東大寺の各みどころ・観光スポットを全てご紹介!(有名・穴場・知られざるスポット)

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奈良はおろか、日本でも最大規模の寺院として年間を通して大勢の観光客でにぎわう世界遺産「東大寺」。

東大寺は拝観料が必要な大仏殿・法華堂(三月堂)などのお堂から、舞台の上に自由にのぼることが可能な二月堂、多数の仏像を展示する「東大寺ミュージアム」、美しい水辺の風景が魅力の「大仏池」など多数のみどころ・観光スポットがあり、案内図を一目見ただけでは全体像を把握できないほどの規模を誇ります。

本記事では、東大寺境内の訪れることが出来る「みどころ・観光スポット」と言える場所について、有名スポットから穴場スポット、ほとんど知られていないようなスポットに及ぶまで全てご紹介していきます。

当サイトの情報は原則としてコロナ前のもので「アーカイブ的」な内容となっており、状況が異なっている場合があります。最新の状況については、各寺社仏閣などの公式的な情報や観光協会などの発信する情報をご確認下さい

全体地図

東大寺境内には多数の仏堂などみどころが多数あり、「大仏殿」のみを拝観して帰る方も多い中で、本来であれば丸1日以上滞在できるような空間となっています。

大仏殿

建立年代奈良時代の天平宝字2年(758年)に建立・鎌倉時代の建久元年(1190年)再建(2代目)・江戸時代の宝永5年(1708年)再建(3代目・現在の建物)
※建造物として国宝に指定
規模高さ49.1メートル・東西幅57.5メートル・奥行き50.5メートル
仏像本尊盧舎那仏坐像(大仏さま・国宝)
虚空蔵菩薩坐像(重要文化財)
如意輪観音坐像(重要文化財)
広目天立像・多聞天立像・賓頭盧尊者像・持国天像頭部・増長天像頭部
拝観時間4~10月:7時30分~17時30分
11月~3月:8時~17時
拝観料一般(中学生以上)600円・小学生300円
東大寺ミュージアムとのセット券:一般(中学生以上)1000円・小学生400円
無料拝観可能な日程・元日午前0時~8時の間
・8月13日、14日の夜間の一部時間帯(燈花会期間の夜間参拝)
※各年ごとの状況については、東大寺様の発信する公式情報をご確認下さい。

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概要

東大寺「大仏殿(だいぶつでん)」は、東大寺はおろか「奈良の象徴」として名高い高さ50メートルにも及ぶ世界有数の巨大木造建築(国宝)です。

内部にはこちらも日本で最も有名な仏像のひとつである「大仏さま(廬舎那仏坐像)」が安置されており、年間を通して大勢の観光客で常ににぎわいを見せる空間になっています。

奈良時代の初代大仏殿の後、鎌倉時代・江戸時代に再建され現在に至る大仏殿は、その建築様式としては江戸時代に再建されたものながら、鎌倉時代の「大仏様(だいぶつよう)」と呼ばれる中国由来の建築様式の影響が比較的強くなっており、軒を支える巨大な「組物」の姿や建物を支える「柱」・「梁」・「貫」が組み合わさる圧巻の風景はここでしか見られないものとなっています。

なお、拝観は通年拝観可能となっていますが、昼間は混雑することもあり、静かにお参りしたい場合は早い時間帯に訪れるのがベストとなっています。

また夜間は通常時は拝観不可ながらもライトアップがなされる際には幻想的な風景を生み出すことで知られており、「燈花会」期間の最後には夜間参拝も可能になるなど、一味違う大仏殿を味わうことも可能となっています。

二月堂

建立年代奈良時代中期頃・天平勝宝四年(752年)とも
※建造物として国宝に指定
仏像本尊十一面観音像(大観音・小観音)
※絶対秘仏のためご覧いただくことは一切できません。
拝観情報登廊・舞台の周辺は24時間自由に参拝可能(無料)
※二月堂は内陣への立ち入りは出来ません
※修二会「お松明」の実施時間等は一帯が立ち入り禁止となります。

