冬の名阪国道の「雪」について注意点を解説(積雪・凍結)

自然・気候

日本の物流の大動脈の一つであり、「無料」で通行できることから本来京阪神~名古屋・東京方面を移動する際に名神高速・新名神高速を利用するべき車両も通るなど交通量が多いことで知られる「名阪国道」

名阪国道については、奈良県内の区間については標高500m程の地域(大和高原)を通ることから「下界」とは気候が異なることで知られ、特に冬の「積雪・凍結」に注意が必要なことで知られます。

こちらの記事では、名阪国道(主に奈良県区間)の「雪事情」について注意すべきポイント・区間などを解説していきます。

特に注意が必要な区間について

名阪国道の「雪」を考える場合、路面の積雪・凍結リスクが高い場所は基本的に奈良県内の山間部(大和高原)エリアとなります。

区間で言うと、奈良市の「五ヶ谷IC」から山添村の「山添IC」の区間となります。

より詳しく言うと五ヶ谷ICから「福住IC」・「一本松IC」・「針IC(道の駅針テラス)」・「小倉IC」・「神野口IC」を通って山添ICに至る約15kmほどの区間となります。

「Ωカーブ」として事故多発地帯で有名な五ヶ谷IC周辺は、カーブを描きながら急速に標高が変化する区間となっており、五ヶ谷ICより少し東側の「高峰SA(下り線のみ)」付近からは路面の積雪・凍結リスクが一気に高くなります。

そこからは標高400~500m台の「大和高原」エリアが距離にして15km程続き、奈良市街地などと比べると気温が3度程度低いため、冬は平地で雨でもこちらでは雪となるケースが多くなるのです。

なお、山添ICを過ぎてからも、三重県伊賀市内の名阪国道も含めて大阪・奈良市街地周辺と比べると積雪・凍結しやすい区間となっていますので、名阪国道を利用する際はどの区間においてもある程度の注意は必要です。

名阪国道の積雪・凍結頻度は?

冬の「積雪・凍結」に注意が必要な「名阪国道」。実際に冬になると、どのくらいの頻度で積雪・凍結が見られるのでしょうか。

これについては、もちろんそれぞれの年の気候にもよりますが、多い年では年10回以上、どんなに少ない年でも1~2回以上は必ず路面の積雪・凍結が見られることが一般的です。

先に解説した奈良市の「五ヶ谷IC」から山添村の「山添IC」の区間であれば、道路に雪がなくても道路沿いに雪が積もっているケースも含めると、寒い年(大雪が降った年)であればやや長い期間雪が見られる場合もあるほどで、雪と無縁なことが多い大阪・神戸・奈良市街地周辺とは全く気候が異なります。

天気予報の過信は怖い

「下界」と気候が異なるということは、県庁所在地の都市部の天気を「お天気マーク」で予報しているテレビなどの天気予報の情報は、名阪国道の雪対策という意味ではかなり心もとないものと言えます。

例えば、天気予報では奈良県の天気が「雨か雪」ではなくただ「雨」と予報されている場合でも、5㎝以上の積雪が名阪国道沿いではある。といったようなケースは決して珍しくありません。こうなると天気予報は外れていると言ってもよいくらいですが、奈良市街地は確かに雨しか降っていないので、必ずしも不適切な予報とまでは言えないのです。

また、天気予報で「強い冬型の気圧配置」とされるような場合で、奈良や京都の天気が曇り時々晴れといった場合でも、名阪国道沿いでは雪が積もるケースがあったりします。

名阪国道沿いの天気については、単なる都市部の「お天気マーク」を参考にしていると、「かなりひどい目に遭う」というケースが少なくありません。

予防的な意味合いを考えると、冬の時期に冷たい雨の予報が出ている場合、また比較的強い「冬型の気圧配置」が予想されているような場合、上空に強い寒気が流れ込むとされるような場合については、名阪国道沿いでは路面の積雪・凍結が見られる可能性があると考えて頂いてよいでしょう。

積雪時の状況・対応について

名阪国道の冬季期間については、状況によってはもちろん雪が一切ないことも多くなりますが、雨の後の路面凍結(冷え込みが厳しい)なども考慮し最も安全な状況を想定した「予防的な意味」を含めると、秋の終わり・冬の初め・春先の期間なども含め、比較的長い期間冬用タイヤの装備で走行することが無難です。とりわけ12月後半から3月上旬ごろに掛けては、積雪・凍結のリスクが高くなります。

しかしながら、名阪国道については「懲りず」に「ノーマルタイヤ」で「積雪・凍結区間」に「突撃」するような自動車も比較的多数見られます。

特に先に解説したように、「ただの雨の予報」の場合に名阪国道沿いは積雪が見られる。といったようなケースや、12月はじめ・3月終わり~などややイレギュラーな期間に積雪したような場合、「不意をつかれて」ノーマルタイヤで来てしまう車は一層多くなります。

名阪国道において、時に積雪・凍結に伴う事故が発生したり、大規模な車の立ち往生が発生するような事態も発生する場合があります。2015年には、100台規模の立ち往生も発生しています。

なお、「通行止め」に関しては、少し積雪・凍結が見られるくらいでは行われることはありません。極端な大雪や、立ち往生が発生した場合には通行止めの措置が取られますが、その頻度は積雪・凍結の発生頻度と比べると少なくなっています。

通行止めの際や、積雪・凍結が見られる際には、カーナビなどを参考に「下道」を通ろうとする車も中には見られますが、名阪国道の建設目的はそもそも「まともな下道」がないから建設されたものであり、名阪国道から外れると余計に困難が生じることもありますのでご注意下さい。

まとめ

以上、名阪国道の問題点の一つである「冬の積雪・凍結」の状況について解説してきました。

大まかに改めてまとめると、

・名阪国道のうち、奈良市の「五ヶ谷IC」から山添村の「山添IC」の区間については標高が高いため「積雪・凍結」のリスクが市街地と比べ大幅に高くなります。
・頻度はその年の気候次第ですが、多い年で年10回以上、少なくともおおむね年1~2回は「積雪・凍結」が見られます。
天気予報では「雪」の予報でないような場合(ただの雨予報)でも、名阪国道の上記区間等では「積雪・凍結」が見られることがあります。
・雪の際にはノーマルタイヤで積雪区間に入ってしまう車が後を絶たず、立ち往生や事故が発生するケースも見られます。
・通行止め自体は積雪時でも行われることはそれほど多くはありません。通行止めの措置は極端な大雪時・大規模立ち往生発生時に限られます。

このような内容をご案内してきました。冬の名阪国道は気候が奈良市街地周辺等とは大きく異なりますので、ご利用の際には十分ご注意の上・冬用タイヤを装備した上でご利用頂くことを強くおすすめします。

なお、奈良県内については特に山間部や南部を中心に、名阪国道沿道以外でも「雪」の影響が大きくなる場合があります。県内全体の雪の傾向や各季節ごとの気候の特徴については、上記の記事でも解説しております。