辛国神社(奈良・東大寺境内)

【辛国神社】東大寺境内にある神社は「天狗伝説」や「渡来人」由来とも言われる

ごあんない

大仏殿の東側にある小さな神社です

辛国神社(天狗社)は、東大寺大仏殿の東側、比較的近い位置にあり、「奈良太郎」という別名で知られる東大寺の鐘楼などからもほど近い位置にある東大寺境内の小さな神社です。

神社は二月堂方面へ伸びる道沿いから少し森の中に入っていったような位置にあるため、ややわかりづらく、訪れる観光客はごくわずかとなっていますが、小さな神社ながらもたくさんの提灯が吊り下げられているなど、独特の雰囲気を漂わせた空間となっています。

「天狗」伝説に由来するとも

この神社の創建をめぐっては、「天狗」伝説由来というものと「渡来人」由来というものの二通りの伝承があり、このうち「天狗」に関わる由緒としては、東大寺の建立を行う際に、「天狗」がその作業を妨害することがあり、それを創建の歴史に深く関わった「良弁」僧正と呼ばれる方が単に天狗を退治するのではなく、「改心」させたというエピソードに由来するものとなっています。

実際に、「辛国神社」という呼び名は明治期に新しく生まれたもので、少なくとも室町時代頃からあったとされる神社は長らく「天狗社」と呼ばれてきた歴史を持っており、現在も拝殿に吊り下げられている提灯には天狗らしい「うちわ」の絵柄が描かれているなど、「天狗」伝説らしいいわくありげな雰囲気が広がっています。

なお、「辛国」という現在の名前を巡っては、「良弁」僧正と「辛国」と呼ばれる行者が、「力比べ」を行い、「辛国」行者が「蜂」を放つと、「良弁」僧正が「鉢」を飛ばしてそれらを退治したという謎めいたエピソードも伝わっており、その中で、「天狗」伝説と「辛国」行者がいつの間にか誤って結び付けられ、「辛国」神社となったたという説もありますが、その真偽は定かではありません。

東大寺の建立に大きな役割を果たした「渡来人」の方を神様として祀るとも

一方で、「辛国」と言う名前は、訛って「韓国」とも表現できることもあり、いくつかの文書によれば、この神社には御祭神として「韓国翁」という祭神がお祀りされているとも言われます。

実際に東大寺という巨大寺院の建設にあたっては、新羅や百済といった朝鮮半島にあった古代国家から、技術力を持った職人たちが数多く日本に渡来して建設技術を伝えたと言われており、大仏開眼にあたっては新羅の皇太子が来日したとも言われています。

そのような「渡来人」の活躍を讃え、またそのまま日本で亡くなった渡来人の方をお祀りするための神社として、この神社が機能するようになったとも言われているのです。

大仏殿から三月堂・二月堂に行く際には是非お参りを

この神社は、先述したように知名度は大変低く、観光客の姿は極めて少ない空間となっていますが、「天狗」伝説にしても、「渡来人」伝承にしても、東大寺の奥深さを体感できる「歴史」を反映したものとなっています。神社は大仏殿方面から二月堂、三月堂や鐘楼へとアクセスする際に便利な位置にありますので、興味がある方はぜひ参拝に訪れてみてはいかがでしょうか。

辛国神社のみどころ・風景

辛国神社の鳥居

「猫坂」とも呼ばれる大仏殿の東側に伸びる石段を登っていくと、途中北側に神社への入り口が現れます。

辛国神社の拝殿内部

小さな神社ながら、本殿の手前には拝殿が設けられており、拝殿内部には数多くの提灯などが吊り下げられています。

辛国神社の本殿

本殿の建物も小さいながらも良く手入れされたものとなっています。

辛国神社の提灯

古めかしい提灯には「天狗」のうちわが描かれており、天狗伝説の存在を裏付けるものとなっています。

アクセス

各駅からのアクセス

奈良交通バス

・JR、近鉄奈良駅から「市内循環外回り」・「山村町」・「藤原台」・「鹿野園町」・「奈良佐保短期大学」行き乗車、「東大寺大仏殿・春日大社前」バス停下車、北に徒歩11分、または「春日大社本殿」行き乗車、「東大寺大仏殿」バス停下車、北に徒歩11分

近鉄奈良駅から北東に徒歩22分

JR奈良駅から北東に徒歩35分

近隣スポット

猿沢池から西にすぐ、三条通りには隣接、奈良縣里程元標・御高札場から東にすぐ、興福寺南円堂から南にすぐ、率川地蔵尊から北に徒歩2分

辛国神社周辺地図