関連記事:【東大寺二月堂】「修二会(お水取り)」で有名な空間では奈良屈指の「眺望」も味わえる


概要

東大寺「二月堂(にがつどう)」は、東大寺境内の東側(上院エリア)の山麓部分の傾斜地に建つ巨大なお堂(国宝)であり、東大寺で最も有名な年中行事「修二会(お水取り)」が行われる空間となっています。

二月堂は大仏殿とは異なる「落ち着いた風情」が人気を集めるスポットであり、その「懸造」と呼ばれる建築様式「清水寺」や「長谷寺」とも共通し、「舞台」と呼ばれるせり出した眺めの良い空間があることでも知られており、奈良市街地をはじめ大仏殿や平城宮跡、生駒山などを一望する眺めを味わって頂けるようになっています。

なお、東大寺で最も有名な行事「修二会」は二月堂が主な実施場所となり、とりわけ有名な「お松明」の儀式では舞台上を駆け回る童子らが持つ松明から火の粉が振りまかれ、舞台の下では無病息災のご利益がある火の粉を受けようと大勢の観光客が集まる風景が見られます(入場制限なども実施されます)。

仏像については本尊が絶対秘仏のためご覧いただくことは出来ませんが、その代わり拝観料などは一切不要かつ夜間も含めて開放された空間となっていますので、東大寺へ訪れた際には独特の「雰囲気」を味わうべく必ず訪れておきたいスポットとなっています。

法華堂(三月堂)

建立年代奈良時代前半・天平5年(733年)とも
※建造物として国宝に指定
仏像・文化財本尊不空羂索観音菩薩立像(国宝)
梵天・帝釈天立像(国宝)
金剛力士立像(国宝)
執金剛神像(国宝)
四天王立像(国宝)
天蓋(重要文化財)
拝観時間8時30分~16時(2022年現在)
拝観料一般(中学生以上)600円・小学生300円

関連記事:【東大寺法華堂(三月堂)】東大寺成立前からの歴史も有する圧巻の「仏像の宝庫」


概要

東大寺「法華堂(ほっけどう・三月堂)」は、二月堂などと同じく境内東側の山麓部に広がる「上院」エリアに位置するお堂(国宝)です。

法華堂の建物は、そのルーツは東大寺の前身寺院である「金鐘寺」時代に創建されたお堂にさかのぼるとされており、鎌倉時代に2つに分かれていた建物を統合するなど大幅な改修が加えられているものの、部材や一部の構造においては東大寺の仏堂としては唯一奈良時代のものをそのまま残している大変貴重な存在となっています。

また法華堂は、東大寺ミュージアムに一部の仏像が移転された現在も「国宝の宝庫」としても知られ、本尊の不空羂索観音をはじめ複数の国宝に指定されている仏像を安置しており、東大寺の誇る仏教美術をご覧いただけるようになっています。

なお、建物も仏像も非常に貴重な存在ではありますが、大仏殿などと比較すると混雑することはほとんどないスポットにもなっていますので、静かに拝観して頂きやすい環境にもなっています。

南大門

建立年代奈良時代(初代)・現在の門は鎌倉時代の正治元年(1199年)建立
※建造物として国宝に指定
規模高さ約25メートル
仏像・文化財金剛力士立像(国宝)
石造獅子(重要文化財)
拝観情報あくまでも「山門」ですので、365日24時間自由に拝観(見学)して頂けるようになっています。

関連記事:【東大寺南大門】阿吽の「金剛力士像」で大変有名な日本最大規模の山門


概要

東大寺「南大門(なんだいもん)」は、東大寺大仏殿の南側に建つ巨大な門(国宝)であり、鎌倉時代に東大寺の復興に尽力した重源上人が指揮を執る形で建立(再建)されたものとなっています。

重源上人は中国(宋)の技術を取り入れた「大仏様(だいぶつよう)」と呼ばれる建築様式を生み出しましたが、この南大門はその大仏様建築の典型例となっており、貫と呼ばれる横方向の柱なども多用し耐久性の強い建築として現在に至るまでほぼそのまま残され続けています。

