【要注意】奈良の鹿に関する「よくある誤解」と「正しい理解」について【うわさ】 | 奈良まちあるき風景紀行

【要注意】奈良の鹿に関する「よくある誤解」と「正しい理解」について【うわさ】

観光お役立ち情報

全国的な知名度を持つ「奈良の鹿」。その存在は奈良観光に訪れる方にとって、ある種の「マスコット」的な形で人気となっている事は否定できません。

一方で、その鹿に対しては、観光客・メディア・場合によっては地元民も含め、時には様々な「誤解」を持ってしまうことも少なくありません。

鹿に対する「誤解」は時として鹿に対して悪影響を及ぼす可能性もありますので、こちらのページでは「奈良の鹿」に対する典型的な誤解・誤った理解について、その状況と正しい理解のあり方について、なるべくシンプルに解説していきたいと思います。

よくある誤解1:奈良の鹿は「鹿せんべい」を主食としている

奈良の鹿に関する最もありきたりな「誤解」の一つは、観光客と鹿をつなぐ「鹿せんべい」に関する誤解・「鹿の食事」に関する誤解です。

特に「鹿せんべい」が「鹿の主食」であると勘違いされている方はかなり多いようで、この誤解はあちこちであたかも事実のように流布されています。

しかし、これは間違いなく誤解であり、フェイク情報と言って差し支えありません。

そもそも鹿は「草食動物」ですから、エネルギーや栄養素を全て植物から摂取します。つまり、大きな体を保つためには相当量の草や葉っぱ・木の実などを食べなくてはいけない体の作りになっています。

そんな鹿が、あの薄い「鹿せんべい」だけでエネルギーが賄えるはずがありません。鹿せんべいを相当量食べた所で、鹿にとってはエネルギー面では「おやつ程度」もしくは「おやつ以下」と言っても差し支えない状況ですので、いかに拡大解釈をしても、「鹿せんべいが主食」という考え方は成り立ちません。

「人間の都合」からすれば、鹿せんべいが主食であると決めつけておくと観光地っぽくて「面白い」感じがするから、半ば願望交じりでそういったステレオタイプを流布している側面すらあるのかもしれませんが、これは鹿にとってはむしろ迷惑な話と言えるでしょう。

よくある誤解2:奈良の鹿は「観光客」が減るとやせ細る

「鹿せんべい」が「主食」であるという勘違いと「セット」で流布される典型的な誤解は、観光客が減ると鹿せんべいがもらえなくなった鹿がやせ細って「飢餓」に陥るというものです。

先に述べたように、草食動物で大量の草等を食べる鹿は、あの薄い鹿せんべいを大量に与えた所で、それが主食になるようなことはまずありえません。鹿が食べるものは、あくまでも奈良公園内に生えているノシバを始めとする植物類がメインなのです。

観光客が減って鹿がかわいそう。という誤解から、鹿せんべい以外のえさを与える行為をする人すらいるようですが、後述するように「鹿せんべい」以外のえさを与えることは大変危険な行為・あってはならない誤解です。

仮に一部の鹿がやせ細っていたとしても、もし疑うのであれば「鹿せんべい」とか「観光客」とは直接関係の無い、別の病気等の可能性を考慮する方が現実的であり、それを「鹿せんべい」がないから。といった訳の分からない理由でこじつけてはいけないのです。

観光客が減って本当に困っているのは、これは鹿ではなく、あくまでも人間の方であると言えるでしょう。

よくある誤解3:奈良の鹿は奈良公園で「飼育」されている

奈良の鹿については、観光客や奈良以外にお住まいの方の中には「飼育」されている鹿であると勘違いされている方も一部でいるようです。

しかし、奈良の鹿は基本的には単なる「野生動物」です。

確かに、「奈良の鹿愛護会」という団体の尽力により、奈良の鹿はその一部が「鹿苑」と呼ばれる専用施設で保護されている事は事実です。しかし保護されているのは事故や病気等で野生で生活するのが難しくなった一部の鹿や、生まれたばかりの小鹿達であり、必ずしも奈良の鹿の多くが「管理下」にある訳ではありません。

保護されている鹿はあくまでも「鹿苑」にいますので、公園で見かける鹿たちはどこかで飼育されたりされている訳でなく、奈良公園一帯を自由に駆け回る「野生」の鹿の過ぎません。寝床も、食べる場所も、どこへ行くかも、鹿たちの自由です(だからこそ、時折市街地までやって来ることもある訳です)。

「野生の鹿」ということは、観光客の都合に応じて鹿が愛想よく振舞ってくれる訳でもなく、発情期等には鹿にみだりに近づくと、場合によっては負傷してしまうリスクもゼロではない。ということになります。

観光をしていると、楽しさの余り奈良公園=動物園のように見えてしまうこともあるのかもしれませんが、それは実際には誤りで、奈良公園という観光地に「野生の鹿」がいるというある意味ではごく自然な、またある意味ではワイルドな環境であることは忘れないようにして下さい。

よくある誤解4:奈良の鹿にはえさを何でも「自由に」あげてよい

「鹿せんべいが主食」とか「観光客が減って鹿が痩せた」という誤解と同じパターンで、「かわいそうだから何でもえさをあげてよい」という誤解をする方も頻繁に見られます。

しかし、これは極めて危険な誤解です。

鹿は先述した通り、あくまでも草食動物です。しかし、「人間様の都合」で勝手に鹿せんべい以外のえさを与え始めると、ついついスナック菓子とか、お弁当の残りとか惣菜の余りとかいったものを与える人が出て来てしまいます。

しかし、肉食ではない鹿に「食べ慣れないもの」を与えると、胃腸のバランスを壊してしまったり、何らかの病気になってしまう可能性も出て来てしまいます。

また、鹿に「野菜くず」等を与えることも、鹿は野菜が主食ではないため、野菜に含まれる水分量等によっては健康を害する可能性が十分ありますので、やはり与えてはいけません。

その上、そういった食品類を与える人は、鹿を中途半端に怖がって「包装(ビニール)」付きのまま鹿に与えるケースも多く、鹿はそのまま包装(ビニール)を食べてしまい、消化できずに胃の中に溜まっていく。という健康被害も発生しています。

草食動物である鹿には、観光客向けに販売されている公式のおやつ「鹿せんべい」以外は与えてはいけません。

まとめ

誤解:奈良の鹿は「鹿せんべい」を主食としている

正しい理解:「鹿せんべい」は鹿の主食ではありません。エネルギー・栄養面では「鹿せんべい」は鹿にとって「おやつ」程度かほぼ影響のない存在です。

誤解:奈良の鹿は「観光客」が減るとやせ細る

正しい理解:「鹿せんべい」がおやつ程度の存在であり、奈良公園内の植物が鹿の主食である以上、観光客の増減が鹿の体格に大きな影響を及ぼすと考えることは出来ません。

誤解:奈良の鹿は奈良公園で「飼育」されている

正しい理解:奈良の鹿は基本的に「野生」です。確かにケガや病気を持つ一部の鹿・生まれたての小鹿は「鹿苑」で保護されていますが、大半の鹿は自由に奈良公園一帯を動き回る「野生の鹿」です。

誤解:奈良の鹿にはえさを何でも「自由に」あげてよい

正しい理解:鹿に「鹿せんべい」以外の食べ物を与えると健康被害が生じる可能性があります(野菜くず等もダメ)。また、食べ物の包装(ビニール)を鹿が食べてしまうリスクも高く、実際に健康被害が生じています。「鹿せんべい」以外のものは、絶対に与えないようにして下さい。