【奈良国立博物館】「正倉院展」で有名な日本を代表する博物館は「仏教美術の宝庫」

概要

奈良国立博物館は、奈良公園エリアの中心部、東大寺・春日大社・興福寺からも近い「奈良観光の拠点エリア」とも言える位置にある日本で4か所設けられた国立博物館のうちの一つです。

この博物館は、とりわけ飛鳥時代や奈良時代も含めた日本(奈良)の「仏教美術」に特化した博物館として、年間を通して多数の国宝級の仏教美術が展示されているほか、一般的にはシルクロードを通り海を越えて日本にもたらされた「正倉院宝物」を展示する「正倉院展」の会場としてよく知られた存在となっており、日本最大級の「仏教美術の宝庫」として大勢の観覧者でにぎわいを見せる博物館となっています。

奈良国立博物館の「みどころ」

名品展「珠玉の仏たち・珠玉の仏教美術」

奈良国立博物館が収蔵する、もしくは奈良国立博物館に他のお寺などから寄託されている多数の国宝・重要文化財などの仏教美術については、通年「名品展」という形で常設的な展示(ジャンル別・特集展示もあり)が行われています。展示スペースは、「なら仏像館」では「珠玉の仏たち」として通年実施されており、特別展が行われていない時期は西新館でも「珠玉の仏教美術」と題した名品展が行われています。

名品展では、基本的には飛鳥時代・奈良時代・平安時代・鎌倉時代に造立された仏像と、一部では中国の魏・唐代の仏像も展示されており、単純な国宝の数では興福寺国宝館などには劣りますが、なら仏像館だけでも100体近くに及ぶその規模やジャンルの幅広さは日本有数の展示となっています。

名品展「中国古代青銅器」

仏教美術の保存、研究がメインの奈良国立博物館ですが、「なら仏像館」の南側にある「青銅器館」においては古美術商店「不言堂(ふげんどう)」の初代社長坂本五郎氏より寄贈された380点余りにのぼる中国古代の青銅器のコレクション(坂本コレクション)の一部が陳列・展示されています。

コレクションは中国古代の「商」・「殷」から漢代頃までの2000年余りの期間の青銅器となっており、青銅製容器・楽器のほか武器・車馬具・農工具・文具なども含まれており、古代の工芸品としての美術的価値のみならず、3000年以上昔の古代中国を物語る歴史遺産としても大変価値の高いものとなっています。

正倉院展

奈良で行われる展覧会の中で最も有名な存在として知られる「正倉院展」。正倉院展は毎年10月下旬から11月中旬にかけての約2週間に渡り実施される展示企画となっており、「正倉院宝物」として宮内庁が保有する奈良時代の工芸品、またシルクロードを通り日本に輸入されたペルシアや中国由来の工芸品などが展示されます。

展示内容は基本的に毎年膨大な宝物の中から異なるものが展示されるため、ご覧いただく宝物は「一生に一度」しか見ることが出来ない可能性が高い大変貴重なものとなっています。

特別陳列・特別展など

正倉院展の他にも、大きな展示スペースを持つ西新館・東新館では年間数回程度様々なテーマに基づいた「特別展」・「特別陳列」・「特集展示」が行われています。これらの展示は国立博物館所蔵のもののみならず、2018年に行われた特別展「国宝 春日大社のすべて」では春日大社が所蔵する宝物、文化財が多数展示されるなど、他の寺社・施設の文化財が一堂に会するような展示が行われることもあります。

奈良国立博物館内の施設について

奈良国立博物館は、大きくは正倉院展など特別展の会場となる「西新館」・「東新館」、またかつては本館として用いられ、現在は名品展を行うスペースとなっている「なら仏像館」や中国古代の青銅器を展示する「青銅器館」に分かれています。

なら仏像館

なら仏像館は、名品展「珠玉の仏たち」が通年に渡り実施される空間となっています。建物は明治27年(1894年)に奈良国立博物館が開設された時に宮内省内匠寮技師の片山東熊氏の設計により建てられた建物で、奈良で初めて建設された本格的な洋風建築となっており、フレンチルネサンスの様式を取っています。昭和44年 (1969年)には「旧帝国奈良博物館本館」として重要文化財にも指定されている建物は仏像の宝庫としてのみならず、建物自体の意匠も一つの「みどころ」となっており、奈良を代表する近代建築の雰囲気に浸りながら仏教美術を鑑賞するという贅沢な時間をお過ごしいただけるようになっています。