また南大門は、建築の魅力のみならず門の下の左右にそれぞれ安置されている阿吽の「金剛力士像(国宝)」が非常に有名であり、有名な「運慶・快慶」の代表作として実にたくましいその佇まいをいつでもご覧いただけるようになっています。

なお、南大門は、東大寺を訪れる観光客のほとんどが通るスポットのため日中は常ににぎわいを見せていますが、早朝などは静かな環境が広がっていますので、少し早起きして「金剛力士像」をご覧いただくのもよいかもしれません。

正倉院

建立年代奈良時代中頃・天平勝宝八歳(756年)頃とも
※建造物として国宝に指定
規模高さ約14メートル・間口約33メートル・奥行約9.4メートル・床下約2.7メートル
拝観情報正倉院正倉は、その外観のみ少し離れた場所からご覧いただけるようになっています。
公開日時:月曜日~金曜日(平日)の10時~15時
非公開となる日程:土日祝日・12月28日~1月4日・その他行事などの開催時

関連記事:【正倉院「正倉」】「シルクロードの終着点」としても有名な校倉造りの宝庫


概要

正倉院(しょうそういん)は、「正倉院展」で有名な多数の「宝物」を厳重に保管してきた空間(国宝)であり、現在は西宝庫・東宝庫と呼ばれる近代的な保管庫が設けられていますが、長らく「正倉(しょうそう)」と呼ばれる奈良時代に建てられた「校倉造(あぜくらづくり)」の建築で宝物が保存されてきた歴史を持っています。

奈良時代の日本の宝物、シルクロードを通り世界から持ち込まれた宝物も含め長らく保管して来た「正倉」は、外観のみを平日に公開しており、奈良市内に複数残される「校倉造」の建物の中でも最も大きく南北に長細いその佇まいをご覧いただけるようになっています。

戒壇堂

建立年代天平勝宝7年(755年)創建・江戸時代の享保17年(1732年)再建
仏像・文化財四天王立像(国宝)
釈迦如来坐像(東大寺ミュージアムに所蔵の像のレプリカ)
多宝如来坐像(東大寺ミュージアムに所蔵の像のレプリカ)
多宝塔
拝観時間※工事につき2020年より3年程拝観中止
拝観料※工事につき2020年より3年程拝観中止

関連記事:【東大寺戒壇堂】見る者を圧倒する「四天王像」を安置する鑑真ゆかりの空間


概要

東大寺戒壇堂(かいだんどう)は、大仏殿の西側、「きたまち」の町並みからも近い位置にある小さなお堂であり、奈良時代に中国(唐)からの渡来僧である鑑真和上が日本に正しい仏教の「戒律制度」を伝える過程で創建された歴史ある空間となっています。

現在の戒壇堂は当初のものではなく、仏像についても他所から持ち込まれたものなどとなっているため創建期の面影はありませんが、日本有数の仏像としての評価も名高い国宝四天王立像は奈良時代における仏教美術の水準の高さを伺える存在となっており、大勢の仏像ファンが訪れるスポットにもなっています。

なお、戒壇堂に付属する形で重要文化財に指定されている仏像などを納める「千手堂」と呼ばれるお堂もあり、戒壇堂が工事で拝観中止となっている期間、代わりに拝観が出来るようになっています。

東大寺ミュージアム

仏像・文化財伝日光・月光菩薩立像(国宝)
金銅八角燈籠火袋羽目板(国宝)
千手観音菩薩立像(重要文化財)
持国天立像・多聞天立像(重要文化財)
伎楽面(重要文化財)など多数
拝観時間4~10月:9時30分~17時30分 11月~3月:9時30分~17時
※最終入館は閉館の30分前
拝観料一般(中学生以上)600円・小学生300円
大仏殿とのセット券:一般(中学生以上)1000円・小学生400円

