京都市の気候・天気の特徴とは?【季節ごとに解説】

自然・気候

世界的な観光都市である古都「京都」は、関西の中では「内陸部」に位置する地域であり、一般に気候としては夏は暑く、冬は少し寒いといったイメージを持たれることが多い地域です。

一方で、京都市は南北に細長く、山間部や市街地の地理的な条件の差は非常に大きく、日本海側との距離などによって冬の天気が大きく違ってくるなど、市内でも場所によって気候にかなりの差が見られる地域です。

具体的な気候区分としては、太平洋側気候・瀬戸内海式気候・中央高地式気候・日本海側気候と呼ばれる各気候区分の特徴を京都市は全て併せ持っているとも言えます。

当ページでは、京都市内の気候の特徴について、季節ごとの特徴を地域による差も含め詳しく見ていきたいと思います。

京都市の「春」の気候

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪日数
3月8.8℃14.1℃4.3℃106.2mm155.4時間6.8日
4月14.4℃20.1℃9.2℃117.0mm177.3時間0.4日
5月19.5℃25.1℃14.5℃151.4mm182.4時間観測なし
いずれも京都地方気象台の平年値

京都市の春の気候は、一般には穏やかなイメージを持たれることも多く、次第に暖かくなり、春らしい過ごしやすい陽気が続くことが多くなっています。日照時間は5月は真夏の8月に次いで多く、晴れる日は1年の中では多いシーズンにあたります。

雨については春先から降水量は次第に増加傾向となり、5月には時にまとまった雨量となることもありますが、4月までは大雨になるほど雨量がまとまったり、激しい雨になるようなことはほぼありません。

朝の冷え込みについては市街地でも3月までは残り、場合によっては氷点下の冷え込みになる場合もあります。特に市街地の中でも北区方面などは寒さはやや残りやすく、市内北部の深い山間部であれば4月以降も氷が張り、朝晩にはかなりの寒さを感じるような冷え込みになることもしばしばです。

雪については、3月中は雪が降る可能性があり、ごくまれに3月上旬・中旬頃を中心に積雪が市街地でも観測される場合があります。但し、一般論としては頻度が少ないので、都市部で「春の雪」はさほど心配する必要はないでしょう。

市内でも北部の山間部、とりわけ標高が高い地域は積雪が多くなりやすいため、花脊・広河原などの地域では「根雪」が3月も残るケースがあります。但し、周山など京北地域の平地・大原・貴船・鞍馬で春まで根雪が残ることはほぼありません。

なお、「桜」については都心部では大阪や神戸・奈良といった周辺都市と比べ、特段開花時期や満開時期に大きな差は見られません。桜は気温差によって開花時期に差が見られますので、むしろ市内北部・山間部などと京都市街地の桜シーズンに大きな差が存在します。

京都市の「夏」の気候

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間雷日数
6月23.3℃28.1℃19.2℃199.7mm133.1時間1.7日
7月27.3℃32.0℃23.6℃223.6mm142.7時間4.9日
8月28.5℃33.7℃24.7℃153.8mm182.7時間5.1日
いずれも京都地方気象台の平年値

夏の京都市は、大まかにいえば「非常に暑い」気候が続きます。特に7月から8月にかけての昼間の最高気温は日本全国を見ても岐阜県の多治見・群馬県の舘林・埼玉県の熊谷といった「猛暑」に関する報道で頻繁に登場する各地域に匹敵する暑さであり、年ごとの気候にもよりますが、最高気温が38~39℃台になることも十分ありうる環境です。

例えば猛暑となった2018年7月には、最高気温37度以上の日が2週間近く続いたこともあり、観光に訪れるような場合でも、熱中症対策は不可欠と言えるでしょう。

朝の気温についても、京都市街地(特に中心部)では都市化が進み切ったこともあり、内陸部だからと言って涼しくなる訳ではありません。市街地では「熱帯夜」がごく普通で、朝晩しのぎやすくなるのは山間部や山沿いの市街地など一部に限られます。

雨については近畿中部より北側の内陸部としてはやや雨量が多く、平年の夏の雨量は大阪・神戸・奈良市などを1~2割程度上回っています。大雨は梅雨前線の活発化のほか、台風による大雨(2015年7月・台風11号など)も一定の頻度で見られ、1日の雨量が100ミリ単位となるようなこともほぼ毎年のようにあり、大雨災害と無縁の地域とは言えません。

夏らしい天気と言えば「雷」もその特徴の1つに挙げられますが、京都市街地では「夕立」に見舞われることもありますが、その頻度は特に多いとは言えません。但し、市内北部の山間部では天気がやや変わりやすい傾向はあります。

