【山辺の道・北コース】ありのままの「奈良」を体感できる山麓の静かなハイキングコース

観光スポット・みどころ

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山辺の道・北コースとは?

「観光化」が進んでいない落ち着いた「奈良」を体感

山辺の道「北コース」は、奈良盆地の東端部を伸びる古道であり「日本最古の道」とも言われる「山辺の道」のうち、奈良市から天理市までの区間を指す名称です。

山辺の道は、日本国内のハイキングコースの中でも特に人気を集める存在として広く知られていますが、一般的に「山辺の道」とされているのは、景行天皇陵・箸墓古墳・大神神社などを経由しながら天理市内~桜井市内を結ぶ南側のルートであり、天理市街地より北側、奈良市内からのルートについてはそれほど知られた存在ではありません。

北コースは、天理以南の区間と比較すると確かに「舗装道路」の区間が長く、車の往来などに気をつけて歩かなければいけない所もあり、完全な「ハイキングコース」と呼べるものではありませんが、風景自体は奈良盆地を望む眺めの良い風景や、盆地の東端部の農村風景・里山の風景をじっくりと味わいながら歩いて頂けるようになっています。

また、奈良市街地に近い「白毫寺」からはじまり、奈良に伝わる怨霊伝説を象徴する存在である「崇道天皇陵」、また参道のみご覧いただける隠れ寺「円照寺」や、四季折々の自然が美しい「弘仁寺」といった静かなスポットが点在しており、観光地化された奈良駅周辺とはまた違った「ありのままの奈良」とも言える風情を感じて頂けます。

バス路線とも並行しアクセスも容易です

静かな風情を味わえる山辺の道「北コース」ですが、「アクセス性」は比較的良好となっています。

奈良市内については途中「円照寺」周辺までは約20~30分おきに運行されている奈良交通バスの路線とほぼ並行しているほか、円照寺以南の天理方面についても少し離れてはいるもののJR天理駅・JR櫟本駅・奈良交通バスの路線などへのアクセスが可能となっており、「全区間踏破」しない場合でも訪れて頂きやすい環境となっています。

近年は「北コース」を盛り上げようと取り組む地域づくり活動なども展開され、各所に歌碑や案内板・道標がしっかりと設けられているため迷う可能性も小さくなっています。

「道」自体については舗装道路区間が多く、やや歩きにくい北コースですが、古代ロマンあふれる山辺の道「南コース」にはない魅力もありますので、ぜひ訪れてハイキングを楽しんでみてははいかがでしょうか。

山辺の道・北コースのみどころ・風景(奈良市内)

新薬師寺

山辺の道エリアの奈良市街地側の玄関口とも言える場所には、十二神将像で大変有名な「新薬師寺」があります。

白毫寺町一帯

新薬師寺から南に進んでいくと、かつての農村地域である「白毫寺町(びゃくごうじちょう)」エリアへと入ります。

一帯は奈良市街地と一体化しているものの、現在でも奈良の伝統建築である「大和棟」の様式を残した家並みも広がっているなど、ノスタルジックな風景が広がる地域となっています。

宅春日神社

白毫寺町集落の中心部には、春日大社の創建時にまでルーツをさかのぼることが出来るとされる「宅春日神社」があります。

白毫寺

白毫寺町の集落の東側、高円山の麓にあたる高台には、「花の寺」として有名な「白毫寺」があります。

春にはカラフルな「五色椿」、秋には参道周辺を彩る「萩」などを楽しんで頂ける境内は、奈良市街地を一望する眺望スポットでもあり、気持ちの良い空間となっています。

鹿野園町一帯

白毫寺から南に田園風景の中を進んでいくと、奈良市街地から少し離れた「鹿野園町(ろくやおんちょう)」と呼ばれるエリアへ出ます。

この地域は現在でも「農村風景」と呼べるようなのどかな風情が広がっており、白毫寺町地域と同様に大和棟建築の面影も残されています。

集落を過ぎると、奈良ではやや珍しく一面に広がる「竹林」の中を通り抜けていきます。

八坂神社

八坂神社は、鹿野園町の氏神様である神社であり、本殿の周りには5つの摂末社が横一列に並ぶ立派な光景が見られます。

藤原町・八島町一帯

鹿野園町を抜け、竹林などの中を通って行くと、一瞬だけ郊外の住宅地の中を通り、すぐに再びのどかな田園風景が広がる一帯へと出ます。

一帯は「藤原町」・「八島町」と呼ばれ、田園風景の中から奈良盆地一帯を一望できる長めの良いスポットが多く、山辺の道北ルートの中で最も気持ちよくハイキングできるエリアの一つとなっています。

白山比咩神社

藤原・八島町一帯の田園風景の一角、眺めの良い高台には白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)があります。

嶋田神社

白山比咩神社から少し進んだ先にはかつての春日大社本殿を移築した「春日移し」の社殿建築を持つ「嶋田神社」があります。

崇道天皇陵・八つ石

八島町エリアの南側まで来ると、白い「石壁」が印象的な風景となっている「崇道天皇陵」があります。

崇道天皇は歴代天皇ではなく、非業の死を遂げた後に祟りを恐れて「天皇」という称号が与えられた人物であり、奈良における「怨霊伝説」を象徴する存在となっています。

また、天皇陵の正面には道路上を塞ぐような形で奇妙な「八つ石」と呼ばれる巨石があります。

円照寺

円照寺は、法華寺・興福院などと並ぶ奈良の「門跡寺院」として名高い尼寺です。

お寺は基本的に拝観は一切できないようになっていますが、山辺の道のルートが「参道」となっており、門前近くまではアクセス出来るようになっています。

またルート沿いには「大師堂」の建物もあり、多数の石仏が並べられている風景をご覧いただけます。

高樋町一帯

円照寺を過ぎ、田園風景や坂道が続く車道をしばらく進んでいくと、これまでのように奈良市街地方面を望む風景は見えなくなる代わりに、より一層のどかな風情が広がる田園地帯「高樋町」エリアへ到着します。

高樋町は「農家レストラン」などでも有名な地域となっています。

弘仁寺

高樋町の集落を通り抜けてすぐの位置には、平安時代に創建された弘法大師ゆかりの地と伝わる「弘仁寺」があります。

次項では、交通アクセスについてご案内致します。

アクセス(電車・バス)

※主なアクセス拠点まで

奈良交通バス「破石町」バス停

・JR、近鉄奈良駅から「市内循環外回り」・「山村町」・「藤原台」・「鹿野園町」・「奈良佐保短期大学」行き乗車約5~10分、バス停南側の道を東に進むと徒歩10分程度で山辺の道の道標があります。

奈良交通バス「円照寺」バス停

・JR、近鉄奈良駅から「山村町」行き乗車約20分、バス停前から伸びる参道を進むと山辺の道に入れるようになっています。

◇JR帯解駅

・JR奈良駅から万葉まほろば線(桜井線)天理・桜井方面行き乗車、2駅目(約6~7分)下車、東に徒歩約20分

◇JR・近鉄「天理駅」

・JR奈良駅から万葉まほろば線(桜井線)天理・桜井方面行き乗車、4駅目(約13~15分)下車、東に徒歩約20分

ルートマップ・アクセスマップ

山辺の道は、奈良盆地の東縁を沿う形に伸びています。

なお、北コースから更に南に進むと桜井方面へアクセスすることも可能です。一般的に有名な「山辺の道」は天理~桜井間の南コースとなっています。