興福寺中金堂

【興福寺中金堂】平成30年に天平様式で再建された「興福寺の中心」となる巨大な仏堂

ごあんない

奈良を代表する「仏堂」として歴史に名を刻んだ存在

興福寺「中金堂(ちゅうこんどう)」は、世界遺産「興福寺」の境内中央、五重塔・東金堂の西側の広々とした空間に建つ興福寺境内では最大規模の仏堂です。

平城京に遷都し奈良時代が幕を開けた和銅3年(710年)頃に成立した興福寺において、その当初から中心的なお堂として建立されたとされる中金堂は、丈六釈迦如来像をその中心部に配置し、脇侍としては薬王菩薩像・薬上菩薩像・2体の十一面観音菩薩像を置き、四天王像・弥勒浄土像も安置していたとされており、奈良のお寺においても東大寺大仏殿に次ぐような規模を有する非常に重要な存在であったとされています。

「8回目の再建」が平成30年に完成しました

なお、奈良時代以降は受難の歴史を歩み、平安時代の永承元年(1046年)に初代中金堂が焼け落ちてからというもの計7回の焼失を経験することになりました。中金堂は6回目の焼失まではその都度しっかりと再建されてきましたが、江戸時代の享保2年(1717年)に7度目の焼失となった後は1世紀ほど再建されず、文政2年(1819年)に再建されたものも「仮金堂」と呼ばれる小さなものとなっていたため構造上も弱く、平成12年(2000年)には取り壊しが行われ、その後創建当初のスケールを持つ中金堂を復興することになり、平成22年(2010年)に工事が着工し、8年間の計画で中金堂の再建が進められることになりました。

再建された中金堂は、興福寺に関わる歴史資料や唐招提寺金堂の建築様式などを参考に復元されたものであり、東西の間口は約37メートル、南北の奥行きは約23メートル、高さは約20メートルの規模となっており、東大寺大仏殿には及ばずとも、唐招提寺金堂や薬師寺大講堂に匹敵、もしくは少し上回るような規模を有しており、平成の世において建造された最大規模の木造建築物となっています。

堂内の仏像について

本尊木造釈迦如来坐像

中金堂の中央部にその堂々たる姿を見せている本尊の木造釈迦如来坐像。現在のものは江戸時代の文化8年(1811年)に造立されたものであり比較的新しく、重要文化財などにも指定されている存在ではありませんが、朱塗りの柱や仏画が描かれた法相柱など色鮮やかな堂内の風景に非常に良く似合うどっしりとした古様に則った造りとなっています。なお、奈良時代の創建当初に祀られていた初代の釈迦如来像は飛鳥時代の大化元年(645年)に興福寺を後に氏寺とする藤原氏の祖、藤原鎌足が蘇我入鹿打倒を願い造立した釈迦如来像であるとされています。

木造四天王立像(国宝)

本尊釈迦如来を中央に安置する須弥壇の四方に安置されている堂内で唯一の国宝の木造四天王立像は、かつては北円堂・南円堂に安置されていたものであり、鎌倉時代に造立された像高2メートルほどの仏像となっています。いずれの像も躍動感・迫力のある佇まいが特色となっており、奈良で最も有名な四天王像とも言える東大寺戒壇堂が比較的静かな雰囲気なのとは対照的な雰囲気を感じさせ、鎌倉彫刻の典型とも言える存在となっています。なお、作者は鎌倉時代の興福寺の復興にも大きく関わった非常に有名な仏師「運慶」であると考えられています。

木造薬王・薬上菩薩立像(重要文化財)

鎌倉時代の建仁2年(1202年)に造立された木造薬王・薬上菩薩立像は、かつての西金堂本尊の脇侍であったと考えられている像高3.5メートルほどの仏さまであり、本尊に近い側の膝を少し折り曲げた姿勢が印象的なお姿となっています。

厨子入り木造吉祥天倚像(重要文化財)

本尊釈迦如来の裏手に安置されている厨子入り木造吉祥天倚像(きっしょうてんいぞう)は、仏師寛慶が造像し絵師命尊が彩色を手掛けたものとなっており、南北朝時代の暦応3年(1340年)に造立され、唐招提寺の長老が開眼供養を行った上で唐招提寺から興福寺へ移されたものとなっています。現在も彩色は非常に美しい状態で残されている木造吉祥天倚像は、像を納める春日厨子の扉には梵天・帝釈天も描かれるなど細部にわたるまで興味深い存在となっています。

木造大黒天立像(重要文化財)

像高1メートル弱とその他の像と比較すると小ぶりな木造大黒天立像は、鎌倉時代に造立されたものとされており、一般的な打ち出の小づちを持って笑みを浮かべるふくよかな男性の姿ではなく、頭巾を被って短い袴を身に着けた上で、厳しい表情を浮かべる青年のような佇まいとなっており、江戸時代に現在の大黒様のスタイルが成立する以前の貴重な形態となっています。

拝観情報

興福寺中金堂は、その他の東金堂・国宝館・北円堂などとの共通拝観券はありません。中金堂を拝観する場合には中金堂の拝観料金が必要となっています。

◇拝観時間

9時~17時(入堂は16時45分まで)

◇拝観料

大人(大学生以上)500円・中高生300円・小学生100円

※団体(30名以上)の場合大学生以上400円・中高生200円・小学生90円

※障害者手帳の提示で大学生以上250円・中高生150円・小学生50円となります。

※奈良市ななまるカードをお持ちの方は手帳呈示で無料となります。

アクセス

興福寺中金堂周辺地図