東大寺の「国宝・重要文化財(仏像・建造物等)」にはどんなものがある?わかりやすくまとめてみた

大仏殿・法華堂(三月堂)・二月堂・戒壇堂などのみどころを多数有し、東大寺ミュージアムなどには多数の仏像も安置されている世界遺産「東大寺」。

こちらのページでは、東大寺が所蔵する主要な国宝及び重要文化財の概要を一覧形式で解説していきます。

仏像(国宝)

仏像場所造立年代
日光菩薩・月光菩薩立像(塑像)東大寺ミュージアム奈良時代前期
金剛力士立像(乾漆像)法華堂(三月堂)奈良時代前期
執金剛神立像(塑像)法華堂(三月堂)奈良時代前期
梵天・帝釈天立像(乾漆像)法華堂(三月堂)奈良時代前期
不空羂索観音立像(乾漆像)法華堂(三月堂)747年(天平19年・奈良時代中期)頃
四天王立像(乾漆像)法華堂(三月堂)747年(天平19年・奈良時代中期)頃
廬舎那仏坐像(大仏)大仏殿752年(天平勝宝4年・奈良時代中期)頃
誕生釈迦仏立像(銅像)・灌仏盤東大寺ミュージアム奈良時代中期
四天王立像(塑像)戒壇堂奈良時代(詳細な時期は不詳)
弥勒仏坐像(木造)東大寺ミュージアム平安時代前期
良弁僧正坐像(木造)開山堂
※毎年12月16日に公開
平安時代中期
僧形八幡神坐像(木造・快慶作)勧進所八幡殿
※毎年10月5日に公開
1201年(建仁元年・鎌倉時代前期)
金剛力士立像(木造・運慶一門作)・像内納入品南大門1203年(建仁3年・鎌倉時代前期)

東大寺は全14躰の国宝の仏像を所蔵しています。国宝の仏像は、境内の主要な仏像及び東大寺ミュージアムに安置されており、とりわけ法華堂(三月堂)には多くの国宝仏像が安置されています。

国宝仏像のうち、その圧巻の表現から鎌倉時代を代表する仏教美術としても名高い「阿吽」の「金剛力士立像」は、南大門の屋根の下とは言え事実上屋外に開放される形で安置されているため、南大門前を通る際に24時間・365日いつでもご覧頂くことが可能です。

また、東大寺を代表する奈良時代(天平時代)の仏像として名高い日光菩薩・月光菩薩立像、不空羂索観音立像はそれぞれ東大寺ミュージアム・法華堂に安置されています。いずれも仏教美術としての繊細な美しさが際立つ仏像ですので、東大寺を訪れる際は大仏のみを拝観するのではなく、ぜひこちらもご覧頂くことをおすすめします。

奈良の大仏様として有名な「廬舎那仏坐像」については、奈良時代の中期に造立されたものとなっていますが、中世や江戸時代などに補修・復興された部分が多いため、顔や胴体などの大半は造立当初のものではありません。

国宝仏像については、大半は通年ご覧頂けますが、開山堂の良弁僧正坐像・勧進所の僧形八幡神坐像については公開は年1回となっていますので、その点はご注意下さい。。

建造物(国宝)

建造物建立年代拝観・見学
金堂(大仏殿)1709年(宝永6年・江戸時代中期)
※初代は758年(天平宝字2年)落慶
通年可能
拝観料600円
南大門1199年(正治元年)随時
法華堂(三月堂)奈良時代中期(733年とも・740年以降とも)通年可能
拝観料600円
二月堂1699年(寛文9年・江戸時代前期)
※初代は752年(天平勝宝4年)頃とも
随時
内陣は拝観不可
正倉院(正倉)756年(天平勝宝8年)頃
※管理は東大寺ではなく宮内庁による
外観のみ見学可能
土日祝日・年末年始等は非公開
鐘楼鐘楼:1207年~10年頃(承元年間・鎌倉時代前期)
梵鐘:752年(天平勝宝4年)
随時
転害門756年(天平勝宝8年)~762年(天平宝字6年)頃随時
開山堂1019年(寛仁3年・平安時代中期)頃毎年12月16日のみ拝観可能
本坊経庫奈良時代(詳細な建立年代は不明)毎年5月2日のみ見学可能

東大寺には、宮内庁管理の正倉院も含めると9か所の国宝に指定されている建造物があります。

このうち大仏殿(金堂)・二月堂については江戸時代に復興された際の建築となっており、創建当初の仕様とは異なっていますが、正倉院・転害門については奈良時代の建造物がほぼそのまま残された非常に貴重な存在となっています。

また法華堂(三月堂)についても奈良時代に建立された部分が多く残されているほか、「奈良太郎」の別名を持つ鐘楼はお堂は鎌倉時代のものですが、吊り下げられている「梵鐘」は奈良時代の東大寺創建期から同じものが吊るされていることで知られます。

