【興福寺】日本の国宝彫刻の1割以上を現在も所蔵する「奈良の象徴」の一つ

興福寺とは?

興福寺(こうふくじ)は、「奈良観光」において「東大寺」・「春日大社」と肩を並べる存在感を持つ奈良を象徴する巨大寺院です。興福寺の境内地は玄関口である近鉄奈良駅のすぐそばにあり、境内は奈良公園と一体化した存在となっており、塀などのない広々とした空間の中に中金堂・南円堂・五重塔といった各仏堂・建物が並んでいます。

藤原氏の氏寺として知られ、江戸時代までは奈良のまちに大きな影響力を及ぼし続けていた興福寺は、「国宝の宝庫」とも言えるほど多数の文化財(仏像など)を所蔵しており、阿修羅像に代表される仏さまは、専用の展示施設である「国宝館」をはじめ各お堂に多数安置されています。

興福寺の歴史

藤原氏の「氏寺」としての一貫した歴史を歩んだお寺

興福寺の歴史は、奈良時代に入る前、大化の改新を行った藤原(中臣)鎌足の病気を治すために現在の京都市山科区にあたる場所に創建された「山階寺」をそのルーツとしています。

山階寺は、その後藤原京に移転し、「厩坂寺(うまやさかでら)」と名乗ることになり、更に平城京に遷都し奈良時代が始まると、今度は「興福寺」として整備されることになり、藤原氏の権力が強まる中で、中金堂・北円堂・東金堂・五重塔などが奈良時代を通して徐々に整備されていくことになりました。

繁栄を極めた平安時代

藤原氏の氏寺としての存在感を獲得し、また朝廷からの財政支援も潤沢に受けるようになった興福寺は藤原氏が栄華を極める平安時代に入ると、「都落ち」した都市のお寺であるにも関わらず一層繁栄することになり、この時期に「南円堂」が建立され、平安後期になると「藤原氏」の「氏寺」と「氏神」という縁で「春日大社」との関係性も強まり、有名な「春日若宮おん祭」は興福寺が主導的な立場から行われる形で開始されることになります。この時期には多数の荘園など財政基盤も盤石にした興福寺は、「僧兵」を擁するなどちょっとした「独立国家」のような振舞いすら見せ、比叡山延暦寺と並ぶ「南都北嶺」と言われる存在に君臨することになります。

明治には一時廃寺となるも、現在は急速な復興が進む

平安末期の「南都焼討」以降はかつてほどの繁栄を見せることはありませんでしたが、鎌倉時代には焼け落ちたお堂などが少しづつ復興される中で「運慶」に代表される仏師らの活躍貴重な仏教美術が多数生み出されるなどしたほか、奈良のまち、ひいては大和国全体の権威を高めるような存在としての地位は長らく保ち続けることになりました。しかし、戦国時代、江戸時代と次第に衰退傾向となり、享保2年(1717年)に発生した大火災では南円堂や中金堂など主要なお堂が軒並み失われることになりました。

また、明治初頭になると「神仏分離」の嵐の中で一時期「廃寺」になるほどに追い込まれ、僧侶らは春日大社の神官に配置転換され、荒れ果てるまま放置された興福寺を巡っては「五重塔」が50円で売りに出されたという噂すら飛び交うことになりました。

その後明治中盤から大正、昭和にかけては文化財保護のうねりとともに少しづつ観光寺院として復興が進み、平成30年(2018年)の中金堂の落慶をもって境内地の復興、整備は大きな節目を迎え、再びかつての輝きを取り戻しつつある状況となっています。

なお、更に詳細な歴史については、以下の記事にまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください。

【奈良】興福寺の創建の由来と歴史【簡単にわかりやすく】

主要な仏像(国宝)

興福寺は、20件を越える仏像彫刻の国宝をはじめ、膨大な数の文化財を保有しており、仏像に関しては日本国内にある国宝の15パーセント程度が興福寺の所蔵となっているという、圧倒的な規模の「国宝の宝庫」とも言える存在となっています。興福寺が所蔵する国宝・文化財の詳細については各お堂(観光スポット)の記事ごとに詳しく解説しておりますが、ここでは代表的な国宝について簡単にご紹介してまいります。

乾漆八部衆立像(阿修羅像など)

興福寺に関する仏像の中で一般的に最も知名度の高いものとして有名な存在である「阿修羅像」。阿修羅像は東京などでも展示されたことがあり、少年のような可憐な表情を見せる一方で、言葉に言い表せないような崇高さを感じさせる日本を代表する仏像の一つと言っても過言ではない存在となっています。

