観光のご案内
8月15日の「大文字送り火」を実施する空間
高円山大文字火床は、奈良の夏の風物詩である高円山大文字送り火を実施する「火床」であり、奈良市街地のほぼ一円から、山が一部だけ切り開かれたその特徴的な姿を目にすることが出来るよく知られたスポットとなっています。
大文字焼きの由来は、奈良県内の3万人に及ぶ大戦期の戦没者の慰霊と供養を目的に、昭和35年8月15日に開始されたことに端を発するため、歴史は比較的浅いものとなっています。なお、当日は春日大社、各仏教寺院による慰霊祭も送り火と同時に実施されます。
火床は事実上の「大展望台」
そのような慰霊行事に使用される火床ではありますが、通常時は高円山の登山ルートの一部として開放されています。しかし、火床は山の頂上付近に位置しドライブウェイからも離れた位置にあるため、険しく本格的な登山道を歩いていくしか方法がなく、実際に火床に行ったことのある人は地元の人でも非常に少なくなっています。一方で登山道を登った先には、若草山の山頂に決して劣ることのない180度の大パノラマが広がっています。その眺めは生駒・葛城・金剛の山々を背景とした奈良盆地はおろか、京都方面(稲荷山・京都タワー・京都駅ビル・愛宕山など)を一望することが出来、見晴らしのよい日には生駒山の向こう側に六甲山地すら見えるような大展望が広がります。
先述したように登山を必要とするため、火床が使用されるような時期でない限り一部の登山者、地域住民を除き人の姿はほぼ見られず、その労苦さえ惜しまなければ「若草山と同等の大展望」を「独り占め」することができる実に貴重な空間となっています。
登山にあたっての注意
登山ルートは、白毫寺近くの登山口からルートを示す印が所々に設置されており、それに沿って登山を行うことになりますが、やや迷いやすい部分もございますので、慎重な行動が必要となっています。
また高円山は、「若草山」のような「散歩」のような「登山」ではなく、一定の登山装備(服装)をした上で季節によってはハチやヤマビル、またイノシシなどに遭遇するリスクも想定した上で登山して頂く必要がございますので、安易な入山はお控え頂くことをおすすめします。
クルマなどにより直接アクセスすることは一切不可能な場所であり、最寄りの人家や道路は離れた場所にございますのでその点はご留意ください。また、冬季は例年年間10日間ほど積雪が見られる場合があります。山麓部が雨でも火床では積雪となっている場合もありますので、そのような気象条件にもご留意ください。
高円山大文字火床の風景

大文字火床からは奈良市街地を完全に一望することが出来ます。山に登ると、奈良の風景に思いのほか「生駒山」が強い影響を与えていることがよくわかるでしょう。


遠くの風景のみならず、大仏殿や奈良公園・興福寺、きたまち・ならまちエリアなど比較的近いエリアもしっかりと眺めることが可能となっています。

火床からはほぼ同じ標高である若草山も少しだけ目にすることが出来ます。また、若草山の向こう側には京都方面が見渡せ、京都タワーや京都駅ビルなども見える場合があります。


奈良市内や京都方面に留まらず、二上山周辺から葛城・金剛山方面も美しく望むことも可能で、万葉歌の世界にうたわれる奈良の奥深さをも体感して頂けます。

また、ややマニアックな風景としては高円山から関西国際空港の近くにある「りんくうタワー」まで見渡すことが可能です(写真中央右側の細長い建築物)。また、実は気象条件が整えば「四国」の剣山なども見えるのですが、そこまで眺めようとする強者はなかなかいないでしょう。
アクセス
近鉄・JR線各駅からのアクセス
・JR、近鉄奈良駅から「山村町」・「藤原台」・「鹿野園町」・「奈良佐保短期大学」行き乗車、「高畑住宅」バス停下車、東に徒歩50~70分程度
・JR、近鉄奈良駅から「北野」・「下水間」行き乗車、「尾上町」バス停下車、東に徒歩40~60分程度
※軽い登山装備が必要な登山道が続きますので、安易な入山はお控えください。
周辺のみどころ・観光スポット
山麓エリアには白毫寺、新薬師寺、不空院、奈良市写真美術館などがございます。
コメントを投稿するにはログインしてください。