【正暦寺】奈良市内随一の「紅葉の名所」かつ「日本清酒発祥之地」としても有名なお寺

観光のご案内

歴史・概要

正暦寺(しょうりゃくじ)は、奈良市南部の山すそに伸びる「山辺の道」界隈から更に山沿いへと進んだ位置にあるお寺であり、山号は「菩提山」、院号は「龍華寿院」とも呼ばれます。「菩提山(ぼだいせん)」という名前は、かつて奈良のまちの東側に広がる山間部一帯に「鹿野園(ろくやおん)」・「誓多林(せたりん)」・「大慈山(だいじせん)」・「忍辱山(にんにくせん)」・「菩提山」と仏教聖地に見立てた名前を与えお寺を創建した名残であり、現在は忍辱山(円成寺)とこの菩提山の正暦寺のみが残されています。

歴史としては、そのルーツをお寺の名前にもなっている平安時代の「正暦」3年(992年)一条天皇の発願で関白藤原兼家の子にあたる「兼俊僧正」が創建した時点にさかのぼり、1000年以上の歴史を持っていますが、奈良市内の寺院としては創建が比較的新しいお寺となっています。その後は86もの堂宇が立ち並ぶ巨大寺院へと発展したとされていますが、奈良のその他寺院と同様平安末期の治承4年(1180年)には、平重衡の「南都焼討」で壊滅的な被害を受けることになりました。

その後は鎌倉時代、興福寺の復興にも尽力した興福寺大乗院の信円僧正がこの正暦寺に隠遁することになり、その後は法相宗の仏教研究拠点の一つとしたことで復興が図られ、以降は興福寺大乗院の門跡がこの正暦寺の門跡も兼ねることになり、興福寺別院「正願院門跡」とされることになりました。また、鎌倉時代の建暦年間には、浄土宗の蓮光法師(法然上人の弟子)が当地に安養院・迎接院を建て、浄土宗の道場として機能する時代もありました。

興福寺との関係が深まり再び整備された境内には金堂・講堂はじめ多数の堂宇が再興され、活況を呈することになりますが、戦国時代の永正3年(1506年)には細川政元の家臣により再度焼討を受け、再び壊滅的な被害を受けます。その後復興を果たし江戸時代初頭には再び三重塔なども擁する巨大な伽藍を擁するようになりますが、寛永6年(1629年)の火災以降は大幅に衰退し、興福寺の影響力も落ち仁和寺の末寺となったほか、明治以降は一層荒廃し、現在は福寿院客殿と本堂・鐘楼のみが残る状況となっています。

仏像・文化財

正暦寺は、小さな山寺であるため多数の仏像が或る訳ではありません。しかしながら本尊であり胡坐をかかずに台座に腰掛ける姿(倚像)の「薬師如来倚像」は、奈良時代以前の飛鳥時代(白鳳時代)の仏像となっており、像高30センチの小さな姿ながら保存状態も比較的良好で重要文化財に指定されるなど非常に貴重な存在となっています。なお、このご本尊は秘仏であり、春と秋の一部期間、また冬至の日などのみの公開ですのでご注意ください。

また、孔雀にお乗りになりその羽根を光背としている鎌倉時代の「孔雀明王像」は福寿院客殿に安置されており、現在となっては貴重な作例としてそのユニークながらも整った姿をご覧いただけるようになっています。

この他には収蔵庫にかつて大神神社の関連寺院であった「大御輪寺」にあったとされる日光・月光菩薩立像や地蔵菩薩立像なども安置されています。

「清酒」のふるさととして

静かな風情や美麗な仏さま以外にも、この正暦寺は「清酒」のふるさと、発祥の地であるとされていることでも知られています。かつて正暦寺が大寺院であったころ、また神仏習合の文化が浸透した時代には所有する「荘園」から献上されたお米を使用して、仏さまなどに献上するお酒「僧坊酒」が醸造されていたとされ、「諸白(もろはく)造り」・「菩提酛(ぼだいもと)造り」をはじめ高度な酒造技術が発達していたとも言われます。このような伝統は日本で最も上質な清酒とされた「南都諸白」と呼ばれる種々の僧坊酒のルーツにもなったとされ、そのような所以から清酒発祥の地として知られることになりました。

