奈良「学園前駅」周辺エリアはどんな街?(生活環境・住みやすさ等を徹底解説)

交通・地理

こちらの記事では、奈良市内の「学園前駅」周辺エリアとはどんな街?として、住宅・交通・生活環境等について解説していきます。

学園前駅一帯は「住みやすさ」で言えば、奈良はおろか、関西でも屈指の居住環境を誇るエリアであり、現在も根強い人気を集めています。

場所・概要

奈良市の「学園前」エリアは、近鉄「学園前駅」周辺一帯に広がる住宅地域であり、関西有数の郊外住宅地・高級住宅地としての知名度を有するエリアとして知られています。

地理的には奈良市内の西部に位置し、最西端の富雄エリアと、大きな池のある菖蒲池エリアに挟まれた、比較的標高の高い丘陵地にあたります。大阪都心からの距離は約25キロ弱・電車で20~30分程度、近鉄奈良駅周辺からの距離は8キロ程度・電車で10分程度と、アクセス性も大変良好です。

一帯は大阪の通勤圏として昭和以降発展してきた歴史を持ち、駅を中心とした典型的なベッドタウンの風景が広がっています。また、「学園」という名の通り帝塚山学園による文教地区としての側面も持ち、通学時間帯には大勢の学生が駅を利用する光景も見られます。

住宅事情

学園前駅周辺エリアは、とりわけ駅周辺・北側の登美ヶ丘地域が、長らく奈良を代表する住宅地(高級住宅地)として君臨してきた歴史を持っているため、不動産価格は常に奈良県の住宅地では最も高額となっています。

近年は、都心回帰や少子高齢化社会の影響により、学園前のイメージも「オールドニュータウン」になって来た側面は否定できませんが、一方では未だに高価な不動産が売買される状況もない訳ではありません。

学園前駅周辺の住宅街

具体的な不動産価格としては、駅から離れた(バス利用必須)の物件であれば、一般的な地方都市の郊外と同等で、築30年程度の中古物件で数百万円から~という比較的リーズナブルな価格が見られます。一方で、学園前駅の徒歩圏になると、3000〜4000万円台以上の中古物件なども多くなり、相応の価格水準となっていきます。

なお、戸建てについては、様々な条件の物件が見られるため価格水準は様々です。道が狭く入り組んでおり、面積も比較的狭い物件であれば駅の近くでも時に安い物件が見られますが、駅から少し離れていても高級住宅地として知られる「登美ヶ丘一丁目・二丁目」や「東登美ヶ丘二丁目」のように、そもそも地区内には広い敷地の広い物件(中にはかなりの豪邸も)しかないようなエリアであれば、必然的に不動産価格は高くなり、億単位の物件すら見られます。

また、「新築」物件については、既に開発され尽くしてしまったこともあり、それほど多くの発売はありません。平成以降の主要な「建て替え事業」としては、UR賃貸住宅の鶴舞団地の建て替えが実施され、真新しい団地物件が供給されています。

賃貸の事情については、戸建てやマンションがメインの地区のため、民間賃貸住宅はそれほど多いとは言えませんが、UR賃貸住宅があることなどから、家賃の幅は広くなっています。

具体的には、特に安いものとしては一人暮らし向けであれば朝日町地区等を中心に1~3万円台といった格安物件もあり、UR賃貸住宅であれば駅から離れた中登美団地であれば3DKで4万円台程度から借りることが可能です。

駅周辺の団地は建て替えや再開発が進む

一方、駅に近いURの「奈良・学園前」団地や、戸建てやファミリー世帯向けのマンション物件の場合、10万円前後、一部は15万円程度の家賃も一般的に見られ、必ずしも割安な物件だけとは言えません。賃貸物件を探す場合は、学園前駅ではなく隣の富雄駅や、東に離れた近鉄・JR奈良駅周辺エリアの方が充実していますので、そちらも合わせて検討されることをおすすめします。

生活環境

学園前駅周辺は、日本国内でも屈指の「典型的な(静かな)郊外住宅地」の特徴を兼ね備えている地域とも言えますので、生活環境自体は極めて良好です。治安等についても、一般的な犯罪の発生率はかなり低くなっており、地域の見守り活動等も充実しています。

教育環境については関西随一と言っても良い程の環境であり、住民の教育に対する意識はかなり高く、進学志向は相当なものがあります。実際に、駅周辺には難関校への進学を目指す学習塾が多数見られ、人口減少時代・少子化の時代でありながら、相変わらず大勢の子供たちが通塾する姿が見られる他、東大寺学園・灘中高・大阪星光学院・西大和学園といった有名進学校へ通う学生も非常に多くなっています。

なお、その性質上正確な統計はありませんが、奈良市民の一般的な感覚として見れば、学園前エリアに居住される方々の「京大・東大・旧帝大・医学部」への進学率は、全国屈指またはトップレベルと言っても過言ではありません。著名な研究者などが、学園前エリアを出身地としている場合も時折見られます。

こういったこともあり、学園前エリアではいわゆる「不良」や「ヤンキー」、「荒れた学校」に類するエピソードは基本的に無縁です。但し、近年では一部エリアで児童・生徒数が急減する傾向もありますので、進学志向は強い中でもどこかのんびりとしたムードが広がり、例えば大阪都心部のような生徒数の多い競争的な学習環境ではなくなってきています。

子供時代も含めてゆったりと暮らしたいのであれば奈良市が、逆に刺激的な環境を求めるのであれば都心部がおすすめかもしれません。

なお、教育環境に留まらず、例えば医療機関の充実度についても学園前エリアは高い水準を誇ります。駅の徒歩圏には比較的大規模な「西奈良中央病院」がある他、郊外住宅地らしく住宅街の中にも開業医による病院が多数ありますので、通院や急病でも大きく困ることはないでしょう。

