【平城宮跡遺構展示館】平城京の「発掘調査」の成果をそのままご覧いただける貴重な空間

平城宮跡遺構展示館 観光スポット・みどころ

当ページの内容を含め、奈良の観光スポットに関連する内容は原則としてコロナ禍前を中心とした状況に基づく「アーカイブ」的内容となっており、その後状況が変化している場合があります。
最新の状況については、各スポットに関する公式サイト、または観光協会などの情報発信などを別途ご確認下さい。

観光のご案内

奈良時代のありのままの「遺構」をじっくりと

平城宮跡遺構展示館は、広々とした野原や復元遺跡が広がる「平城宮跡」エリアの北側、第一次大極殿の東側に設けられた平城京の発掘成果、発見された遺構をそのまま展示する施設です。

館内は大きく3つに分かれており、北側の棟では発掘されたかつての「井戸枠」や建物を支える柱の跡、また中央の棟では瓦屋根や土器、そして南側の棟ではダイナミックな姿を見せる「塼(せん)」と呼ばれる奈良時代のレンガを積む形で造られた建物の遺構など、この場所以外ではまず見ることができないありのままの「発掘調査」の成果をご覧いただけるようになっています。

混雑することは少ない

なお、遺構展示館は「朱雀門」や「第一次大極殿」周辺と比較すると観光客の数がそれほど多くない位置にあるため、その展示の貴重さと比べると館内はいつも空いている事が多くなっており、団体観光客などがいない限り、混雑を気にすることなく奈良時代の遺構・遺物をじっくりとご覧になって頂けるようになっています。

平城宮跡遺構展示館のみどころ・風景

掘立柱建物

遺構展示館「掘立柱建物」

遺構展示館に入ってすぐの位置にある巨大な遺構の展示は、昭和39年に発掘調査された「掘立柱」の柱穴の跡となっています。柱穴はあちこちに様々な形のものが密集するように設けられていますが、この柱穴は一つの建物のものではなく、奈良時代でも730年頃、天平期の初めから770年頃、宝亀期のはじめ頃までの40年間ほどに同じ場所に複数の建物が建てられた(建て替えられた)という痕跡を示すものとなっています。

内裏の井戸

平城宮内裏の井戸枠

直径1.7メートルもの杉の木がくり抜かれたという思いのほかダイナミックな井戸の枠は、御所に当たる「内裏」に設置されていたものであり、近くにある「造酒司井戸」と呼ばれる遺跡にあるものがレプリカであるのに対し、こちらは奈良時代の「本物」のものとなっています。大きな井戸枠からは、当時の「水」需要を支えた役割に思いをはせることが出来るようになっています。

第二次大極殿屋根復原

第二次大極殿屋根復原

井戸枠の裏手には、現在はのどかな自然と基壇のみ残されている「第二次大極殿」に用いられた瓦屋根を出土した瓦なども利用して復原したものが展示されています。

第二次大極殿基壇の南北断面

第二次大極殿基壇の南北断面

瓦屋根の向かい側には、同じく第二次大極殿の「基壇」を発掘した際に現れた土の断面という少しユニークな展示が行われており、基壇の状況が示されています。

内裏正殿復元模型

平城宮内裏正殿復元模型

展示館に入ってすぐの位置には、かつての天皇陛下のお住まいである「内裏正殿」の復原模型も設置されています。

塼積官衙から出土の井戸枠

塼積官衙から出土の井戸枠

真ん中の展示棟には、奈良時代のレンガを積んだ独特の建築であったと推定される「塼積官衙(せんづみかんが)」付近から出土した井戸枠があり、正方形のものと丸型のものが並べて展示されています。

造酒司の木樋

造酒司跡から出土の木樋

中央棟には、近隣にあった官立の酒造所である「造酒司」跡から発掘された排水用の木樋も展示されています。

瓦・土器・木簡・塼(レンガ)など

中央棟の南側では、発掘された瓦や土器、役人が主に仕事で利用した木簡(文字を記す木の棒)、奈良時代のレンガである塼(せん)などが多数展示されています。

平城宮から出土の土器
平城宮跡から出土の「木簡」
塼積官衙から出土の瓦
奈良時代のレンガ「塼」

奈良時代のレンガである塼(せん)は、漢の時代の中国で発展した技術を日本に移入したものであり、色彩は一般のレンガのような赤褐色ではありませんが、形状は同じような形となっています。

塼積基壇建物の復元模型

その他には、「塼積基壇建物(官衙)」の復元模型も設置されています。

塼積基壇建物の遺構

塼積基壇建物の遺構

南側の展示棟には、奈良時代のレンガ(塼・せん)を積んだ基壇などが見られるユニークな建築「塼積基壇建物(官衙)」の遺構が広がっており、その一風変わった基壇の様子をじっくりと見て頂けるようになっています。

礎石など

展示棟の外側には、平城宮跡から発見された奈良時代のものと思われる礎石なども展示されています。


遺構展示館以外の各スポットも徒歩圏ですので、アクセスしやすくなっています。

施設情報

開館時間:9時~16時30分(入館は16時まで)

入館無料

休館日:月曜日(月曜が祝日の場合その翌日)・年末年始期間(12月29日~1月3日)

アクセス(電車・バス)

近鉄・JR線各駅からのアクセス

奈良交通バス

・JR・近鉄奈良駅から「大和西大寺駅(12・14系統)」行き乗車、「平城宮跡・遺構展示館」下車、南にすぐ

・近鉄大和西大寺駅から「JR奈良駅西口」行き乗車、「平城宮跡・遺構展示館」下車、東に徒歩2分

ぐるっとバス

・近鉄奈良駅から「ぐるっとバス大宮通りルート」乗車、「朱雀門ひろば前」バス停下車、北東に徒歩約15~20分

近鉄大和西大寺駅から東に徒歩20分

※駐車場(20台・無料)もありますが、この周辺の混雑状況に関わらず「平城宮跡エリア」全体の駐車場が少ないため、こちらに車が流れてきて混雑する可能性もあります。平城宮跡エリアへのおでかけには公共交通機関の利用も含めおすすめします。

平城宮跡遺構展示館周辺地図

遺構展示館は平城宮跡エリアの東側にあり、朱雀門ひろばなどからは離れた場所となっています。