【奈良】高円山の「大文字送り火」鑑賞ガイド―由来・日程・見学スポットなど【終戦の日】

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なら燈花会に春日大社の万燈籠、各観光スポットの夜間ライトアップなど、「夏」らしい「光」のイベントが繰り広げられる奈良の8月。

そんな一連の行事を締めくくるかのように執り行われる行事として挙げられるのは「高円山(たかまどやま)」で実施される「大文字送り火」

京都の大文字と同様山の中腹に「大」の字が描かれる行事は、奈良の夏には欠かせない行事として様々なメディアで取り上げられることも多くなっています。

この記事では、そんな「大文字焼き」の由来や行事の概要、見学(鑑賞)にもってこいのスポットなどを、なるべくわかりやすく説明していきたいと思います。

大文字送り火の由来・内容

奈良の夏の折り返し地点とも言える「大文字焼き」。この行事はそれほど古い歴史を持っている訳ではなく、第二次世界大戦の奈良県内の約3万人にのぼる戦没者を祀るための行事として後に奈良市長に就任した「鍵田忠三郎」氏らが創始する形で1961年(昭和36年)から実施されています。

そんな戦没者慰霊の儀式として位置付けられている大文字送り火は、点火される「大」の字は高円山の1か所のみとなっていますが、「大」の字の大きさは日本最大級となっています。

高円山大文字火床

具体的には大の字の1画目(横線)の長さは109メートル、2画目が164メートルとなっているなど、かなり巨大なもので、近くから見るとむしろ「大」の字がわかりづらく、遠くから見る方がわかりやすいほどの規模になっています。また、点火される火床の数は、仏教の伝承にちなみ、「人間の煩悩」の数とされる「108個」設置されています。

大文字が行われる高円山の「火床」は、通常時は登山コースの途中となっており、奈良市内が一望できる眺望スポットとしても知られています。

大文字送り火の日程と時間

大文字送り火は、点火前に行われる戦没者の「慰霊祭」と一体的な行事として行われます。

日程は、毎年8月15日「終戦の日」に固定されています。点火は例年は20時頃からとなっています。

2023年については、台風の接近に伴い中止となりました。

過去の状況については、2019年は台風接近により初めて中止となりました。また、2020年・2021年は新型コロナウイルスの影響に伴い大文字の規模縮小の上、三密回避のために開始時刻非公表で開催・慰霊祭は非公開となりました。翌2022年についても火床の規模を縮小したうえでの実施となりました。

荒天時の中止を含めた最新の開催情報については 奈良市観光協会 のウェブサイトも確認するようにして下さい。

点火中は、慰霊祭会場の飛火野で演奏会なども行われ、あくまでも戦没者慰霊の厳粛な儀式として大文字焼きを含むすべての行事が実施されることになっています。

大文字送り火「観賞スポット」

大文字焼きは、当日開催される春日大社の「万燈籠」や東大寺「万燈供養会」等と合わせ、その静かで大きな送り火を観賞しようと多くの見物人が集まります。

高円山自体は奈良市内のあちこちから望むことが出来るので、市民であれば自宅のベランダなどから見える場合が非常に多くなっていますが、よりダイナミックな風景を体感して頂ける「鑑賞スポット」と言える場所も存在します。ここでは、その一例をご紹介して参ります。

飛火野

まず挙げられる観賞スポットと言えば「飛火野」。こちらは大文字焼きと同じ行事の一部として行われる戦没者慰霊祭の会場ともなっており、大文字焼きの最中には演奏会なども開催されます。飛火野は最も高円山に近い広々とした空間であるため、高円山に輝く大文字焼きをしっかりと望んで頂けます。

浮見堂・鷺池周辺

奈良公園内の「大文字焼き」スポットしては、美しい水辺である「浮見堂・鷺池」界隈が挙げられます。水辺の木々の隙間から見える大文字焼きは、市街地から眺めるものとはまた違った幻想的な雰囲気を感じさせてくれるでしょう。

奈良県庁屋上

大文字送り火観賞の「特等席」として知られているスポットとして挙げられるのは、「奈良県庁屋上」。市内では珍しく高い場所から奈良公園内と大文字焼きを一望できるスポットとして毎年大勢の観客で賑わっていますが、こちらは入場は300名までしかできませんので、例年の流れとしては事前申し込み・抽選が行われることになっています。申込は奈良県民だより及び奈良県ホームページからとなっていますので、5月・6月ごろにはあらかじめ申し込みをしておく必要があります(新型コロナウイルスの感染状況に応じて中止や変更となる可能性があります)。

平城宮跡

奈良時代の面影を感じさせる「平城宮跡」からも大文字焼きはご覧いただけます。ライトアップされた「朱雀門」のシルエットの背景に輝く大文字は、写真愛好家の方にとっては絶好のシャッターチャンスを生み出しており、三脚を構えて写真を撮る方もおられるほどです。

大池

少し小さな「大文字」ではありますが、薬師寺を一望できる水辺「大池」からも高円山方面を望んで頂くことが可能です。こちらはやや場所的に離れていますので、万燈籠などその他の行事と合わせて楽しみたい場合にはアクセスしづらくなっています。

当日の交通アクセスについて

大文字焼きにあたって確認しておきたいのは交通アクセス。当日はマイカー通行禁止などの交通規制が行われるため、可能な限り「公共交通機関」でアクセスされることをおすすめします。

例年の場合実施される交通規制は、奈良公園周辺一帯(県庁前~春日大社・破石町交差点付近)で行われ、19時30分から21時まではバスも一時的に迂回運行を行います。

大文字送り火を鑑賞するスポットは様々な場所にありますので、必ずしも交通規制の影響を受けない場合もあるとは思いますが、メイン会場の「飛火野」などへお越しの際には、バスの迂回時間帯には最寄りバス停が「破石町」や「県庁前」など少し離れた位置になりますのでその点ご留意ください。

迂回時間帯以外の場合、JR・近鉄奈良駅から「市内循環外回り」などに乗車し「春日大社表参道」バス停で下車して頂ければ目の前が飛火野となっています。

まとめ

台風をはじめとする荒天時などには中止となる場合があります。最新の状況については、奈良市観光協会などの公式的な情報を別途ご確認下さい。

高円山の「大文字送り火」は、戦後に第二次世界大戦の戦没者追悼のために開始された儀式であり、開催日程は毎年8月15日(終戦の日)に固定されています。大文字の実施時刻は通常の場合20時から点火となっています。なお、「大文字」のサイズは日本最大級となっています。

大文字が観賞可能なスポット=高円山がよく見える場所ですので、市内に大文字が見える場所は多数あります。有名な観賞スポットとしては、慰霊祭の会場である飛火野・奈良県庁屋上広場(例年の場合抽選あり)・平城宮跡などのスポットがあります。

当日は例年の場合「交通規制」も実施されるため、公共交通機関のご利用が無難です。なお、開催時間帯にはバスのルートが一時的に変更されますので、その点はご注意下さい。

当日は、東大寺大仏殿で「万灯供養会」春日大社回廊一帯で「中元万燈籠」も実施され、夜にほのかな光の儀式・行事が繰り広げられるお盆の1日となっています。