【弘仁寺】山辺の道沿いにある弘法大師ゆかりの山寺

ごあんない

歴史・概要

弘仁寺(こうにんじ)は、奈良市南部、山すそに伸びる「山辺の道」沿いにある高野山真言宗のお寺です。山号は「虚空蔵山」と呼ばれる弘仁寺は、実際に虚空蔵山と呼ばれる小さな山の中腹に境内を広げており、自然豊かな「山寺」としても知られた存在となっています。

その歴史は不確かな点も多く、創建をめぐっては平安時代初頭嵯峨天皇の夢に登場した老人が奈良の南にある霊山にお寺を創建するようにお告げをした後、嵯峨天皇がその地を探して弘仁6年(815年)に創建したという伝承と、弘法大師空海がこの地に流れ星が落ちるのを見た後「神聖な地」として大同2年(807年)にお寺を創建したという2つの伝承が残されています。もっとも、平安時代初頭に創建されたお寺であることは間違いないと考えられており、奈良時代ではないものの、1200年の歴史を有する由緒あるお寺となっています。

その後の歴史は、中世頃より東大寺との関係性が深まる中で仏道を究めるための道場として複数のお堂を持つなど一定の繁栄を見せるなどしつつ、戦国時代の元亀3年(1572年)には奈良では有名な戦国武将である松永久秀に関わる兵火によりお寺のほぼ全域が焼け落ちる被害を受け、江戸時代になってからの寛永6年(1629年)に宗全によって再興され、その時点の伽藍が現在も残される形となっています。

仏像・文化財

本堂の仏像

本堂内部には、本尊であり弘法大師空海が造立したとの伝承が残される「虚空蔵菩薩立像」が安置されているほか、重要文化財に指定されている四天王立像は、誇張のない力強さを感じさせる持国天・増長天立像が平安時代のものとなっており、広目天・多聞天立像は鎌倉時代の作で重要文化財に指定されています。また、こちらも弘法大師の作と伝わる天部立像、室町時代の十一面観音像子安観音像が安置されています。

明星堂の仏像

明星堂の仏像に関しては、堂内の立ち入りは出来ませんので、覗き窓から内部をご覧いただく形となっています。

堂内には鎌倉時代の有名な仏師運慶が造像したとも伝わる大日如来像、江戸時代の南都宿院仏師である源次の作とされる不動明王像、及び台座にお座りになった役行者像などが祀られています。

その他文化財

弘仁寺が所有する文化財はこの他にも複数ありますが、多くは奈良国立博物館に寄託されており、お寺ではご覧いただけません。重要文化財の明星天子像(平安時代)、南北朝時代の弘法大師画像、室町期の小野篁画像、朝鮮李朝から持ち込まれた釈迦十六弟子像は奈良国立博物館に寄託されています。また真言宗中興の祖・新義真言宗の開祖として知られる覚鑁上人が無数の梵字を用いて描いた梵字形不動明王画像も弘仁寺の所蔵ですが、博物館への貸し出しの際などを除きご覧いただくことは出来ません。

なお、弘仁寺には近代以前の日本の「数学」の問題を記した算額(さんがく)もあり、本堂正面及び本堂正面左手の裏に掲げられている様子をご覧いただけます。

年中行事

十三参りでも有名です

弘仁寺は、智恵の仏さまとしても知られる虚空蔵菩薩を祀るため、13歳になった方が智恵・徳を授かるためにお参りを行う「十三参り」を行う場所としても知られています。毎年4月13日(9時~)の十三参りの日には本堂前で柴燈大護摩(14時~)が焚かれるほか、それ以外の時期でも家族で祈祷に訪れる方が多くいらっしゃいます。

その他の行事

2月13日 10時~ 「星供祈願会」

・真言密教の「こよみ」に基づく祈祷と護摩法要が実施されます。

6月13日 9時~ 「黄金ちまき会式」

・かしわの葉で作り、黄金色のひもで結ばれた厄除け用のちまきを本尊虚空蔵菩薩にお供えして健康などをお祈りする儀式です。14時からは「柴燈大護摩」も行われます。

弘仁寺のみどころ・風景

弘仁寺山門

お寺の山門は、山の辺の道沿いの山の中腹にあり、「隠れ寺」とも言えそうな静かな風情が漂う空間となっています。

弘仁寺本堂

本堂の建物は江戸時代に復興された時のものであり、虚空蔵菩薩立像や重要文化財の四天王立像等が安置されています。

弘仁寺明星堂

大日如来像・不動明王像・役行者像が安置される明星堂は本堂の東隣に建っています。

境内には本堂西側と山門(鐘堂)近くに神社も設けられています。

この他、山門のそばには鐘堂(鐘楼)が、山門外側には閼伽井戸を有する「奥の院(不動尊)」があり、知名度は低いもののぜひ訪れておきたい空間となっています。

拝観情報

境内拝観時間:9時~17時

入山料200円・本堂拝観料400円

入山料(境内拝観)は、境内入り口の箱に200円を入れてください。受付は特に設けられていません。また、本堂拝観は本堂で拝観料をお支払いください。なお、お寺の都合で本堂は拝観できない場合もあります。

宿坊について

弘仁寺は、奈良のお寺では珍しく「お寺に泊まる」ことが出来る「宿坊」が設けられています。いわゆるホテルや旅館のような設備がある訳ではありませんが、山のお寺らしく実に静かな空間で心をリフレッシュして頂けるようになっています。また朝の勤行の時間に、本堂参拝を行うことも可能となっており、通常時の拝観とはまた違った体験をして頂けます。

宿泊料金(一泊二食付):大人7800円・小学生5000円(未就学児は無料。食事はなし)

※お部屋は和室となっています。設備は洗面所・お風呂・布団・扇風機・ストーブなどのみであり、エアコン等はありません。また各種アメニティ(歯ブラシなど)もご持参ください。

アクセス

各駅からのアクセス

奈良交通バス奈良市コミュニティバス

・JR奈良駅東口・近鉄奈良駅バス乗り場から「天理駅」・「下山」・「窪之庄」行き乗車、「下山」バス停下車、「下山」バス停から奈良市コミュニティバス「米谷町」行きに乗り換え、「高樋町」バス停下車、西に徒歩5分

※奈良市コミュニティバスは1日4本の運行で、行き帰りの時間を調整することが難しいダイヤとなっています。

・JR奈良駅、近鉄奈良駅からタクシーで約20~30分程度

・JR奈良駅東口・近鉄奈良駅バス乗り場から「天理駅」行き乗車、「窪之庄南」バス停下車、南東に徒歩40~50分程度

・JR帯解駅から南東に徒歩45~60分程度

※お寺の東側に拝観者専用の無料駐車場もあります。

近隣スポット

正暦寺から南西に徒歩45分~60分程度・南椿尾磨崖仏から西に徒歩30分程度・円照寺から南東に徒歩45分~60分程度・弘仁寺の南側は「白川溜池」エリア

弘仁寺周辺地図