【旧帝国奈良博物館本館(なら仏像館)】「仏教美術の宝庫」は明治期の貴重な本格的洋風近代建築

青銅器館

奈良国立博物館「青銅器館」

青銅器館は、名品展「中国古代青銅器」を通年実施する空間となっており、昭和12年(1937年)に収蔵庫として建設された施設を展示室に転用したものとなっています。青銅器館はなら仏像館と南北に一続きとなっており、日本を中心とした仏教美術と中国古代文化を同時に味わえるようになっています。

東新館・西新館

奈良国立博物館東新館・西新館前の風景

東新館・西新館は奈良国立博物館における現在の中心的な展示空間として利用されている施設です。東新館は基本的に特別展・特別陳列などのみに使用される空間となっており、西新館は名品展「珠玉の仏教美術」と特別展などの双方に用いられており、仏教美術などに関する図書コーナーも設置されています。それぞれの新館の間には観覧券売り場もあり、正倉院展のシーズンになると新館前に入館待ちの行列が出来ることもあります。

地下回廊(ミュージアムショップ・レストラン)

地下回廊は、新館となら仏像館の間に設けられた連絡通路となっており、仏教美術などに親しんで頂くための学習コーナーや、ミュージアムショップ・レストランも設けられた空間となっています。

ミュージアムショップでは、展覧会の目録や美術関連の書籍、仏像をあしらったクリアファイル・Tシャツ・スタンプ、正倉院模様をあしらったハンカチやスカーフなどの博物館オリジナルグッズも販売されているほか、カフェレストランでは気軽なお食事や喫茶をお楽しみ頂けるようになっています。

なお、地下回廊エリアは観覧料金は不要であり、奈良公園エリアからそのままお入り頂けるようになっていますので、観光の途中で一息つくスペースとしても活用されています。

仏教美術資料研究センター(旧奈良県物産陳列所)

奈良国立博物館仏教美術資料研究センターは、新館の南側にある仏教美術に関する膨大な資料を保存する施設となっており、通常時は毎週水曜日・金曜日に研究目的の利用に限り入館可能な施設となっています。

建物は明治35年(1902年)に建設された奈良ホテルなどにも似た印象を感じさせる近代和風建築となっており、建築史学者関野貞により和風・洋風・イスラームの様式を折衷させたユニークな意匠が取り入れられた貴重な建築となっており、かつては奈良県物産陳列所として使用されていたものとなっています。基本的に研究目的の利用のみとなっていますが、春先には建物の一部が一般公開され近代建築文化にも親しんで頂けるような機会も設けられており、公開中は多数の見学者が訪れる施設にもなっています。

【旧奈良県物産陳列所】平等院を模した近代建築は和洋・イスラームなど様々な意匠を取り入れる

庭園
奈良国立博物館の中庭(庭園)

奈良国立博物館の敷地内には、東西新館の南側に美しい庭園が広がっており、かつてはガイド付きの特別公開などでしか立ち入ることが出来ませんでしたが、現在は春などの一部期間のみ博物館の観覧券をお持ちの場合は自由に散策して頂けるようになっています。庭園は質素な佇まいですが、古い燈籠や南北朝時代の宝篋印塔なども設けられているほか、中央には茶室「八窓庵」があるなど「奈良国立博物館」の雰囲気にふさわしい優美な風景が広がっています。

茶室八窓庵

博物館の南側、庭園の中央部に設けられている茶室「八窓庵」は、興福寺にかつて存在した塔頭「大乗院」に付属していた「大乗院庭園(現在も名勝旧大乗院庭園として現存)」の敷地内にあった茶室で、江戸時代中頃に建立された「含翠亭」とも呼ばれていた多窓式茶室を移築したものとなっています。貸館専用となっているため、見学の催しが特別に実施される場合を除き、また茶室を借りて利用する場合を除き基本的に内部の見学はできませんが、新館内部から、また庭園が公開されている時期には建物の間近から茶室の外観をご覧いただけるようにもなっています。

