京都から奈良の移動手段。
国内の観光客の方にとっては、一般的なのは現在でも「近鉄電車」を利用するルートかもしれませんが、近年は外国人観光客の増加や複線化に伴い、JR線で京都駅~奈良駅を結ぶ「JR奈良線」の存在感がどんどん上がってきています。
JR奈良線は全体的には近鉄電車ほどの利用者数はいませんが、昼間時は「みやこ路快速」が30分間隔で京都駅~奈良駅間を結んでおり、利便性は決して低くありません。
こちらの記事では、実は便利にご利用頂ける「JR奈良線」について、その運賃や駅・列車の概要や「便利な使い方・利用のコツ」について詳しく解説していきたいと思います。
JR奈良線とは?
奈良と京都を結びます
JR奈良線。それはその名の通り「京都駅~奈良駅」を結ぶJR線の鉄道路線です。
厳密には「JR奈良線」と呼ばれる区間は京都駅から奈良の手前にある「木津駅」までの区間ですが、実際には木津駅まで行く全ての電車が奈良駅へと直通していますので、京都駅~奈良駅間を「奈良線」と考えて頂ければ問題ありません。
運行されている列車は、次項でご紹介する「みやこ路快速」の他、通勤通学時間帯に運行される「快速」・「区間快速」、また「普通」電車が運行されています。
快適に移動可能「みやこ路快速」

JR奈良線をご利用頂く上で、「観光」でご利用になる場合に大変便利なのは昼間時間帯に運行されている「みやこ路快速」。
JR京都駅からJR奈良駅までは、約44分でアクセス可能となっており、同時間帯の近鉄電車の急行よりも奈良まで早くアクセス可能となっています(近鉄特急は約35分で移動可能ですが、特急料金が必要です)。
また、京都駅から宇治駅へ移動する場合でも、みやこ路快速のご利用で約16分で移動可能となっており、便利にご活用いただけます。
なお、みやこ路快速は、JR線の新快速電車などと同じ「クロスシート」の座席であり、進行方向を向いてゆったりと座ることが可能です。一般的な関東の通勤電車などと同じ「ロングシート」の近鉄電車の急行と比べると、快適に移動できるのも「みやこ路快速」の特徴となっています。
伏見稲荷大社への主要アクセス手段です

京都駅周辺から「伏見稲荷大社」へアクセスしたい場合、JR奈良線を利用すれば京都駅から2駅目の「稲荷駅」のご利用が大変便利です。
JR稲荷駅は、伏見稲荷大社の大鳥居の真正面に位置し、京阪電車や市バスでアクセスする場合と比べ、神社により近い場所に直接アクセスすることが出来ます。
なお、注意点としてはJR稲荷駅へは「普通電車」しか停車しない。という点があります。「みやこ路快速」や「快速」・「区間快速」は、いずれも京都駅の隣の東福寺駅を過ぎると次は「六地蔵駅」まで停まりません。
とりわけ外国人観光客の方はこれを知らずに誤乗されることが非常に多くなっていますが、国内からの観光客の方でも間違える場合が少なくありませんので、「稲荷駅へは普通電車を使う」という点は押さえておいてください。
※初詣の時期・一部観光シーズンの利用が多い時期に限り、快速系統が臨時停車する場合があります。その場合は駅の表示などに従ってご利用下さい。
始発が少し早く・終電が少し遅い
JR奈良線は、奈良発の始発電車(初電)が早く、京都発の最終電車(終電)が遅くなっており、近鉄線で京都~奈良間を移動する場合と比べ移動可能な時間の幅が少しだけ長くなっています。
観光で奈良に宿泊される場合、JR奈良線の始発電車は4時台の運行となっているため京都には朝6時までに到着し、始発の新幹線へはかなり余裕を持った乗り継ぎが可能です(近鉄線利用の場合、乗り継ぎ時間は短くなります)。
また、奈良方面へ夜間に移動する場合、数分の違いではありますが、近鉄電車の最終電車が発車した後にJR奈良線の最終奈良行きが発車する形になっています(2023年現在の状況・実際の時刻、最新の時刻などについては、鉄道事業者の情報を別途ご確認下さい)。なお、近鉄電車に乗り遅れた場合については、数分しか差がないため、タイミングによっては必ずしもJR線に乗れるとは言い切れません。最終電車は時間に余裕を持った利用が無難です。
列車種別・停車駅について
先にも解説した通り、JR奈良線では「みやこ路快速」・「快速」・「区間快速」・「普通」が運行されています。
京都駅を起点とした停車駅と最速の所要時間は以下の通りになっています(↓は通過)。なお、所要時間は列車により異なる場合があるほか、下記の最速の所要時間は、ダイヤ改正などによりその後変更となっている場合があります。
みやこ路快速 | 快速 | 区間快速 | 普通 | |
京都 | 0 | 0 | 0 | 0 |
東福寺 | 2 | 2 | 2 | 3 |
稲荷 | ↓ | ↓ | ↓ | 6 |
JR藤森 | ↓ | ↓ | ↓ | 9 |
桃山 | ↓ | ↓ | ↓ | 12 |
六地蔵 | 10 | 10 | 11 | 15 |
木幡 | ↓ | ↓ | ↓ | 17 |
黄檗 | ↓ | ↓ | ↓ | 20 |
宇治 | 16 | 16 | 17 | 23 |
JR小倉 | ↓ | 19 | 19 | 26 |
新田 | ↓ | 21 | 22 | 28 |
城陽 | 22 | 25 | 25 | 31 |
長池 | ↓ | ↓ | 28 | 33 |
山城青谷 | ↓ | ↓ | 31 | 37 |
山城多賀 | ↓ | ↓ | 33 | 39 |
玉水 | 30 | 33 | 36 | 42 |
棚倉 | ↓ | ↓ | 40 | 45 |
上狛 | ↓ | ↓ | 43 | 49 |
木津 | 37 | 40 | 46 | 51 |
平城山 | ↓ | ↓ | 50 | 55 |
奈良 | 44 | 47 | 55 | 60 |
平日・土日祝日ダイヤにより状況はやや異なりますが、みやこ路快速は基本的に昼間時間帯(平日の場合9時台~17時頃)の運行、快速は京都発は17時台~19時台のみ、奈良発は朝と夕方に運行されています。また区間快速は朝の時間帯の一部と夜間に運行されています。
京都~奈良間を普通電車で移動する必要があるのは始発、終電の周辺時間帯のみとなっています。

