奈良最大の寺院である「東大寺」では、大仏殿・法華堂(三月堂)・東大寺ミュージアムといった通年拝観可能な空間のみならず、通常時は公開されていないお堂・仏像(秘仏)が複数あります。
こちらでは毎年秘仏の特別公開が行われるスポットについて、その場所・日程・特別公開の内容についてご案内していきます。
なお、これからご紹介するスポット・その他のスポットにおいては毎年の決まった日時以外にも、臨時・観光キャンペーン等で特別公開が実施される可能性がありますが、本ページでご案内している日程は毎年行われる公開日程のみとなっていますのでご注意下さい。
法華堂(三月堂)秘仏公開日程
日程 | 毎年12月16日 |
時間 | 10時~16時頃 |
拝観料 | 大人・中高生600円 小学生300円 |
ご覧頂ける文化財 | 執金剛神立像(国宝) |
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法華堂(三月堂)は基本的に通年拝観可能となっていますが、開山堂の特別公開に合わせ、毎年12月16日には通常ご覧頂けない秘仏の国宝の執金剛神立像がご覧頂けます。
執金剛神立像は奈良時代の仏像ですが、彩色や金箔が残された部分が多く「奇跡的な保存状態」とも言えるものであり、憤怒の表情が実に印象的な存在となっています。
俊乗堂の公開日程
日程 | 毎年7月5日・12月16日 |
時間 | 11時~16時頃(7月5日) 9時~16時頃(12月16日) |
拝観料 | 大人・中高生600円 小学生300円 |
ご覧頂ける文化財 | 俊乗房重源上人坐像(国宝) 阿弥陀如来立像(重要文化財) 愛染明王坐像(重要文化財) |
関連記事:【東大寺俊乗堂】圧倒的な存在感の「重源上人坐像」は年2回のみ特別公開される
大仏殿の東側、鐘楼のすぐそばにある「俊乗堂(しゅんじょうどう)」は、鎌倉時代に東大寺の中興に尽力した俊乗房重源上人の像等を祀る空間となっています。
公開は年2回、重源上人の忌日である7月5日(俊乗忌)と、12月16日に開山堂の特別公開に合わせて公開されるようになっています。
なお、建物の外観についてはいつでもご覧頂けます。
開山堂の公開日程
日程 | 毎年12月16日 |
時間 | 10時~16時頃 |
拝観料 | 大人・中高生600円 小学生300円 |
ご覧頂ける文化財 | 良弁僧正坐像(国宝) |
関連記事:【東大寺開山堂(良弁堂)】初代別当の姿を象った「国宝良弁僧正坐像」を祀る空間
二月堂・法華堂(三月堂)から近い場所にある「開山堂」は、「開山」の名の通り東大寺初代別当である良弁僧正の像を祀る空間です。
公開は毎年1回・12月16日のみ行われ、当日は国宝の良弁僧正坐像の他、鎌倉時代の「大仏様」様式が色濃い仏堂建築をご覧頂けるようになっています。
開山堂については、塀で囲まれているためお堂の外観も含め通常時はご覧頂けません。公開時は仏像と合わせて建築もじっくりご覧頂くのもおすすめです。
勧進所の公開日程
日程 | 毎年4月12日(公慶堂のみ)・10月5日(八幡殿・阿弥陀堂・公慶堂) |
時間 | 10時~16時頃 |
拝観料 | 大人・中高生600円 小学生300円 |
ご覧頂ける文化財 | 八幡殿:僧形八幡神坐像(国宝) 阿弥陀堂:五刧思惟阿弥陀如来像(重要文化財) 公慶堂:公慶上人坐像(重要文化財) |
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大仏殿の西側に位置する「勧進所」は、比較的広い敷地の中に「八幡殿」・「阿弥陀堂」・「公慶堂」などがあり、それぞれ国宝・重要文化財の像を安置しています。
公開については毎年10月5日には八幡殿・阿弥陀堂・公慶堂が、加えて毎年4月12日には公慶堂のみが公開されます。
※2020年秋は公慶堂の公開が中止となっています。
なお、勧進所の敷地内には歴史ある「経蔵(重要文化財)」等もあります。
本坊(天皇殿)の公開日程
日程 | 毎年5月2日 ※この他イベント開催等で臨時に公開の場合あり |
時間 | 8時~14時頃 |
拝観料 | 無料 |
関連記事:【東大寺本坊】5月2日のみ拝観可能な空間には「天皇殿」や奈良時代の「経庫」も
いわゆる「仏堂」とは少し違いますが、南大門の近くに位置する「本坊」内についても、毎年5月2日(聖武天皇の忌日に行われる「聖武祭」当日)に公開されます。
当日は聖武天皇を祀る空間である「天皇殿」に外側から参拝することが可能(内部は法要等実施のため拝観不可)になる他、奈良時代の校倉造建築である「経庫」などをご覧頂くことも可能です。
なお、この他臨時に本坊内部の襖絵などが公開されたこともある他、本坊を使用してイベントが実施されたこともあります。
知足院の公開日程
日程 | 毎年7月24日 |
時間 | 8時から約2時間程度法要・法要終了後のわずかな時間のみ拝観可能 |
拝観料 | 無料 |
ご覧頂ける文化財 | 木造地蔵菩薩立像 |
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東大寺の「観光ゾーン」と呼べる区域からは離れた境内の北東端、「山の中」と言っても差し支えない場所にある塔頭寺院の一つ「知足院(ちそくいん)」。
知足院は、毎年7月24日に実施される「地蔵会」当日のみ拝観可能となっており、当日は朝から法要が実施され、法要が終了した後のわずかな時間のみ安置されている木造地蔵菩薩立像をご覧頂くことが可能です。
公開は1日中ではなく、朝10時過ぎごろまでのわずかな時間のみですので、拝観の際には時間にご注意の上訪れるようにして下さい。
定期的な公開が行われていない場所について
以上ご紹介してきたスポットについては、毎年決まった日時に特別公開が行われる場所です。
東大寺境内には、定期的な公開が行われておらず、特別なキャンペーンが行われた際のみ公開された場所や、文化財を安置しているものの公開が行われていないスポットもあります。
以下、そのような場所について簡単にご紹介致します。
大湯屋 | ・「お寺のお風呂」として知られる ・外観の見学は自由 ・内部の「鉄湯船(重要文化財)」は基本完全非公開 ・2017年に内部が特別公開されたものの、定期的な公開日程は設定なし |
千手堂 | ・戒壇堂のそばにある仏堂 ・火災により焼失したものを平成に再建 ・鑑真和上坐像や愛染明王坐像を安置 |
二月堂閼伽井屋 | ・内部に「お水取り」儀式の舞台となる井戸「若狭井」を有する ・厳粛な儀式の場であることから完全非公開 |
東大寺の各スポット・みどころは多岐に渡り、大仏殿や法華堂(三月堂)のように日中時間帯はいつでも拝観できる場所もあれば、これまでご案内してきたように年1回の特別公開時のみ拝観可能な場所もあります。
また、念佛堂や四月堂のように公式的な案内などは特にないものの拝観可能な場所もあれば、上記のスポットのように外観しかご覧頂けない、公開されることのないスポットもあります。
有名スポット以外にも、様々な境内のみどころをあらかじめご確認した上で東大寺を訪れると、より一層充実した観光スケジュールを組んで頂けます。