【八幡神社(元石清水八幡宮)】大安寺の鎮守神としての長い歴史を持つ市内有数の神社

ごあんない

男山の「石清水八幡宮」のルーツとも伝わるかつての「大安寺の鎮守神」

八幡神社(元石清水八幡宮)は、「がん封じ」のお寺として有名な「大安寺」の南側すぐの田園風景の中にある比較的大きな神社です。

歴史としては、大安寺の僧侶である行教(ぎょうきょう)が平安時代初頭の大同2年(807年)、中国(唐)へと渡った帰路に大分の宇佐八幡宮から神さまをお迎えする形で大安寺東室の第七院にお祀りし、大安寺の鎮守としたことにルーツを持つとされ、その後神殿を正式に建立して「石清水八幡宮」という神社となりますが、その後貞観元年(859年)にご神託を受けていわゆる有名な「石清水八幡宮」が現在ある男山の地へと遷座することになり、その後に改めて跡地にに神社が建立されたことが創建の由来であると言われています。すなわち、現在もこの八幡神社に付けられている「元石清水八幡宮」という名称は、京都の男山にある石清水八幡宮のルーツであるという意味を持つものとなっています。「石清水」を巡っては、北側にこの神社とは別に設けられている「御霊神社」にあり行教和尚が造らせたとされる「石清水」と呼ばれる井戸がその由来とも言われており、現在もその姿を見ることができるようになっています。

なお、この歴史過程は伝説の域を超えるものではなく、行教が斉衡2年(855年)に勧請して創建したという説や男山の石清水八幡宮から神さまを及びしたという説などもあり、創建の歴史をめぐる詳細は明らかになってはいないため、現在の石清水八幡宮側がこの大安寺の元石清水八幡宮をそのルーツとして規定している訳ではありません。

その後の歴史は大安寺の盛衰とともに進み、中世には「大安寺祭」という祭事が盛大に実施されていたとも言われますが、明治期に大安寺が事実上一時廃絶する状態に陥る中で、鎮守神としての役割からは外れることになり、現在は周辺地域の氏神様として分厚い信仰を集める存在となっています。祭祀の執行を巡っては、現在も大安寺集落には「観音堂衆左座」と「座衆右座」と呼ばれる宮座が残され、祭祀を執り行う上での特権を有しています。

安産の神さまとしても信仰を集める神社は多数の境内社を有する

神社は東西に長く伸びる境内を持ち、長い参道を抜けると重厚な室町時代の建築である中門、そして多数の境内社を周囲に持つこちらも重厚な本殿があり、とりわけ中門は室町時代の建築で奈良市指定文化財に登録されています。ご祭神としては八幡宮という事で応神天皇・神功皇后、また仲哀天皇の3柱のご祭神がお祀りされています。

境内社はこの規模の神社としてはかなり多く、若宮神社(ご祭神:仁徳天皇)・武内神社(ご祭神:武内宿祢命)・菅原神社(ご祭神:菅原道真公)・厳島神社(ご祭神:市杵島姫命)・稲荷神社計二社(ご祭神:いずれも保食神)・猿田彦神社(ご祭神:猿田彦命・天照皇大神)・金刀比羅神社(ご祭神:金刀比羅大神)・春日神社(ご祭神:天児屋根命・大物主命)・命婦神社(ご祭神:豊玉姫命・玉依姫命)・加茂神社(ご祭神:伊邪奈岐命)・祓殿神社(ご祭神:瀬織津比売命)・宮玉神社(ご祭神:宮玉大神)と極めて多数の末社がお祀りされています。

なお、この八幡宮をめぐっては「安産」の神さまとしても信仰を集めて来た歴史があり、本殿の周辺には小さな「鳩」の置き物(八幡神の使い)が多数設置されていることでも知られています。また、少し離れた東九条町には氏神様に気軽にお参りできるよう、この神社の分霊をお祀りする八幡神社が設置されています。

八幡神社(元石清水八幡宮)の風景

鳥居・参道周辺

八幡神社(大安寺)の鳥居

八幡神社の鳥居は、本殿などのあるエリアからは西に比較的離れた場所にあり、美しい田園風景に面する形となっています。大安寺を参拝するついでに神社にお参りする場合、中門近くに直接伸びる道を通ることが多くなるため、この鳥居・参道を経由することなくお参りする人も多くなっています。

長く伸びる参道はクルマの通行がないため、近隣の小学生などの遊び場としても活用されているなど、地域の「氏神さま」らしい空間になっています。

大安寺の山門から南に進んだ位置、また大安寺の東西塔跡から北にすぐの位置には八幡神社へと入る門がありますが、これは文化財に指定されている「中門」ではなく、この奥にある修理中の門が「中門」となっています。

中門

室町時代の16世紀初頭に建てられ、江戸時代に改造された重厚な四脚門である「中門」は現在修理が行われており、中世らしい木鼻や蛙股といった様式も含め、修理が終わった後には再び美しい姿を見せる予定となっています。

本殿・拝殿

中門のすぐ東側には地域の氏神様としてはかなり大きな「本殿」の建物があります。

本殿・拝殿の近くには、よく見ると「鳩の置き物」などが並べられている様子が分かります。

境内社など

本殿の南西側には仁徳天皇をお祀りする「若宮神社」があります。

本殿の北西側には武内宿祢命をお祀りする「武内神社」があります。

菅原道真公をお祀りする「菅原神社」は境内の北側に厳島神社などと並んでいます。

菅原神社の東隣には市杵島姫命をお祀りする厳島神社があります。

その他の境内社とは異なり、保食神をお祀りする稲荷社は二社が一つの覆屋の中に設けられています。

境内東側には金刀比羅大神をお祀りする金刀比羅神社があります。

金刀比羅神社の南側には宮玉大神をお祀りする宮玉神社が設けられています。

境内東側には天児屋根命をお祀りする春日神社も見られます。

境内社の中では珍しく新しいお社となっている命婦神社は豊玉姫命・玉依姫命をお祀りする神社となっています。

本殿から少し離れた中門の西側には祓殿神社があり、瀬織津比売命がお祀りされています。このほか、伊邪奈岐命をお祀りする加茂神社、猿田彦命・天照皇大神をお祀りする猿田彦神社も境内に設けられています。

アクセス

各駅からのアクセス

奈良交通バス

・JR奈良駅、近鉄奈良駅から「白土町」・「シャープ前」・「イオンモール大和郡山」・「杏南町」・「杏中町」行き乗車、「大安寺」バス停下車、南西に徒歩12分、または「南京終町」バス停下車、北西に徒歩9分

近隣スポット

大安寺東西塔跡から北にすぐ、大安寺から南に徒歩2分、推古天皇社から南に徒歩2分、御霊神社から南に徒歩3分、大安寺杉山古墳・大安寺杉山瓦窯跡から南に徒歩7分、野神古墳から西に徒歩9分

八幡神社(元石清水八幡宮)周辺地図