観光都市として有名な「奈良市」。こちらのページでは、奈良市内の「地理」について「標高」というテーマから少し掘り下げて解説していきます。
奈良市内は、標高が極めて高い地域はないものの、広い山間部を有することから比較的標高差が大きい地域です。
奈良市内「標高の基本」
奈良市は、東西に30km程度、南北は場所によって数km~20km程度の幅を持つ自治体です。
標高は、大阪などのように市域全体が低い土地という訳ではなく、大まかには「西(奈良盆地側)」と「東(大和高原側)」で標高がかなり異なる特徴を持ちます。
奈良市内の市街地などが広がる西側の地域は、標高は100m未満の場所が多く、高くても200mには満たない環境がほとんどです。
一方で、東部の山間部は月ヶ瀬湖周辺などごく一部を除き200m以上の標高で、田原地区や都祁地区一帯には500m以上の地域も見られます。
なお、市街地一帯でも学園前・高の原・青山方面など、郊外の住宅地となっている地域は、標高の差以上に起伏が目立つなど、「奈良盆地」の平たいイメージからすると、奈良市内はさほど平地が多い地形とは言えません。
最も標高が高い場所は?
順位 | 標高 | 山の名称 | 所在地 |
---|---|---|---|
1位 | 821.7m | 貝ヶ平山(かいがひらやま) | 奈良市都祁吐山町 |
2位 | 812.3m | 額井岳(ぬかいだけ) | 奈良市都祁吐山町 |
3位 | 795m | 香酔山(こうずいやま) | 奈良市都祁吐山町 |
奈良市内にある最も標高が高い山は、上位3か所はいずれも奈良市最南端付近の「都祁吐山町」にあります。
このうち、奈良市内で最も標高が高い地点は、奈良市都祁吐山町にある「貝ヶ平山(かいがひらやま)」です。
こちらは、奈良市街地から15~20km程度と離れた場所にあり、市街地からよく見える山という訳でもなく、ハイキングコースとしても比較的静かな山となっており、知名度が高いとは言えません。
一方で、2番目に標高が高い「額井岳(ぬかいだけ)」は、宇陀盆地などからの美しい山の姿が有名(別名を「大和富士」とも呼ぶ)で、近鉄榛原駅からのアクセス性も比較的良好であるため、奈良県内では有数の知名度を持つ山となっています。
3番目に高い香酔山(こうずいやま)は、貝ヶ平山と額井岳の間にある山となっています。
なお、これらの山は、2005年4月1日に旧都祁村を奈良市に合併して以降に奈良市に含まれるようになった山です。
合併前の「旧奈良市」で見た場合、奈良市街地からもよく見える奈良市長谷町の「国見山(680m)」が最も標高が高い山となっています。
最も標高が低い場所は?
奈良市内で最も標高が低い場所は、何か三角点などがあるという訳ではないため、判断はむずかしい所ですが、基本的に大和郡山市と隣接する奈良市南部の一部地域で標高が特に低くなっています。
奈良市内には、川の底といった特別な環境を除き標高が50mを下回る場所はなく、最も低い場所で概ね50m少々となっています。標高の低い地域は「佐保川」水系沿いに広がっており、奈良市街地周辺の各地から流れる小規模河川が、この一帯で佐保川に合流する形になっています。
標高差と気候
奈良市内には、標高が1,000m以上の地域こそ存在しないものの、西と東で500m程度の標高差が見られる地域もあるため、標高差に応じた「気候」の違いが見られます。
月 | 奈良の平均気温 (℃) | 針の平均気温 (℃) | 気温差 (℃) |
---|---|---|---|
1月 | 4.2 | 1.3 | 2.9 |
2月 | 4.7 | 1.7 | 3 |
3月 | 8.0 | 5.1 | 2.9 |
4月 | 13.5 | 10.6 | 2.9 |
5月 | 18.5 | 15.7 | 2.8 |
6月 | 22.2 | 19.5 | 2.7 |
7月 | 26.2 | 23.5 | 2.7 |
8月 | 27.3 | 24.3 | 3 |
9月 | 23.2 | 20.4 | 2.8 |
10月 | 17.2 | 14.4 | 2.8 |
11月 | 11.4 | 8.6 | 2.8 |
12月 | 6.4 | 3.5 | 2.9 |
年 | 15.2 | 12.4 | 2.8 |
標高が102.1mの「奈良(奈良市東紀寺町)」の気象庁観測地点と、標高が468mの「針(奈良市針町)」の平均気温を比べると、1年を通して概ね3℃程度の気温差が見られ、針の方が気温が低くなっています。
3℃程度の差があれば、体感的にも奈良市街地よりも大和高原一帯の山間部の方が涼しい・寒いと感じやすい環境であり、冬場については奈良市街地が「雨」の場合に都祁方面などは「雪」となっていることも時折見られ、天気そのものが大きく違うケースもあります。