関連記事:【東大寺ミュージアム】国宝・重要文化財の仏教美術を多数展示する「お寺の博物館」


概要

東大寺ミュージアムは、東大寺南大門の北西側すぐの位置にある「東大寺総合文化センター」の内部にある展示空間であり、東大寺の各お堂などから集められた仏像・工芸品などの貴重な文化財をご覧いただけるようになっています。

平成30年9月からは新しい展示も開始されるため、東大寺の歴史の流れと豊富な文化財を一層充実した展示で体感して頂けるようになっています。

鐘楼

建立年代梵鐘は奈良時代、天平勝宝4年(752年)頃鋳造と推定
初代鐘楼は奈良時代に創建と推定、現在の鐘楼は鎌倉時代初期に再建
※建造物として国宝に指定
規模梵鐘は高さ4メートル・重さ26トン

関連記事:【東大寺鐘楼】「奈良太郎」とも呼ばれる日本三大名鐘の一つ


概要

東大寺「鐘楼(しょうろう)」は、東大寺大仏殿から法華堂・二月堂方面へとのぼる途中の高台に位置する巨大な鐘楼(鐘楼・梵鐘共に国宝)であり、吊り下げられている鐘(梵鐘)はその別名を「奈良太郎」とも呼び、「日本三大名鐘」のうちの一つとして数えられる存在となっています。

禅師である栄西が鎌倉時代に再建したとも言われる現在の鐘楼の建物は貫と呼ばれる横方向に建物を補強する部材や反りあがった軒など、鎌倉時代に中国の技術を取り入れる形で生み出された「大仏様(だいぶつよう)」と呼ばれる建築様式と「禅宗様」と呼ばれる建築様式双方の特徴を持つものとなっています。

なお、この鐘楼では「除夜の鐘」を一般の方も鳴らすことが出来るようになっており、大晦日の深夜には鐘をつくための整理券が配布されます。

転害門

建立年代 奈良時代の天平宝字6年(762年)
※建造物として国宝に指定

関連記事:【東大寺転害門】大変貴重な奈良時代の建築は「きたまち」のシンボル的存在


概要

東大寺「転害門(てがいもん)」は、東大寺境内の西端部、「きたまち」エリアのレトロ感あふれる町並みが広がる「京街道」沿いに設けられている東大寺の門の一つです。

この門は、その他の門が焼け落ちたり再建されるなどして建立当初の姿を留めていないのに対し、一部修理されているとは言え、奈良時代に建てられた時の姿のまま残されているという大変貴重な存在となっており、国宝にも指定されています。

エリアとしては観光客の動線からは外れているため人通り自体は多くありませんが、東大寺のかつての歴史を伝える手向山八幡宮の例祭「転害会」ではその儀式を行う場所の一つとなっているなど、境内と外部を分け隔てる「門」ならではの様々な歴史や伝説が残される空間にもなっています。。

中門

建立年代江戸時代の享保元年(1716年)頃
※建造物として重要文化財に指定
仏像兜跋毘沙門天・持国天像(門の両脇に設置)

関連記事:【東大寺中門】大仏殿の正面に設けられた江戸時代の立派な楼門


概要

東大寺「中門(ちゅうもん)」は、江戸時代に建立された大仏殿の真正面に建つ立派な楼門です。

現在、門から入ることは無料拝観日を除いては出来ませんが、柵越しに大仏殿の姿を一望して頂けるスポットとなっています。

また知名度は低い存在ですが、門の両脇には兜跋毘沙門天・持国天像が安置されており、とりわけ兜跋毘沙門天の姿は特徴的なものであり、ぜひ見ておきたい仏像となっています。

四月堂(三昧堂)

建立年代平安時代の1021年(治安3年)もしくは1067年(治暦3年)頃に建立
江戸時代の1681年(延宝9年)頃に改築とも
※建造物として重要文化財に指定
仏像本尊十一面観音菩薩立像(重要文化財)
阿弥陀如来坐像(重要文化財)
普賢菩薩立像
拝観情報拝観時間:8時30分頃~16時頃
拝観料:無料