この阿修羅像は、乾漆八部衆立像と呼ばれる八体で一つの枠組みを成す仏像のうちの一つであり、「八部」とはインド古代の神話に基づいた八つの種族に及ぶ守護神となっており、阿修羅像の他にはいずれも武装した佇まいが特徴の五部浄(ごぶじょう)・沙羯羅(しゃがら)・鳩槃荼(くばんだ)・乾闥婆(けんだつば)・迦楼羅(かるら)・緊那羅(きんなら)・畢婆迦羅(ひばから)像と呼ばれる仏さまが安置されています。なお、これらはかつて存在した「西金堂」本尊の釈迦如来像の周囲に元々は安置されていたものと言われていますが、現在は国宝館の所蔵となっています。

銅造仏頭(旧東金堂本尊)

銅造仏頭は、興福寺最古級の文化財であり、白鳳時代(飛鳥時代)に飛鳥の「山田寺」で造立された本尊薬師如来像の「頭部」です。薬師如来像は飛鳥の山田寺から興福寺中興の時代を迎える鎌倉時代に事実上略奪されてきたものであり、やや強引な形で東金堂の本尊薬師如来像として迎えられた後、室町時代の応永18年(1411年)に発生した火災によって頭部を残して焼け落ちてしまうことになりました。

その後頭部は新本尊の内部に納められ、昭和になってからその存在が発見され、現在は国宝として国宝館に所蔵される状況となっています。頭部のみが残された仏さまとは言え、その表情は「白鳳の貴公子」とも呼ばれるほど上品な顔立ちとなっており、当時の仏教美術を代表する存在の一つとなっています。

木造不空羂索観音菩薩坐像

南円堂のご本尊である木造不空羂索観音菩薩坐像は、鎌倉時代に運慶の父親である仏師「康慶」一門により造像された像高3メートルを超え、大きな光背を有するスケールの大きな仏像です。人々の願いを無駄にしないために「羂索」を持ったお姿となっており、重厚さが際立つその姿は南円堂が建立された当初にあったご本尊の仏さまに比較的似通った佇まいとなっているとされ、奈良時代から平安時代にかけての作風を継承した存在とも言われています。

なお、南円堂は1年に1回だけ特別公開されるお堂となっており、その特別公開が行われる「10月17日」以外は基本的に拝観することはできません。

木造無著菩薩・世親菩薩立像

木造無著菩薩・世親菩薩立像は、興福寺「北円堂」内に安置されている北インドで活躍した法相宗の理論的支柱である無著・世親「兄弟」の姿を表現した仏像です。

運慶の監督の下鎌倉時代に造立された仏像は、まさに今ここに生きている存在であるかのような圧倒的な臨場感、またしわの目立つ表情からは苦労の人生を感じさせるようなリアリティを感じさせつつ、全てを見通したかのような透き通った神聖さをも感じさせるものであり、この仏像を日本の仏教美術の頂点と評する識者もいるほどの唯一無二の仏さまとして広く知られた存在となっています。

木造千手観音菩薩立像

国宝館所蔵の「木造千手観音菩薩立像」はかつての「食堂」のご本尊であり、鎌倉時代に造立された像高5メートルを超える圧巻の存在となっており、スケールという観点からは興福寺で最も目立つ仏像の一つとなっています。

この仏さまは、鎌倉時代の前半に成朝と呼ばれる仏師により作られていましたが、途中で造像が中断され、最終的には別の仏師により完成されたという少し変わった経歴を有しているほか、巨大な仏像に相応しく、仏像の内部に多数の納入品があることでも知られています。

木造弥勒如来坐像

木造弥勒如来坐像は、特別公開期間のみ拝観可能な「北円堂」のご本尊であり、鎌倉時代に運慶一門の源慶と呼ばれる仏師を中心に造像された仏さまです。

運慶の弟子が中心になって造像したとは言え、その指揮はやはり運慶が握るところが多かったことを鑑みると「運慶の晩年(後期)を代表する作品」とも言える弥勒如来坐像は、華美な印象や溢れる力強さのようなものは必ずしも感じさせない、「自然体」の仏さまとも言える佇まいとなっています。

境内のごあんない・拝観情報

中金堂

規模

東西約37メートル・南北約23メートル・高さ約20メートル

創建・建立年代

奈良時代初頭創建・平安時代以降計7回の焼失・平成30年(2018年)8度目の再建

ご本尊・収蔵文化財

本尊木造釈迦如来坐像・木造四天王立像(国宝)・木造薬王・薬上菩薩立像(重要文化財)・厨子入り木造吉祥天倚像(重要文化財)・木造大黒天立像(重要文化財)

