春日山石窟仏(地蔵菩薩立像)

【春日山石窟仏】大仏殿建設のための「石切り場」跡に圧巻の石仏たちが並び立つ

ごあんない

洞窟の中にある15体を越える圧巻の石仏たち

春日山石窟仏は、数多くの石仏たちを味わうことが出来る「滝坂の道(柳生街道)」の近く、また「春日奥山ドライブウェイ」の車道から100メートルほど山道を進んだ場所にある大規模な磨崖仏です。またの名を「穴仏」ともいう春日山石窟仏は、合計18体の石仏(一部は風化などで事実上失われている状況です。)たちが2つの洞穴に分かれて彫られた形となっており、現在は風化が著しいこともあり金網と覆屋で保護される形になっています。

向かって右側の「東窟」は間口は約5メートル・奥行は約2.4メートル・高さは2.4メートルとなっており、西壁に錫杖を持たない古風な地蔵菩薩立像4体と天部像1体、東壁に頭部などは失われた観音菩薩立像が3体と天部像1体、中央の石柱には顕教系の如来坐像が4体が現在も残されています。

向かって左側の「西窟」は間口は約3.6メートル・奥行は約2メートル・高さは2.4メートルとなっており、かつては宝生如来・阿閦如来もあったと考えられるなど風化による減失も多くなっていますが、阿弥陀如来・不空成就如来・大日如来坐像の3体と多聞天立像1体が現在も残されています。

東大寺の大仏殿を建立するために利用された「石切り場」の跡とも

これらの石仏たちの由緒としては、西窟には久寿2年(1155年)・保元2年(1157年)の造立銘があることから、平安時代の作であると考えられており、興福寺大乗院の山伏が岩窟に籠って彫り上げたとも、石工が彫り上げたとも言われています。

なお、元々はこの岩窟は「東大寺大仏殿」を建立する際に使用した石材を切り出した石切り場であったとされており、この地は石窟仏が完成する前からの歴史を有する場所にもなっています。

近隣の「地獄谷石窟仏」とともに、奈良市を代表する磨崖仏となっている春日山石窟仏ですが、やや奥まった位置にあるため「首切地蔵」ほどの知名度はなく、知る人ぞ知る「穴場観光スポット」となっていますが、ドライブウェイ沿いからは非常に近い場所にありますので、春日奥山の自然を感じるついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

春日山石窟仏の風景

東窟

春日山石窟仏

春日山石窟仏の中では比較的よい状態で残されている地蔵菩薩立像(東窟の向かって左側)。お地蔵さまは錫杖を持たない古風な佇まいとなっており、その表情は今ここで生きていらっしゃるかのような少し不思議な雰囲気を感じさせる存在にもなっています。

向かって右側には、一部は破損が著しいものの、観音菩薩立像が3体と天部像1体が残されています。

洞穴の間にある石柱のたもとには、顕教系の如来坐像が4体ありますが状態はよいとは言えず、一部を除いては確認することが難しくなっています。

西窟

春日山石窟仏の如来像

西窟には、阿弥陀如来・不空成就如来・大日如来坐像の3体があり、阿弥陀様と考えられる左側の像は状態もよく表情などがよく確かめられるようになっています。

如来像の左側の少し見えにくい位置には、一部破損しつつも、天部像(多聞天立像)1体も残されており、邪鬼を踏みつけポーズをとる姿はその他の石仏とは異なったユニークな存在となっています。

アクセス

各駅からのアクセス

奈良交通バス

JR・近鉄奈良駅から奈良交通バス「市内循環外回り」・「中循環外回り(近鉄奈良駅からのみ)」・「高畑町」・「山村町」・「藤原台」・「鹿野園町」・「奈良佐保短期大学」行き乗車、「破石町」バス停下車、東に徒歩1時間程度

※滝坂の道(高畑方面)を登ってお越しの場合は、2017年の台風被害の影響などもあり、でこぼこかつ木の枝などが落ちている場合もある山道・石畳の道を長い時間歩くことになります。ハイヒールやサンダルで歩いてくるようなことは一切出来ず、基本的にハイキングを行う恰好・軽い登山を行う恰好でお越し頂く必要があります。

※ドライブウェイをご利用になり、近くに駐車してアクセスする場合、山道を歩く距離は100メートルもありません。しかしながら短い距離でも夏季を中心にヤマビルなどの被害を受けるリスクも否定できませんので、ハイヒールやサンダルではなく、少なくともスニーカーなどで歩かれることをおすすめします。

近隣スポット

首切地蔵から北東に徒歩10分程度・高山神社から南東に徒歩10分程度・地獄谷新池から北に徒歩10分程度・地獄谷石窟仏から北西に徒歩20~30分程度・朝日観音から北東に徒歩20~30分程度

首切地蔵周辺地図