概要

東大寺「四月堂(しがつどう・三昧堂)」は、東大寺法華堂(三月堂)の間近にある小さなお堂であり、長らく法華三昧会という法要が行われることから「三昧堂(さんまいどう)」と呼ばれてきた歴史を持っています。

仏像はかつては千手観音菩薩様をお祀りしていましたが、東大寺ミュージアムへ移転されたため、現在はご本尊として二月堂から移された十一面観音菩薩さまをお祀りしています。

開山堂

建立年代平安時代の寛仁3年(1019年)頃建立
鎌倉時代の正治2年(1200年)頃改築
建長2年(1251年)頃現在地に移築
※建造物として国宝に指定
仏像良弁僧正坐像(国宝)
拝観情報通常、毎年12月16日「良弁忌」当日のみ拝観可能
拝観時間10時~16時頃
当日の拝観は有料

概要

東大寺「開山堂(かいざんどう)」は、法華堂・二月堂に近い「上院」エリアに位置する小さなお堂です。

建物は鎌倉時代の「大仏様」建築様式に即した見ごたえのある建築となっており、堂内には平安時代に造立されたリアリティ溢れる「良弁僧正坐像(東大寺初代別当)」をお祀りしており、通常は毎年12月16日の「良弁忌」当日のみ拝観が可能となっています。

勧進所

建立年代1686年(貞享3年)
敷地内「経庫」は平安時代頃
※経庫は建造物として重要文化財に指定
仏像僧形八幡神坐像(国宝・八幡殿)
五刧思惟阿弥陀如来像(重文・阿弥陀堂)
公慶上人坐像(重文・公慶堂)
拝観情報特別開扉は、通常「転害会」の祭事・法要に合わせる形で毎年10月5日に実施されています。なお、拝観に関する詳細は、 東大寺の公式サイト で公表されている情報をご確認下さい。
特別開扉時の拝観料は有料

概要

東大寺「勧進所(かんじんしょ)」は境内西側、戒壇堂や指図堂に挟まれるような位置に広がる空間であり、江戸時代に東大寺の復興に尽力した公慶上人がその活動拠点とした空間となっています。

勧進所には複数の建物が設けられており、そのうち「八幡殿」と「阿弥陀堂」、「公慶堂」ではそれぞれ貴重な神像・仏像をご覧いただけるようになっています。

とりわけ八幡神の姿が「僧侶」の佇まいで表された僧形八幡神坐像はかつての東大寺鎮守神である手向山八幡宮にご神体として祀られていた像であり、神仏習合の歴史を反映したものとなっています。

指図堂

東大寺「指図堂」
建立年代平安時代末頃
仏像・文化財本尊法然上人絵図
阿弥陀三尊像
阿弥陀如来坐像
賓頭盧尊者像
拝観情報土日は拝観可能な場合が多い状況(コロナ前の情報・最新の状況は当サイトでは確認しておりません)

概要

東大寺「指図堂(さしずどう)」は、大仏殿の西側にある重厚感のあるお堂です。

平安末期の南都焼討で大きな被害を受けた東大寺を復興するための計画図を保管する場所として建てられたというルーツを持ちつつ、復興後は浄土宗の開祖である「法然上人」ゆかりの霊場として信仰を集めたという東大寺では異色の歴史を持つ空間となっています。

現在は知名度の低い静かなスポットではありますが、法然上人を描いた絵図がご本尊となっているほか、「びんずるさん」として親しまれる「賓頭盧尊者像」なども安置されています。

俊乗堂

建立年代江戸時代(元禄期)
仏像俊乗房重源上人坐像(国宝)
阿弥陀如来立像(重要文化財)
拝観情報通常、毎年7月5日「俊乗忌」・12月16日「良弁忌」に当日に限り特別公開されます。
特別公開時の拝観は有料

