奈良市内の鉄道駅の「乗車人員・利用者数」ランキング(データから見る奈良市)

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こちらの記事は、新型コロナウイルスの影響を受けた後のデータではなく、記事の情報は全て令和に入る前の時期、2017年時点の情報を前提としています。新しいデータは反映できておりません。数字の解釈には注意が必要です。

世界遺産に指定された寺社を複数有する世界的な観光都市でありつつ、大阪の大ベッドタウンとして発展してきた歴史を持つ都市である「奈良市」。

こちらの記事では、奈良市内の「鉄道駅」の「乗車人員」というデータについて、こちらでは2017年度のデータを利用の多い順にランキング形式でご紹介してまいります。鉄道の利用者数のデータからは、地域ごとの都市規模や、どのような人の流れが存在するのかが推測できるため、「奈良市の状況」を考える上では非常に重要なデータとなっています。

奈良市は人口減少局面に入り、観光需要を除いては鉄道の利用者数も長年減少傾向にありますが、未だ地方の都市としては異例なほどの利用者数を誇るなど、交通需要という意味ではどちらかと言うと首都圏に近い空間となっています。

※本ページで用いるデータの「乗車人員」はその名の通り「乗車」した人数の推計ですが、利用者数は「乗車・降車」を合わせたものを指すものです。駅から乗った場合、どこかで降りる必要がありますので、利用者数は概ね乗車人員の2倍となります。

※データについては「奈良市統計書」の運輸ページの統計データを参考にしています。

1位:近鉄奈良駅(33,819人)

近鉄奈良駅は、近鉄奈良線の終着駅であり、2017年度の乗車人員は33,819人です。近鉄奈良駅には大阪難波・神戸三宮・京都方面からの電車が次々に発着しています。

乗車人員は奈良市内の駅で唯一1日3万人を超え、合計の利用者数(乗降人員)は6万人を越えると推定される「一大ターミナル」となっています。

奈良駅の乗車人員は同じ規模の都市の代表駅である「大津駅」・「和歌山駅」などよりもかなり多く、JR宝塚駅・阪急高槻市駅・京阪樟葉駅といった大阪のベッドタウンの拠点駅よりも利用が多くなっており、現在もかなり利用は多い状況です。

なお大阪への通勤・通学者の利用が多かった最盛期は1日の乗車人員が5万人を越え、利用者数では10万人を越えていた時期もありました。その時期と比べると大きく減少してはいますが、近年は2011年で底を打ち、インバウンド需要により乗車人員が回復しつつあります。

近鉄奈良駅については、利用の形態が「市民の利用」から「観光客の利用」をメインとする駅に今後は一層変化していくことが予想されます。

2位:近鉄学園前駅(26,650人)

近鉄奈良駅に次ぐ利用者数を誇る駅は、大阪の大ベッドタウンとして発展した奈良市西部の最大拠点駅である近鉄奈良線「学園前駅」。こちらの乗車人員は2017年度で26,650人(利用者数ベースでは5万人少々)です。

学園前駅は、かつて近鉄けいはんな線が開業する前や通勤・通学者が多かった時代は現在の倍近い1日5万人近い乗車人員を誇る大阪のベッドタウンとしては関西最大規模の駅となっていましたが、現在は人口減少も加わり利用は減少傾向です。なお、現在でも通勤者などの「定期券」利用比率が高い(定期外1万人・定期1万6千人程度)状況は変わりありません。

もっとも、現在でも2万5千人以上の乗車があるために、朝になると大勢の通勤者で混雑するほか、昭和の終わりから開始された駅周辺道路の「マイカー規制」により朝はバス・タクシーが事実上唯一のアクセス手段になるため7時台には150本を越える路線バスが発着するなど、駅を発着するバスの利用者数は日本有数となっています。

3位:近鉄大和西大寺駅(23,733人)

奈良市で唯一の「百貨店」である「近鉄百貨店奈良店(奈良ファミリー)」が駅前にあることで知られ、近鉄奈良線と近鉄京都・橿原線方面との一大乗換駅として機能している近鉄大和西大寺駅。こちらの乗車人員は2017年度で23,733人(利用者数ベースで約48000人程度)です。

大和西大寺駅については、定期券利用者の途中下車であったり、乗り換えの利用者数なども合わせると駅を利用する人の数は10万人を越える駅となっており、駅構内・ホームはほぼ終日大勢の利用者で混雑しています。

駅前周辺については特に「南口」周辺で平成中期以降のマンション開発が活発であり、乗車人員も2万8千人程度であったピーク時からの減少率が少なく、近年は2万2千人程度で底を打った後再び増加傾向となっています。

観光需要に左右されない「市民の日常利用」という側面で見ると、近鉄大和西大寺駅は「奈良で一番活気のある駅」と言えるでしょう。

4位:近鉄高の原駅(19,007人)

