関西有数の観光地である一方、真言密教の「聖地」として広く知られる和歌山県の「高野山」エリア。
高野山がある地域は、近畿地方では「南部」にあたる一方、標高が高い(700~800m程度)ため、かなり寒いことが特徴で、冬の気温は「青森」と余り変わらない環境となっています。
寒さが厳しいということは、当然ながら「雪」の頻度も多くなるということですが、高野山では具体的にどの程度の「雪」が降る傾向があるのでしょうか。当ページでは、その「雪事情」の詳細について見て行きたいと思います。
「下界」とは比べ物にならない雪の頻度
高野山では、近畿地方南部というイメージでは考えられないほど頻繁に雪が降ります。
年ごとの差はかなり大きく、例えば2008年2月・2012年1月のように1か月の半分くらいの日で雪がしっかり降った年もあれば、2007年や2020年のように、雪が降る回数がかなり少ない「暖冬」の年もあります。
時には積雪30cm以上も
雪が降る頻度が多い高野山ですが、雪が積もる量も、時にかなり多くなる場合があります。
2023年1月28日:約40cm以上と推定
2021年1月1日:約30cm程度と推定
2017年2月11日:約60cm以上と推定
2014年2月15日:約40cm程度と推定
2013年1月14日:約40cm程度と推定
2011年2月15日:約30cm程度と推定
2011年1月前半:約50cm前後と推定
過去10年程度を見てみても、半数程度の年で積雪30cm以上と推定される状況になっています。特に2017年のドカ雪や、2011年1月の長期間多くの積雪が続いたケースなどは、あたかも北陸のような「雪事情」となっており、近畿南部というイメージでは想像できないほどの「多雪地域」と言ってよい状況です。
降る要因は?【まるで日本海側?】
「冬型の気圧配置」でもよく積もる
冬型の気圧配置は、いわゆる「西高東低」と呼ばれるパターンで、通常「日本海側」(近畿では豊岡・京丹後・舞鶴・高島・彦根・福知山・朝来・香美・新温泉…など)で雪が多く降る気象条件となる一方、大阪・神戸はよく晴れた天気が続きやすくなります。
毎年雪が降る頻度で見ると、この「冬型の気圧配置」パターンによるものが最も多く、高野山は「近畿南部」でありながら、日本海側にやや近いような気候となっています。
なお、一度に積もる量は「うっすら~数センチ」となる場合が最も多いですが、冬型の気圧配置でも10cm以上となる場合も見られ、2023年・2021年・2017年・2011年の大雪のように30cm~50cm程度の「ドカ雪」となるケースもあります。
一度の大雪に注意「南岸低気圧」
高野山で雪が降る「頻度」で見た場合、「冬型の気圧配置」が最も多いですが、一度にしっかりとまとまった雪をもたらすことが多い要因としては、「南岸低気圧」というパターンも挙げられます。
こちらは、日本海とは関係なく「太平洋上」を低気圧が東方向へ進むもので、主に首都圏・関東周辺での雪をもたらしやすい存在です。
こちらは、比較的まとまった量の雪となる頻度が多く「10cm以上」が一般的で、2013・2014年の大雪のように一挙に40cm程度の雪となるケースもあります。
「冬型の気圧配置」による雪と、「南岸低気圧」による雪が交互に来るような場合、次項で解説するような長期間の積雪「根雪」になりやすく、時には雪の量がどんどん増えていくような年もあります。
寒い年は事実上の「根雪」も
雪が頻繁に積もる高野山ですが、「気温が非常に低い」ということは、「一度積もった雪」はなかなか解けにくいことに直結するため、長期間積雪が残る「根雪」にもなりやすい環境です。
根雪は「毎年必ず・いつでも」見られる訳ではなく、気温が高い年は冬を通してほぼ「根雪なし」の場合もありますし、なかなかまとまった雪が降らない年は、遅い時期になってから根雪状態になる場合があるなど、各年ごとの状況は様々です。
特に注意したい点としては、以下の2点が挙げられます。
大まかなイメージとしては、大阪で最高気温が10℃程度の日が続くような場合でも、朝にある程度の冷え込みがあれば、高野山では過去に降った雪が残りやすい状況となるため、「下界」の天気の都合で安心しすぎることは禁物です。
ノーマルタイヤは「あり得ない」

これまで、高野山は「雪が多い」ということを解説してきましたが、「車」を使って移動するという点では、結論ははっきりしています。
もちろん、冬の高野山であっても、先述した通り「雪が積もっていない」ことも一般的にありますが、路面状態は必ずしも「雪」だけで左右されるものでもありません。
路面凍結は、必ずしも「雪が積もっている」場合でなくても発生しますので、早ければ11月頃から、遅ければ4月以降でも路面がツルツルになる可能性はあります。
朝の気温は平地とは条件次第で10℃程度差が生じる場合もあるため、ポカポカ陽気になったと安心していても、高野山では状況が大きく異なる場合があります。
雪の状況を調べる方法は?
高野山の「雪」を「リアルタイム(なるべく)」で知りたい場合はどのような方法があるでしょうか。
そのため、雪の状況は具体的な映像・画像・情報発信に頼って確認する必要があります。
2023年冬現在、リアルタイムで状況を確認できるのは、一例としては上記の「高野山西南院」の設置したライブカメラや、高野山タクシーのツイッターアカウントで発信されている情報が挙げられます。
また、当然ながらツイッターなどで「高野山 雪」と検索すれば、雪が降っている場合には、大抵その内容をツイートした人がおられますので、まれに投稿がない場合を除き、それだけでもある程度の積雪状況は把握可能です(観光地のため訪れる人=ツイートする人が多くなっています)。
なお、やや専門的な方法ですが、高野山では「雪」以外の気象データが観測されているため、そちらを参考にすることも可能です。
ライブカメラなどがあるため、特段メリットのある確認手段とは言えませんが、データを読むことが苦痛でない場合、この方法が最も積雪量を具体的に把握しやすいかもしれません。