不空院本堂

【不空院本堂】「八臂」の不空羂索観音菩薩坐像・宇賀弁財天女をお祀りする空間

ごあんない

不空院「本堂」は、新薬師寺の北東側にある「えんきり寺」としても知られる小さなお寺「不空院」のご本尊である鎌倉時代作の不空羂索観音菩薩坐像(重要文化財)をお祀りする仏堂です。

境内が小さな不空院は大きなお堂と呼べるものはこの本堂のみであり、一時荒廃した歴史もを有するためこの本堂自体も大正時代に再建されたものとなっているため、建築に関するみどころは少なくなっています。しかしかつてはこの地に弘法大師空海が現在の興福寺南円堂のひな型としてユニークな佇まいの「八角円堂」を建てたことが知られており、幕末の嘉永7年(1854年)に発生した安政の大地震によって倒壊するまではご本尊がその八角円堂にお祀りされていたと言われています。現在は八角円堂の礎石が本堂の下に残されているということですが、その姿を見ることは出来ません。

本尊である不空羂索観音菩薩坐像については、1メートルほどの高さの3つの目と8本の腕を持つ「三目八臂(さんもくはっぴ)」と呼ばれるお姿の仏さまであり、8本ある腕のうち正面にある手は合掌し、他四本にはそれぞれ羂索・払子・蓮華・錫杖を持ち、外側にあるの二本の手は掌を空に向けた形を取っています。

また、不空院が「春日山」と呼ばれ、春日大社との関係性が深かったことを表すように、この像は神仏習合思想の伝統として春日大社のご祭神でいらっしゃる「武甕槌命」と同体と考えられており、実際に仏さまの御前には鏡や武甕槌命が乗ってこられた「白鹿」の置き物が置かれています。なお、日本全国を見ても不空羂索観音像はそれほど多くはなく、その多くは奈良市内にお祀りされており、この仏さまは東大寺法華堂(三月堂)・興福寺南円堂の不空羂索観音菩薩坐像とともに「三不空羂索観音」とも呼ばれる有名な存在となっています。

このほか本堂には、女性を守護する「弁天様」として長らく信仰を集めて来た室町時代作の秘仏「宇賀弁財天女」も安置されています。こちらも「神仏習合」の伝統により「弁財天」様と蛇のお姿をした「宇賀神」様が合一した存在となっており、頭上に頭はご老人で体は蛇という奇妙なお姿の「宇賀神」を乗せた弁天様の像となっており、ご本尊と同じく八臂(八本の腕)を持ち、それぞれに武器や財宝の象徴を有したお姿となっています(鍵・輪宝・弓・宝珠・刀・矢・宝棒・三股戟)。

なお、本堂内部は一般拝観は基本的に

・春の特別拝観:4月下旬~5月上旬 ・秋の特別拝観:10月下旬~11月上旬

の時期のみとなっています。上記の特別拝観期間以外は、メールまたは電話で事前に拝観の予約が必要となっています。(リンク:不空院公式ホームページ

アクセス

新薬師寺から北に徒歩2分、鏡神社から北東に徒歩2分

奈良交通バス

・JR、近鉄奈良駅から「市内循環外回り」「山村町」「藤原台」「鹿野園町」「奈良佐保短期大学」行き乗車、「破石町」下車、東に徒歩10分

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