奈良市の最北端、京都府木津川市との府県境に位置する駅であり、「平城ニュータウン」の中心部に位置する近鉄京都線の近鉄高の原駅。こちらの乗車人員は2017年度で19,007人(利用者数ベースで4万人弱)です。

駅の利用は平成初期から微減傾向が続いていましたが、2007年5月1日に「イオンモール高の原」が駅前すぐに開業してから再度増加し2万人を越え、現在は再び微減傾向が続いているものの、奈良市内の駅としてはピーク時の乗車人員からの減少が最も少ない駅の一つとなっています。

ベッドタウンの中心駅であるためイオンモールの利用のみならず、通勤・通学者の利用が非常に多いため、定期券利用比率は奈良市で最も高くなっています(定期券利用が1万2千人以上・定期外は7千人程度)。

なお、高の原駅周辺は奈良市側のニュータウンでは人口減少・少子高齢化が著しく、京都府側の木津川市・精華町方面では人口はあまり減っていない状況のため、高の原駅の利用については奈良市だけではなく、現在は京都府側のニーズに支えられている部分もかなり多いと言えるでしょう。

5位:JR奈良駅(18,307人)

近鉄奈良駅から徒歩圏にあり、とりわけ外国人観光客の「奈良観光の玄関口」として機能しているJR奈良駅。乗車人員は2017年度は18,307人(利用者数ベースでは37000人程度)です。

JR線は、近鉄線と比べ奈良市内の駅そのものが少なく、JR奈良駅についても近鉄奈良駅ほどの周辺住民の利用は少ないため、その存在感は非常に高いとまでは言えません。

乗車人員は平成初頭に2万人を越えてからは減少が続いていましたが、インバウンド需要・外国人観光客数の増加に伴い近年は微増が続いています。

なお、観光需要が大きい上、駅前には次々とマンションやホテルが建設されていることもあり、乗車人員ベースでは市内5位ですが、奈良市内の駅としては人口減少局面においても比較的将来像が明るい駅であるとも言えるでしょう。

6位:近鉄富雄駅(14,833人)

奈良市の最西端にあり、郊外住宅地・マンションに住まう市民が大勢利用する近鉄奈良線「近鉄富雄駅」。2017年の乗車人員は14,833人(利用者数ベースで3万人程度です。

最も利用が多い時期は2万人近い利用者数を有していましたが、現在は微減傾向が続いた結果1万5千人を割り込んでいます。

なお、富雄駅は近畿大学農学部へのアクセス拠点にあたり、学生の利用が比較的多い駅となっています。

7位:近鉄新大宮駅(13,769人)

近鉄奈良駅の隣、奈良市役所や主要企業のオフィスなどが立ち並ぶ「大宮通り」沿いに近い場所に位置する近鉄奈良線・近鉄新大宮駅。2017年度の乗車人員は13,769人(利用者数ベースで28000人程度)です。

新大宮駅は非常に利用が多い駅とまでは言えませんが、奈良市内の駅としては珍しく現在が利用のピークとなっている駅であり、駅がコンパクトな造りであるために、終日大勢の利用者が見られます。

駅周辺には目立った観光施設はなく、ビジネスホテルの利用を除いては現在は日常的な利用がほとんどですが、2020年には西に500m少々離れた場所に高級ホテルなどを核とする巨大な観光拠点施設が開業するほか、大規模商業施設「ミ・ナーラ」もありますので、今後は観光客の利用が増加することも推定されます。

8位:近鉄学研奈良登美ヶ丘駅(7,443人)

近鉄学研奈良登美ヶ丘駅は、2006年に開業した近鉄けいはんな線の終着駅であり、奈良市北西部の登美ヶ丘エリアへ・並びにけいはんな学研都市の中央部(精華地区)へのアクセス拠点として機能しています。

乗車人員は決して非常に多い訳ではありませんが、開業時よりほぼ一貫して増加を続け、2017年度には7,443人(利用者数ベースで15000人程度)に達しており、周辺開発や学研都市のへの通勤需要の増加が見込まれるため今後しばらくは増加基調が続くことが想定されます。

利用者は通勤・通学者が多いことから定期券利用比率は高の原駅に次ぎ、奈良市では「定期券率」のかなり高い駅となっています。

なお、開業前の予測としては乗車人員2万人超が想定されていたため、その予測と比べると極めて少ない状況が続いています。当初予測とのずれは、学園前駅などとの利用者数の分散具合、人口減少・開発の遅れなど複合的な要因と、そもそもの予測算出根拠がオーバーであったことが挙げられます(神戸市営地下鉄海岸線・大阪メトロ今里筋線開業前の予測と同様)。

9位:近鉄菖蒲池駅(6,148人)