拝観情報

拝観時間9時~17時(入堂は16時45分まで)、拝観料大人(大学生以上)500円・中高生300円・小学生100円となっています。

概要

興福寺境内で最大規模の仏堂である「中金堂」は、平成22年(2010年)から復元(再建)へ向けての工事が開始され、平成30年10月には落慶法要が行われ一般公開が開始されました。現代における木造建築としては国内最大規模である中金堂の建築は、東金堂などとは異なり朱色が美しく映える華やかな佇まいであるため興福寺の「象徴」として非常に目立つ存在となっており、再建された堂内には華やかな色彩の中に複数の仏像も祀られているため、実に壮観で見ごたえのある空間となっています。

【興福寺中金堂】平成30年に天平様式で再建された「興福寺の中心」となる巨大な仏堂

五重塔

規模

高さ50.1メートル・初層(1階部分)は8ートル四方

創建・建立年代

奈良時代の天平2年(730年)創建・室町時代の応永33年(1426年)頃再建(5代目)

ご本尊・収蔵文化財

薬師三尊像(月光菩薩・薬師如来・日光菩薩)・阿弥陀三尊像(勢至菩薩・阿弥陀如来・観音菩薩)・釈迦三尊像(普賢菩薩・釈迦如来・文殊菩薩)・弥勒三尊像(大妙相菩薩・弥勒如来・法苑林菩薩)

拝観情報

内部については、初層部分に限り特別公開が行われたことはありますが、概ね2~3年に1回程度秋季に実施されるという傾向となっており、拝観できる機会は少なくなっています。

概要

興福寺「五重塔」は、興福寺境内にある建物の中では、中金堂や南円堂以上に観光客からの知名度が高い「興福寺の顔」とも言える重厚な建物であり、高さは50メートルに及ぶその姿は京都の東寺にある五重塔と双璧を成す存在ともなっています。当初は光明皇后の発願により創建された五重塔は、創建後は何度も焼失し、現在は室町時代に再建された5代目の塔となっていますが、その様式は奈良時代の創建期のものを踏襲した復古的なものとなっており、現在もその佇まいを伝え続けています。

なお、堂々たる外観のみが注目されがちな五重塔ですが、内部には曼荼羅風に並べられた三尊像があり、圧巻の風景を生み出していることでも知られています。しかしながら上述した通り「拝観」については不定期にしか実施されておらず、内部を見ることが出来る機会はかなり限定されている状況となっています。

通常時にご覧いただけるものとしては、昼間の外観もさることながら夜間に実施されるライトアップが実に美しくなっており、昼間と異なり人通りも比較的少ない静かな環境で贅沢に「興福寺の象徴」を眺めて頂けるようになっています。

【興福寺五重塔】高さ50メートルに及ぶ奈良を象徴する仏塔は「東寺五重塔」にも匹敵する規模を持つ

東金堂

創建・建立年代

奈良時代の神亀3年(726年)創建・室町時代の応永22年(1415年)再建(5代目)

ご本尊・収蔵文化財

本尊薬師如来像、日光・月光菩薩像、四天王像、十二神将像、維摩居士像、文殊菩薩像

拝観情報

年中無休で一般公開されており、9時~17時(最終入堂16時45分)まで拝観可能となっています。

拝観料金は大人300円・中高生200円・小学生100円です。

概要

興福寺「東金堂」は、中金堂の東側、五重塔とは南北に並び立つ位置にある興福寺に古くから残されてきたものとしては唯一の「金堂」建築です。

聖武天皇が叔母の元正天皇の病気治癒を願い建立した東金堂は、五重塔と同様何度も焼け落ち倒壊する歴史を辿り、現在は室町時代に再建された建物が残されている状況ですが、建築様式は奈良時代の創建当初のものを強く受け継いだものとなっており、「中世の建築」らしさというよりは「天平建築」と呼ぶにふさわしい佇まいを残しています。

堂内には国宝館ほどではありませんが、6躰の国宝・重文指定の仏像が安置されており、温和な表情の本尊「薬師如来」さまのみならず大変肉付きのよい体形をした「四天王像」なども必見の存在となっています。

【興福寺東金堂】たくさんの国宝と出会える空間は奈良時代の面影を今に残す

南円堂

創建・建立年代

平安時代初期の弘仁4年(813年)創建・江戸時代中期の寛政元年(1789年)頃再建(4代目)

ご本尊・収蔵文化財

本尊不空羂索観音菩薩坐像・四天王立像

拝観情報

拝観は年間1日のみ、「大般若経転読会」の行われる毎年「10月17日」に特別公開が行われます。当日は9時~17時(最終入堂16時45分・午後1時ごろから法要実施により1時間ほど拝観不可)まで拝観可能となっています。

