【薬師寺】白鳳時代の面影を味わえる一方で多数の真新しい仏堂も立ち並ぶ奈良有数の巨大寺院

観光スポット・みどころ

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概要

薬師寺(やくしじ)は、奈良市の西部、東大寺・興福寺などのある奈良駅周辺エリアからは少し離れた「西の京」エリアに「唐招提寺」とともに広々とした境内を広げる奈良を代表する寺院の一つです。

奈良時代は南都七大寺の一つとして大いに繁栄したお寺は、昭和の中頃までは荒廃した状況も見られましたが、その後全国的な規模で行われた勧進の推進などもあり、金堂をはじめ多数の仏堂・建築を再建し、現在では奈良市内のお寺としては最も伽藍(境内)がよく整ったお寺となっており、多数の拝観者を集めています。境内はその他の寺院と比較すると草木は多くなく、「自然」よりも「建築」のみどころが多いお寺となっていますが、夏になると食堂・大講堂周辺には「蓮」の花が咲き誇ることでも知られ、近隣の蓮の名所である「喜光寺」・「唐招提寺」と合わせ「ロータスロード」と呼ばれる存在にもなっています。

歴史-昭和以降の「復興」の勢いは日本一とも

奈良を代表する寺院の一つである薬師寺の歴史。その創建は奈良時代以前にさかのぼる天武天皇9年(680年)に現在の奈良県橿原市にあたる場所にあった「藤原京」に設けられた同名の「薬師寺」と呼ばれる寺院にルーツを持ちます。この薬師寺は天武天皇が皇后の(後の持統天皇)病気回復を願って建立したお寺となっていますが、祈願した天武天皇自身はすぐにお亡くなりになり、その後の薬師寺の整備は祈願された側である「持統天皇」などにより推進されていくことになりました。

その後、和銅3年(710年)に藤原京から平城京へ遷都した際には藤原京の薬師寺は廃寺となることなく存続し、一方で遷都後10年ほど経った時期には新たな奈良の「薬師寺」として平城京の地に伽藍(境内)が整備されはじめることになり、これが現在の薬師寺そのもののルーツとなっています。奈良時代には朝廷からの直接的な援助のもと薬師寺は大いに発展し、金堂・東塔・西塔などが次々と整備されていくことになり、「南都七大寺」の一つとして大いに発展することになりました。

一方、奈良時代が終わるとその他のお寺と同様衰退傾向となり、平安時代の天禄4年(973年)に発生した火災、また戦国時代の享禄元年(1528年)に派生した兵火では多数の建物が被害を受けることになりました。しかしながら、当初のお寺の規模と比較すると壊滅的な状態に陥った大安寺や元興寺などと比較すると薬師寺は一定の規模は維持したまま近代を迎えます。また、昭和の中頃からは「高田好胤」管長のもと、「写経勧進」などを推進することで資金を集め、金堂・西塔の再建、そして平成以降は玄奘三蔵院伽藍・大講堂・食堂と次々と巨大建築の再建を進め、奈良を代表する観光寺院として日本の寺院の中でも最も顕著な「復興」を成し遂げたお寺となっています。

主要な仏像・文化財のご紹介

薬師寺は、興福寺ほどの所蔵数ではありませんが、多数の国宝・重要文化財の仏像などを所蔵し、奈良のお寺でも有数の「文化財の宝庫」となっています。

薬師三尊像(国宝)

国宝に指定されている薬師三尊像は、金堂にお祀りされているご本尊であり、造立年代は奈良時代以前の「白鳳時代(飛鳥時代)」となっています。仏さまは白鳳美術らしい素朴さを感じさせる中にも圧倒的なリアリティ、均整の美を感じさせる存在となっており、その優美な佇まいは「白鳳美術」はおろか、日本における仏像の最高峰とも評価されることもある大変有名な仏像として知られています。

弥勒三尊像(重文)

大講堂のご本尊である弥勒三尊像は、ずんぐりとした佇まいの弥勒菩薩と動きのある佇まいの両脇侍からなる三尊像であり、かつては阿弥陀三尊・薬師三尊などと呼ばれていた少し変わった経歴を持つ仏さまとなっています。造立年代はやはり古く、白鳳時代から奈良時代頃にかけての造立と考えられています。

仏足石・仏足石歌碑(国宝)

