東大寺とは?
概要
東大寺(とうだいじ)は、自然あふれる奈良公園エリアに囲まれた奈良では最大かつ最も有名な寺院であり、「古都奈良の世界遺産」にも含まれる存在として常に大勢の観光客が押し寄せる世界的観光スポットになっています。
奈良時代に成立した東大寺は、「奈良の大仏さま」として有名な「廬舎那仏(るしゃなぶつ)坐像」と「大仏殿」というお寺の象徴とともに長い歴史を歩んできた存在であり、途中荒廃は戦災で大きな被害を受けつつもその都度復興し、現在に至るまで非常に大きな境内地を有するお寺であり続けています。
また、大仏さまに限らず「二月堂」や「法華堂(三月堂)」など多数のみどころを有するほか、興福寺や春日大社と同様、多数の国宝・重要文化財を有する文化財の「宝庫」のような存在として多数の貴重な仏像がご覧いただけるようになっており、近年には「東大寺ミュージアム」という博物館を自ら設立するなど文化財の保護にも務めています。
歴史
関連記事:【わかりやすく】奈良・東大寺の創建の由来と歴史【焼失と再建の連続】
東大寺は、奈良時代前半に既に存在した前身寺院にルーツを有する形で、聖武天皇による大仏建立を契機にに巨大寺院としての基盤が整えられていきます。
平安時代・鎌倉時代にかけては戦災などによる苦難を経つつ興福寺と並ぶ奈良最大の寺院として一定の勢力を維持し、近世になってからも徳川家の崇敬を受け、近代以降は観光地化により世界的知名度を獲得するなど、現在に至るまで日本を代表する寺院として存在感を放ち続けています。
詳細な歴史については上記関連記事で各時代ごとに詳しく解説しています。
主な仏像・文化財
関連記事:東大寺の「国宝・重要文化財(仏像・建造物等)」にはどんなものがある?わかりやすくまとめてみた
東大寺には、国宝・重要文化財指定を受ける仏像が法華堂(三月堂)や大仏殿、東大寺ミュージアムなどを中心に多数安置されています。
奈良の大仏様として名高い「国宝廬舎那仏坐像」は言うまでもなく、その他にも南大門の国宝金剛力士立像、法華堂(三月堂)の国宝不空羂索観音立像や戒壇堂の国宝四天王立像、また東大寺ミュージアム所蔵の各仏像などみどころは多く、日帰りでは全てをじっくり拝観できないほどです。
境内・みどころのご案内
東大寺境内には、多数の仏堂・歴史的建造物があり、奈良県内の寺院としては最もみどころの多いお寺となっています。
境内の各みどころについては、以下の関連記事または各スポットを解説した記事で詳しく解説していますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
関連記事:東大寺の各みどころ・観光スポットを全てご紹介!(有名・穴場・知られざるスポット)
大仏殿 | 大仏さま(廬舎那仏坐像)を安置する巨大木造建築・日本有数の観光名所 |
二月堂 | 「修二会(お水取り)」の舞台となる空間・奈良市内を一望 |
法華堂(三月堂) | 複数の国宝を拝観可能・奈良時代から残される国宝建築 |
南大門 | 運慶・快慶の「金剛力士像」で広く知られる |
正倉院(正倉) | かつて「宝物」を所蔵していた「校倉造」建築・管理は宮内庁による |
戒壇堂 | 圧巻の「四天王立像」で知られる・鑑真和上ゆかりの地 |
東大寺ミュージアム | 多数の仏教美術を展示する「お寺の博物館」 |
鐘楼 | 「奈良太郎」として有名・梵鐘は東大寺創建時のものが残される |
転害門 | 貴重な奈良時代の建造物・「きたまち」エリアのランドマーク的存在 |
中門 | 大仏殿の正面に建つ・兜跋毘沙門天及び持国天像が安置 |
四月堂(三昧堂) | 十一面観音菩薩像等を祀る小さなお堂・無料拝観可能 |
開山堂 | 毎年12月16日に公開・大仏様の影響の濃い建築 |
勧進所 | 毎年10月5日に公開・「八幡殿・阿弥陀堂・公慶堂」等を擁する |
指図堂 | 法然上人ゆかりの地・びんづる尊者が目立つ |
俊乗堂 | 年2回のみ公開・東大寺中興の祖「俊乗房重源上人坐像」を安置する |
念佛堂 | 巨大な地蔵菩薩像を祀る空間・拝観可能 |
行基堂 | 行基菩薩坐像を安置するごく小さなお堂 |
知足院 | 境内北側の山中に位置する東大寺塔頭・毎年7月24日のみ内部拝観可能 |
大湯屋 | 長い歴史を有する「お寺のお風呂」・内部は基本的に拝観不可 |
本坊 | 「天皇殿」や「経庫」を有する・毎年5月2日に拝観可能 |
不動堂 | 法華堂(三月堂)の裏手の空間・護摩法要が行われる |
山手観音堂 | 二月堂の裏山に位置する・如意輪観音像が安置(通常時は閉扉) |
法華堂経庫 | 奈良時代の校倉造建築・隣には手向山八幡宮の宝庫も |