概要

東大寺「俊乗堂(しゅんじょうどう)」は、鐘楼のすぐそばにある小さなお堂であり、鎌倉時代に東大寺の復興に大いに尽力した「重源上人」の功績を讃えるために江戸時代に造られたお堂となっています。

堂内にはその「重源上人」のお姿を象った国宝俊乗房重源上人坐像があり、その痩せこけた風貌はリアリティの極み、存在の凄みを感じさせるものであり、仏像ファンには良く知られた存在となっています。なお、公開は通常の場合ですと1年で2日間のみとなっていますのでその点はご留意ください。

念佛堂

建立年代鎌倉時代に建立・江戸時代に改修
※建造物として重要文化財に指定
仏像地蔵菩薩坐像(重要文化財)
拝観情報隣接する御朱印授与所に申告して頂くことで、基本的に拝観可能となっているようです
(コロナ前の情報・最新の状況は当サイトでは確認しておりません)

概要

東大寺念佛堂(ねんぶつどう)は、鐘楼・俊乗堂・行基堂のそばにあるお堂で、朱色が目立つ美麗なお堂となっています。

鎌倉時代に建立された空間には、巨大な地蔵菩薩さまのみが祀られており、元は地蔵堂と呼ばれていた歴史も有しています。

行基堂

建立年代江戸時代初期
仏像行基菩薩坐像
拝観情報通常時は閉扉

概要

東大寺行基堂(ぎょうきどう)は、俊乗堂・鐘楼などの近くに位置するごく小さなお堂であり、その名の通りお堂は大仏建立にあたり社会全体の協力を得るために尽力した「行基菩薩」を祀る空間となっており、行基菩薩坐像が安置されています。

知足院

関連記事:【東大寺知足院】「文使い地蔵」で有名な山中の隠れ寺

建立年代平安中期の寛平2年(890年)・現在の建物は文久3年(1863年)再建
仏像木造地蔵菩薩立像
観情報毎年7月24日の「地蔵会」当日は朝から法要が実施され、法要終了後などのわずかな時間に拝観して頂けるようになっています。

概要

東大寺「知足院(ちそくいん)」は、東大寺境内の最北端、若草山頂へと伸びるドライブウェイ沿いにある塔頭寺院の一つです。

創建は古く、平安時代の創建当初はどちらかと言えば興福寺の法相教学の研究拠点としての役割を果たしていたともされています。

現在は南都焼討をめぐるエピソードで知られる木造地蔵菩薩立像(文使い地蔵)で知られる空間となっていますが、境内拝観は可能なようですが、地蔵菩薩・本堂内部の拝観は上述のように非常に限られた機会のみとなっています。

大湯屋

関連記事:【東大寺大湯屋】かつて僧侶らが身を清めるために使用した「お寺のお風呂」

建立年代奈良時代創建・現在の建物は鎌倉時代に再建
※建造物として重要文化財に指定
文化財鉄湯船(重要文化財)
拝観情報内部は原則非公開ですが、JR西日本のキャンペーンに合わせ平成29年(2017年)夏に公開されたことがあります。

概要

東大寺「大湯屋(おおゆや)」は大仏殿の北東側、二月堂裏参道沿いにある建物であり、いわゆる「仏堂」ではなく、僧侶らが身を清める「お寺のお風呂」として機能して来た空間となっています。

唐破風が付いた浴室や重文「鉄湯船」は珍しいものであり、意匠の面でも興味深い存在となっています。

本坊・天皇殿

関連記事:【東大寺本坊】5月2日のみ拝観可能な空間には「天皇殿」や奈良時代の「経庫」も


東大寺「本坊」は、南大門の東側に広がる空間であり、いわゆる「仏堂」ではありませんが、様々な展示企画なども催される大広間のほか、奈良時代に建てられた校倉造の「経庫(国宝建造物)」が残されているほか、聖武天皇を祀る「天皇殿」など重要な建物が設けられています。

