これはダメ!観光客の方が「奈良の鹿」に「してはいけないこと」まとめ

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こちらのページでは、観光で奈良を訪れて「鹿」を見ようとする・「鹿せんべい」をあげようとする方向けに、「奈良の鹿」と関わる上で「してはいけない・やってはいけない」ことを一覧形式でまとめていきます。

奈良の鹿をめぐっては、鹿をじらしたりする結果、年によっては200人を超えるけが人が出ているほか、人間が鹿に異物(鹿せんべい以外のもの)を与えることで、鹿が健康被害を受けるケースがあるなど、鹿も人もお互いに被害を被っています。

鹿と人間が共存するためには、どのようなことに気をつけていけばよいでしょうか。

ケガをしないために

鹿を「じらさない」

鹿を関わる上で、何よりも大切なのは「鹿をじらさない(イライラさせない)」ということ。

鹿せんべいをあげようとするときに、鹿を怖がってなかなかあげられなかったり、面白がってなかなかあげなかったりすると、鹿は「さっさとくれ」と思ってイライラし始めることがあります。

鹿のイライラがピークに達すると、鹿せんべいを奪い取ろうとするのみならず、場合によっては鹿は人間を噛んだり、突き飛ばしたりすることもあります。鹿のイライラは「見た目」だけではなかなかわかりません

つまり、鹿せんべいをあげようとする場合などには、鹿の姿を楽しむのもよいのですが、なるべく「すみやかに」あげることが重要となっているのです。また、鹿が「おじぎ」のような動作をすることもあり、これを「お礼」と勘違いする人もいらっしゃいますが、この仕草も「催促」に近い意味を持つもので、必ずしも礼儀正しさを示すものではなく、面白がってじらすと危険です。

もちろん、鹿に攻撃されるリスクは「鹿せんべい」をあげる場合に留まりません、何も持っていないような場合であれば、鹿せんべいをあげるつもりがないのに干渉されたと感じる鹿が攻撃してくる可能性もあります。どのような場合でも、鹿と関わる際には鹿をイライラさせることがないように気を付ける必要があります。

発情期のシカ・子育て中のシカにむやみに近づかない

「じらされる」と攻撃してくることがある鹿ですが、そもそも鹿(特にオス)には「特に粗暴な時期」というものがあります。特に粗暴な行動が目立つ時期は、主に9月頃~11月頃の「発情期」の期間。

秋の発情期は「オス」について見られるものであり、この期間は鹿のオスのうち、強いオスが「縄張り」を作ったりするために、鹿同士でケンカをしたりすることが多々ある他、じらしてくる観光客・縄張りの秩序を乱す観光客に攻撃することが比較的数多く見られます。

平成30年には200人を越えた「鹿」によるけが人の多くは、この発情期に起きており、「鹿せんべい」をあげる際にも、発情期のシーズンは特に気をつけて頂く必要があるのです。

この他、年間を通して、鹿のメスについては「子育て」をしている姿が見られます。発情期のオスほどの極端さはありませんが、子育て中のメス鹿にむやみに干渉すると、やはり攻撃・威嚇をされる可能性がありますのでご注意ください。

なお、「オス鹿」と「子育て中のメス」については、その多くはその外観で状況がわかるようになっています。発情期の乱暴なオスは、明らかに強そうな姿をしていることが多いですし、子育て中のメス鹿は、子供と一緒に行動していることがほとんどです。そのような姿を見かけたら、鹿にも鹿の生活がある訳ですので、むやみに関わらず、静かにしてあげましょう。また、鹿は野生動物ですから、発情期などに当てはまらない場合でも「リスクゼロ」という訳ではありません。どのような季節・どのような鹿であっても一定程度の節度と注意は必要になります。

子どもさんだけで「鹿」のそばに行かない

鹿によるケガ、鹿による被害を巡っては、「子どもさんの一人遊び」の最中に発生しているというケースも多く見られます。

家族で奈良公園を訪れて、小さな子どもさんが一人で鹿せんべいをあげたり、鹿を観察したりしている。このような光景は決して珍しくありません。保護者の方もつい一瞬目を離してしまうケースがあるかもしれません。

しかしながら、奈良公園の鹿は、大の大人よりも体格が小さな子どもさんに対して「強く出る」というケースも少なくありません。

保護者の方が目を離したすきに子どもさんが鹿に噛まれて泣いておられる。このようなパターンは決して珍しくないのです。

子どもさんが鹿と関わる際には、必ず保護者の方の監督の下で行うようにしましょう。

鹿の健康のために

鹿と人間の関わりというものは、当然ながら「人間だけが被害を受ける」というものではありません。一部の観光客・一部の地元住民の思慮に欠けた行動によって、鹿も大きなダメージを受けています。

鹿せんべい以外のエサをあげない

鹿と関わる上で、自分の身を守る以外に気をつけておきたいこと。それは鹿にあげる「エサ」の問題です。

鹿は、当然ながら「草食動物」であり、本来であれば肉や人間の食べ物などは食べることが出来ないのですが、奈良公園を訪れる方は、時としてお菓子やお弁当・露店で買った食べ物の余りなどを鹿に食べさせるケースがあります。

人間の食べ物を目にした鹿は、その場では思いのほか「食べてしまう」場合が多いのですが、食べた後にお腹を壊したり、食中毒になったりするなどして健康被害が生じるケースは少なくありません。

奈良公園で鹿にあげてもよいエサは、鹿の健康に配慮して作られている「鹿せんべい」だけです。決して他の食べ物を与えることのないようにしてあげてください。

紙やビニール袋の扱いには注意

鹿は、「人間の食べ物」以外にも、時として観光客が持っているビニール袋や紙類などをくわえて食べようとすることがあります。

これについては、食べ物と一緒に観光客がゴミも含めて全て与えてしまうという場合もあれば、鹿がビニールなども「食べ物」であると誤解するケースもあるようですが、いずれにせよ、こんなものを食べてしまったら、適切に消化など出来るはずもありません。

鹿の胃から石灰化したビニール類が出て来た。という話は決して珍しいものではなく、観光客と共存する鹿にとって「誤飲」という問題は最も身近な「脅威」となっています。

鹿がビニール類などを食べないようにするには、まずは鹿せんべい以外の食べ物を与えないこと。これが重要となります。また、ビニール袋やパンフレット類などを、むやみやたらに鹿の視界に入れることがないように気を付ける(このような物を使って気を引くようなことはしない)ことも重要となります。

誤飲については、鹿がビニール袋を半ば奪い取って食べてしまうケースもないとは言えませんので、人間の注意のみでは解決しない問題ですが、人間の側も上記の内容などをある程度は気を付けることができるはずです。

まとめ

以上、奈良の鹿と人間(観光客の方)が関わる上で、人間の側が「やってはいけない・してはいけないこと」をまとめてきました。

ざっくりとまとめ直すと、

・鹿をじらさないこと

・発情期、子育て中のシカにはあまり近づかないこと

・子どもさんは1人で鹿と関わらないこと

・鹿せんべい以外のエサをあげないこと

・ビニール、紙類などを鹿に与えないこと

この5つの内容について解説してきました。

観光地で「野生の鹿」と共存する以上、人間がケガをしたり、鹿が健康被害を受けることをゼロにすることは限りなく不可能に近いですが、発生数や被害の程度を減らすことは、「気を付け方」次第で可能となります。ぜひ、適切なマナーを守りながら、愛らしい「鹿」と過ごすひとときを楽しんで頂ければと思います。