奈良の「桜の開花日・満開日」データを考える

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奈良市の春を彩る美しい桜。市内の桜シーズンは「吉野山」ほどの観光客数は見られませんが、奈良公園や佐保川をはじめ各所で美しい桜の風景をご覧頂くことが可能で、近年その知名度や人気度も上昇しています。

こちらでは、奈良市で観測されて来た「桜の開花日」・「桜の満開日」のデータについて、過去のデータを一覧形式で見て行く形でその変化や特徴を考えていきたいと思います。

過去の開花日・満開日はいつ?

過去の奈良で観測された桜の「開花日」・「満開日」は以下の通りです。

なお、現在の「開花日」の平年値は、3月28日となっています。また、「満開日」の平年値4月4日となっています。

開花日満開日開花日の平年差
1954年3月27日4月4日1日早い
1955年3月27日4月6日1日早い
1956年4月2日4月7日5日遅い
1957年4月7日4月13日10日遅い
1958年4月2日4月8日5日遅い
1959年3月24日3月29日4日早い
1960年3月29日4月4日1日遅い
1961年4月2日4月7日5日遅い
1962年4月2日4月9日5日遅い
1963年4月4日4月7日7日遅い
1964年4月4日4月7日7日遅い
1965年4月12日4月17日15日遅い
1966年3月26日4月8日1日早い
1967年4月1日4月8日4日遅い
1968年4月4日4月2日7日遅い
1969年4月5日4月12日8日遅い
1970年4月12日4月17日15日遅い
1971年4月2日4月7日5日遅い
1972年4月1日4月6日4日遅い
1973年3月31日4月5日3日遅い
1974年4月5日4月8日8日遅い
1975年4月5日4月9日8日遅い
1976年3月30日4月5日2日遅い
1977年3月30日4月4日2日遅い
1978年4月8日4月11日11日遅い
1979年3月30日4月6日2日遅い
1980年4月4日4月8日7日遅い
1981年3月31日4月6日3日遅い
1982年3月28日4月1日同日
1983年4月4日4月7日7日遅い
1984年4月12日4月16日15日遅い
1985年4月2日4月8日5日遅い
1986年4月4日4月10日7日遅い
1987年3月28日4月6日同日
1988年4月7日4月4日10日遅い
1989年3月25日4月2日3日早い
開花日満開日開花日の平年差
1990年3月23日3月28日5日早い
1991年3月28日4月5日同日
1992年3月26日4月1日2日早い
1993年3月30日4月7日2日遅い
1994年4月3日4月6日6日遅い
1995年4月1日4月8日4日遅い
1996年4月1日4月8日4日遅い
1997年3月28日4月3日同日
1998年3月26日3月31日2日早い
1999年3月26日4月2日2日早い
2000年4月5日4月10日8日遅い
2001年3月26日4月4日2日早い
2002年3月20日3月26日8日早い
2003年3月30日4月4日1日遅い
2004年3月25日3月30日3日早い
2005年4月2日4月7日4日遅い
2006年3月29日4月5日1日遅い
2007年3月27日4月4日1日早い
2008年3月26日4月3日2日早い
2009年3月23日4月6日5日早い
2010年3月20日4月2日8日早い
2011年3月31日4月8日3日遅い
2012年4月3日4月9日6日遅い
2013年3月22日3月29日6日早い
2014年3月27日4月1日1日早い
2015年3月27日3月31日1日早い
2016年3月23日4月1日5日早い
2017年4月3日4月8日6日遅い
2018年3月24日3月29日4日早い
2019年3月29日4月5日同日
2020年3月26日4月3日2日早い
2021年3月21日3月30日7日早い
2022年3月25日3月31日3日早い
2023年3月20日3月27日8日早い

最も早く咲いたのは2010年・2023年の「3月20日」
最も早く満開となったのは2002年の「3月26日」
最も遅く咲いたのは1965年・1970年・1984年の「4月12日」
最も遅く満開となったのは1965年の「4月17日」となっています。

開花日は各年ごとに大きく異なります。満開日については、開花後1週間程度という一般的な目安はその通りなのですが、年によっては急速に開花が進み4日程度で満開になることもあれば、2009年のように非常に長い時間が掛かることもあり、やはりばらつきがあります。

早くなった桜の開花

上記のデータのうち、開花日の平年値(3月29日)との日数の差ををグラフ化すると以下のような形になります(グラフは2021年までのもの)。

桜の開花日の平年差(プラスが遅い場合・マイナスが早い場合)

データからは、桜の開花が近年早くなっていることがはっきりと伺えます。特に1990年頃を境に桜の咲く時期が明らかに早くなって来ており、その傾向が令和になった現在にかけても続いています。

これは、奈良に限らず全国的な傾向であり、基本的には冬から春先にかけての気温の上昇(温暖化傾向)と相関しています。実際に、1980年代の半ばまでは「寒い冬・寒い3月」の方が多かった一方、1990年前後から一気に暖冬・温暖な3月が増加しており、その傾向と合わせる形で桜の開花日も早まっています。

但し、寒さについては冬が寒くても、3月以降一気に暖かくなった場合などには遅れて咲かない場合もありますし、暖冬の場合桜の「休眠打破(眠っていた芽が強い冷え込みで目を覚ます)」がしっかり行われず、逆に開花が遅れたり、開花してもゆっくりと咲いて満開期間がないまま葉桜になる。というケースも時折ありますので、寒く無ければ必ず早く咲く・よく咲く。という訳でもありません。

桜の開花については、各年ごとの微妙な気温の動きによって時に変わった動きを見せることがありますので、予想は決して簡単という訳ではないのです。

なお、桜の開花を観測する「標本木」は、2017年に気象台の移転・観測地点の移転に伴い奈良市半田開町から奈良市東紀寺町1丁目のソメイヨシノへと変更されています。2地点はやや気温は異なりますが標高はほぼ同じで、開花する時期に大きな差はないものと思われます。

周辺都市と比べると?

桜の開花日の「平年値」について、各地のデータを見ると以下のようになっています。

奈良3月29日彦根4月2日
大阪3月28日東京3月26日
神戸3月28日名古屋3月26日
京都3月28日広島3月27日
和歌山3月26日福岡3月23日
各地の桜の開花日(平年値)

奈良市の3月29日という開花日は、東京より南の太平洋側・瀬戸内海側のエリアの中では少し遅い部類に入ります。

奈良市内は標高にすると50~100メートル程度の市街地が多く、標本木のある観測地点の標高は100メートル程度と、海抜ゼロに近い大阪・神戸などとは少し環境が異なります。桜の開花は、一般に標高が上がると遅れる傾向がありますので、奈良が京阪神各地・その他太平洋側の海沿いの都市より少し遅く咲くのはごく自然な流れと言えるでしょう。

但し、日数の差という意味では大阪・京都・神戸とはほとんど差はありません。1日程度の差ですので実質的な「見頃」にはほとんど差はない場合も多く、大阪で満開であれば奈良も満開。という場合が大半を占めます。

まとめ

奈良市の「桜」の平年の開花日は3月29日平年の満開日は4月5日です。

過去の開花日などをデータで見て行くと、1990年頃を境に急速に開花が早くなっており、冬や春先の温暖化傾向と関係していることが伺えます。但し、開花・満開と気温の動きの関係性は複雑ですので、暖冬=必ず早く咲くとは言い切れない場合もあります。

他都市と比べると、奈良は東京・福岡などと比べると開花は遅い傾向がありますが、京阪神周辺と比べた場合平年値の差は1日で、桜の見頃にほとんど変わりはありません。