拝観料金は大人300円・中高生200円・小学生100円です。

概要

興福寺「南円堂」は、興福寺境内の西側にある「朱色」の美しい八角円堂です。興福寺創建期の奈良時代ではなく藤原家の権勢が一層強まった平安時代初頭に建立されたお堂は、その他の建物と同様複数回の再建を経て現在は江戸時代中期に再建されたものとなっていますが、北円堂などにも少し似た様式を保つなど、華やかな印象を感じさせつつも古風な佇まいを残した存在となっています。

堂内には康慶一門の作による本尊不空羂索観音菩薩坐像があり、金色の部分が多く残る華美なお姿は大変印象的な存在となっていますが、東金堂などと異なり拝観は毎年10月17日のわずか1日のみとなっているため、仏さまを目にする機会は少なくなっています。

【興福寺南円堂】朱色が美しい八角円堂は年1回のみ特別開扉される

北円堂

創建・建立年代

奈良時代初期の養老5年(721年)創建・鎌倉時代初期の承元四年(1210年)頃再建

ご本尊・収蔵文化財

本尊弥勒如来坐像、無著菩薩・世親菩薩像、乾漆造四天王立像

拝観情報

拝観は基本的に春と秋の特別公開期間のみとなっています。

例年の公開期間は、概ね春の特別公開期間は4月の第4土曜日~5月の第2日曜日、秋の特別公開期間は10月の第4土曜日~11月の第2日曜日となる傾向にあります。

概要

興福寺「北円堂」は、興福寺境内の北西端、南円堂の北側に位置する八角円堂です。藤原不比等の一周忌に際して建立されたその建物は、現在は鎌倉時代初期に再建されたものとなっていますが、現在の興福寺境内の建築物としては最古級であるほか、南円堂と異なり華美な印象は感じさせないその佇まいとなっており、時に「日本で最も美しい八角堂」とも呼ばれるほどの名建築となっています。

また、堂内に安置されている国宝についても、本尊の弥勒如来さまの美しさもさることながら、見る者を圧倒する神聖な表情を見せる「無著菩薩・世親菩薩像」日本の仏教彫刻の最高峰とも呼ばれるほどの評価を受ける存在となっており、毎年特別公開期間にはその「美しさ」を味わおうと大勢の拝観者でにぎわいを見せる空間となっています。

【興福寺北円堂】「日本で一番美しい八角堂」には「無著菩薩・世親菩薩像」などが安置される

三重塔

規模

高さ20メートル・初層(1階部分)は5メートル四方

創建・建立年代

平安時代の康治2年(1143年)創建・同治承4年(1180年)頃再建

ご本尊・収蔵文化財

本尊弁才天坐像・十五童子像・壁面仏画

拝観情報

内部の拝観は特別公開のみとなっており、特別公開の日程は

毎年7月7日(9時~16時)

のみとなっています。拝観は無料です。

概要

興福寺「三重塔」は、興福寺に現存する建築の中では、その古さと規模の割には知名度が低い存在として挙げられます。

五重塔ほどの規模はありませんが、高さは約20メートルもあり、建立年代は興福寺の建物の中では最も古く、12世紀末の平重衡に依る南都焼討の後、すぐに再建されたものが現在も残されています。

三重塔は、通常時は外観のみの拝観となりますが、毎年七夕の日(7月7日)には特別公開が行われ、当日はなんと三重塔の近くのみならず内部にも入って頂くことが出来ます。内部にはご本尊である弁才天坐像などが安置されており、当日はそれも含めて拝観して頂けるようになっています。

基本的に通常時は三重塔周辺は閑散としており、昼間でも静かな雰囲気を味わえるほか、夕方や早朝の美しい塔のシルエットを写真に納めるのもおすすめとなっています。

【興福寺三重塔】境内最古の建築は「七夕」の日に特別公開される

仮講堂

興福寺仮講堂

ご本尊・収蔵文化財

阿弥陀如来坐像・薬師如来坐像・地蔵菩薩立像・梵天立像・銅造梵鐘

拝観情報

仮講堂の内部は、基本的には非公開となっていますが、2017年には国宝館の一時閉鎖に伴い阿修羅像などを移してきた上で特別公開が実施されるなど拝観の機会が設けられたこともあります。但し、北円堂などのように毎年決まった期間に行われている訳ではなく、今後の公開予定については未定となっています。

概要

興福寺「仮講堂」は、興福寺境内の北側、奈良県庁やバス通りから近いエリアにひっそりと建つ中規模のお堂です。江戸時代に中金堂が焼失し、その後小さな規模で「仮堂」として一応の復興が図られた建物をルーツとする仮講堂は、昭和45年(1975年)にその仮堂の近く(講堂跡)に新たに建てられたものであり、中金堂が出来るまでは「仮金堂」と呼ばれていました。

