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東西の塔や金堂を背景に美しく建つ薬師寺の山門です
薬師寺「中門」は、薬師寺「白鳳伽藍」の南端に設けられた「南門」の北側すぐの位置にそびえ立つ立派な門で、薬師寺境内では最大級の門となっています。
現在の中門は、昭和59年(1984年)に再建されたものであり、西塔などと同じくまだ比較的新しい雰囲気を感じさせる建築となっており、同じく再建された東西の回廊と一続きとなった美しい佇まいを見せる存在となっています。建築様式としては、東大寺転害門などでも見られる三角形の棟が三つ設けられた「三棟造」と呼ばれるものとなっており、重厚感を感じさせるものにもなっています。
カラフルな「二天王像」が参拝者を出迎えます
かつて存在した中門は、安土桃山時代の享禄元年(1582)に発生した兵火によって焼失した歴史を持っていますが、その際に同時に「二天王像」も焼失したとされており、平成3年(1991年)には発掘調査などの結果に基づきその「二天王像」の復元も行われ現在は中門の東西にそれぞれ配置されています。
二天王像は、いわゆる仁王像とは異なり、重厚な鎧などを身に着けた「武装」したお姿が特徴的な存在となっており、その造立にあたっては中国西安にある「大雁塔」の門垣にある線彫の仁王像や、法隆寺の橘夫人念持仏厨子扉絵などが参考にされたということです。現在はまだ比較的真新しい彩色がよく目立つ状況となっており、その武装した佇まいも含めてかなり異色の存在となっていますが、境内の南側で参拝者をお迎えする存在として一度見れば忘れることがないような大変強い印象を与える像となっています。
薬師寺「中門」の風景

電車・路線バスでアクセスする際に利用する拝観受付の逆方向(南側)に建つ中門。こちらは観光バスや自家用車などでアクセスされる方が拝観する際の入り口となっていますが、東西の塔や金堂を背景にするその風景は薬師寺を象徴する風景の一つとも言えるものであり、北側から境内に入られた方もぜひこちらまで足を運んでおきたい空間となっています。




武装した佇まいの二天王像は、1991年の造立であるため奈良にある仏像としては珍しく完全な「彩色」が施された状態となっています。その非常に鮮やかな姿は落ち着いた仏像に親しまれた方からすると違和感を持つ方もいるようですが、薬師寺らしい明るい印象を感じさせる像として境内の大きなみどころの一つとなっています。