【柳生街道】剣豪の歴史と農村風景をじっくり味わえる奈良屈指のハイキングコース

観光のご案内

奈良のまちと剣豪の里を結ぶ街道は15キロ以上に及ぶ

柳生街道(やぎゅうかいどう)は、奈良市街地から奈良市内東部の山間部を通り、柳生一族で有名な「剣豪の里」柳生地域へと続く街道です。

奈良市内の「高畑」地域を起点とする形で伸びる柳生街道は、距離にすると15キロ以上に及ぶ長めのハイキングコースとなっており、基本的にはうっそうとした森林の中を通る区間が多いですが、奈良市街地を抜けてからしばらくの区間は水の音が聞こえる沢筋の石畳の道を進む「滝坂の道」となっているほか、柳生エリアに入ってからはのどかな田園・農村風景の中を通る区間も多くなっており、様々な景色を味わえるようになっています。

街道の歴史については詳細なことは不明ですが、中世には既に現在と同じようなルートで奈良のまちと柳生方面が結ばれていたと考えられているほか、かつて自動車交通が存在しなかった時代は、柳生へのアクセスルートとしてのみならず、奈良市東端の月ヶ瀬エリアや三重県伊賀地方と奈良を結ぶ貴重な交通路であった歴史も持っています。

石仏・寺社・剣豪ゆかりの地などみどころ多数

自然あふれる風景を思う存分味わえる柳生街道ですが、15キロ以上に及ぶ道沿いには観光名所・みどころも多くなっています。

奈良市街地側の「滝坂の道」付近には多数の石仏・磨崖仏があることで知られ、石仏ファンにとっては一つの「聖地」に近い空間となっているほか、柳生方面へ行く途中には大日如来像などで名高い「円成寺」や「夜支布山口神社」などの寺社もあり、柳生エリアに到着してからは「剣豪」ゆかりの地を巡ることも出来るようになっているなど、単なるハイキングコースのみならず「観光ルート」としても魅力が大きい存在となっています。

総延長は15キロ以上に及びますので、全区間を歩き通すことは健脚の方でなければしんどいかもしれませんが、円成寺までバスでアクセスし、そこから奈良市内に戻る形で歩いてみたり、逆に柳生方面へ農村風景を楽しみながら歩くといったことも出来ます。また、「滝坂の道」区間に関しては歩きにくい部分も多いですので、歩きやすい「春日山遊歩道」を代替ルートとして活用することも可能です。必ず全区間を歩く必要はありませんので、それぞれのご都合に合わせてルートを組み立てて頂ければと思います。

なお、滝坂の道などを避けた場合でも、場所によっては道が荒れている区間や、春~秋にかけては虫などが多くみられる区間も見られます。ハイキングを楽しまれる際には軽装ではなく、ハイキングに適した服装で訪れることをおすすめします。

ルートマップ

柳生街道沿いのみどころ・風景

滝坂の道と周辺の石仏

奈良市街地側から柳生街道を歩く際にまず通ることになる「滝坂の道」は、石畳の敷かれた沢筋の道であり、やや歩きにくいルートではありますが、「春日山原始林」一帯の自然を思う存分味わって頂けるルートになっています。また滝坂の道沿いには「朝日観音」・「寝仏」などをはじめとする石仏が複数見られることでも知られ、石仏ファンの方にとっては大変魅力あふれる空間となっています。

【滝坂の道】柳生の里へと進む石畳の道沿いには貴重な石仏が多数見られる

首切地蔵

首切地蔵は、石畳の敷かれた「滝坂の道」の終点付近にあるお地蔵さまです。その名の通り首と胴体部分が2つに分かれた形になっており、その姿から剣豪が試し斬りをしたのではないかとの伝承が残される存在となっています。

【首切地蔵】「剣豪の試し斬り」伝説が残る真っ二つに割れたお地蔵さま

地獄谷新池

地獄谷新池は、首切地蔵から東に少し登った先にある山の中の「ため池」です。周辺では珍しい「水辺」の風景が広がる空間は、秋の紅葉が実に美しいことでも知られます。

【地獄谷新池】新緑や紅葉が実に美しい春日奥山エリアでは唯一の大きな水辺

地獄谷石窟仏

地獄谷石窟仏は、柳生街道・高円山ドライブウェイ沿いから伸びる脇道を進んだ先にある石窟仏です。平安時代に描かれたとされる仏さまは彩色もよく残されており、見ごたえのある存在となっています。