仏さまの足の形をかたどった石である「佛足石」、そして佛足石を礼賛した歌などが記されている仏足石歌碑は、弥勒三尊像と同じく大講堂の内部に安置されており、仏足石は奈良時代の天平勝宝5年(753年)に造られた日本最古の仏足石として知られています。

聖観世音菩薩像(国宝)

知名度がやや低い境内南東端の国宝建築「東院堂」の内部にお祀りされている聖観世音菩薩像は、衣の襞(ひだ)の様子などが実に優美な雰囲気を感じさせる仏さまであり、インドのグプタ朝時代の様式から影響を受けた仏像となっています。造立年代は金堂本尊の薬師如来と同様白鳳時代のものであり、薬師寺の中でも大変貴重な仏像の一つとなっています。

薬師寺のみどころ・風景

薬師寺は、金堂や東西塔など主要な仏堂・建築の位置する「白鳳伽藍」、そしてその北側に新しく整備された「玄奘三蔵院伽藍」の2つに分かれています。白鳳伽藍の一部は年間を通して拝観できるようになっていますが、玄奘三蔵院伽藍は1年の半分程度しか公開されていません。

金堂

南側の「白鳳伽藍」の中心部にある薬師寺を象徴する存在の一つである「金堂」。こちらは「白鳳時代(飛鳥時代後半)」に造立された本尊「薬師三尊像」をお祀りする空間となっており、日本で最も美しい仏像とも言われる薬師三尊を一目見ようと大勢の拝観者が年間を通して訪れます。建物は昭和51年(1976年)4月に再建されたものですが、「竜宮造り」とも呼ばれたかつての美しい佇まいを可能な限り再現した建築になっています。

東塔

東塔は、奈良時代にこの地で薬師寺の伽藍(境内)が整備された時期に建てられた建築の中で唯一現在まで残されている「築1300年」の国宝建築です。

装飾性の強い屋根である「裳階」が美しいアクセントとなっている建築は、「凍える音楽」とも称されるほど優美な存在として知られ、日本の仏塔を代表する存在として名高い名建築となっています。

西塔

東塔と並ぶ位置に建つ「西塔」は、東塔が築1300年であるのに対し、こちらは昭和56年(1981年)に再建された比較的真新しい建築となっています。東塔と異なり、朱色に塗られた華やかな外観となっている西塔は、東塔が改修によって一部の建築様式が変更されているのに対し、奈良時代当時の姿に一層近い佇まいを再現したものとなっており、裳階部分の「連子窓」などが東塔と異なる様式となっています。

なお、平成27年からはお釈迦さまの生涯を表した「釈迦八相」のうち4つの場面を表したブロンズ群像が内部に安置されており、特別公開実施時にご覧いただけるようになっています。

大講堂

大講堂平成15年(2003年)に再建された境内最大規模の建物であり、経典を講じたりする空間として「金堂」よりも広々とした空間が確保されています。堂内には白鳳時代~奈良時代の弥勒三尊像と、奈良時代に造られた日本最古の仏足石、そしてユニークなリズムの「仏足跡歌体」で詠まれた歌が記された仏足跡歌碑も安置されており、分厚い歴史を体感して頂けるようになっています。

玄奘三蔵院伽藍

玄奘三蔵院伽藍は、主要なお堂がある「白鳳伽藍」から北に少し離れた位置に平成3年(1991年)に新しく整備された伽藍です。

薬師寺の宗派である「法相宗」の事実上の開祖である玄奘三蔵(いわゆる西遊記の三蔵法師)の遺徳を偲ぶ空間として、奈良時代やかつての薬師寺には存在しなかった「新しい空間」として整備された玄奘三蔵院伽藍は、玄奘三蔵の実際のご遺骨を納める「玄奘堂」や故平山郁夫画伯が長い年月をかけて完成させた玄奘三蔵の旅路を描いた「大唐西域壁画」も設置されており、独特の雰囲気を感じて頂けるようになっています。

食堂

食堂(じきどう)平成29年(2017年)に再建された建物で、かつて奈良時代などには僧侶の「食堂」であった空間です。現在は多目的に使用できるスペースとして、また全長50メートルを超える圧巻の壁画(仏画)を展示するスペースとなっており、特別公開期間に限り内部の壁画をご覧になって頂けるようになっています。