近鉄大和西大寺駅と学園前駅の間に位置する近鉄奈良線・近鉄菖蒲池駅。2017年度の乗車人員は6,148人(利用者数ベースで12000人程度)です。

こちらの駅前には、かつては「近鉄あやめ池遊園地」があったためレジャー利用の多い駅でしたが、2004年に閉業したこと・周辺住宅地のオールドニュータウン化に伴い利用が減少し、平成の初期から中頃にかけては乗車人員が7000人台から5000人を割り込むまで減少しました。

その後は近鉄主導で「あやめ池住宅地」の開発・整備が行われ、駅前に近畿大学付属小学校が開校したこともあり、利用は再度増加して現在に至ります。

10位:近鉄西ノ京駅(4,080人)

近鉄西ノ京駅は、奈良市南西部、大和郡山市との境界に近い住宅街やの玄関口にあたり、世界遺産「唐招提寺・薬師寺」及び「奈良県総合医療センター」のアクセス拠点にもなっている近鉄橿原線の駅です。2017年度の乗車人員は4,080人(利用者数ベースで8000人程度)となっています。

利用は最盛期の乗車人員1日5000人超と比べると減少していますが、周辺には病院・福祉施設・学校などが多く、観光利用も多い駅のため、近年は減少傾向は抑えられ増加傾向も見られます。

2018年からは奈良県最大規模の医療施設「奈良県総合医療センター」が開業したため、利用は更に増加することが想定されます。

西ノ京駅は市内の各駅と比較すると利用者数が多い駅とまでは言えませんが、駅自体が小さく周辺道路の状況もかなり悪いため駅からのバスを利用する人も少なくなく、規模に対しての拠点性・重要性の高い駅と言えるでしょう。

11位:近鉄尼ヶ辻駅(2,911人)

近鉄尼ヶ辻駅は、近鉄大和西大寺駅と西ノ京駅の中間部分にある近鉄橿原線の駅であり、2017年度の乗車人員は2,911人(利用者数ベースで6000人程度)となっています。

尼ヶ辻駅は、2018年春までは長らく「奈良県立病院・奈良県総合医療センター」の最寄り駅となっていましたが、西ノ京駅が最寄りとなる形で移転したため、2018年度以降の乗車人員は元からの減少傾向が一層加速することが推定されています。

12位:近鉄平城駅(1,620人)

近鉄平城駅は、近鉄大和西大寺駅の北側すぐの位置にある近鉄京都線の駅であり、2017年度の乗車人員は1,620人(利用者数ベースで3200人程度)です。

西大寺駅の徒歩圏と言ってもよい位置にあることもあり利用は少ないですが、奈良競輪場や奈良大学関連の利用が多いため、時間帯によっては大勢の利用者が見られる場合もあります。

なお、周辺の住宅街は人口減少局面にあるため、駅としての利用は減少が続いており、今後も増加が見込まれる要素は見られない状況です。

13位:JR平城山駅(1,341人)

JR平城山駅は、JR奈良駅の北隣にあたるJR関西本線(大和路線)の駅であり、2017年度の乗車人員は1,341人(利用者数ベースで2600人程度)です。

駅は平城ニュータウンの一部などからは徒歩圏ですが、バス便がほぼゼロであること・近鉄電車の利便性の方が高いこと・駅前の商業施設もないこと・徒歩アクセスのルートがかなり暗い場所となっていることなどもあり、利用はかなり少ない駅となっています。

近年は駅前にマンションが建設されたり、駅南東側に住宅街が整備されているものの利用は伸びておらず、今後は1日1000人を切るような状況に向かうことも推定されます。

14位:JR京終駅(701人)

JR京終駅は、観光地として名高い「ならまち」エリアの南側に広がる「京終」エリアの玄関口にあたるJR万葉まほろば線(桜井線)の駅です。2017年度の乗車人員は701人(利用者数ベースで1400人程度)です。

電車の本数がそれほど多くなく、周辺のバス路線の利便性が高いことや近鉄・JR奈良駅に徒歩や自転車でアクセス可能な場所にあることから利用はかなり少ない状況ですが、奈良市が観光拠点として駅舎そのものを再整備したこともあり、駅を訪れる人の数は近年かなり増加傾向にあります。

15位:JR帯解駅(482人)

JR帯解駅は、京終駅の南隣、「帯解寺」の最寄り駅にあたるJR万葉まほろば線(桜井線)の駅です。2017年度の乗車人員は482人(利用者数ベースで約千人)と奈良市で一番利用の少ない駅となっています。

駅周辺は古い町並みや少し歩けばのどかな田園風景が広がるエリアであり、ベッドタウンとして発展した奈良市西部などとは全く違う風情が広がっています。

なお、一帯の人口減少はかなりのペースで進んでいるため、今後も利用が増える見込みはありません。