現在は大規模に醸造を行っているような状況ではありませんが、毎年1月には「菩提酛ぼだいもと清酒祭」が行われ、ここでつくられた「酒母」を利用した清酒をお買い求め頂くことも可能となっています。

奈良有数の紅葉スポットです

このほかにも正暦寺は、奈良公園ほどの知名度は有していないものの、奈良県内でも屈指の「紅葉スポット」としても知られています。「錦の里」とも呼ばれるほどの紅葉は、境内全体で3000本の楓(モミジ)を有するほどの規模であり、とりわけ「福寿院客殿」から紅葉を背景にした庭を見渡す風景は奈良というよりは京都のお寺であるかのようなあでやかな雰囲気を漂わせる風景となっています。

年中行事

1月3日~5日 13~16時:「修正会」

場所:本堂

・新年にあたり、で一年の安穏を祈る法要が実施されます。

1月中のいずれかの日 「菩提酛ぼだいもと清酒祭」

場所:駐車場

・清酒発祥の地にちなんで行われる清酒祭では、酒母の仕込みを行い、奈良の各蔵元がそれを持ち帰り清酒の醸造を行っています。

2月3日 節分会(星まつり)

場所:本堂

・弘仁寺の星祭りなどと同様、厄除けなどの祈願が行われます。

3月9日 「人形供養」

14時~14時40分:愛染法勤修
14時50分 ~15時30分:柴燈護摩供養

場所:本堂

・古くなった人形の供養を受け付けている正暦寺においては、毎年3月9日にそれらの総供養が実施されます。

4月18日 「薬師会式」

10時~:薬師法勤修
11時~:御祈祷
13時~:柴燈大護摩供養
13時30分~:火わたり

場所:本堂

・本尊薬師如来の会式である薬師会式では、わずかに湧き上がる湧水(石清水)に祈祷を施したものをお持ち帰り頂くことも可能となっています。また華麗な「火わたり」も行われ、見ごたえのある儀式となっています。

12月22日 「冬至祭」

10時~14時  護摩祈祷・お加持
11時~14時 昼食(カボチャの精進料理)

場所:福寿院客殿

・健康を祈る冬至祭では、護摩供養の他にもカボチャをふんだんに使用した精進料理の振る舞いがおこなわれます。

特別公開

4月18日~5月8日:春季特別公開

・収蔵庫「瑠璃殿」において、本尊薬師如来がその他仏像とともに公開されます。

11月初旬~12月初旬頃:秋季特別公開

・本堂で本尊薬師如来が公開されます。

12月22日:冬至祭秘仏御開帳

・収蔵庫「瑠璃殿」において、本尊薬師如来がその他仏像とともに公開されます。

拝観情報

拝観時間:9時~17時(12~2月は16時まで)

拝観料(正暦寺福寿院客殿):中学生以上(大人)500円・小学生200円

※20名以上の団体の場合それぞれ400円・150円に割引

※境内拝観は自由

アクセス(電車・バス)

近鉄・JR線各駅からのアクセス

※正暦寺は通常時、奈良市内で最も公共交通によるアクセスが不便な観光スポットの一つとなっています。紅葉シーズンは臨時路線バスが運行されますが、それ以外の時期は健脚の方を除いては、基本的にはタクシーの利用が無難です。

・JR奈良駅、近鉄奈良駅からタクシーで約20~30分程度

奈良交通バス(紅葉シーズンのみ)

・JR奈良駅東口・近鉄奈良駅バス乗り場から「正暦寺」行き臨時バス乗車、終点「正暦寺」下車、北東に徒歩5分程度

奈良交通バス(通常時)

・JR奈良駅東口・近鉄奈良駅バス乗り場から「天理駅」行き乗車、「窪之庄南」バス停下車、南東に徒歩60~80分程度

JR帯解駅から南東に徒歩60~80分程度

※お寺の南側に拝観者専用の無料駐車場(80台)もあります。なお、11月初旬~12月初旬の紅葉シーズン(料金500円)に限り有料となります。

近隣観光スポット

弘仁寺から北東に徒歩45分~60分程度・泣き笑い地蔵から北東に徒歩8分・南椿尾磨崖仏から西に徒歩30分程度・円照寺から南東に徒歩45分~60分程度・弘仁寺の南側は「白川溜池」エリア

正暦寺周辺地図