東院堂

東院堂は、白鳳伽藍の南東端に位置するお堂であり、回廊の外側にあるため知名度は金堂・東西塔と比べるとかなり低い存在ですが、鎌倉時代の弘安8年(1285年)に再建された建築は、東塔と同様に建物自体が国宝に指定されています。堂内にはこちらも国宝に指定されている聖観世音菩薩像を安置しており、金堂の薬師如来さまに匹敵する艶やかな美しさを味わって頂けるようになっています。またこの他には鎌倉時代に造立されたダイナミックな四天王像も安置されています。

中門

中門は、薬師寺白鳳伽藍の南端付近に「南門(かつての南大門)」と南北に並ぶ形で建つ比較的巨大な門です。門は昭和59年(1984年)に再建されたものですが、東大寺転害門などと同様「三棟造」と呼ばれる三角形の棟が3つ連なった重厚な様式となっており、門の左右には華やかな彩色が目立つ武装した佇まいの「二天王像」も復原されています。

南門

南門は、「中門」の南側にあり、白鳳伽藍の入り口にあたる場所に設けられている山門であり、その昔は西門として使用されていたものをかつてこの場所にあった「南大門」の礎石上に移転したものとなっています。

なお、西門としての建立は室町時代にさかのぼるため南門の建築は重要文化財にも指定されており、新しい建築が目立つ薬師寺の中では重厚な歴史を感じさせる貴重な存在となっています。

聚寶館・大宝蔵殿

薬師寺聚寶館

聚寶館・大宝蔵殿薬師寺所蔵の文化財の展示や、様々なその他の展示企画の開催に用いられる多目的なスペースであり、近年は「噂の刀展」と呼ばれる人気展示イベントの会場として知られた空間になっています。

不動堂

不動堂は、薬師寺白鳳伽藍の北西端に位置するお堂で、秘仏の不動明王像(基本的に非公開)をお祀りする空間となっています。お堂の前には護摩法要を行う広場が設けられており、毎年10月8日、天武天皇を偲ぶ「天武忌」の当日には柴燈大護摩が行われます。

鐘楼

大講堂の東側、東僧坊のすぐ近くには大規模な「鐘楼」があります。大寺院の鐘楼にしては注目度が低い存在ではありますが、奈良時代からの「梵鐘」は現在の大和郡山市にかつて存在した藤原氏ゆかりの建法寺(植槻寺)ゆかりのものとされています。

龍王社

龍王社は、東院堂の南側すぐ、境内南東端に位置する比較的立派な社殿を持つ境内社(神社)です。この神社は悲劇の皇子として歴史に残る「大津皇子」ゆかりの神社として知られ、かつては金色の龍神像(現在は奈良国立博物館の所蔵)をお祀りしていたことでも知られています。

若宮社

若宮社は、薬師寺白鳳伽藍の南西端、「龍王社」とは左右対称な位置に建つ境内社であり、こちらも「大津皇子」ゆかりの神社として知られています。社殿は鎌倉期から南北朝期の建築とされ、境内では貴重な重要文化財の建築となっています。

休ヶ岡八幡宮

休ヶ岡八幡宮は、薬師寺の鎮守社として非常に長い歴史を持つ神社であり、現在は奈良国立博物館に寄託されていますが、国宝に指定されている八幡三神坐像をお祀りしてきたことでも知られています。なお、薬師寺境内からは離れた側にある参道には春になると「桜のトンネル」が出来ることでも知られています。また、隣接する場所には姫路の地から移転された「孫太郎稲荷神社」も鎮座しています。

龍蔵院(境内外)

龍蔵院は、薬師寺の白鳳伽藍・玄奘三蔵院伽藍のいずれからも比較的離れた位置にある薬師寺の「奥の院」と呼ばれるお堂であり、薬師寺歴代管主らの墓所が設けられる空間となっています。

その他境内の風景

與樂門(薬師寺)