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春日東西塔跡

国立博物館に直接関係するものではありませんが、博物館の敷地付近にはかつて春日大社に存在した東西の巨大な七重塔の跡が残されており、複数の礎石がその規模を物語っています。塔跡は「鹿」の群れが集う場所にもなっており、周辺は鹿と戯れる観光客の姿も多くなっています。

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利用案内

観覧料金

名品展:大人520円・大学生260円・高校生以下無料

※20名以上の団体は大人410円・大学生210円

◇中学生以下の子どもと大人が入館する場合、大人は団体料金扱いに割引となります。

◇7月・8月・12月・1月の開館時間の延長日の17時以降の入館の場合、団体料金扱いに割引となります。

◇毎月22日「夫婦の日」には夫婦でお越しの方は団体料金扱いに割引、11月22日のみ夫婦でお越しの方は無料となります。

特別展・共催展の料金:展覧会ごとに異なります(正倉院展の場合当日料金は大人1100円・高校生及び大学生700円・小中学生400円)

無料観覧日(名品展に限る):節分(2月3日)・こどもの日(5月5日)・国際博物館の日(5月18日)・敬老の日・関西文化の日(11月中旬頃の土日)

※お支払いには、現金の他クレジットカード (VISA・JCB・AMEX・Diners・DISCOVER)・電子マネー (PiTaPa・ICOCA)・銀聯カードもご使用になれます。

開館時間

通常時:9時30分~17時30分

◇名品展及び特別陳列については毎週金・土曜日は20時まで開館(12月29日・30日は除く)

◇なら燈花会期間中(8月5日~14日)は19時まで開館(金曜日・土曜日は21時まで開館)

◇万灯供養(8月15日)・おん祭お渡り式当日(12月17日)・お水取り籠松明の日(3月12日)は19時まで開館

◇東大寺二月堂修二会(お水取り)期間中(3月1日・4日~8日・11日・13日・14日)は18時まで開館

◇なら瑠璃絵期間中(2月8日~14日)は20時30分まで開館(金・土曜日は午後9時まで開館)

◇この他にも正倉院展・特別展開催時などには開館時間が延長されることが多くなっています。詳細は奈良国立博物館公式ウェブサイトをご覧ください。

休館日

月曜日(祝日の場合翌日・連休期間中の場合連休明けの平日)・1月1日

◇正倉院展開催期間などは臨時開館となる場合があります。詳細は奈良国立博物館公式ウェブサイトをご覧ください。

交通アクセス ~博物館へは、奈良交通バスのご利用が便利~

バスによるアクセス

・JR奈良駅2番バス乗り場・近鉄奈良駅1番バス乗り場から奈良交通バス「市内循環外回り」・「中循環外回り(近鉄奈良駅からのみ)」・「高畑町」・「春日大社本殿」行き乗車、「氷室神社・国立博物館」バス停下車、南にすぐ

お帰りは博物館新館前の「東大寺大仏殿・国立博物館」バス停から「市内循環内回り」もしくは「JR奈良駅」方面行きをご利用ください。

※バスは行き、帰りともに運行本数は多く、複数の系統を合わせると3~5分程度(遅延発生時も基本的には10分以内)待てばバスが利用できる場合が多くなっています。

徒歩によるアクセス

・近鉄奈良駅から東に徒歩約15分(東側出口から案内表示に従い奈良公園エリアのバス通り沿いを東に進みます)

・JR奈良駅から東に徒歩約30分(「三条通り」を東に進み、猿沢池・興福寺周辺を通り奈良公園エリアへアクセスします)

車でのアクセスはおすすめしません

奈良国立博物館には、博物館が運営する専用駐車場は一切設けられていません。また、博物館近隣には比較的駐車料金の高い駐車場が数か所ありますが、台数に限りがあるため観光シーズンには渋滞に巻き込まれるのみならず「駐車料金が高い上に満車」となるケースも多くなっていますので、マイカーで奈良国立博物館にお越しになることは一切おすすめできません。