【押熊八幡神社】かつての農村の深い信仰を集める空間には「忍熊皇子」関連の境内社も

観光のご案内

押熊八幡神社は、奈良の主要観光地からは離れた市内北西部、郊外の住宅地とかつての農村風景が混在するエリアである「押熊」地域の氏神様として地域の深い崇敬を集める神社です。八幡神社であることから本殿のご祭神は八幡大神(応仁天皇・誉田別命)を祀ります。

歴史としては、境内の案内板によると南側に現在も存在する「中山八幡神社」から江戸時代中頃の元禄期にこの押熊の地に勧請が行われたと考えられているほか、明治維新の時期に神仏分離が行われるまでは、境内に宮寺である「福成寺」があったとされています。なお、現在も境内に存在する龍王神社については、元禄期の勧請まではむしろ主祭神としてこの地に祀られていたともされ、中山八幡神社からの分霊が行われた後に主祭神が逆転する形になったとも考えられています。

境内は立派流造檜葺の立派な社殿建築や参道、うっそうとした社叢(鎮守の森)があるなど地域の深い信仰の歴史が伺えるようになっているほか、末社(境内社)が複数あるなど規模が大きな神社にもなっています。境内社としては鹿島神社(祭神武御雷神)・市杵嶌神社(祭神市杵嶌姫)・木花開耶姫神社(祭神木花開耶姫)が本殿脇に並んでいるほか、八大龍王神社(祭神豊玉比古命)・稲荷神社(祭神稲倉魂命)・雨乞いの神として信仰を受ける「こうずいさん(鳴雷神社)」、また伝承としては仲哀天皇の皇子「忍熊皇子(おしくまのみこ)」の古墳であるとも言われる「忍熊王子社」もあります。なお、「押熊(おしくま)」という地名は奈良の北の端にあるという意味合いから生まれたとされ、忍熊皇子信仰については後から「おしくま」の読みにちなんで生まれたものともされています。

八幡神社自体は観光スポットとして機能している訳ではなく知名度の高い空間ではありませんが、歴史や神社が好きな方は比較的遠方からも訪れる方がおられるようで、神社に設置されている参拝者芳名帳には、様々な場所から訪れた参拝者のお名前がずらりと記されています。

押熊八幡神社の風景

鳥居・参道

郊外の住宅地と昔ながらの田園風景が入り混じる押熊地域の高台に位置する押熊八幡神社。規模は奈良市内の神社でも大きな部類に入るものあり、立派な鳥居と参道・鎮守の森(社叢)を持つ空間となっています。

拝殿・本殿周辺

本殿はしっかりとした覆屋で保護されていますが、全体像をご覧いただけるようになっています。

本殿の脇には鹿島神社・木花開耶姫神社・市杵嶌神社が並んで鎮座しています。

境内社など

本殿から比較的近い位置にある摂社八大龍王神社は、かつてのこの神社の主祭神であったとされていますが、現在は本殿に近い場所にある静かな境内社の一つとなっています。

鳥居のすぐ左側の赤い鳥居の並ぶ参道を進んだ先には「稲荷神社」があります。

こうずいさんと呼ばれる「鳴雷神社」は、忍熊皇子社へ向かう途中にあるごく小さな神社ですが、長らく農業に不可欠な「水」に関わる深い信仰を集めた神社となっています。

境内にかつてあった宮寺「福成寺」の跡は、ごく簡素な形でお祀りされています。なお、廃寺となったお寺にあった仏像は近隣の「西方寺」と呼ばれるお寺に一部が移されて現在も残されています。

神社の境内には押熊町地域の資料館も併設されています。見学を希望する場合は問い合わせが必要です。

忍熊皇子社

忍熊王子社は、境内から東に少し離れた場所にある神社であり、「忍熊王・香坂王」ゆかりの地であるとされています。

アクセス(電車・バス)

奈良交通バス

・近鉄大和西大寺駅から奈良交通バス「押熊」行き乗車、終点「押熊」下車、西に徒歩約5分

・近鉄学園前駅から奈良交通バス「東登美ケ丘一丁目」・「高の原駅」行き乗車、「東登美ケ丘一丁目」下車、東に徒歩約7分

・近鉄高の原駅から奈良交通バス「学園前駅」行き乗車、「東登美ケ丘一丁目」下車、東に徒歩約7分

押熊八幡神社周辺地図