防災情報-国土交通省)。

【那覇市】季節ごとの気候」

那覇市「春の気候」(3月・4月・5月)

気温

・気温は非常に温暖な環境です。
・県内で見た場合、那覇は先島諸島方面よりは少しだけ気温が低め、本島北部よりは少しだけ高めの傾向を持ちます。
・但し、3月の時点では季節風が吹き付けるなどして、肌寒さを感じる可能性もあります。
・夏のような暑さは基本的に見られませんが、5月以降は「蒸し暑さ」を感じることもあります。

天気・雨

・前半は寒気の影響で雲が広がりやすく、後半は梅雨前線の影響を受けやすい時期です。
・晴れる日は決して多いとは言えず、日照時間は本州などと比べかなり少な目です。
・5月以降は梅雨の時期となり、まとまった雨量を観測することも増えていきます。

その他

・当初は冬の季節風(北寄り)が吹くことも多くなっており、体感温度がやや下がりやすい傾向です。
・季節が進むと次第に風向きが変わりやすくなり、南寄りの風が吹くことも増えていきます。
・3月などに低気圧、前線が通過するタイミングで荒れた天気(ニンガチ・カジマーイ=二月風廻り)となることがあります。
・湿度は次第に上がる時期で、それほど乾燥するようなことはありません。
・紫外線は晴れた日には当初から強めで、後半には本州で例えれば「真夏並み」の紫外線強度となります。
・台風の影響はまだ少ないですが、過去には5月以降を中心に台風が近づいたこともあります。

那覇市「夏の気候」(6月・7月・8月)

気温

・気温は高いですが、海の影響を受け「1日の温度差」が小さい傾向があります。
・最高気温35℃以上の「猛暑日」はほぼない一方、最低気温25度以上の「熱帯夜」が極めて多く、夜も非常に「蒸し暑い」状況です。
・梅雨明けまでは最高気温が30℃を下回るケースも多く見られます。

天気・雨

・全体として見た場合、1年の中では最も「晴れやすい」シーズンです。
・晴天は特に7月に多くなっており、年によっては長期間晴れ続ける場合もあります。
・多くの年で6月の梅雨時は雨量が増えやすく、那覇では平均的には1年で最も雨が多い時期となります。
・全体的に年ごとの雨量差が大きく、同じ月でも雨がかなり多い年、少ない年が見られます。

その他

・梅雨明け後しばらくは「夏至南風(カーチーバイ)」と呼ばれる南~南西からの風が吹きやすくなっています。
・台風の影響は特に後半は受けやすく、暴風や大雨に見舞われることがあります。
・湿度は高めで、晴れた日の昼間であっても60~70%台程度の湿度の場合が多くなっています。
・紫外線は晴天時は「非常に強い・極端に強い」状況で、特に紫外線対策が重要な時期となります。

那覇市「秋の気候」(9月・10月・11月)

気温

・9月はまだまだ夏の気温で、最高気温30度以上の「真夏日」、最低気温25度以上の「熱帯夜」が大半を占める状況です。
・10月以降気温は次第に下がりますが、「秋らしい」涼しさは11月以降でも限定的で、最低気温20度以上の日が多くなっています。
・まれに秋の終わりに寒気が入り、最低気温が15℃を下回るケースも見られますが、毎年のことではありません。

天気・雨

・台風や前線の影響を受けやすく、秋の前半は雨が多い時期です。
・多くの場合晴れ間は9月の時点では比較的多めですが、その後は次第に減っていく傾向にあります。
・11月以降は大陸からの寒気が流れ込むことも増え、すっきりしない天気が続きやすい状況です。

その他

・前半は台風の影響を受けやすく、かなりの暴風となる場合があります。
・風向きは夏の南寄りの風が少なくなり、次第に北寄りの風が増えていきます。
・湿度は高めで乾燥は感じにくいですが、季節が進むにつれてやや低下する傾向が見られます。
・紫外線は依然強い状況ですが、11月にかけてその程度は抑えられていきます。

那覇市「冬の気候」(12月・1月・2月)

気温

・気温の数字としては、とても温暖な環境でです。
・最低気温が10℃を下回るようなケースは極めて少なくなっています。
・但し、寒気が入るタイミング、風が強く吹くケースでは肌寒さを感じることもあります。
・那覇の気温は先島諸島よりはやや低め、名護など本島北部よりはわずかに高めの傾向です。

天気・雨・雪

・寒気の影響で天気はすっきりせず、曇りや雨の日が目立つ時期です。
・晴れる時間は短く、年によっては非常に日照時間は少ない場合も見られます。
・雨量はそれほど多くはありませんが、低気圧や前線の影響を受ける場合もあります。
・那覇市で「雪・みぞれ」が観測されたことは一度もありません。

その他

・北寄りの季節風が比較的強く吹き付けやすい状況で、体感的な気温は低くなりやすいと言えます。
・湿度は1年の中では低めで、那覇は県内各地と比べてもやや低い傾向です。
・但し、関東地方のように極端な乾燥を感じる地域ではありません。
・紫外線の影響は最も弱い時期ですが、2月以降は早くも紫外線の強度が強まる傾向がはっきり見られます。

【那覇市の気候】ポイント・まとめ

【全体的な気候の特徴】
海からの影響を強く受け温暖多湿・1年間の気温差が小さめ・雨はやや多め

【気象観測】
気象庁は「沖縄気象台(那覇)」及び「安次嶺」の2か所で観測・この他の雨量計もあり

【各季節ごとの大まかな気候の特徴】
春:非常に温暖・5月以降は梅雨シーズン・晴れる日は多くない
夏:非常に蒸し暑い・「猛暑」はほぼない・「熱帯夜」は極めて多い・晴れやすい時期・雨量は多め・台風の影響も比較的受けやすい
秋:当初は夏のような暑さ・秋らしさは限定的・前半は台風の影響も受けやすく雨量が多い・次第に晴れ間が減る傾向
冬:本州と比べかなり温暖・時に「肌寒さ」も・晴れる日が少ない・曇りや雨の日が目立つ・季節風が吹き付ける