【本薬師寺跡】天武天皇が創建した寺院跡は「ホテイアオイ」の名所として知られる

奈良県橿原市、近鉄畝傍御陵前駅から徒歩でアクセス可能な場所にある「本薬師寺跡」。

こちらは飛鳥時代の寺院跡として現在も礎石などが残されている他、一般的には8月から9月にかけて咲き誇る「ホテイアオイ」の名所として広く知られた空間となっています。

本記事では、本薬師寺跡の歴史やホテイアオイに関する情報、現地の風景や交通・アクセスに関する情報などをご案内していきます。

本薬師寺跡とは?

歴史

本薬師寺は、飛鳥時代の680年(天武天皇9年)に天武天皇が後の持統天皇となる皇后の病気治癒を願い発願し創建された寺院です。伽藍の建造は20年程度かかり、700年頃になるまでにはほぼ完成したとされています。場所は当時の藤原京内、藤原宮に近い右京八条三坊の全域を境内とする形で伽藍が整備されました。

なお、「本薬師寺」という名は、その名の通り奈良市にある世界遺産「薬師寺」に対し区別する意味合いで用いられている名称です。

本薬師寺の完成から10年ほどで都は藤原京から平城京へ移転することになり、平城京においても「薬師寺」の創建が行われることになり、歴史学上ではこの本薬師寺が移転したとされてきた時期もありましたが、現在では本薬師寺自体は藤原京の地に残り、11世紀頃までは存続したと推定されており、奈良平城京の薬師寺は別途新規に建造されたものという見解が多くなっています。

伽藍についてはいわゆる「薬師寺式伽藍配置」であり、中央に金堂・金堂の南側にそれぞれ西塔・東塔、北側に講堂が配置され、講堂から続く形で全体を取り囲む回廊が設けられていたものと考えられています。平城京の薬師寺についても、伽藍の構造、また京内における位置関係についても概ね本薬師寺のものを踏襲したものとなっています。

ちなみに、現在でも金堂跡・東西塔跡ははっきりと確かめることが可能となっており、礎石なども残されています。

ホテイアオイについて

見頃:8月中旬~9月下旬頃(通常の傾向)
規模:最大40万株程度

藤原京を代表する寺院跡として歴史的価値も高い本薬師寺跡ですが、観光名所としての知名度は、むしろ初秋に咲き誇るすみれ色の美しい花「ホテイアオイ」の名所としての知名度が高くなっており、訪れる観光客数もホテイアオイの見頃の期間に集中しています。とりわけ9月の下旬頃にはホテイアオイに加え比較的多数の「彼岸花」も合わせて咲き誇ることから、奈良随一の「花の名所」として大勢の観光客・写真愛好家らが訪れます。

なお、ホテイアオイは昔からこの地で咲いていた訳ではなく、かつては一帯は水田となっていましたが、「休耕田」となったことからその活用策として現在は毎年約1.4ヘクタールの敷地にホテイアオイが小学生らの手により植えつけられ、「花の名所」としての地域づくりが行われています。

規模は最盛期には40万株にも及ぶとされており、日本最大の「ホテイアオイ」の名所とも言える空間となっています。

見頃は8月上旬頃から咲き始めるものが、8月中旬頃には見頃を迎え、その後9月下旬頃までは見頃が続きます。また近年は10月上旬になっても見頃が続くことも多くなっています。

なお、花は1日中咲いている訳ではありません。朝に開き、夕方にはしぼむという形が続き、日照の加減などによっては見頃の期間中の昼間でもしっかりと咲かない場合もあります。また、早朝早い時間に訪れる場合は花が咲いていない場合が多いですので、おすすめの訪問時間はよく晴れた日の昼前頃の時間帯となっています。

本薬師寺跡の風景(礎石など遺跡関連)

近鉄畝傍御陵前駅から徒歩7分程度の場所にある本薬師寺跡。入口はホテイアオイの見頃には駐車場に利用される空間が広がっており、案内板もが設置されています。

駐車場スペースから少し入った場所には、医王院(白鳳山醫王院)と呼ばれるお寺があり、その敷地はかつての「金堂跡」にあたる場所となっており、当時の礎石の他石碑・石仏などが数多く並んでいます。

本薬師寺金堂跡の礎石

金堂跡の礎石は15個残されており、かつて存在した本薬師寺の存在をしっかりと感じられるようになっています。

東塔跡は大きな木がそびえ立った空間に土檀が残されています。

本薬師寺東塔跡の礎石

東塔跡の土檀上には、中央には心礎が見られるなど、当時の塔の構造がはっきりとわかるような形で礎石が残されています。

西塔跡はホテイアオイの撮影スポットとなっており、こちらもはっきりと土檀が残されています。

西塔跡にも礎石(心礎)が残されています。

本薬師寺跡「ホテイアオイ」の風景

畝傍山と本薬師寺跡のホテイアオイ

ホテイアオイが咲き誇る本薬師寺跡の風景。ホテイアオイの背景には、西に畝傍山を望む風景をご覧頂けます。

ホテイアオイと彼岸花(本薬師寺)

9月下旬頃には「彼岸花」の名所にもなる本薬師寺。ホテイアオイとの共演をお楽しみ頂けます。

紫色のホテイアオイと紅色・白色の彼岸花はよく似合い、写真愛好家にとっては格好の被写体となっています。

ホテイアオイは朝に咲き、夕方以降にはしぼんでしまい、翌朝また咲き誇るというサイクルを繰り返します。

また、よく晴れた日にはよく咲き誇り、日照が少ない時間が続く場合には余り咲かない場合もあります。

東側には、ホテイアオイ・田園風景の向こう側に多武峰などの山々を望む風景をご覧頂けます。

1.4ヘクタールの休耕田は思いのほか広く、40万株という規模もうなずける一面の「ホテイアオイ」をご覧頂けます。

交通・アクセス

近鉄畝傍御陵前駅から東に徒歩約7分

駅からは、基本的に東へと真っすぐ進んでいくだけで到着します。徒歩7分ほどで進行方向右手に本薬師寺跡が見えてまいります。なお、途中で国道169号線などの交差点を渡りますが、曲がる必要は一切ありません。

お車でお越しの場合、ホテイアオイの見頃には本薬師寺跡の入口付近の広場が駐車場として無料で利用可能となりますが、通年利用可能な駐車場ではありません。

なお、駅からのアクセス性は悪くありませんので、公共交通機関の利用をおすすめします。

見頃の期間に関する情報・駐車場に関する情報は、橿原市公式サイト内に案内ページがありますので、そちらをご覧ください。

周辺地図

本薬師寺跡は近鉄畝傍御陵前駅からは近い場所にあり、北東側には藤原宮跡一帯が、東に進むと天香久山一帯、南西方向には橿原神宮一帯がいずれも徒歩圏となっています。