奈良「正倉院展」の日程・内容・チケット・混雑対策・アクセス情報まとめ

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この記事では、古代日本・シルクロード由来の「至宝」をご覧頂ける奈良の1年で最も有名な行事(展覧会)とも言える、奈良国立博物館で実施される「正倉院展」について、その日程・内容・チケットに関する情報、また混雑状況や交通アクセスなど、チケットを買う前・訪れる前に知っておきたい情報を一覧形式でまとめていきます。

正倉院展については、コロナ前の時代は曜日や時間帯ごとの混雑の傾向などをあらかじめ把握しておくといった、時間を無駄にせずに観覧して頂くための「コツ」が重要でした。

しかし、2020年のコロナ禍以降は「前売日時指定券」のみの発売となっており、有料で観覧される場合は、事前に日時を決定した上で訪れる形となっています。この日時指定の仕組みは「入れ替え制」ではないものの、「当日券」の設定がありませんので、過去のような混雑対策といった観点はあまり必要ないような仕組みへと変化しています。

2019年までの時代とは状況が異なりますので、正倉院展へ訪れることをご検討しておられる場合、これまでとの違いをあらかじめしっかりとご確認しておくことをおすすめします。

正倉院展とは?

唯一無二の「天平時代」にルーツを持つ伝統工芸品等の展覧会

奈良の秋には欠かせない恒例行事である「正倉院展」。

その名前は、奈良にお住まいの方でなくてもニュースや新聞でしばしば報道されるため、聞いたことのある方は多いかもしれません。

その、「正倉院展」とはどんなイベントなのか。

それは、簡単に言えば、奈良時代に建設された立派な東大寺の倉庫である「正倉院」に所蔵されてきた奈良時代の様々な伝統工芸品などの「宝物」を毎年奈良国立博物館で大々的に展示するという、日本最大級と言っても過言ではない「伝統工芸品」の展覧会です。

戦後すぐに開始された正倉院展は、現在に至るまで毎年欠かさず実施されている他、最近はメディアに取り上げられることも増えたため、訪れる観客も大変多くなっています。

とりわけ令和初「2019年」の正倉院展は、東京国立博物館においても御即位記念の正倉院宝物の特別展が行われたこともあり、例年以上のにぎわいを見せました。

なお、正倉院宝物をかつて収蔵していた奈良時代の建築(校倉造り)については、平日にその外観をご覧頂くことが可能です。詳細は以下の関連記事をご覧下さい。

正倉院は、奈良国立博物館から北に徒歩約15分程度の場所にあります。

日本のみならずシルクロード由来の工芸品も

さて、そんな正倉院展で展示される「宝物」には、一体どんなものがあるのでしょうか。

正倉院で収蔵されてきた宝物の中身を見てみると、奈良時代に日本国内で制作された美術工芸品も多数見られ、コレクションの大半は日本由来となっています。

しかしながら、なんといってもユニークな点は、「中国」・「ペルシャ」などの「シルクロード」沿い、また場合によっては「ローマ帝国」に由来するものまで世界各地の文化を反映した様々な宝物も一部含まれることが挙げられます。

なお、各年の展示ごとに内容・宝物は異なり、必ず特定の海外地域に由来する宝物が展示されるとは限りません。

「グローバル化」などと言われる現在の日本ですが、既に奈良時代に「宝物」の流通という形でグローバルなつながりがあったという「古代ロマン」をしみじみと体感して頂けるのが、「正倉院展」の醍醐味にもなっているのです。

毎年数十点の「宝物」が展示されます

なお、展示される「宝物」については、全ての宝物が毎年同じように展示されるという訳ではまったくありません。

正倉院に収蔵している「宝物」は、小さなものも含めれば数千点にのぼり、毎年の正倉院展では、そのうちのわずか数十点が展示されることになるのです。

すなわち、これまで複数回出陳されている宝物も含まれるとは言え、同じ宝物をもう一度見るようなことはなかなか難しいばかりでなく、一生かかっても全ての「宝物」は見られないような、毎年の一つ一つの展示が大変貴重な物となっている訳なのです。

そのため、正倉院展へは1回訪れるだけではなく、必ず毎年訪れるファンの方も大変多くなっています。

何度訪れても新たな発見と驚きがある。見れば見るほどに深みを感じられる。それが正倉院展の醍醐味なのです。

2023年の開催日程・時間

開催日程は、基本的に毎年10月下旬から11月中旬にかけての約2週間に渡り実施されます。毎年日程や曜日の並びが固定されている訳ではありません。

令和5年(2023年)であれば10月28日(土)~11月13日(月)となっています。

会期中については休館日はなく、毎日実施されます。

各年の日程はその年の曜日配列などによって1週間前後ずれる場合がありますので、その年の日程をあらかじめしっかりと確認しておいてください。

開館時間は、基本的には午前8時~午後6時となっていますが、特に大勢の観光客が訪れる「金曜日・土曜日・日曜日・祝日」に関しては、午後8時まで開館しています。

なお、2023年の正倉院展は、2020年・2021年・2022年と同様に原則前売りの「日時指定券」のみの発売になっており、通常訪れる方は購入した券で指定された日時以外に観覧する事は出来ません。無料対象者の方を除いては、開館時間であればいつでもOKという訳ではありませんので、十分にご注意下さい。