建物自体は南円堂や北円堂のような目を引く形状ではなく、東金堂のような年季の入った佇まいでもないため注目されにくい存在ですが、中金堂完成後は「講堂」として再整備がされる方向で検討されているため、今後は注目を集めるような存在になると考えられます。

【興福寺仮講堂】奈良時代の梵鐘など複数の文化財が収蔵される空間

国宝館

収蔵文化財

乾漆八部衆立像(阿修羅など)・乾漆十大弟子立像・銅造仏頭(旧東金堂本尊)・千手観音菩薩立像・金剛力士立像・十二神将立像をはじめ多数収蔵

拝観情報

一般拝観は年中無休で実施されており、開館時間9時~17時(入館は16時45分まで)となっています。

拝観料大人700円・中高生600円・小学生300円となっており、東金堂の共通拝観券の場合、大人900円・中高生700円・小学生350円(発売は毎日16時まで)となっています。

概要

興福寺「国宝館」は、興福寺が所有する国宝・重要文化財の過半数を安置、所蔵する空間として昭和34年(1959年)に建設された建物です。

内部では大変有名な「阿修羅像」をはじめ、飛鳥時代の「白鳳文化」を象徴する「銅造仏頭」など、日本の仏教美術史を象徴するような名高い仏さまをじっくりと味わって頂けるようになっており、その「国宝館」という名の通り、名実ともに全国最大規模の「国宝の宝庫」となっています。

なお、国宝館の場所はかつての「食堂」・「細殿」跡にあたり、現在も地下には奈良時代にまでさかのぼる食堂の遺構がそのまま保存されていることでも知られ、国宝館の建物も食堂・細殿を一体化したような存在として「双堂」形式で設計されたものとなっています。

不動堂

概要

「不動堂」は、興福寺境内南側、南円堂のほぼ真向かいに位置する小さなお堂です。建物自体は仏堂のようには見えない不動堂は、火を焚きあげて行われる「護摩法要」の舞台として知られており、堂内に安置されている不動明王さまなどの仏像は、いずれもススで真っ黒になっています。なお、小さなお堂ですので、内部には入ることは出来ないものの、外側から内部の様子をしっかりと望むことが可能となっています。また、護摩木の奉納も300円でして頂けるようになっています。

【興福寺不動堂】ススで覆われた仏さまが安置される「護摩供養」の空間

一言観音堂

概要

「一言観音堂」は、南円堂のすぐそばにある小さなお堂であり、内部には「一つの願いを真心こめてお祈りすると、その願いを叶えて下さる」という一言観音様がお祀りされています。

一言観音堂は「参拝」のみであれば自由にして頂けるようになっていますが、すぐ東側にある納経所においては、南円堂の御朱印の授与のほかにもこの「一言観音」様で御祈祷を行う申し込みも出来るようになっています。

なお、一言観音堂前の広場は、毎年4月17日には「放生会」の会場となり、その名の通り「生き物」を放つ儀式として「鯉」や「金魚」が桶に入れて並べられ、読経の後猿沢池に放流される姿を見ることが出来ます。

【興福寺一言観音堂】放生会の会場にもなる小さなお堂で「一言」の祈りを捧げる

本坊

概要

大湯屋

概要

「大湯屋(おおゆや)」は、現在の興福寺境内の最東端、奈良公園の緑豊かな自然に包まれた空間に単独で建つ比較的大きな建物です。「大湯屋」という名前の通り、この施設は興福寺の僧侶らが身を清めるために使用する「浴場=お風呂」として使用されてきたものであり、現在の建物は室町時代に建てられたものが残されているほか、建物の内部には鉄の「湯釜」が残されています。なお、拝観・見学については一切行われておらず、外観を離れた場所から見ることが出来るのみとなっています。

【興福寺大湯屋】鉄釜が内部に残される非公開の「お寺のお風呂」

南大門跡

概要

南大門跡は、「中金堂」の真正面、南円堂と五重塔の中間点にあたる位置にあるかつての「巨大な山門」があった空間です。江戸時代までは金剛力士像も擁する立派な南大門があった場所には、現在は立派な基壇が復元されており、高台となった基壇の上からは美しい中金堂の姿を最もよい角度から眺めて頂けるようになっています。

【興福寺南大門跡】かつて平城京「朱雀門」等に匹敵する規模の門があった空間

西金堂跡(八重桜)

