【東大寺戒壇堂】見る者を圧倒する「四天王像」を安置する鑑真ゆかりの空間

東大寺戒壇堂 観光スポット・みどころ

当ページの内容を含め、奈良の観光スポットに関連する内容は原則としてコロナ禍前を中心とした状況に基づく「アーカイブ」的内容となっており、その後状況が変化している場合があります。
最新の状況については、各スポットに関する公式サイト、または観光協会などの情報発信などを別途ご確認下さい。

観光のご案内

日本初の正式な「受戒」の場

東大寺戒壇堂(かいだんどう・戒壇院)は、東大寺「大仏殿」の西側、入江泰吉旧居や依水園などといった観光スポットのある「水門町」界隈にもほど近い位置にあるお堂です。

戒壇堂という存在は、僧侶になるためにそれぞれが守るべき行動規範とも言える「戒」を授けるための施設であり、東大寺の戒壇堂は戒律制度などが不十分で合った日本においてしっかりとした受戒の仕組みを整えるために初めて整備されたものとなっています。その創建は、唐から失明をするなど数多の苦労を経て日本にやってきた渡来僧であり唐招提寺の開祖としても広く知られる鑑真和上が天平勝宝6年(754年)に大仏の前において聖武上皇・光明皇后・孝謙天皇ら約440人の人々に戒を授けた後、翌年天平勝宝7年(755年)にこの地に受戒の場として建物を建立した時点にさかのぼる歴史を持っています。創建後は江戸時代になるまでに平安・室町時代(戦国時代)に既に3回も火災で失われるなど受難の歴史を歩み、当初存在した講堂や僧坊・廻廊といった施設はなくなったものの、現在は江戸時代の享保17年(1732年)に再建された建物(重要文化財)が残されています。

堂内の仏像について

国宝四天王立像

戒壇堂の象徴として広く知られ、奈良時代の仏教美術を代表する存在として名高い存在でもある国宝四天王立像は、持国天・増長天・広目天・多聞天のいずれも像高1.6~1.7メートルほどの塑像となっています。その造立年代から1300年近くこの戒壇堂で祀られていたと思われがちですが、そのルーツ自体はこの「戒壇堂」ではなく別のお堂に安置されていたものとなっており、かつて法華堂に安置されており、現在は東大寺ミュージアムの所蔵となっている日光・月光菩薩立像との関連性なども推定されています。また、戒壇堂には別の四天王像が祀られていたと考えられており、そちらは塑像ではなく金銅の像であったとされています。

四天王像は、中央にある多宝塔の周囲の四隅に安置されており、お堂を入って手前側に安置されている持国天・増長天ははっきりと目を見開いた上で激しい怒りの表情を見せる一方、多宝塔の裏手に安置されている多聞天と広目天については、目を細めた上で厳しい表情を浮かべており、単なる憤怒ではなく見透かされたような気分にさせられる「凄み」を有しています。もっとも、持国天・増長天を含め四天王像は憤怒の表情が「誇張」ではなく自然なリアリティによって生み出されており、全体を見れば四体揃った均整の美も感じさせるものであり、まさに「天平時代の美意識」を感じさせる像として名高い存在となっています。

なお、四天王が身に着ける鎧の部分が動物の顔となっていたり、下部にはユニークな表情を浮かべる邪鬼がみられるなど、四天王の表情とは異なる部分もみどころとなっています。

多宝塔・釈迦如来坐像・多宝如来坐像

中央部に設けられている多宝塔は戒壇堂と同じく享保17年(1732年)に再建されたものとなっていますが、その内部には現在は東大寺ミュージアムに収蔵されている奈良時代に造立された釈迦如来坐像・多宝如来坐像のレプリカが祀られています。東大寺ミュージアムのものは、戒壇堂創建期の造立とも言われ重要文化財にも指定されており、実に穏やかな表情が特徴となっています。

隣には「千手堂」も

なお、戒壇院エリアには、この「戒壇堂」以外には「千手堂」と呼ばれる小さなお堂も西側に設けられています。千手堂は近年になり火災で焼失した後再建された東大寺では最も新しい建造物の一つであり、本尊としては鎌倉時代後期に造立された木造十一面千手観音立像がお祀りされているほか、四天王立像、重要文化財の鑑真和上坐像なども安置されています。

次項では、拝観に関する情報を解説していきます。

拝観情報

2020年7月1日以降は、改修のため3年間程拝観不可となります。

※閉鎖中については、四天王立像が東大寺ミュージアムで拝観可能となる他、隣接する千手堂が特別に公開(一部期間は拝観出来ない場合あり)されます。各種の詳細については、東大寺の発信する公式的な情報をご確認ください。

次項では、交通アクセスについてご案内致します。

アクセス(電車・バス)

近鉄・JR線各駅からのアクセス

奈良交通バス

JR奈良駅西口・近鉄奈良駅より「青山住宅」・「州見台八丁目」行き乗車、「押上町」バス停下車、北東に徒歩5分

JR奈良駅東口・近鉄奈良駅より「市内循環外回り」・「中循環外回り(近鉄奈良駅からのみ)」・「高畑町」・「春日大社本殿」行き乗車、「県庁東」バス停下車、北に徒歩7分

近鉄奈良駅から北東に徒歩約18分

周辺のみどころ・観光スポット

東大寺千手堂から東にすぐ・入江泰吉旧居から北に徒歩2分・勧進所から南西に徒歩3分・指図堂から南西に徒歩3分・大仏殿から西に徒歩3分

戒壇堂周辺地図