奈良の鹿の「おじぎ」とは?お礼ではない?その意味を詳しく解説!

この記事では、「奈良の鹿」がしばしば観光客に見せるという「おじぎ」の仕草について、どのようなタイミングで見ることができるのか、また「おじぎ」はなぜしているのかなどをなるべく簡単に解説していきます。

奈良の鹿はおじぎをする?

鹿と「おじぎ」。一見関係のなさそうなテーマですが、観光地「奈良」の鹿たちは、確かに人間から見ると「おじぎ」をしているようにしか見えないしぐさを見せることがあります。

「おじぎ」はどんなときにするのか。大雑把に言えば、最も「おじぎ」を見やすいタイミングは、「鹿せんべいを持って鹿の周りをウロウロしているとき」か「鹿せんべいをあげているとき」となります。

鹿せんべいを持っているけれど、鹿の目の前にいるけれども、なかなかうまく鹿にあげることができない。鹿せんべいを鹿の近くでそわそわと動かしている。

もしくは、鹿せんべいを鹿にあげて、更にもう1枚あげようかと思っている。

そんな時に、目の前にいるシカさんは、頭を上下に動かすような動作をすることは多々あります。そして、その光景は人間から見ると、どう見てもお辞儀をしているように見えるのです。

鹿せんべいをあげる前のおじぎであれば、「鹿せんべいをください」というお礼に、また鹿せんべいをあげた後のおじぎであれば、「鹿せんべいをくれてありがとう(もう1枚ちょうだい)」というお礼に見えますので、観光客の方からすると「なんて礼儀正しいシカだろうか。」ということで驚かれることもあるようです。

鹿のおじぎの仕組み

一見礼儀正しいように見える奈良の鹿の「おじぎ」ですが、実際のところは、どんな仕組みで「おじぎ」をしているのでしょうか。

そもそも、鹿がおじぎをするということは、世界・日本に生息する鹿一般、トナカイ類一般に見られる特徴とは言えません。こんなにも頻繁におじぎをしているのは「奈良の鹿」のみとなっています。すなわち、「奈良の鹿のおじぎ」は、人間と共生しながら暮らしているという珍しい環境を持つ「奈良の鹿」特有の行動特性と言えるものとなっています。

鹿のおじぎの意味をめぐっては、奈良女子大学の学生さんが研究発表などをされており(西山若菜, 和田葉子, 和田恵次, 遊佐陽一『奈良公園におけるニホンジカのおじぎの機能』2018.3 日本生態学会第65回全国大会〈札幌〉)、その研究成果によると、鹿は鹿せんべいを要求・催促するためにおじぎを人間に対して行っており、攻撃的な鹿ほどおじぎ回数が多い傾向があるとされています。「おじぎ」そのものは攻撃の意味を持つ行動ではないようですが、じらされて怒る鹿ほどおじぎをする傾向があるということは、「鹿のおじぎ」自体は必ずしも「礼儀正しい」行為と言う訳ではないようです。

なお、研究成果においては「鹿せんべい」を持っていない場合にはほとんどおじぎをしないとされており、これはその傾向があること自体は間違いないようですが、本記事の筆者が鹿を観察している中では、鹿せんべいを一切持っていない場合でも目線が合ったり、こちらがお辞儀に似たような動作をすると、鹿がおじぎをするという行為は一定程度見られました。

要するに、鹿のおじぎという行為は、必ずしも「お礼」や「礼儀作法」と呼べるものではありませんが、この種の野生動物としてはかなり珍しい人間との「コミュニケーション」の一種であるということは確かなのです。

おじぎをする鹿に出会ったら

さて、観光で奈良を訪れ「鹿せんべい」を購入し、鹿せんべいをあげようとして鹿に「おじぎ」をされるような場合、どのような対応をするのが最善なのでしょうか。

これは、簡単に言えば「鹿をイライラさせない」ということが最も大切なことになります。鹿のおじぎは、どちらかと言えば威嚇に近い意味を持つわけですので、鹿せんべいを持っているのにじらされてなかなかもらえなかったり、鹿が怖くて鹿せんべいを見せたり見せなかったりすると、せんべいをもらえない鹿の怒りが爆発して「かみつく」といった攻撃に至ってしまうことは少なからずあり得ます。

つまり、おじぎばかりしている鹿に対しては、「鹿せんべいを素早くあげる」のがベターなのです。また、1枚あげた後におじぎをしている鹿には、もう1枚あげないのであればむやみに近づいたり、かわいがったりしないほうがよいかもしれません。おじぎは「お礼」を言っているのではなく、「もう1枚さっさとくれ」という意味であると考えられる以上、せんべいをあげないのにベタベタされるとやはり鹿は攻撃を行ってくる可能性は否定できないのです。

まとめ

以上、奈良の鹿の「おじぎ」という仕草について解説していました。まとめ直すと、

・奈良の鹿は、鹿せんべいをあげる際などに「おじぎ」に見える珍しい仕草を行います。

・おじぎは鹿せんべいをあげる前、あげた後などによく見られるほか、人間が何も持っていない場合にも稀に見ることが出来ます。

・奈良女子大学の学生さんによる研究成果によれば、鹿のおじぎは「お礼」というよりは「催促」に近いものであり、どちらかと言えば攻撃・威嚇的性格との関係性が深いようです。

・攻撃を避けるためには、おじぎをする鹿にはすみやかに、じらさずに鹿せんべいをあげるのが無難です。

このような内容をまとめてきました。おじぎの仕草はとっても愛らしいですが、「お礼」と勘違いして鹿せんべいをあげないままに、鹿をかわいがり過ぎないようにはお気をつけ下さい。