芳山・芳山二尊石仏

春日山原始林一帯から東に進んだ先にある柳生街道沿いの「八坂神社」から脇道を入っていった先一帯は「芳山」と呼ばれる山となっており、山頂近くでは芳山二尊石仏と呼ばれる美しい仏さまをご覧いただけます。芳山は観光地というよりはマニアックなスポットと言ってもよい場所であり、道もややわかりにくい状況ですが、深い森の中にぽつんと立つ石仏は神聖な雰囲気を漂わせています。

円成寺

円成寺(えんじょうじ)は、バスでアクセスすることも可能な柳生街道の「中間ポイント」とも言える場所にある立派な寺院です。

お寺は国宝の大日如来坐像や美しい名勝庭園で知られ、美麗な「隠れ寺」としてアクセスの不便さにも関わらず多数の参拝者が訪れる空間となっています。

【円成寺】目を見張る美しさの庭園と華麗な仏像で知られる奈良の「隠れ寺」

大柳生の農村風景

円成寺からしばらく進むと、柳生地域の入り口にあたる「大柳生」地域へと入ります。大柳生エリアはのどかな田園風景が美しい空間となっており、これまでの山林を通るハイキングコースとは異なり明るい日差しを浴びながらさわやかな空気を味わって頂けるようになっています。

【大柳生の農村風景】のどかな田園が広がる山里はホタルでも有名

夜支布山口神社

夜支布山口神社(やぎゅうやまぐちじんじゃ)は、大柳生地域の一角、柳生街道沿いにある比較的大規模な神社です。神社は多数の境内社を有し、本殿近くの摂社立磐神社巨石をご神体としています。

【夜支布山口神社】柳生エリアを代表する神社は巨大な磐座を持つ摂社も有する

水木古墳

水木古墳は、夜支布山口神社のすぐ近くの柳生街道沿いにある古墳です。石室の一部が残される古墳は内部にも立ち入ることが可能となっています。

【水木古墳】石垣と石室周辺をじっくり見学可能な柳生街道沿いの古墳

阪原の農村風景

大柳生地域から更に柳生の里方面へと進んでいくと、大柳生地域と同様に美しい風景が魅力の「阪原」地域を通ることになります。阪原地域は秋のコスモスでも知られる

【阪原の農村風景】柳生街道沿いの農村集落一帯は佇んでいるだけでも気持ちの良い風景が広がる

南明寺

【南明寺】平安・鎌倉時代の遺産が数多く残る山里のお寺

おふじの井戸

おふじの井戸は、南明寺の近くの柳生街道沿いにある小さな井戸です。この井戸は柳生藩主柳生宗矩(やぎゅうむねのり)の馴れ初め伝説ゆかりの地であり、「おふじ」という変わった井戸の名はその見初めた女性の名前となっています。

【おふじの井戸】柳生家当主の「馴れ初め伝説」の舞台

柳生の里

阪原地域を過ぎ、やや険しい道が続く阪原峠(かえりばさ峠)を越えて石仏などが並ぶ山道を下って行くと、いよいよ「柳生の里」へと入っていきます。

柳生の里一帯は、陣屋跡・家老屋敷といった旧柳生藩の「拠点」空間、また柳生一族の菩提寺である「芳徳寺」や巨石信仰の「天石立神社」など様々なみどころがあり、全てのスポットを巡っていると、それだけで1日満喫できてしまうほどの「観光地」となっています。

柳生街道沿いから直線的に歩いていくと柳生バス停方面へそのまま抜けられますが、各みどころは柳生の里のあちこちに点在していますので、ご覧になりたいみどころに応じて寄り道をして頂くのがおすすめです。

【柳生の里】剣豪の里として有名な地域には「巨石」を巡る信仰も

アクセス(電車・バス)

奈良市街地側起点まで

・JR・近鉄奈良駅から奈良交通バス「市内循環外回り」・「中循環外回り」・「高畑町」・「山村町」・「藤原台」・「鹿野園町」行き乗車、「破石町」バス停下車、滝坂の道入り口まで東に徒歩約20~25分

柳生街道の奈良市街地側の起点は、奈良交通バス「破石町」バス停となっています。破石町バス停を降りてすぐ南側から東を向いて伸びる道を案内表示に従い真っすぐ山の方へ進んでいくと、滝坂の道へと入っていくことが出来ます。

柳生エリアまで

・JR、近鉄奈良駅から奈良交通バス「柳生」「邑地中村」「石打」行き乗車、「柳生」下車、

柳生地域は、やや交通は不便となっており、公共交通機関は1日数本のバスのみとなっており、それ以外はタクシーのご利用が便利です。柳生地域へのアクセス情報については、以下の記事で詳しく解説しています。

奈良・柳生エリアへの交通アクセス(バス・車・タクシー)のまとめ