薬師寺には複数の門がありますが、西ノ京駅から一番近い場所には「與樂門」と呼ばれる門があります。

白鳳伽藍から玄奘三蔵院伽藍側へと入る際にも重厚な門を通ります。

薬師寺西僧坊

注目度は低い存在ですが、薬師寺の再建事業においては「僧坊」や「回廊」の再建も行われています(こちらは西僧坊)。

薬師寺東僧坊

西僧坊と左右対称の位置にある「東僧坊」は休憩所・様々な縁起物などの販売所となっており、境内では最も大勢の観光客でにぎわう一角になっています。

薬師寺の「回廊」

回廊は金堂や東西塔などを取り囲む形で広がっており、春日大社の回廊を彷彿とさせるような立派な風景が広がっています。

薬師寺の手水舎

重厚な手水舎は、観光バスやマイカーでアクセスされる方の拝観受付、南門の近くに設置されています。

弁財天社(薬師寺)
平木大明神社(薬師寺)

「龍王社」と「若宮社」以外にも、白鳳伽藍南端部には「弁財天社」、「平木大明神」と呼ばれる神社も鎮座しています。

薬師寺の會津八一歌碑

西塔の近くには有名な會津八一の歌碑が設置されています。歌碑には「すゐえんのあまつをとめがころもでの ひまにもすめるあきのそらかな」(水煙の天つ乙女が衣手の ひまにも澄める秋の空かな)という短歌が記されています。

會津八一歌碑の近くには、こちらも有名な歌人である佐佐木信綱氏の歌碑が設置されています。こちらには「ゆく秋の大和の国の薬師寺の 塔の上なる一ひらの雲」という短歌が記されています。

拝観情報

各種の内容は、状況により変化する場合があります。最新の情報については、薬師寺が発信する公式的な情報をご確認下さい。

拝観料

※拝観できる堂宇・伽藍などは、時期により異なります。

共通拝観券:大人1600円・中高生1200円・小学生300円

玄奘三蔵院伽藍など公開時の通常拝観券:大人1100円・中高生700円・小学生300円

金堂・大講堂・東院堂のみ公開時の通常拝観券:大人800円・中高生500円・小学生200円

※団体割引、障害者割引あり

拝観時間

8時30分~17時(受付は16時30分まで)

御朱印・縁起物の授与について

薬師寺の御朱印やお守りなどの縁起物などは白鳳伽藍北側拝観受付から入って南側すぐにある「東僧坊」で授与・販売されています。

交通アクセス

電車によるアクセス

◇近鉄西ノ京駅から南西に徒歩3分

・電車でアクセスされる場合、近鉄電車の大阪難波方面・近鉄奈良方面からと京都方面などからの電車が交差する「大和西大寺駅」から橿原線の橿原神宮前行き・天理行きの普通電車(10時~16時台は急行も可)に乗車し2駅目(急行の場合次の駅)の西ノ京駅で下車します。京都方面・橿原神宮前方面からの電車を除き、大阪難波・近鉄奈良方面からは大和西大寺駅で必ず乗り換えが必要ですのでご注意ください。

バスによるアクセス

◇近鉄・JR奈良駅から奈良交通バス「奈良県総合医療センター」行き乗車、「薬師寺」バス停から南西に徒歩3分

・近鉄奈良駅、JR奈良駅方面から、また東大寺・春日大社・興福寺(奈良公園)方面からは昼間は約30分に1本の間隔で唐招提寺、薬師寺方面へ向かうバスが運行されています。比較的安い運賃で、乗り換えなしでアクセスできますので、奈良市中心部から薬師寺へのアクセスには奈良交通バスがおすすめとなっています。なお、お帰りの場合は「薬師寺」バス停が一方通行のため、同じく近くにある「西ノ京駅」バス停からのバスをご利用ください。

お車によるアクセス

薬師寺は、境内の南側に市内の寺院では最大級の駐車場を備えています。なお、奈良市内は観光シーズンを中心に渋滞が頻発しますので、薬師寺へも車のみならず公共交通機関も含めてご検討の上、お越しになることをおすすめします。

なお、駐車場をご利用になる場合は南側の拝観受付から境内にお入り頂くことになります。とりわけ駐車場と玄奘三蔵院伽藍は比較的離れた位置(徒歩10分少々)になっていますので、その点はご留意ください。

駐車料金(入庫時間の設定あり)

大型車(全長7m以上・高さ3.3m以上): 2200円

中型車(全長7m未満・高さ3.3m未満): 2000円

普通車(全長5m未満・高さ2.7m未満): 500円

バイク:100円

薬師寺周辺地図

北側拝観受付

南側拝観受付