【春日山原始林・春日山遊歩道】市街地のすぐそばに広がる圧倒的な「自然」

観光スポット・みどころ

当ページの内容を含め、奈良の観光スポットに関連する内容は原則としてコロナ禍前を中心とした状況に基づく「アーカイブ」的内容となっており、その後状況が変化している場合があります。
最新の状況については、各スポットに関する公式サイト、または観光協会などの情報発信などを別途ご確認下さい。

観光のご案内

都市に隣接する非常に珍しい原始林

春日山原始林(かすがやまげんしりん)は、奈良観光の拠点スポットの一つである「春日大社」の東側一帯に広がる広大な山林(森林)です。定義上は「奈良公園」エリアの一部にも含まれている春日山原始林は、春日大社の「神山」として深い信仰を集めて来た空間であり、平安時代の承和8年(841年)には既に伐採が禁じられ、狩猟目的での入山も禁じられてきた歴史を持っているため、人里に近い山林はほとんど「活用」され尽くしてしまい古木や大木が少ない日本の森林の中では非常に珍しく、「都市の真横」であるにも関わらずありのままの自然が広がる手つかずの「原始林」が守られ続けています。

「原始林」とは、森の中が「極相」と呼ばれる安定した状態になり、植生がもはやほとんど変化しない状況になった森林のことを言いますが、春日山原始林はまさにその典型であり、人が立ち入ったことがほとんどないような場所に計約800種類もの植物が生い茂る空間が比較的広範囲に渡って広がっています。また、春日山原始林は国の特別天然記念物に指定されているのみならず、東大寺や春日大社と同様に「古都奈良の世界遺産」の一部にも含まれています。

なお、地理としては、標高498メートルの花山を最高地点とする形で分厚い山林が広がっているほか、市街地や春日大社に近い西側には春日大社の神山としてとりわけ深い信仰を集める「御蓋山」があり、西側からみると山が二重に連なっているように見えることも特徴となっています。春日山原始林の全体像をご覧いただきたい場合、「飛火野」や「若草山」からご覧いただくと他の山とは異なるその佇まいをしっかりとご確認頂けるようになっています。

大部分は立ち入りできません

上記のように、人の立ち入りや資源の利用を禁じて来たからこそ春日山原始林は守られてきた歴史を持っているため、現在でも春日山原始林エリアは基本的には一切立ち入ることが出来ません。通行可能なのは次項で説明する「ハイキングコース(春日山遊歩道・滝坂の道)」のみとなっており、それ以外の山林内は「禁足地」となっています。ハイキングコースは「奈良奥山ドライブウェイ」を除いては春日山と若草山・高円山の間の沢沿いを通るルートとなっており、最も標高の高い「花山」などへアクセスすることも出来ません。木々の植生が「極相」となっているような場所は、そもそも道路や遊歩道が建設されていない場所のみとなっていますので、その点はご留意ください。

ハイキングコースについて

春日山原始林周辺を歩く「ハイキングコース」「春日山遊歩道」と「滝坂の道」の2種類となっており、このうち春日山遊歩道は春日山一帯を1周するようなルートとなっており、比較的歩きやすく、一部はドライブウェイと同じ道を通るルートとなっています。一方、春日山原始林の南側、高円山との間の沢筋をのぼる「滝坂の道」については軽登山の装備なくしては歩けない本格的なハイキングコースとなっています。

春日山遊歩道(北側)

春日山の周囲を縫うように伸びる「春日山遊歩道」。北側のルートは、春日大社末社の「水谷神社」及び若草山山麓に近い場所から「若草山」と「春日山原始林」の間の谷筋をひたすら登るルートとなっており、最終的には若草山の山頂近くへアクセス出来るようになっています。ハイキングコースの道は広々としており、極端な段差などもあまりなく、歩きやすいルートとなっています。

春日山遊歩道(南側)

春日山遊歩道の南側のルートは、春日大社境内南端付近から谷筋ではなく春日山原始林の「中腹」部分を縫うように進み、最終的には「首切地蔵」や「春日奥山道路」付近に到達するようなルートとなっています。道は管理事務所の原付が走行できるほどに整備されており、「原始林」の中を進む遊歩道とは思えないほど快適なルートとなっています。

春日奥山道路(春日山遊歩道の一部)

春日奥山道路は、春日山原始林を貫くように「若草山」近くから「高円山」近くまで伸びる道路であり、春日山遊歩道の南北を結ぶルートとなっています。また、「奈良奥山ドライブウェイ」の一部として未舗装・一方通行ながらも自動車の通行が可能な道路となっています。もっとも、ドライブウェイではありますが、交通量は基本的に非常に少ないため静かなハイキングコースとして歩くことも可能であり、日中でも薄暗いその雰囲気は、最も「原始林」らしさを感じられるルートとも言えるような環境となっています。

滝坂の道(柳生街道)

滝坂の道は、「柳生街道」として剣豪の里「柳生」エリアまで伸びる道の序盤部分の名称であり、「首切地蔵」付近までは比較的段差なども多い「石畳」の道が続くルートとなっており、人気ハイキングコースとなっています。地理的には「春日山原始林」と「高円山」の境界部分ではあり、かつ比較的険しい道ではありますが、年間を通して涼しい水辺のハイキングコースですので、健脚の方にはおすすめ出来るルートとなっています。

ルートマップ

次項では、交通アクセスについてご案内致します。

アクセス(電車・バス)

各ハイキングコースのスタート地点まで

春日山遊歩道(北ルート)

JR・近鉄奈良駅から奈良交通バス「春日大社本殿」行き乗車、終点「春日大社本殿」バス停下車、北東に徒歩約6分

大仏殿前駐車場バス停(駅からはぐるっとバス「奈良公園・大宮通りルート」などでアクセス)からぐるっとバス(土日祝日・観光シーズンのみ運行)若草山麓ルート乗車、「若草山麓」バス停下車、東に徒歩約2分

春日山遊歩道(南ルート)

JR・近鉄奈良駅から奈良交通バス「市内循環外回り」・「中循環外回り」・「高畑町」・「山村町」・「藤原台」・「鹿野園町」行き乗車、「破石町」バス停下車、東に徒歩約15分

滝坂の道

JR・近鉄奈良駅から奈良交通バス「市内循環外回り」・「中循環外回り」・「高畑町」・「山村町」・「藤原台」・「鹿野園町」行き乗車、「破石町」バス停下車、東に徒歩約18分

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