御髪塔 | 髪を埋めた伝説が伝わる十三重石塔 |
鏡池 | 大仏殿南側に広がる池・各種行事で使用される場合も |
大仏池 | 東大寺の「絶景スポット」・季節ごとの風景が美しい |
講堂跡 | かつての建物の「礎石」が残される・自然あふれる空間 |
東塔跡 | 奈良有数の「イチョウ」の名所・七重塔の基壇が残される |
西大門跡 | 巨大な門の「礎石」のみ残される・イチョウや八重桜などが美しい |
焼門(中門)跡 | 道路沿いに大きな礎石がしっかりと残される |
食堂跡 | 奈良時代の礎石が一つだけ残る |
七重塔相輪 アショカ・ピラー | 大阪万博に展示された七重塔の相輪が保存される |
二月堂「舞台」 | 大仏殿・奈良市街地・平城宮跡等を望む風景が広がる |
二月堂「登廊」 | 「お松明」を持った童子が駆け上がる石段 |
二月堂手水舎 | 立派な佇まいの手水舎として知られる |
二月堂裏参道 | 大仏殿の裏手から進む参道・石畳の風景が広がる |
二月堂閼伽井屋 | お水取り儀式の舞台となる空間・内部には非公開の「若狭井」も |
二月堂参籠所・食堂 | 「修二会」で「練行衆」が滞在する空間 |
二月堂湯屋 | 「修二会」で「練行衆」が使用する「お風呂」 |
二月堂良弁杉 | 東大寺初代別当「良弁僧正」ゆかりの杉の木 |
遠敷神社 | 二月堂鎮守神・お水取りのルーツに深い関係を有する |
飯道神社 | 二月堂鎮守神・甲賀国の飯道神社由来 |
興成神社 | 二月堂鎮守神・二月堂舞台と良弁杉のすぐそばに鎮座 |
辛国神社 | 天狗伝説や朝鮮半島からの渡来人に関わるルーツなどが伝わる |
子安神社 | 子宝の神様として知られる・良弁僧正の母親の住居跡とも |
五百立神社 | 大仏建立に関わった工巧ゆかりの神社 |
厳島神社 | 鏡池に浮かぶ小さな神社 |
弁才天神社 | 法華堂(三月堂)の裏手に鎮座 |
特別公開日程
東大寺境内では、大仏殿・法華堂(三月堂)・東大寺ミュージアム等通年拝観・観覧可能なスポットの他、年1~2回程度決まった日時以外は公開されないお堂もあります。
また、法華堂では通常の拝観時にはご覧頂けない秘仏が年1回のみ特別公開されるようになっています。
なお、こちらでは記述していませんが、別途観光キャンペーンや臨時の特別公開についても随時実施されることがあります。
場所 | 日程 | 時間 |
法華堂(三月堂) | 毎年12月16日:国宝「執金剛神立像」 | 昼間の一部時間帯 |
俊乗堂 | 毎年7月5日・12月16日:国宝「俊乗房重源上人坐像」・重要文化財「阿弥陀如来立像」・重要文化財「愛染明王坐像」 | 昼間の一部時間帯 |
開山堂 | 毎年12月16日:国宝「良弁僧正坐像」 | 昼間の一部時間帯 |
勧進所 | 毎年10月5日:国宝「僧形八幡神坐像」(八幡殿)・重要文化財「五刧思惟阿弥陀如来像」(阿弥陀堂)・重要文化財「公慶上人坐像」(公慶堂) | 昼間の一部時間帯 |
本坊(天皇殿) | 毎年5月2日:天皇殿を外側から参拝可・本坊一帯の様子を見学可能 ※秘仏等の公開はありません | 昼前~昼過ぎ頃 |
知足院 | 毎年7月24日:木造地蔵菩薩立像 | 朝の法要終了後、ごく一部の時間帯のみ |
拝観料・拝観時間
東大寺の拝観料は、「大仏殿」・「法華堂(三月堂)」・「戒壇堂」・「東大寺ミュージアム」についてそれぞれ同じ料金が設定されています。
「大仏殿と東大寺ミュージアム」のセット券を利用するケースを除いては複数拝観する場合もそれぞれの拝観料金が必要となっています。
また、特別公開される際の各仏堂の拝観料も、基本的に通常の大仏殿などの拝観料と同じ料金が設定されています。
関連記事:東大寺の「拝観」に関する情報まとめ(拝観料・拝観時間・割引・拝観のコツ等)
拝観時間 | 【大仏殿】4~10月:7時30分~17時30分 11月~3月:8時~17時 【法華堂】8時30分~16時 【東大寺ミュージアム】4~10月:9時30分~17時30分 11月~3月:9時30分~17時(※最終入館は30分前まで) ※その他堂宇にも拝観時間の設定がある場合があります。 |
拝観料 | 一般(中学生以上)600円・小学生300円 大仏殿と東大寺ミュージアムとのセット券:一般(中学生以上)1000円・小学生400円 |
割引 | 団体(30名以上)の場合大学生以上550円・高校生500円・中学生400円・小学生200円 障害者の方は、手帳の提示で半額となります。障害者施設・学校の特別団体割引は、大学生以上275円・高校生250円・中学生200円・小学生100円となります。 奈良市ななまるカードをお持ちの方は手帳呈示で無料となります。 |