最終入館については、閉館の1時間前、すなわち通常は午後5時、金・土・日祝日は午後7時になっています。(かつては様々な施設と同様入館は閉館時刻の30分前までとなっていましたが、変更されています。)

正倉院展の会場

正倉院展の会場は、奈良国立博物館の「新館(西新館・東新館)」で実施されます。

美しい明治時代の建築が魅力の「なら仏像館」では実施されておらず、なら仏像館の東側が会場となっていますので、お間違えのないようにご注意ください(当日は大勢の観客がおり、様々な案内表示も充実していますので、それに従って入場して頂ければと思います)。

奈良国立博物館は、東大寺・春日大社などの観光とも合わせて訪れやすい場所にあります。

観覧方法について(2023年は「前売日時指定券」の発売)

2022年の正倉院展は、2020年・2021年・2022年に引き続き、「日時指定券」の発売が基本です。

前売の日時指定券は、「利用当日の各時間枠」開始までが発売期間ですが、発売数に上限があるため、観覧者が集中しやすい時間枠の場合、事前に売り切れる可能性があります。日時指定件は10月5日(木)午前10時から発売されます。

2023年は、正倉院展の当日券は発売されません。チケットの事前予約・購入なしで現地を訪れても、正倉院展をご覧頂くことは出来ません。なお、無料観覧の対象者の方は、例外的に各種証明書の提示によりチケットなしでの観覧が可能です。

チケットの種類・料金

チケットの種類と料金については以下の通りです。なお、次項で解説する通り、前売日時指定券は各種プレイガイド等のみで発売され、博物館の窓口では発売されません。

チケットの種類価格(料金)
一般券2,000円
高大生券1,500円
小中生券500円
レイト割一般1,500円
高大生1,000円
小中生無料
※月〜木曜午後4時以降、金〜日曜・祝日午後5時以降の日時指定券に適用の割引料金
キャンパスメンバーズ学生券400円
※奈良国立博物館と提携する大学のみ
※学生証の提示が必要です。
研究員レクチャー付き鑑賞券※詳細については、奈良国立博物館が公表する情報を別途ご確認下さい。
未就学児無料
障害者手帳・ミライロIDをお持ちの方(介護者1名含む)無料
※手帳などの提示が必要です。
奈良博メンバーシップ・プレミアムカード会員
賛助会会員・特別支援者
無料
※証明書の提示が必要です。
※メンバーシップ・プレミアム会員は1回目及び2回目の観覧が無料

※団体向けに設定されたチケットはありません。

※中・高・大学生のチケットや、キャンパスメンバーズのチケットについては、当日学生証の呈示が求められます(小学生は不要)。学生証等の呈示が無い場合は一般料金と同額になり、差額を支払う必要があります。

※なら仏像館、青銅器館で実施の「名品展(常設展)」は、正倉院展のチケットで観覧可能です。なお、名品展は高校生・18歳未満の方・70歳以上の方・障害者手帳(ミライロID)をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。

予約・購入方法

2023年の正倉院展のチケット(前売日時指定券)は、現地での発売はありません。

販売は、10月5日(木)午前10時からとなります。

チケットは
ローソンチケット(Lコード:59995・ローソン及びミニストップの各店舗または公式サイトで購入可能)
CNプレイガイド(電話)
展覧会オンラインチケット
で発売されます。

2023年の「入館」に関してのルール・条件・注意事項

2023年の正倉院展にあたっては、例えば以下のような基本的な条件などが示されています。各種の決まり事についてはごく一般的な内容となっていますが、「前売日時指定券」のシステム自体は、コロナ前とは全く異なるシステムですので、日時を間違えないように十分にご注意下さい。

2023年の正倉院展は昨年などと同様に「前売日時指定券(観覧券)」で指定された日時のみ入館が可能となります。指定された時間帯以外には入館が出来ません。

日時指定券の変更などは出来ません。例えば当日に現地に到着してから、少し前の時間、後の時間に見たい。といったようなケースには対応していませんので、決められた時間でご覧頂く形となります。

観覧にあたっては、指定された日時の「10分前」から入館待ちの列にお並び頂けます。

館内の混雑状況によっては、指定された日時を過ぎてからも、しばらく入館をお待ち頂く場合があります。少し遅れての入館が推奨されています。

正倉院展のチケットをお持ちの場合、別途行われている常設的な展示である「名品展(なら仏像館・青銅器館)」もご覧頂くことが可能です。

観覧そのものは、「入替制」ではありません。

2023年は昔の「混雑対策」とは異なります

これまで解説してきたように、コロナ禍以降については、正倉院展の開催については原則として「前売日時指定券」のみが発売されます。無料の対象者となるケースを除き、当日に現地で観覧するといった状況には対応したものではありません。すなわち、コロナ前の時代のように前売り券を持つ人と当日券を持つ人の区別や、チケット購入待ちの行列といった「おなじみの風景」は見られません

