【薬師寺東院堂】東塔と同じく「国宝」に指定されたお堂には美麗な白鳳仏が安置される

観光スポット・みどころ

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境内では貴重な落ち着いた佇まいの国宝建築

薬師寺「東院堂(とういんどう)」は薬師寺の「白鳳伽藍」の南東側、大津皇子ゆかりの境内社「龍王社」の北側、東側の回廊と向かい合う位置に建つ正面7間・側面4間の規模を持つ入母屋造りの仏堂です。

歴史は古く、当初の東院堂は奈良時代初頭の養老年間(717年~724年)に元明天皇の次女にあたる吉備内親王が元明天皇の冥福を祈るために建立した存在にさかのぼります。なお、この当初の東院堂は、現在はため池になっており、境内の東側に隣接する「観音池」付近にあったとされており、その後平安時代中頃の天禄4年(973年)の火災によって焼失したとされています。

現在の東院堂は、その後鎌倉時代の弘安8年(1285年)に現在地付近に南向きの建物として再建され、更に江戸時代の享保18年(1733年)には現在と同様の西向きの建築に変更されたとされています。

建物は東塔と同じく国宝に指定される境内では貴重な存在となっており、大仏様と呼ばれる鎌倉時代の様式を一部取り入れつつも基本的には古式に則った「和様」を基調とする佇まいとなっています。なお、その他の再建建築が朱色を基調とした華やかなものとなっているのに対し、東院堂は唐招提寺などの雰囲気に近い落ち着いた佇まいにもなっています。

文化財-白鳳仏と鎌倉期の四天王像を安置しています

本尊聖観世音菩薩像(国宝・白鳳時代)

東院堂の本尊である聖観世音菩薩像は、奈良時代以前の「白鳳時代(飛鳥時代)」に造立された国宝の仏さまであり、衣の襞(ひだ)や浮き上がった足の美しい表現などはインドのグプタ朝時代における文化の影響を受けたとも考えられています。新調されている光背と黒光りの仏さまの対照的な雰囲気なども含め、金堂のご本尊でいらっしゃる薬師如来像と双璧を成す美麗な仏像とも言える存在であり、薬師寺を拝観する際には必見の仏像となっています。

四天王像(鎌倉時代)

聖観世音菩薩像を守護する形で四体の像が並ぶ「四天王像」は、かつて存在した東大寺大仏殿の四天王像に近似しているともされ、海住山寺の四天王像などと同じく「大仏殿様四天王像」の一つとして数えられる存在になっています。同様の四天王像は鎌倉時代に多数造立され、全体的に誇張的かつ華美な表現が特徴となっており、ダイナミックな印象を感じさせる仏像となっています。

拝観者は多くない穴場スポットです

東院堂は、建築も「国宝」であり、仏像も「国宝の白鳳仏」という大変貴重な空間となっているにも関わらず、境内の南東端にありかつ回廊の外側に位置しているため知名度が低く、すぐ近くの金堂や東西塔周辺と比較すると観光客の姿が余り見られないスポットになっています。

東院堂へは、金堂南側の「中門」の外側から東側の回廊沿いに進むか、北側拝観受付から鐘楼周辺を通りそのまま南に進んで頂くとすぐに到着しますので、薬師寺拝観時にはぜひ東院堂も忘れずに拝観してみてはいかがでしょうか。

薬師寺東院堂の風景

薬師寺東院堂

薬師寺の伽藍の中では珍しく「朱色」が一切見られない仏堂である東院堂。隠れた「国宝建築」となっているため、拝観者の数はそれほど多くはありません。

※薬師寺の境内へ入る際には「拝観料」が必要です。また、拝観時間などにもご注意下さい。

アクセス(電車・バス)

交通アクセス

近鉄西ノ京駅からから南西に徒歩3分

奈良交通バス「薬師寺」バス停から南西に徒歩3分

※北側拝観受付まで

周辺のみどころ・観光スポット

薬師寺北側拝観受付から南に徒歩3分・中門から東に徒歩2分・大講堂から南東に徒歩2分・鐘楼から南に徒歩2分・玄奘三蔵院伽藍から南に徒歩4分

薬師寺東院堂周辺地図