御朱印・縁起物の授与について
関連記事:東大寺の「御朱印授与所」一覧(受付時間・料金などを解説)
東大寺の御朱印は、東大寺大仏殿堂内の授与所、二月堂の南側にある授与所、法華堂(三月堂)・四月堂(三昧堂)・戒壇堂(工事期間は千手堂)・不動堂・鐘楼・念佛堂脇(俊乗堂・行基堂の分も)にある授与所では基本的に通年御朱印を頂くことができます。
なお、上記の場所では大仏殿を除き、受付時間については概ね8時30分~16時または16時30分頃となっています。
また、指図堂でも御朱印の授与が行われているほか、真言堂も対応可能な場合には御朱印を頂けるようになっているようです。
こちらの情報は、多くが新型コロナウイルスの影響を受ける前の時代を前提としたものです。状況が変更となっている可能性もありますので、その点はあらかじめご了承下さい。
最新の状況につきましては、東大寺様が公表しておられる情報を別途ご確認下さい。
混雑状況
関連記事:奈良「東大寺」の「混雑状況」について(時間帯別・通常時・繁忙期・お正月・お水取り開催時など)
東大寺は、春日大社や興福寺と同じく奈良を象徴する観光スポットとなっています。
そのため訪れる観光客は多くなっていますが、大きな混雑が見られるのは市内循環バスの「東大寺大仏殿・春日大社前」バス停から東大寺南大門を抜けて大仏殿へアクセスするルート沿い、そして大仏殿の敷地内のみとなっており、「二月堂」や「法華堂(三月堂)」一帯は人混みが見られるようなことは「お水取り」行事の際などを除き基本的にはありません。
また、講堂跡といった境内北側は紅葉シーズンなどを除きほぼ通年「風景を独り占め」している気分を味わえるほど静かなエリアであり、同じ境内地でも一部に観光客が集中している状況となっています。
なお、大仏殿についても拝観時間のうち午前8時などの比較的朝早い時間帯に訪れることで、静かな雰囲気の中でお参り頂けるようになっています。
混雑状況に関する詳細は、上記の関連記事で詳しくご案内しています。
東大寺への交通アクセス
境内へは、JR・近鉄奈良駅からバスを利用するアクセスが便利となっています。バスは訪れるスポットによって最寄りのバス停が異なりますが、基本的には「市内循環バス」などを利用して東大寺南大門・東大寺大仏殿周辺を観光するルートが一般的となっています。
バスによるアクセス
◇東大寺大仏殿・南大門周辺へ
奈良交通バス
・JR、近鉄奈良駅から「市内循環外回り」・「中循環外回り(近鉄奈良駅からのみ)」・「山村町」・「藤原台」・「鹿野園町」・「奈良佐保短期大学」行き乗車、「東大寺大仏殿・春日大社前」バス停下車
・JR、近鉄奈良駅から「春日大社本殿」行き乗車、「東大寺大仏殿」バス停下車
いずれも下車して頂き、北側が大仏殿方面への参道となっています。
◇戒壇堂・正倉院・転害門方面へ
・JR奈良駅西口、近鉄奈良駅から「青山住宅」・「州見台八丁目」行き乗車、「押上町」・「今小路」・「手貝町」バス停下車
・JR、近鉄奈良駅から「市内循環外回り」・「中循環外回り(近鉄奈良駅からのみ)」・「高畑町」行き乗車、「県庁東」バス停下車
戒壇堂へは「押上町」・「県庁東」バス停の下車、正倉院・転害門へは「手貝町」バス停下車、二月堂裏参道・講堂跡・大仏池方面へは「今小路」バス停下車が便利となっています。
東大寺周辺のバス停案内図
徒歩によるアクセス
東大寺方面へは奈良公園エリアを通って徒歩でアクセスすることも可能です。
境内は広く、駅に近いエリアも遠いエリアもありますが、概ね駅から境内各所へは
近鉄奈良駅から北東に徒歩約15分~30分程度
JR奈良駅から東に徒歩約30分~50分程度
でアクセス可能となっています。比較的長い時間歩くルートですので、とりわけ夏季などはバス・タクシーで境内の近くまでアクセスされることをおすすめします。
タクシーによるアクセス
タクシーの場合、目的地や渋滞状況などによって運賃は変わりますが、近鉄奈良駅前のタクシー乗り場からは1000円前後、JR奈良駅東口のタクシー乗り場からの場合も1000円少々~1500円前後でアクセスできる場合が多くなっています。
東大寺境内の場合、タクシーの場合はバスでアクセスできないエリアまで直接アクセス可能となっており、車両通行禁止のため大仏殿の真正面などに行くことは出来ませんが、境内の各スポットへは目の前までか、もしきくは徒歩2~3分でアクセス可能な最寄り地点まで辿り付くことが出来ますので、歩く距離を少なくしたい方、もしくは効率的に観光したい方にはタクシーがおすすめとなっています。