なお、上記の所要時間は最速のものです。2023年3月には京都駅~城陽駅間が全て複線化された結果、全体的な所要時間が短縮されています。とりわけ「奈良始発」の「みやこ路快速」の所要時間は、途中での行き違い待ちがなくなった効果で、かつてと比べ短縮されています。
ちなみに、みやこ路快速については、最速の44~45分で走る列車が多く、50分以上掛かる便はありませんのでスムーズな移動が可能となっています。
主要区間の運賃・最寄り観光地について
京都駅起点の場合、JR奈良線内各駅への運賃は以下の通りとなります。また、各駅が最寄りとなる主要観光スポットは以下の通りになっています。
東福寺駅まで | 150円 | ・東福寺、泉湧寺へは徒歩圏 ・東山エリア、祇園方面などへは京阪線へ乗り換え |
稲荷駅まで | 150円 | ・伏見稲荷大社最寄り |
桃山駅まで | 200円 | ・御香宮神社、明治天皇陵、乃木神社最寄り |
宇治駅まで | 240円 | ・平等院鳳凰堂最寄り |
城陽駅まで | 370円 | |
山城青谷駅まで | 420円 | ・青谷梅林最寄り |
玉水駅まで | 510円 | ・蟹満寺参拝に便利(棚倉駅利用も可) |
木津駅まで | 650円 | |
奈良駅まで | 720円 | ・奈良市内各観光名所(東大寺・春日大社)などへはバスに乗り継ぎ |
宇治、稲荷方面へは京都駅方面からの最安ルートとなっています。奈良へは近鉄電車の通常運賃よりは少しだけ安くなっています。
京都駅ののりば・乗り方について
JR奈良線ののりばは、京都駅8・9・10番乗り場です。京都駅のJR在来線のホームとしては、最も南側に位置します。駅構内には各種の案内図・案内表示がありますので、まずはそれに従って移動して頂くとよいでしょう。

利用の多い西口方面からの場合、改札を入って右手(南側)に少し進んで頂くと、写真のように奈良線乗り場への階段・エスカレーターが見えてまいりますので、そちらからのりばへ移動します。
また中央口からの場合は、改札の右手にある階段・エスカレーターでまず西口のある連絡通路・コンコースに上って頂き、その後は一番南側まで行き上記写真の奈良線乗り場への階段・エスカレーターを利用して奈良線のりばへアクセスします。
また、新幹線からの乗り換えもスムーズで、新幹線の乗り換え口を出てから奈良線のホームまで掛かる時間はわずかです。
まとめ
JR奈良線は、京都駅~奈良駅間を結ぶ鉄道路線です。
奈良線を利用すると、奈良へのアクセスに留まらず途中で「伏見稲荷大社」や「宇治」エリアにも便利にアクセス可能となっており、まさに「観光路線」となっています。
運行される電車は「みやこ路快速」・「快速」・「区間快速」・「普通」の4種類があります。
昼間時は「みやこ路快速」が最速44分で京都~奈良間を結びますので、奈良へは「みやこ路快速」のご利用が大変便利です。
京都駅ののりばは8・9・10番乗り場です。改札口からは案内表示に従って移動して下さい。