拝観は5月2日の聖武天皇祭当日のほか、時折不定期に立ち入ることが出来る機会がありますが、通年拝観可能な空間ではありません。

不動堂

関連記事:【東大寺不動堂】護摩法要で知られる三月堂裏手の小さなお堂


東大寺「不動堂」は、法華堂(三月堂)の裏手、東大寺境内では標高が高い場所に位置する小さなお堂です。不動堂は「護摩法要」が行われる空間として知られており、内部に安置されている不動明王像はススで真っ黒になった姿となっています。

なお、小さなお堂ながら隣接する位置には御朱印所があり、御朱印を頂くことが可能となっています。

山手観音堂

東大寺「山手観音堂」は、二月堂の北東側、鎮守社「遠敷神社」から更に石段をのぼった先にある小さなお堂です。

内部には如意輪観音がお祀りされていますが、閉扉されているために基本的には内部に入って拝観することは出来ません。

法華堂経庫

法華堂経庫は、法華堂(三月堂)の南西側にある奈良時代に建てられたいわゆる「校倉造り」の倉庫であり、正倉院に匹敵する歴史を有する存在となっています。

なお、ほぼ隣接する形で同様の「手向山八幡宮宝庫」も並んでいます。

御髪塔

東大寺「御髪塔(おはつとう)」は、法華堂経庫の真横に建つ十三重石塔(欠損があるため現在は十二重)であり、女性の髪の毛を埋めた場所であるというものや、聖武天皇が剃った髪の毛を埋納したといった伝説が残される空間となっています。

鏡池

関連記事:【鏡池(東大寺)】水面に映る「大仏殿」をご覧いただける美しい水辺


鏡池は、大仏殿のすぐ南側に広がる比較的大きな池であり、池のほとりから大仏殿及びその正面の中門一帯を望む風景を味わえるようになっています。

池は各種行事でも活用されることがあり、聖武天皇祭においては池に設けられた舞台で舞楽の奉納も行われます。

大仏池

大仏池は、大仏殿の北西側、正倉院や転害門に近い位置に広がる水辺であり、新緑や紅葉など季節折々の美しい風景を「大仏殿」とともに味わって頂ける「絶景スポット」となっています。

二月堂裏参道

関連記事:【二月堂裏参道】土塀に囲まれた美しく静かな「石畳」の道


二月堂裏参道は、「焼門跡」付近から二月堂へと向けて伸びる道であり、大仏殿の裏手を通る静かな環境となっています。

二月堂近くの区間は石畳の坂道が続き、二月堂を望む趣ある風景は「絵手紙」の題材として多用されたりするなど、奈良の落ち着いた風情をじっくりと味わえる贅沢な空間にもなっています。

二月堂供田

二月堂供田(にがつどうくでん)は、裏参道沿い、「大湯屋」に隣接する位置にあるお寺では珍しい「田んぼ」であり、行事や儀式で使用される「もち米」を実際に栽培しています。

講堂跡

東大寺「講堂跡」は、大仏殿の裏手(北側)に広がるかつての仏教研究の拠点であった「講堂」と呼ばれる建物の遺跡であり、現在は礎石のみがその歴史を伝える存在となっています。

なお、一帯はイチョウ、百日紅(サルスベリ)や桜などが美しく咲き誇る静かな自然あふれる空間として知られています。

西大門跡

東大寺「西大門跡」は、きたまちエリアの町並みにもほど近い「京街道」沿い、奈良公園内「みとりい池園地」の北側にあるかつての巨大な門の跡地です。

現在は一部の礎石のみがその面影を伝える空間は、イチョウや新緑、八重桜などが美しい場所としても知られています。

東塔跡

東塔跡は、大仏殿の南東側に位置するかつての「七重塔(東塔)」の遺跡であり、現在でも巨大な「土檀」がその面影を伝えています。

なお、秋には「イチョウの名所」としても人気を集める空間となっています。

西塔跡

西塔跡は、大仏殿の南西側、人通りの少ない静かなエリアにあるかつての七重塔(西塔)の遺跡です。

遺跡として整備されている訳ではなく、小路沿いからご覧いただく程度ではありますが、シダなどが生い茂る自然の中に土檀の姿が現在でも確認できるようになっています。

焼門(中門)跡

焼門跡(やけもん・中門跡)は、転害門と西大門跡の間の京街道沿いにある門の跡で、かつて江戸時代初頭の慶長11年(1606年)に焼け落ちるまでは立派な「中門」があった場所となっています。

