世界遺産に指定されており、冬に雪が積もる場合の美しい風景がテレビなどで頻繁に報道される京都の「金閣寺」。
金閣寺で雪となるケースは決して多い訳ではなく、「雪目当て」で訪れて雪を実際に見るということは、必ずしも容易ではありません。
金閣寺で雪が積もる頻度とは?
・あくまでも「まれ」
・但し、年ごとの差が大きい
・暖冬の場合1〜2回しか積もらない年もあり
・特に雪が降りやすい年は、逆に10回以上積もるようなケースも
金閣寺では、雪が積もることは一般論として言えば「まれ」です。
すなわち、冬に金閣寺を訪れて「雪が積もっている」というケースは少数で、昼間の時間帯なども含めて考えた場合、何を基準にするかによりますが、平均的な確率にすれば3%にも満たないと言えるでしょう。
但し、積もる回数は年ごとの差が目立ちます。暖冬傾向の年は、1〜2回しか積もらずにほとんど雪を見る機会がない年もある一方、過去の寒く雪が降りやすかった年では、朝だけの雪化粧などを含めれば、10回以上雪が積もったようなケースもあります。
金閣寺で積もる雪の量・解けるまでの時間は?
・多いのは「うっすら程度」
・時折5cm以上積もるケースも
・まれに10cm以上の大雪となる場合あり
・同じ日であっても風景が大きく異なる場合あり
金閣寺で雪が積もる場合、最も多いケースは朝の時間帯だけ「うっすら程度」積もる風景が見られるというものです。この場合、よほど気温が低い強烈な寒波でない限り、昼間には完全に雪が消えている場合が多くなります。
また、時には5cm以上積もるようなケースもあります。年によっては複数回まとまった雪となるケースもあり、うっすら程度と比べるとより「見ごたえ」のある雪景色となります。但し、この場合でも昼間に晴れ間がのぞくような場合は、比較的早い時間帯から雪が解け、途中からは写真映えしづらい風景、雪がない風景となる場合があります。
京都の基準では「大雪」と言って差し支えない10cm以上の積雪は、頻度はまれで、見られない年も多くなっています。但し、一度大雪となった場合、うっすら程度では見られないような重厚感ある雪景色となります。
なお、雪景色と「時間帯」は、「いつ降った・積もったのか」により大きく差が生じます。拝観時間内にまさに「積もっていく」状況であるのか、朝に「積もり終えた」雪が解けていくのかなど、状況に応じ雪景色の見ごたえには大きな差が生じます。「今日雪が積もった」からと言って、タイミング・時間を考えずに訪れてしまう場合、メディアで見るような圧倒的な雪景色が見られるとは限らない点に注意が必要です。
京都市内で見た場合の「金閣寺の雪」
・市街地では雪の頻度がやや多い地域
・気象台の積雪が「なし」でも積もっているケースあり
金閣寺は、京都市内ではやや北側、雪が比較的降りやすい「北山」の山麓部に位置する環境です。
そのため、先に解説した通り絶対的な意味では「雪はまれ」とは言え、京都駅・四条河原町・京都地方気象台などより南側の市街地と比較し、雪が積もる・降る機会はまだ多めです。
京都地方気象台では積雪がゼロ・なしと記録されるケースでも、過去には金閣寺で雪化粧したケースがあり、運が良ければ雪を期待していないような時に限って、雪が見られるということもあるかもしれません。
なお、その時の条件次第では、金閣寺へアクセスするバス停付近までは雪がほぼなく、金閣寺境内から急に雪化粧していた。というようなピンポイントな変化を見せることもあります。これは、金閣寺境内が「京都の山沿い」と「京都の市街地」を分ける分岐点になっている特徴が現れたものと言えるでしょう。
雪が積もりやすい気圧配置・条件とは?
・冬型の気圧配置
・寒気で言えば850hPa(上空1500m付近)で-8〜9℃を下回るくらい
・風向きは北北西、ほぼ真北など
金閣寺の積雪は、ほとんどのケースでその要因は西高東低の「冬型の気圧配置」です。それ以外の要因(南岸低気圧など)による雪はよりイレギュラーなケースとなっています。
冬型の気圧配置となる場合は、必ずしも「強烈な寒波」であれば100%雪が積もるという訳ではありません。京都市の場合、雪雲の発生源である日本海から離れていますので、雲は「北寄り」から内陸側へ向けてしっかり入り込む必要があります。
すなわち、仮に「最強寒波」と言われているような時でも、「西寄り」の風が吹いて日本海側の沿岸部を中心に雪が降る場合、金閣寺を含む京都市は雪が降らず、よく晴れた天気となる場合がほとんどです。
雪は北北西〜真北に近い向きなどから雲が入り込む場合に降ることが多く、気温などの関係もあり、タイミングとしては夜間〜明け方にかけて降って積もるケースが最も多くなっています。