学習塾をはじめ各種施設が集まる近鉄学園前駅前の市街地

なお、商業施設については学園前駅に併設される形で商業ビル(PARADIS パラディ学園前)があり、近商スーパー・啓林堂書店・薬局・各種専門店がある等、基本的なお買い物は駅前で済ませる事が可能です。

大規模商業施設については、北側の学研奈良登美ヶ丘駅前にある「イオンモール登美ヶ丘」へ行く事が一般的である他、マイカーを利用する事で少し離れたエリアの「イオンタウン富雄南」や押熊地域の各種ロードサイド店舗も便利にご利用頂けます。

交通

学園前駅周辺エリアは、郊外でありながら公共交通機関の利便性も比較的高いという特色があります。

まず「電車」について見れば、近鉄奈良線「学園前駅」からは昼間時でも約10分おきに大阪鶴橋・上本町・難波方面への急行・快速急行が運行されており、一部快速急行は神戸三宮まで直通しています。また、近鉄奈良方面へもおよそ10分おきに電車が利用可能です。

近鉄「学園前駅」

通勤時間帯には列車は10両編成で運行されており、かつてと比較するとかなり緩和されたとは言え、現在もそれなりの通勤ラッシュが見られます。また、夜には大阪難波方面から座席指定の特急が多数運行され、520円の追加料金を払って「座って帰る」通勤者の方も多く見られます。

バスについては、平成初頭の最盛期と比べると運行本数はかなり減少していることは否定できませんが、現在でも学園前駅から主要な住宅団地へのバスが多数運行されています。

現在でも昼間時15〜20分間隔で中登美ケ丘・西登美ケ丘・鹿ノ台・千代ヶ丘・赤膚山方面へのバス便が確保されている他、ラッシュ時間帯には大抵のエリアで数分おきにバスが運行されるため、本数がかなり減った現在でも不便とまでは言えませんし、現在でも関西有数の「バスの街」となっています。

また、高所得者が多く住むという特性上、タクシーの利用も比較的多い傾向が見られます。

自動車利用については、マイカーを使う方も大変多いですが、道路環境はそれほど良いとは言えません。駅の南北を貫く通りは片側1車線であり、土日祝日には慢性的な渋滞が見られる他、平日の朝になるとバスを優先するために自家用車は通行禁止になる等、使い勝手が良いとは言えません。

また、各住宅地への道路は極端に狭かったり、袋小路のようにわかりにくくなっている区間も多く、「よく知っているルート」以外を通るのは避けた方がよいでしょう。

この他、自転車の利用についても、駅周辺の起伏・勾配が急な箇所が目立つため、自転車をこぐのはしんどい環境とも言えます。駅へのアクセスは徒歩かバスのご利用がおすすめです。

みどころ・観光

近鉄学園前駅周辺エリアは、古都「奈良市」とは言え「観光地」ではなく、有名な寺社仏閣等が点在するような地域ではありません。一方で郊外住宅地の周辺には自然も多く、大和文華館のような文化施設もある等、日常的な散策・ウォーキングには適したエリアと言えます。

大和文華館

大和文華館(やまとぶんかかん)は、近鉄グループが運営する美術館であり、東洋美術の展示では日本有数の空間として知られています。
敷地内の美しい自然も魅力であり、四季折々の風景をお楽しみ頂く事も出来ます。

松伯美術館

松伯美術館(しょうはくびじゅつかん)は、近鉄中興の祖として知られる佐伯勇氏の邸宅跡にある美術館です。
展示については、上村松篁・上村淳之氏が寄付したコレクションが主となっています。

大渕池公園

大渕池公園は、学園前駅の北側エリアにある公園です。
公園は3つの区画に分かれており、遊具や広場で遊ぶ事も出来る他、静かな森の風景・池のほとりからの風景を満喫する事も可能です。

秋篠川の桜並木

秋篠川の桜並木は、学園前駅から北東に離れた秋篠川沿いの1キロ以上に渡り伸びる美しい桜並木です。
春には多くの地域住民が散策に訪れる空間は、古都・奈良の観光地らしい風情とはまた違った郊外住宅地のオアシス的存在となっています。

まとめ

奈良市の「学園前駅」周辺エリアは、関西有数の郊外住宅地として知られるエリアです。場所としては、奈良市西部の富雄・菖蒲池エリアの間にあたります。

一帯は「高級住宅地」としての歴史を持つため、一部地域、また駅近のマンションについては現在も地方都市としてはかなり高額な不動産価格が見られる場合もありますが、物件全体で見ると価格水準は低めのものも含め様々です。賃貸はUR賃貸の物件を中心に充実しており、駅から少し離れれば比較的割安な物件も多く見つかります。

学園前エリアは、関西はおろか日本有数の「教育熱」の強い地域として知られ、学習塾は駅前に多数ある他、居住者の進学志向も相当強い傾向が見られます。

生活環境としては医療機関や日常的な買い物に便利な商業施設等も充実しており、住みやすさは奈良屈指のエリアと言えます。

交通については、近鉄電車、奈良交通バスともに比較的運行本数が多く、大阪へのアクセス性は大変良好です。一方、車については渋滞が慢性化している区間があったり、かなり入り組んだ道が目立つ等、必ずしも使いやすいとは言えない場合もあります。

地域のみどころについては、観光地ではないため寺社仏閣はほとんどありませんが、東洋美術の宝庫として知られる「大和文華館」や自然あふれる公園等、身近な魅力は数多く発見できるでしょう。