現在も礎石などは残されており、その姿から比較的大きな門であったことが推定できます。

食堂跡

食堂跡は、境内北部、二月堂裏参道沿いから更に北に進んだ塔頭寺院が複数あるエリアにあるかつての「食堂」の跡地です。現在は小さな礎石が残されるのみとなっています。

その他塔頭

知足院のほかにも、境内北側一帯、食堂跡周辺には複数の塔頭寺院があります。

なお、拝観などは一切できませんので、道路沿いから外観をご覧いただくのみとなっています。

宝厳院

龍蔵院

持宝院

龍松院

塔頭群は拝観することは一切できませんが、二月堂裏参道から食堂跡付近を通り、正倉院方面へ抜けるルート沿いを通ると、途中でその外観を目にすることになります。

相輪及びアショカ・ピラー

関連記事:【七重塔相輪・アショカ・ピラー(東大寺)】大仏殿の真横にある不思議空間


大仏殿のすぐ東側には、かつて大阪万博時に東大寺七重塔が復元された際、その上部に設けられていた「相輪」のみが保存されているほか、インドの仏教聖地に設けられた石塔「アショカ・ピラー」を模したものも設置されており、東大寺境内では異色の空間となっています。

二月堂鎮守神

「二月堂」の鎮守社としては、「お水取り」儀式ゆかりの若狭国の遠敷明神を祀る「遠敷神社(おにゅうじんじゃ)」、また東大寺創建期の「木材」調達などの縁から甲賀国から勧請した「飯道神社(はんどうじんじゃ・いいみちじんじゃ)」、また「お水取り」儀式の舞台である閼伽井屋にある神聖な井戸「若狭井」から「鵜」が現れた伝説に由来する「興成神社(おきなりじんじゃ)」があり、いずれも二月堂のすぐそばに小さな社殿を構えています。

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関連記事:【飯道神社(東大寺)】眺めの良さも魅力の「甲賀国」ゆかりの二月堂鎮守社

二月堂鎮守社は参拝可能ですが、お寺の境内社ですので神社単独の御朱印などありません。

辛国神社

関連記事:【辛国神社】東大寺境内にある神社は「天狗伝説」や「渡来人」由来とも言われる


辛国神社(からくにじんじゃ)は、大仏殿から鐘楼・法華堂方面へと抜ける坂道の途中にある小さな神社です。

かつては「天狗社」とも呼ばれていたこの神社は、初代別当良弁僧正が天狗を「改心」させたという伝説が残されている一方、現在の「からくに」の名からも推定できるように、大仏建立などにおいては朝鮮半島からの技術者が多数活躍したことから渡来人を祀る神社であるともされ、そのルーツを巡っては少し謎の多い神社となっています。

子安神社

子安神社は、大仏殿の西側すぐに位置する小さな神社であり、その名の通り安産祈願などにご利益のある神様として信仰を集めて来た歴史を持っています。

なお、この地は東大寺初代別当の良弁僧正の母親の住居跡とも言われています。

五百立神社

五百立神社(いおだてじんじゃ・いおたちじんじゃ)は、南大門と大仏殿の間の参道沿いにひっそりと佇む神社であり、大仏建立に尽力した五百人ほどの工匠が「五百羅漢」となって天に昇って行ったという奇妙な伝説に関わる神社となっています。

厳島神社

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厳島神社は、大仏殿近くの「鏡池」中央部の小島に鎮座する神社であり、市杵島姫命を祀るため「鏡池の弁天さん」とも呼ばれています。

弁才天神社

弁才天神社は、法華堂の裏手に位置する小さな神社であり、市杵島姫命をお祀りしています。