【唐招提寺金堂】唯一無二の美しさを誇る1200年以上の歴史を刻んだ「天平建築」

唐招提寺金堂 観光スポット・みどころ

当ページの内容を含め、奈良の観光スポットに関連する内容は原則としてコロナ禍前を中心とした状況に基づく「アーカイブ」的内容となっており、その後状況が変化している場合があります。
最新の状況については、各スポットに関する公式サイト、または観光協会などの情報発信などを別途ご確認下さい。

観光のご案内

ただ一つ現存する奈良時代の金堂建築

唐招提寺金堂(とうしょうだいじこんどう)は、奈良を代表する観光スポットである「鑑真和上」由来の、「律宗」総本山である唐招提寺の「顔」とも言える、唯一現存する奈良時代の金堂建築です。

唐招提寺バス停からすぐの所にある唐招提寺南大門から境内に入ると、正面には堂々たる金堂のみが目に入り、エンタシス柱が印象的なその雰囲気は他の寺院には感じられない独特の厳かな風景として異彩を放ちます。

繰り返しの「大修理」で保存が図られる

奈良時代の8世紀後半に建立された寄棟造の金堂建築は、その後江戸・明治期には屋根の構造を変えるような大修理を経て、現在は当初のものとはやや建築様式を異にしていますが、部材などには1200年以上前の建造当初のものが多く残っています。また2000年から実施され、緻密な考証のもと2009年に終了した「平成の大修理」では、屋根瓦や鴟尾の取り換え、耐震補強等が実施されるなど、奈良時代の面影を未来に伝える努力が繰り返されています。

仏像のご案内

堂内には中央部に本尊である盧舎那仏坐像が、また左右には千手観音立像・薬師如来立像、その他にも四天王立像や梵天・帝釈天像が並ぶなど多数の国宝が安置され、建築とあわせて奈良時代の雰囲気を存分に体感して頂けます。

本尊廬舎那仏坐像

高さ3メートル、光背は5メートルにも及ぶ巨大な仏像として知られる唐招提寺のご本尊「廬舎那仏坐像」は奈良時代を代表する仏像製作の手法「脱活乾漆造」を用いて造られた仏様です。その存在感は圧倒的なものがありつつ、決してむやみに華美な印象を与えるわけではなく、むしろおおらかな雰囲気を感じさせる佇まいは実に「唐招提寺」らしい存在となっています。なお、奈良時代の仏像ながら金箔も比較的よく残されており、保存状態も美しいものとなっています。

薬師如来立像

本尊、千手観音像から少し遅れる平安時代に造立された木芯乾漆造の薬師如来立像は、伏し目がちな表情ですが、それがむしろ温かみを感じさせる存在となっています。

千手観音立像

有名な「千手観音立像」は、奈良時代の造立で高さは5メートルを超える巨大な存在であり、なんとかつては本当に1000本の腕があったとされ、現在でも953本もの腕を持つ日本有数の千手観音像となっています。そのイメージから一見派手な印象を思い浮かべがちな存在ですが、実際に見てみると透き通ったクールな印象を感じる事が出来るものであり、やはり落ち着いた唐招提寺らしい仏さまになっています。

その他の仏像

金堂内部には上述した国宝の仏さま以外にも、奈良時代作の持国天・増長天・広目天・多聞天の四天王立像も安置されています。その存在感はさすがに本尊と薬師如来・千手観音には及びませんが、守護神らしい厳めしさの中にも静けさを感じさせる佇まいは必見です。また、この他には奈良時代作の梵天・帝釈天立像もあり、裳を纏い沓をはいた姿はどこか異国情緒を感じさせる佇まいとなっています。なお、金堂に安置されている仏像はいずれも国宝に指定されています。

比較的混雑することもあります

上述したように圧倒的な建築の美を見せるとともに、国宝の宝庫ともなっている金堂周辺は、昼間は年間を通して多くの拝観者で賑わっているため、観光ポスターで見られるような「南大門」から「金堂」へ誰もいない静寂の中に広がる眺めを見ることは実際には少し難しい状況となっています。

しかしながら、午前8時半の開門に合わせるように朝早い時間帯に行くことで、ひっそりとした風情に浮かび上がる金堂の建築を味わって頂きやすくなっています(いずれの時間帯でも、修学旅行者等や団体客で混雑する可能性がないとは言えません)。また雨天時なども拝観者は少なくなりますが、唐招提寺の落ち着いた雰囲気は悪天候もむしろ似合うといっても過言ではありませんので、拝観者の少なそうな時をあえて狙っていくのもありかもしれません。

唐招提寺金堂の風景

唐招提寺南大門付近から金堂を望む

バス停近くの「南大門」を抜けた位置からは均整の美を感じさせる「金堂」の建築だけが浮き上がるような風景を見ることが出来ます。この風景は奈良の寺社建築の中でも最も美しいものという評価も多いほどで、日本全国から常にその美しさを味わいに多くの観光客が訪れています。

唐招提寺金堂の「鴟尾」

大規模な修理のもと、新たに設けられた「鴟尾」は遠くから眺めても大変目立った存在であり、数多くの修理により守られてきた金堂の建築を語る上でも欠かせない存在となっています。

唐招提寺金堂の柱

巨大な屋根を支える柱には奈良時代の素材が現在も使用されているものもあり、1000年を超える時代の流れ、数多くの歴史過程を乗り越えて来た時間の重みを静かに語りかけるような色彩と威容を放っています。

金堂(唐招提寺)を間近から望む

金堂の建築は、四方から、どの角度からでも望むことが出来るようになっており、裏手に回れば「講堂」などの建築と合わせ1枚の「写真」におさめることが可能となっています。しかしながら、やはり正面から見る姿に勝る風景はありません。

撮影される場合、日差しの加減や向きなどによって見え方が全く異なります。唐招提寺に関してのみ言えば、曇りや雨の日に撮影した方が境内の雰囲気に合った写真を撮ることができるかもしれません。

次項では、拝観に関する情報を解説していきます。

拝観情報(唐招提寺境内共通)

拝観料:大人1000円、高校・中学生400円、小学生200円

拝観時間:午前8時半~午後5時(拝観受付は午後4時30分まで)

次項では、交通アクセスについてご案内致します。

アクセス(電車・バス)

近鉄・JR線各駅からのアクセス

◇唐招提寺境内まで

奈良交通バス

・JR、近鉄奈良駅から「奈良県総合医療センター」行き乗車、「唐招提寺」バス停下車、北にすぐ

近鉄西ノ京駅から北に徒歩8分、近鉄尼ヶ辻駅から南に徒歩15分

※金堂は、南大門の真正面、境内に入ってすぐの場所に位置するお堂です。

周辺のみどころ・観光スポット

唐招提寺奥の院(西方院)から北東に徒歩4分、養天満神社から北東に徒歩7分、薬師寺から北に徒歩8分、垂仁天皇陵から南東に徒歩8分、孫太郎稲荷神社・休ヶ丘八幡宮から北に徒歩12分

唐招提寺金堂周辺地図