概要

摩利支天石

概要

摩利支天石(まりしてんせき)は、興福寺境内の南西側、三重塔とほぼ向かい合うような場所にひっそりと佇む「巨石」です。

この石は、かつて興福寺の勢力が大きかった時代に存在した子院「宝蔵院」の敷地にあったものであり、奈良発祥の武術「宝蔵院流槍術(ほうぞういんりゅうそうじゅつ)」の開祖宝蔵院覚禅房「胤栄」(いんえい)武士に好まれる神「摩利支天」をお祀りしたものであるとされています。

【摩利支天石】興福寺境内に現れる「宝蔵院流槍術」ゆかりの巨石

菩提院大御堂(十三鐘)

創建年代

鎌倉時代頃創建?・現在のお堂は天正8年(1580年)に再建

ご本尊・収蔵文化財

本尊阿弥陀如来坐像(重要文化財)、不空羂索観音菩薩像、稚兒観音菩薩像

概要

興福寺「菩提院大御堂」は、現在の興福寺の主要な境内地から南に道路を挟んだ傾斜地に位置する興福寺の「子院」です。

菩提院大御堂は、奈良時代の興福寺のキーマンとも言える僧侶「玄昉」が創建したとも言われていますが、この場所にこのような建物が創建されたのは鎌倉時代頃と言われています。現在のお堂は江戸時代に入る少し前の天正8年(1580年)に再建されたものとなっており、境内には「十三鐘」としてお堂よりも古い永享8年(1436年)に鋳造された梵鐘を吊るす鐘楼や、鹿殺しの罪で死罪となった子供(三作石子詰伝説)ゆかりの塚などもあります。

なお、興福寺に付属する子院はかつては「大乗院」をはじめ複数ありましたが、現在までこのように残されているものはこの「菩提院」のみとなっており大変貴重な空間となっていますが、入り口がわかりにくいため観光客の姿はほとんど見られません。入り口は「三条通り(春日大社参道)」沿いにある小さな木の扉を開けて頂く形となっており、境内拝観は自由となっています。

【興福寺菩提院大御堂】「十三鐘」と呼ばれる空間は貴重な興福寺の子院

旧大乗院庭園

利用案内

開園時間9時~17時休園日月曜日(祝日の場合は翌日)・祝日の翌日(土・日曜日除く)・12月26日から1月5日までの年末年始期間となっています。

入園料大人100円・小中学生50円とかなりリーズナブルな料金となっています。

概要

名勝旧大乗院庭園は、現在の興福寺境内からは少し離れた「奈良ホテル」の南側、ならまちエリアの町並みとも接する位置にある比較的大きな「庭園」です。

この庭園は、この周辺にかつて存在した興福寺の「門跡寺院」の一つである「大乗院」の庭園であったものであり、有名な善阿弥が作庭した美しい空間は長らく「奈良随一の庭園」ともてはやされるほどの人気を誇ったとされています。大乗院そのものは廃仏毀釈の時代に完全に失われましたが、この庭園は所有者を転々とする中でどうにか生きながらえ、現在は大きな池と朱色の橋が美しい「かつての佇まい」を復原した上で一般公開されています。

【名勝旧大乗院庭園・文化館】水辺の風景が美しい「善阿弥」ゆかりの美しい庭園

會津八一歌碑

興福寺境内の東側、本坊や大湯屋へと抜ける道沿いには奈良を愛した歌人會津八一氏の短歌「はるきぬと いまかもろびと ゆきかへり ほとけのにはに はなさくらしも(春が来て、今はもう多くの人々が行き来するようになった。興福寺の庭には桜の花が咲き誇っているだろう)」が記された歌碑が設けられています。

年中行事

1月1日~3日:14時~ 「新春護摩祈祷」

1月2日 「春日社参式」

・明治に入るまでは神仏習合の伝統から長らく一体的な存在として機能してきた「春日大社」に興福寺の僧侶らがお参りする儀式となっています。

2月3日:18時半~ 「鬼追い式(追儺会)」

・興福寺の年中行事の中で最も迫力ある儀式として知られる「鬼追い式(追儺会)」では、18時半頃から行われる東金堂での法要の後、19時頃からは「鬼」たちが激しい動きを含んだパフォーマンスを披露し、19時半頃からは「豆まき」が行われます。当日は寒い時期ながら多数の参拝者でにぎわいを見せ、入場整理券等が配布されるケースもあるという人気行事となっています。

3月5日:10時~16時 「三蔵会」

・通常は興福寺関係者しか入ることができない「本坊」に入ることが出来る貴重な機会でもある「三蔵会」は、玄奘三蔵の命日にちなみその遺徳を偲ぶ法要となっています。

4月8日:10時~ 「仏生会」

・お釈迦さまの誕生をお祝いする行事である「仏生会」では、「南円堂」の前庭に美しいお花で飾られた「花御堂」が設置され、甘茶を注いでお参りすることが出来るほか、甘茶の振る舞いも実施されます。

