奈良の新たな玄関口「八条新駅」とは?現状を整理する | 奈良まちあるき風景紀行

奈良の新たな玄関口「八条新駅」とは?現状を整理する

奈良の基礎知識

奈良市八条地区では、周辺道路の整備等と一体で「JR大和路線」の新駅建設が予定されています。

こちらでは、その計画の現状・現地の風景等をなるべくシンプルにご紹介していくものです。

JR大和路線「八条新駅」の概要

どこに出来るの?

JR大和路線の「八条」新駅は、奈良市街地の南部、笹酒で有名な「大安寺」の西側の八条地区に設置される予定の新駅です。駅はJR奈良駅~JR郡山駅間(4.8キロ)の間、ややJR奈良駅寄りの場所(奈良駅から1.8キロ地点)に設けられます。

駅は、京奈和自動車道(大和北道路)奈良インターチェンジや、そこから伸びる4車線道路(西九条佐保線)の整備が行われ、周辺を通るJR大和路線が高架化される事をきっかけに建設が決定されたものであり、道路交通とも合わせた新しい交通拠点になる事が期待されています。

地図で見ると、近鉄・JR奈良駅等のある市街地からは南西側に離れた場所であることが分かります。

また、世界遺産である薬師寺・唐招提寺のある「西ノ京」エリアからは、比較的近い場所にあることも分かります。

いつ開業なの?

開業時期については、計画が構想され始めた2016年頃には2024年~2025年頃の開業とのスケジュールが示されており、2020年現在も特に何らかのアナウンスは行われていないため、一応このスケジュールを想定していると考えられます。

しかし、現時点では線路の高架化や周辺整備は一切開始されておらず、2020年から本当に4年程度で完成するのかについては、これまでの様々な公共事業の展開(奈良県内の目玉公共事業でスケジュールが「遅れた」ことはあっても「スムーズに完成した」事は多いとは言えない)を見れば、やや不透明な状況とも言えるでしょう。

なお、新駅周辺に建設される予定の京奈和自動車道(大和北道路)については、新駅の建設よりも更に時間が掛かり、2027年~2030年頃の開業を予定しているようですが、こちらもどうなるのかは判然としません。

運行ダイヤなどは?

八条新駅については、建設される事は決定していますが、まだ本格的な事業は行われておらず、開業後の取り扱い等はJR西日本から発表はありません。

運行形態については、八条新駅の開業だけに影響されて大和路線の運行形態が根本的に変化する事は考にくいため現在とダイヤに大差ない場合、一般論としては既存の電車(大和路快速・区間快速・快速・普通)が全て停車するようになると推定されますが、まだ確実な事は判明していません。

駅舎は?駅前はどうなるの?

八条新駅の「駅舎」や「駅前」については、現時点で具体的な建物や区画のイメージが示されている訳ではありません。

但し、奈良県と奈良市が構想として示している「八条・大安寺周辺地区まちづくり基本構想」では、駅周辺の交通結節機能の整備、観光拠点としての位置づけや福祉ゾーン、多世代居住といったイメージが示されています。

具体的には生活用駅前広場を新駅西口に整備・観光用駅前広場を新駅東口に整備することも明記されており、パークアンドライド駐車場も整備するとされています。

構想などで示されている内容を概観する限りは、それなりの規模を持った駅前広場・交通ターミナル(バス・タクシー乗り場や一般車乗降場その他)が整備されることはほぼ間違いなく、何らかの観光拠点施設なども駅前に建設される可能性があると言えるでしょう。

但し、まちづくりはまだ具体的に始まっているとは言い難い状況ですので、新型コロナウイルスの状況や経済情勢、観光客の動向などで観光拠点寄りの駅になるのか、それとも転入人口を増やすための市街地としての整備が図られ、その玄関口としての機能がより重視されるかなどは、まだはっきりとはわかりません。

バスの乗り入れは?

新駅の建設にあたっては、駅前の整備イメージにおいて、バス・タクシーのりばの整備が明記されています。

また、当初の構想ではJR奈良駅・近鉄奈良駅経由とは異なる新たな観光ルートの開拓や、新しい公共交通軸をイメージしていますので、とりわけ整備効果の柱とも言える「西ノ京(薬師寺・唐招提寺方面)」へのバス路線が新たに設定される(そもそもバスが通れなければ、観光客が新駅から西ノ京エリアへ行けない)可能性はあるでしょう。

建設予定地の前は、奈良交通バス28系統(近鉄奈良駅~恋の窪町)及び、奈良交通バス22系統(県庁前~県立図書情報館)が現在も経由しており、これらの路線が再編・廃止されない限りは新駅を経由する事にもなるでしょう。

現時点では、少なくとも「何らかのバス路線」が新駅に乗り入れる事が確実であり、全くバスに乗り継げない不便な駅になることはない。とは言えるでしょう。

想定されるメリット・デメリット

※こちらで検討する内容は、本サイトを運営する一奈良市民の個別の見解です。

八条新駅の新設は、近鉄けいはんな線「学研奈良登美ヶ丘駅」開業以来、およそ20年ぶりに奈良に新たな「副都心」が形成される大きな意味のある事業です。

西ノ京エリア(薬師寺・唐招提寺)方面へはJR線利用による新たな観光ルートが開拓されますし、周辺整備によって一定の人口減少抑制効果も期待できる等、新駅の開業によるメリットは多数挙げられます。

他方、交通網という観点から見た場合、奈良市全体の路線バスの運行等には、必ずしもメリットばかりとは言えず、デメリットが生じる可能性も想定しておく必要はあるかもしれません。

現在の交通の核は、JR奈良駅と近鉄奈良駅ですので、新たな交通拠点の整備により、観光地へのアクセスが向上されると奈良市などは想定しているようです。

一方で、現在観光客が利用する「JR奈良駅」については、八条新駅の開業によって利用者が減少したり、バスに乗り継ぐ人が八条新駅に移行する可能性があります。

例えば、八条新駅の開業により現在大安寺方面へ運行されているバス(白土町行き・シャープ前行きなど)の乗客が一定程度八条新駅の利用に移行したり、観光周遊バスの整備が行われる場合唐招提寺・薬師寺方面や奈良市街地方面へのバス利用の動線も置き換わってしまう可能性があります。

結果としては、観光客や周辺住民の利便性は向上する場合でも、JR奈良駅からのバス利用が一層減少する事で、八条新駅から離れた場所の住民も含め利用する市内各地へのバスも含め、既存路線の運行本数等が間接的に減少するリスクは想定せざるを得ません。

新駅の建設は、駅の周辺に留まらず、市内の各種移動形態に影響を及ぼす事は一般的にも理解されている通りです。八条新駅の開業にあたっては、近年利用減や環境変化により運行本数が減少している路線バス網の利便性に、更なるダメージを与えないかどうかを慎重に見て行く必要はあるでしょう。

現地の様子

2021年2月現在の新駅周辺の様子です。

新駅建設予定地付近にあった會津保育園旧園舎(現在南側に移転)の取り壊しがはじまっています。それ以外は、特段の変化はありません。