日時が指定されている以上、「特定の時間帯」には「事前にチケットを持つ方」以外は無料の対象者を除き観覧に訪れる事が出来ない訳ですので、「お客さん」の側から「いつが空いている」とか「雨の日は穴場」とかいった「混雑回避のコツ」を駆使して訪問する必要性はある意味ではなくなります。

コロナ前であれば平日(特に水曜・木曜日)・ランチタイム・雨の日・夕方以降が比較的空いている時間帯としておすすめできましたが、今年は雨が降ろうが晴れようが、昼間であれ夜間であれ、有料で観覧する場合は、購入した「前売日時指定券」の時間に行くというルール以外は存在しません。

なお、チケットについては、あくまでも予定発売枚数に応じ、先着順で発売されますので、今年度については購入希望者の都合の合う期日に「前売日時指定券」を予約・購入できるかといった事柄が重視されることになろうと思われます。土日のお昼間等は予約が集中することが容易に想像出来ますが、特定の時間帯に無限にチケットが発行される訳ではないため、場合によっては希望する日時に予約できない可能性・チケットが売り切れる可能性も留意頂く必要があります。

また、チケット購入については、先述した発売先経由での購入となります。博物館を訪れてもチケットは買えません。

正倉院展への交通アクセスはバスが便利!駅から徒歩移動も可能

「正倉院展」が行われる「奈良国立博物館」へのアクセス

基本的に、その交通アクセスには電車・バス等の「公共交通機関」をおすすめします。

正倉院展に専用駐車場は一切なく、2023年は前売り指定券による時間指定が行われるとは言え、秋の観光シーズンに重なるため、近隣の駐車場も満車・混雑状態になる可能性もあります。観光客数がコロナ前と同水準に回復する中、とりわけ土日祝日などは激しい渋滞が発生する可能性も否定できません。

そのため、駅からの徒歩、または「近鉄奈良駅」・「JR奈良駅」からバスを利用してアクセスして頂くのが最も無難なアクセスルートとなっています。

バスは「市内循環外回り」・「春日大社本殿」・「高畑町(奈良公園)」行きにご乗車頂き、「氷室神社・国立博物館前」のバス停で降りて頂ければ、道路を渡った向こう側には正倉院展の会場である奈良国立博物館の新館が建っています。ほとんど歩くことなく駅から便利にアクセスして頂けるわけなのです。

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また、バスではなく、のんびりと歩きながらアクセスすることもできます。とりわけ2020年以降は新型コロナウイルス対策もありますので、バスが混雑する場合は徒歩で移動する。といった移動ルートの分散化も重要と言えるでしょう。

徒歩の場合JR奈良駅からは「三条通り」を通って頂き途中「猿沢池」付近からは「興福寺」の境内を通り抜け、表示に従い東に進んで頂くと25分程度で、近鉄奈良駅からは駅前の通り沿いをひたすら東に進むと15分ほどで国立博物館に到着します。

案内表示も多く、迷うこともまずありませんので、時間にゆとりのある方や健脚の方は奈良を散歩しながら正倉院展を見に行くのも悪くはないでしょう。

まとめ

正倉院展は、東大寺の倉庫である「正倉院」に所蔵されてきた奈良時代の様々な伝統工芸品等の「宝物」を展示する日本で最も有名な展覧会の一つです。正倉院宝物にはシルクロードを渡ってきた海外由来のものもあり、その美麗な姿は人々の興味を惹きつけてやみません。

展示品については、毎年数十の宝物が展示され、数千に及ぶ宝物がある中でその展示内容は毎年異なるため、一生かかっても全ての宝物を見られないという壮大なスケールの展覧会となっています。

2023年については、原則としてチケットは前売りの「日時指定券」限定の発売となります。通常の場合、チケットで指定された日時以外は観覧できません。なお、無料観覧対象の方は例外となります。

2023年の開催日は10月28日(土)~11月13日(月)です。開館時間は、基本的には午前8時~午後6時となっていますが、特に大勢の観光客が訪れる「金曜日・土曜日・日曜日・祝日」に関しては、午後8時まで開館しています。但し、上述の通りチケットに表示の時間帯以外は観覧できません。

2023年のチケット「前売日時指定券」はローソンチケット(公式サイトなど)・CNプレイガイド(電話)などでの発売限定です。博物館での「前売日時指定券」の発売や当日券の発売は一切ありません。

2023年の正倉院展については、奈良国立博物館公式サイトが発する情報など、常に最新の情報をご確認頂くことをおすすめします。