4月16日:13時~ 「放生会」

・生きとし生けるものに感謝を捧げる行事である「放生会」では、南円堂前庭周辺に金魚が並べられ、すぐ脇の一言観音堂で法要が行われた後、猿沢池に金魚たちを実際に放流する儀式を行います。

4月25日:15時~16時 「文殊会」

・文殊菩薩の縁日にあたる4月25日に行われる文殊会では、その「知恵」にあやかろうとかわいらしい稚児たちが三条通り界隈から興福寺へと練り歩く稚児行列が行われます。

5月第3金曜日・第3土曜日:17時30分~ 「薪御能」

・興福寺と春日大社の両方が会場となって実施される「薪御能」は、平安時代頃からの歴史を持つ野外で「能楽」をご覧いただける行事となっており、前売りの場合4000円と能楽としてはリーズナブルな料金でご覧いただけるようになっています。

7月7日:9時~16時(法要は10時から):「弁財天供」

・三重塔にお祀りされている窪弁財天像の供養を行う「弁財天供」。法要が行われる当日は1年に1回だけ興福寺「三重塔」の内部を拝観して頂けるという貴重な機会にもなっています。

10月第1土曜日:17時30分~ 「塔影能」

・「薪御能」と同じく興福寺境内の野外で能楽をご覧頂ける行事である「塔影能」。当日は引き締まった秋らしい空気の中で能楽を楽しんで頂けるようになっています。

10月17日:13時~ 「大般若転読法要」

・1年に1回だけ「南円堂」の特別公開が実施される10月17日は、南円堂前で「大般若転読法要」として僧侶らが経典を「乱舞」させながら大般若経を短時間で読み上げる行事が行われる日となっており、当日はそのユニークな姿を一目見ようと大勢の参拝者が訪れます。

11月13日:19時~ 「慈恩会」

・法相宗宗祖の「慈恩大師窺基」の忌日である11月13日に薬師寺と興福寺がそれぞれ2年交代で行う儀式である「慈恩会」。当日は古式に則り厳粛に宗祖に遺徳を偲ぶ法要が行われます。なお、最新の慈恩会は興福寺の担当であり、2018年・2019年に興福寺で行われることになっています。

拝観案内

興福寺は、境内の散策や拝観自体は事実上奈良公園の一部となっていることもあり、24時間365日自由にして頂けるようになっています。また、内部が通年拝観可能なお堂は、東金堂・国宝館のみとなっており、北円堂は期間限定の特別公開、南円堂と三重塔は行事に合わせて年1日のみの拝観となっています。

拝観時間

東金堂・国宝館共通:9時~17時(最終入場16時45分)

拝観料

国宝館・東金堂共通拝観券:大人(大学生以上)900円・中高生700円・小学生350円(毎日16時まで発売)

国宝館のみ:大人700円・中高生600円・小学生300円

※30名以上団体:大人600円・中高生500円・小学生200円

※身障者(要手帳呈示):大人350円・中高生300円・小学生150円

東金堂のみ:大人300円・中高生200円・小学生100円

※30名以上団体:大人250円・中高生200円・小学生90円

※身障者(要手帳呈示):大人150円・中高生100円・小学生50円

特別公開時の北円堂拝観料:大人300円・中高生200円・小学生100円

特別公開時の南円堂拝観料:大人300円・中高生200円・小学生100円

特別公開について

北円堂

・春の特別公開期間:4月の第4土曜日~5月の第2日曜日(例年)
・秋の特別公開期間:10月の第4土曜日~11月の第2日曜日(例年)

南円堂

・10月17日 9時~17時(大般若経転読会当日・受付は16時45分まで・午後1時ごろから法要のため1時間程度閉鎖)

三重塔

・7月7日 9時~16時(弁財天供当日)

※五重塔については数年に1度程度不定期に特別公開が実施されることがあります。また仮講堂は2017年に特別公開が実施されましたが今後の予定は未定となっています。

御朱印・縁起物の授与について

・興福寺で御朱印や縁起物を頂ける場所は、南円堂脇にある納経所と、東金堂・中金堂の前にある勧進所の2か所となっています。受付(営業)時間は基本的に東金堂・国宝館の営業時間に合わせる形の9時~17時頃となっています。

