新幹線・特急電車の料金は、基本的に駅から駅までの「運賃」と、座席料金である「特急料金」の2種類をプラスした金額となります。
一方で、乗り換え案内などで検索すると、検索する日によって同じ列車でも少しだけ料金が違うことにお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。これは、いわゆる「繁忙期・閑散期」料金というもので、設定された時期によって少しだけ金額が変化するようになっています。
こちらの記事では、新幹線・特急電車の「繁忙期」と「閑散期」の料金設定・仕組み・適用される列車・期間などについてシンプルに解説していきます。
繁忙期・閑散期料金はいくら?
新幹線・特急の繁忙期・閑散期料金の金額設定は非常にわかりやすいものです。
料金の制度は基本的にこれだけです。繁忙期というのは要するにお客様が多い時期、閑散期というのはお客様が少なめの時期にあたり、利用が多い時は値段を上げて、利用が多い時は値段を下げている形になります。
設定される列車は?
すなわち、特に短い区間の場合、繁忙期に自由席を使うとお得感がより増す。ということにもなります。
但し、適用されない列車もあります。
計算方法は?
繁忙期料金・閑散期料金の計算方法は、それほど複雑ではありませんが、利用する区間によっては200円増しの料金が2回掛かることもあります。
すなわち、余り多くはありませんが、在来線の特急電車を2回乗り継ぐ場合は、それぞれの指定席料金にそれぞれの繁忙期料金をプラスした金額となります。
例えば、金沢駅~【特急サンダーバード】~京都駅~【特急きのさき】~豊岡駅というルートで利用する場合、それぞれの特急ごとに指定席料金が掛かるため、運賃と料金の合計は繁忙期は11,680円・通常の料金は11,280円・閑散期は10,880円と800円の差が生じます。
また、新幹線については東海道・山陽新幹線はそれ自体で1つの路線として統一の料金区分となっていますが、九州新幹線の区間については別の料金区分になっているため、それぞれの路線ごとに繁忙期・閑散期料金が計算されます。
要するに、以下のようなルートで利用する場合はそれぞれの路線ごとに料金が足し引きされます。
例えば、京都駅~【新幹線みずほ号】~熊本駅というルートで利用する場合、東海道・山陽新幹線の特急料金と九州新幹線の特急料金を合算して、その上で繁忙期・閑散期料金を足し引きしますので、繁忙期は21,400円・通常の料金は21,000円、閑散期は20,600円と800円の差が生じます。
なお、新幹線と特急を乗り継ぐ場合は、乗り継ぎ割引が適用されます。在来線の指定席特急料金については繫忙期・閑散期料金を差し引きした上で割引が行われるため、この場合は400円増し・400円引きということにはなりません(この他、在来線扱いのミニ新幹線である秋田・山形新幹線についてはやや特殊な仕組みになっています)。
繁忙期・閑散期はいつ?
曜日の配列などで毎年一部で異なりますが、閑散期・繁忙期・通常期の期間については、上記のようにほぼ固定されたスケジュールとなっています。ざっくり言えば、春先の転居・行楽シーズン、大型連休期間、夏休み期間、年末年始期間は繁忙期で、それ以外は通常期か閑散期(金・土・日はどんなシーズンでも閑散期にはならない)という形です。
なぜこんな料金制度になっているの?
JR線が繁忙期・閑散期料金を設定している理由としては、特に公式的なアナウンスは近年見られませんが、一般論としては利用が多い時期は値段を少し上げることで利用の集中を抑え、利用の少ない時期を少し安くすることで、利用の促進を図る。ということが言えます。
但し、JR線の繫忙期・閑散期料金はあくまでもプラス200円・マイナス200円という「ちょっとした額」に過ぎません。このレベルの料金差では、高いので利用を控えたり、別の日に変えたり、安いから使ってみる。ということにはならないでしょう。
ホテルなどの宿泊業界や交通関係でも「高速バス」や「航空便」については「ダイナミックプライシング」として需要に応じて極端に値上がりしたり、値下がりしたりする運賃の仕組みが一般化してきていますが、鉄道についてはこの繫忙期・閑散期料金が「おまけ」程度に設定されてはいるものの、需要の多さ・少なさによるダイナミックプライシングの導入はまだ検討段階のレベルのようで、コロナ禍を経て今後どのようになるかが注目されます。