京都市の「秋」の気候

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間
9月24.4℃29.2℃20.7℃178.5mm142.7時間
10月18.4℃23.4℃14.4℃143.2mm156.0時間
11月12.5℃17.3℃8.4℃73.9mm140.7時間
いずれも京都地方気象台の平年値

秋の京都市内は、季節が進むにつれて穏やかな気候・過ごしやすい気候へと変わり、観光客が最も多く訪れる「ハイシーズン」となります。

雨については、秋が進むにつれて急速に雨量や雨の頻度が減る傾向がありますが、9月(時には10月)は「台風」の影響を受けることが見られ、災害級の大雨になったこともあります。例えば2013年9月の台風18号災害では、桂川周辺で一部浸水被害が発生したり、山科区でも地下鉄線が水没するような被害が生じたことがあり、どこの都市でも同じことですが、夏と同様に大雨への基本的な備えは必要です。

台風による「暴風」は、近畿地方の沿岸部・神戸や和歌山方面と比べ被害を受ける頻度は多いとは言えませんが、2018年の21号台風では京都でも最大瞬間風速39.4m/sを観測したなど、大雨によるリスクだけではなく、直撃を受けた場合などには暴風に関するリスクも存在します。

気温については、9月いっぱいは年によっては夏のような暑さが続くこともあり、余り涼しさは感じられない場合が目立ちますが、10月以降は気持ちの良い秋らしい気温となる場合がほとんどです。11月以降は次第に寒さも感じられるようになりますが、京都市街地は都市化によって冷え込みにくくなっているため、11月中に初霜・初氷となることは大幅に減ってきています。

なお、秋の観光といえば「紅葉」がその最大の魅力とも言えますが、こちらも京都の冷え込みが弱くなるに従って時期が遅くなる傾向があり、近年は11月中旬~下旬といった一般的な見頃から、更に12月初旬にかけて見頃がずれこむケースが見られます。

京都市の「冬」の気候

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪日数
12月7.2℃11.6℃3.5℃57.3mm134.4時間6.9日
1月4.8℃9.1℃1.5℃53.3mm123.5時間16.3日
2月5.4℃10.0℃1.6℃65.1mm122.2時間14.2日
いずれも京都地方気象台の平年値

◇近年のおもな積雪記録
2010年12月31日:9センチ
2015年1月3日:22センチ
2017年1月15日:14センチ
2019年1月17日:7センチ
2022年1月21日:15センチ
2023年1月24日:15センチ

冬の京都は、一般に「金閣寺の雪景色」などで象徴される風景がイメージされることが多くなっています。

「雪」については、観光に訪れた場合に見ることが出来る確率は決して高くはなく、真冬でも訪れた日に偶然雪が積もる確率は低いと言えますが、近畿地方の県庁所在地として見た場合、京都は最も雪が降りやすい・積もりやすい環境であることも確かです。

大阪・神戸などの場合雪が積もらない年の方が圧倒的に多い一方、京都市は令和の時代に入ってからも15cm程度の積雪を既に複数回観測しています。うっすらを含めれば都市部も含め毎年1回はほぼ必ず雪化粧し、多い年は年5回くらい積雪することもあります。

雪は「冬型の気圧配置」が強まる際に積もる場合がほとんどで、基本的には市内の北側へ行くほど多く、市街地でも伏見区では雪がほとんど見られない場合でも、今出川通りより北側では比較的積もりやすく、岩倉方面まで行くとまるで別世界。といったように、地域によって積雪量に大きな差が見られます。

雪は山間部では「根雪」となることも多く、市内北部の標高の高い地域では積雪1メートル単位になることもあり得るなど、北へ行くほど冬の降水量が増え雪も降りやすい「日本海側」の気候に準ずる環境になっていきます。

寒さについては、かつては「京の底冷え」と呼ばれるほどに朝晩の冷え込みが厳しい地域であり、明治時代にはマイナス10度以下になることもありましたが、都市化と温暖化の相乗効果によって「底冷え」は都心部ではほぼ完全に過去の話となり、現在は氷点下の冷え込みになることの方が少なくなってきています。但し、市街地周辺でも山のすぐ近くや、大原や京北など山間部へ行くと、現在もかなり寒いですので、あくまでも寒さがましなのは市街化が進み自然が少ない地域に限られるという点は注意が必要です。

まとめ

京都市の気候は、市内が南北に細長く、市街地と深い山間部に分かれているため地域によって気温差や冬の雪の降りやすさなどが大きく異なります。

全体としては、穏やかな天気が続く時期も多いなど、日本の中でも安定した気候と言える地域ですが、夏や秋には近年も含め浸水害が発生したこともあるなど、大雨に見舞われることなどは時折見られます。

気温は夏の暑さがかなり過酷である一方、「底冷え」は市街地では見られなくなりつつあり、都市化によって大阪などとの気温差が小さくなりつつあります。