興福寺へのアクセス

電車・バスによるアクセス

近鉄線をご利用の場合

近鉄線で奈良にお越しの場合、奈良方面の終点である「近鉄奈良駅」で下車して頂き、東に徒歩5分程度で興福寺境内に到着します。

興福寺へは、東側の改札口から出て2番・3番出口から地上に出て頂き、「興福寺」の案内表示に従い大通り沿いから奈良公園方面へと進んで頂き、奈良県庁近くから「興福寺北参道」の表示に従い南に進むと、「東金堂」・「五重塔」・「中金堂」のあるエリアに到着します。

また、同じように駅から出た先にある駅前広場(行基像)から南に伸びる「東向商店街」を進み、商店街の中央部から東に伸びる坂道を進んで頂くと、「北円堂」・「南円堂」・「三重塔」にスムーズにアクセスして頂くことも可能となっています。

リンク:近畿日本鉄道

JR線をご利用の場合

JR線で奈良にお越しの場合、京都・大阪方面からの多くの電車の終点となっている「奈良駅」で下車して頂き、観光客の多い「三条通り」を歩いて頂くルート、もしくは路線バスを利用するルートの2択となります。

徒歩でアクセスする場合、、駅の東口からバスターミナル周辺を抜け、大勢の観光客が行き交うJR奈良駅前交差点から伸びる「三条通り」をひたすら東に歩いて頂き、途中「猿沢池」の手前から北に伸びる石段を登って頂くと、「南円堂」の正面に到着します。所要時間は約15分程度です。

また路線バスの場合、JR奈良駅「2番バス乗り場」から「市内循環外回り・中循環外回り(近鉄奈良駅からのみ)」もしくは「高畑町・春日大社本殿・県庁前」行きにご乗車頂き、3つ目のバス停である「県庁前」バス停で下車頂くことになります。県庁前バス停からは西側にある信号を渡ると「興福寺北参道」の入り口があり、すぐに「東金堂」・「五重塔」・「中金堂」のあるエリアに到着します。所要時間はバスが頻繁にやって来るため、徒歩を合わせても10分程度でアクセスできる場合も多くなっています。

リンク:JR西日本 奈良バスなびWEB

他観光スポットからアクセスされる場合

市内のその他の観光スポットからアクセスされる場合については、基本的に奈良交通バスや近鉄電車を利用してアクセスすることになります。ここでは主要なスポットから興福寺へのアクセスの概要のみ記します。

◇東大寺(大仏殿)から

・南西に徒歩15分程度、または「東大寺大仏殿・国立博物館」バス停から「市内循環内回り」または「JR奈良駅」方面行き乗車、「県庁前」下車、南に徒歩3分程度

◇春日大社(本殿周辺)から

・西に徒歩20分程度、または「春日大社本殿」バス停から「六条山」・「法隆寺前」行き乗車、「県庁前」下車、南に徒歩3分程度

◇唐招提寺から

・「唐招提寺東口」バス停から奈良交通バス「春日大社本殿・県庁前・高畑町」行き乗車、「県庁前」下車、南に徒歩3分程度

◇薬師寺から

・近鉄西ノ京駅から「大和西大寺・京都」方面行乗車、大和西大寺で近鉄奈良行きに乗り換え、「近鉄奈良駅」下車、東に徒歩5分程度

・奈良交通バス「西ノ京駅」バス停から「春日大社本殿・県庁前・高畑町」行き乗車、「県庁前」下車、南に徒歩3分程度

◇平城宮跡(大極殿)から

・奈良交通バス「佐紀町・大極殿」バス停から「JR奈良駅西口」行き乗車、「近鉄奈良駅」下車、東に徒歩10分程度

・ぐるっとバス(※土日祝日、観光シーズンのみ運行)「大極殿」バス停からぐるっとバス「奈良公園前」行き乗車、終点「奈良公園前」下車、南に徒歩4分程度

◇元興寺から

・北に徒歩7分程度

お車によるアクセス

興福寺には、各お堂の拝観時間である9時~17時の間のみ利用できる専用駐車場が設けられています。

普通車は46台駐車可能となっており、駐車料金は均一料金で一日1000円となっていますが、観光シーズンは多数の観光バスも乗り入れるほか、台数に限りがある以上満車となるケースもあるため、クルマで興福寺を訪れることは基本的に一切おすすめできません。

駐車場の位置図

近隣スポット

周辺は奈良公園界隈・猿沢池から北にすぐ(猿沢池西端付近の石段を登ると「南円堂」前へ、東端付近の石段「五十二段」を登ると「五重塔」方面へアクセスできます。)・奈良国立博物館から西に徒歩5分・荒池園地から北西に徒歩5分・奈良県庁(屋上展望広場)から南に徒歩5分・元興寺(ならまち界隈)から北に徒歩7分・吉城園から南西に徒歩8分・依水園から南西に徒歩8分・氷室神社から西に徒歩9分

興福寺周辺地図