【薬師寺金堂】「白鳳美術の最高峰」として名高い薬師三尊像を安置する空間

ごあんない

白鳳時代の建築様式を再現した薬師寺の中心的な仏堂

薬師寺「金堂(こんどう)」は、薬師寺の白鳳伽藍の中心部に東西の塔や大講堂などに囲まれる形でそびえ立つ大規模な仏堂です。規模は大講堂には及びませんが、正面の長さ約27m・奥行約16m・高さは約20mというスケールは十分な威容を放つものであり、「金堂」という名にふさわしい存在となっています。

金堂建築の歴史は古く、奈良時代にこの薬師寺が創建された時代からあったもので、二重二閣・五面四間・瓦葺、そして美しい裳階(もこし)を設けた美しい佇まいを持ち、昔から薬師寺の中心的なお堂として機能していたと考えられています。美麗なその美しい佇まいは「竜宮造り」と呼ばれる存在になっていますが、享禄元年(1528年)に兵火により焼失しその後は仮堂止まりで長らく再建されることはありませんでした。現在の金堂は、昭和51年(1976年)4月に薬師寺が本格的な復興事業を行う中でその象徴的存在として再建が図られたもので、「竜宮造り」の美しい佇まいを可能な限り再現したものとなっており、鉄筋コンクリートを用いるなど現代的手法も用いられているものの、外観としては薬師寺の前身寺院である本薬師寺の時代(白鳳時代)の建築様式にも近づけた存在となっています。

圧巻の本尊「薬師三尊像」

堂内には、国宝に指定されている薬師三尊像(登録名称:銅造薬師如来及両脇侍像 3躯)が安置されており、中尊は像高2.5メートルほどの薬師如来左脇侍(向かって右側)には像高3メートル少々の日光菩薩(にっこうぼさつ)、右脇侍(向かって左側)にこちらも像高3メートル少々の月光菩薩(がっこうぼさつ)が安置されています。造立は飛鳥時代後期(白鳳時代)頃と考えられており、仏像という存在が日本独自の表現手法を獲得していく時代を代表する貴重な存在となっています。男性的で重厚感のある薬師如来、首や腰をひねって異なる表現を生み出す「三曲法」と言われる姿勢を取る日光・月光菩薩さまはそれぞれ異なる魅力を感じさせるものですが、全体を通して艶やかかつ均整の取れたリアリティある佇まいを基調とし、衣のなめらかな表現なども含めて大変上品な雰囲気を感じさせるものであり、白鳳時代の仏教美術の最高傑作、日本の仏教美術を代表する存在として大変名高い存在になっています。なお、「光背」については江戸時代に補われたものであり、金色のきらびやかな光背と艶やかな黒光りの薬師三尊像の対照的な雰囲気もまたユニークな存在となっています。

薬師如来像の「台座」にもぜひご注目を

中尊である薬師如来像は、箱型の「宣字座」と呼ばれる台座に仏様の裳が掛かる形となった「裳懸座」と呼ばれる台座に乗っており、台座にはギリシア文化に由来する葡萄唐草文様(ぶどうからくさもんよう)、その下部にはペルシャ文化に由来する蓮華文様(れんげもんよう)が確認できるようになっています。また箱型となった台座のそれぞれの面には、インド文化に由来する力神(蕃人)裸像が彫り込まれており、更に中国文化に由来する四方四神(青龍・朱雀・白虎・玄武)の彫刻まで彫られており「シルクロード」を通り日本まで移入されてきた様々な文化が混交した大変エキゾチックな台座となっており、他には類を見ない大変貴重なものとなっています。

薬師寺「金堂」の風景

薬師寺白鳳伽藍の南側の入り口である「中門」付近に広がる小高い空間からは裳階などが印象的な「金堂」の美しい佇まいを思う存分味わって頂けるようになっています。

なお、金堂は高さのある建築なので、金堂の直下、入り口付近よりも中門など少し離れた場所からご覧になって頂くほうが全体像を把握しやすくなっています。

拝観情報

※金堂・大講堂・東院堂などは通常の拝観料をお支払い頂くことでいずれも拝観して頂けます。

拝観料:大人1100円・中高生700円・小学生300円(料金は玄奘三蔵院伽藍公開時のもの・非公開時は大人800円・中高生500円・小学生200円)

拝観時間:8時30分~17時(受付は16時30分まで)

アクセス

交通アクセス

近鉄西ノ京駅からから南西に徒歩3分

奈良交通バス「薬師寺」バス停から南西に徒歩3分

※北側拝観受付まで

近隣スポット

薬師寺北側拝観受付から南に徒歩3分・大講堂から南にすぐ・西塔から北東にすぐ・東塔から北西にすぐ・玄奘三蔵院伽藍から南に徒歩4分

薬師寺金堂周辺地図