国宝建造物に関しては、大仏殿・法華堂(三月堂)は拝観料が必要ですが、二月堂は内陣は立ち入れないものの、舞台上や登廊は自由に見学して頂けます。また南大門・鐘楼・転害門についても外観や周辺を見学することは自由です。

正倉院(正倉)については平日のみ外観の見学が可能となっており、内部はご覧頂けません。また開山堂や本坊経庫については通常は非公開であり、基本的には年1回のみご覧頂ける機会が設けられています。

仏像(主な重要文化財)

仏像場所造立年代
吉祥天・弁才天立像(塑像) 東大寺ミュージアム奈良時代
舟形光背(銅造)東大寺ミュージアム奈良時代
伎楽面(木造・非仏像)東大寺ミュージアム奈良時代
釈迦如来・多宝如来坐像(銅像)戒壇堂755年(天平勝宝7歳・奈良時代中期)
天蓋(木造・三面・非仏像) 法華堂(三月堂)東西部分:奈良時代
中央部分:鎌倉時代
千手観音立像東大寺ミュージアム平安時代前期
阿弥陀如来立像(木造・快慶作) 俊乗堂1202年~1203年(建仁2年~3年頃・鎌倉時代前期)
地蔵菩薩坐像(木造・康清作) 念佛堂鎌倉時代前期
地蔵菩薩坐像(木造) 東大寺ミュージアム鎌倉時代
五劫思惟阿弥陀坐像(木造) 勧進所阿弥陀堂 鎌倉時代
獅子(石造)南大門1196年(建久7年・鎌倉時代前期)
不動明王二童子像(木造) 東大寺ミュージアム室町時代(南北朝時代)
如意輪観音・虚空蔵菩薩坐像(木造) 大仏殿 如意輪観音:1730年(享保15年・江戸時代中期)
虚空蔵菩薩:1752年(宝暦2年・江戸時代中期)

東大寺は国宝仏像の他にも多数の重要文化財を所蔵しています。上記のリストはその中の一部をご紹介したものであり、総数としては40を超える仏像などが重要文化財に指定されています。

なお、東大寺ミュージアム開設後は各仏堂にあった仏像などの多くが東大寺ミュージアムへ移転され、以前よりも多数の仏像を拝観しやすくなっています。

仏像以外の重要文化財としては、一度見ると忘れられないような表情を浮かべる「伎楽面」や南大門の仁王像そばにある日本最古ともされる「石造獅子」、また二月堂の絶対秘仏である十一面観音の「舟形光背」なども特徴的な存在となっています。

建造物(主な重要文化財)

建造物建立年代拝観・見学
中門1716年(享保元年・江戸時代中期)頃内側は大仏殿拝観時間内
外観は随時
廻廊江戸時代中期内部は大仏殿拝観時間内
外観は随時
東西楽門1722年(享保7年)外観は随時
四月堂(三昧堂)1681年(延宝9年・江戸時代前期)に再建
初代は1021年(治安3年)若しくは1067年(治暦3年)頃(平安時代中期)の創建
概ね通年可能
※拝観時間は概ね10~16時頃
念佛堂鎌倉時代前期概ね通年拝観可能
※拝観時間は概ね10~16時頃
※隣接する御朱印授与所で受付要
大湯屋1239年(延応元年・鎌倉時代前期)外観のみ随時
二月堂閼伽井屋鎌倉時代外観のみ随時
二月堂参籠所室町時代外観のみ随時
二月堂仏餉屋(御供所)鎌倉時代前期外観のみ随時
法華堂北門1240年(延応2年・鎌倉時代中期)随時
法華堂手水舎1335年(建武2年・室町時代前期)外観のみ随時
法華堂経庫奈良時代もしくは平安時代前期(詳細な建立年代は不明)外観のみ随時
勧進所経庫平安時代前期毎年10月5日のみ外観を見学可能

東大寺境内にある「建造物」の重要文化財は上記の通りとなっています。

重要文化財指定については、大仏殿・法華堂(三月堂)・二月堂に付随する建造物が多くなっており、有名なみどころと言えるスポットは多くはありませんが、知名度が低いものであっても「奈良時代」の建造物が含まれているなど、東大寺の歴史の奥深さを物語っています。

なお、内陣に仏像を安置しているお堂は四月堂(三昧堂)及び念佛堂となっています。

この他、ユニークな存在としては「お寺のお風呂」であり「鉄湯船」と呼ばれる浴槽が現存する「大湯屋」が挙げられますが、かつて内部の公開がなされたことがあるものの、基本的には外観しかご覧頂けません。

まとめ

東大寺には仏像だけでも50を超える国宝・重要文化財が所蔵・安置されています。

現在では各仏堂に安置されている仏像・文化財に加え、「東大寺ミュージアム」に移転された仏像・文化財が多くなっており、以前と比べると多くの仏像・文化財を拝観しやすくなっています。

建造物としては、正倉院を含めると9棟の国宝建造物、また13棟の重要文化財の建造物を有しています。

建造物については、大仏殿・法華堂(三月堂)等は拝観料が必要ですが、南大門を始め外観はいつでもご覧頂けるものも多くなっています。