【興福寺・春日大社】薪御能(たきぎおのう)ってどんな行事?内容・日程・観覧方法など【奈良観光】

寺社の風景に囲まれて行う「能」を鑑賞する春のひとときを

奈良観光のベストシーズンとも言える5月。例年の5月は過ごしやすい気候が続く中、大勢の観光客が訪れる期間となっており、5月には行事の数はそれほど多くないものの、平城京天平祭や唐招提寺の「うちわまき」など有名な行事も開催されています。

そんな中で、しっかりとした伝統芸能を鑑賞できる場として知られている行事が、「薪御能(たきぎおのう)」。これは、興福寺春日大社と言う奈良を代表する寺社を会場として行われる「能」のイベントです。

ここでは、その薪御能の毎年の開催日程や演目の一例、観覧方法などについてごく簡単にまとめていきたいと思います。

薪御能とはどんな行事?

さて、「能」のイベントであるという「薪御能」ですが、そのルートは興福寺にかつて存在した「西金堂」で行われた「修二会」と呼ばれる行事で、薪に火をつけ魔除けの儀式を行ったことにさかのぼるとされ、時代としては平安時代にその起源を持つと言われています。

「能楽」はその後の時代に洗練される形で生まれた芸能ですので、当初は能が行われていた訳ではなかったのですが、次第に「薪猿楽(たきぎさるがく)の能」と呼ばれる形に変化し、後に「大和猿楽四座」と呼ばれる金春などの各流派が演じるようになったということです。

ちなみに、「薪」という言葉が付いていることがどういった意味を持つかと言えば、すなわちこの能は「野外」で行われるということを意味しています。夜間の暗がりの中、「薪」を燃やしたかがり火のもとで能をじっくりと鑑賞する。そんな独特の風情を持った行事が現在に至るまで連綿と受け継がれているわけなのです。

なお現在では「薪御能」に類する行事は、奈良以外でも広く行われるようになっていますが、このような行事が発祥したのはこの奈良の地、興福寺の境内であり、現在も「元祖」、「薪御能」としてその威厳を示し続けています。

薪御能の開催日程・演目・会場

そんな歴史ある行事「薪御能」ですが、その開催日程は、

毎年5月の第3金曜日・第3土曜日

に実施されています。つまり、日程の近い唐招提寺の「うちわまき」のように必ずしも日程が固定されている訳ではなく、必ず週末に実施されることになっているのです。

また、実際に能が行われる会場とタイムスケジュールは以下のようになっています(平成29年度実績)。

1日目(第3金曜日)

春日大社舞殿 『咒師走りの儀』11時~

興福寺南大門跡 『南大門の儀』 17時30分~

2日目(第3土曜日)

春日大社若宮社 『御社上りの儀』11時~

興福寺南大門跡 『南大門の儀』 17時30分

これらの「儀」は毎年同じ枠組みで実施されており、この中で行われる実際の「演目」が毎年異なるものとなっているのです。なお、当日「南大門の儀」の開場は16時に行われることが基本となっています。また、いずれの日も「南大門の儀」については完全な「野外」での実施であるため、「南大門の儀」は、雨天の場合、奈良県文化会館を代替の開催地として実施されます。

薪御能の観覧方法

薪御能の観覧方法ですが、大きくは有料で鑑賞する場合と無料で鑑賞できる場合に分けられます。

有料の場合「協賛券」と呼ばれるチケットを購入することで、1枚につきどちらかの1日に限り(両日ご覧になりたい方は2枚必要です)専用の席で春日大社・興福寺いずれの会場でもゆったりとご覧いただけます。

協賛券のチケット価格は、

事前販売が4000円

当日券が4500円

となっており、能楽としては比較的リーズナブルな価格設定となっています。ちなみに、座席は全席自由席となっています。

なお、事前購入の方法は、郵便振替または奈良市総合観光案内所での事前販売となっています。詳細については以下の公式フェイスブック等をご確認ください。

また、無料で観覧したい方は、興福寺会場の「南大門の儀」に限り協賛券用観覧席の「後方」から「立見」でご覧いただけます。しかしながら、この場合は雨天時などに会場変更された場合、ご覧いただくことができませんので、その点は留意してください。

興福寺・春日大社へのアクセス

最後に、開場である興福寺・春日大社へのアクセスについてもご紹介しておきます。

興福寺会場(南大門跡)は、近鉄奈良駅から南東に徒歩7分程度の興福寺境内にあり、五重塔と南円堂を結ぶ道沿いの南側、猿沢池方面を望む形で位置しています。石造りの基壇のみ復元された南大門跡は、多くの寄付により再建がなされる「中金堂」の正面にもあたります。

なお、JR奈良駅からは「市内循環外回り」などで「県庁前」バス停で下車して頂き、南に徒歩5分程度歩いて頂く形でアクセスすることも可能です。

いずれの場合も、案内表示等が充実していますので、興福寺境内までは迷うことなくアクセスして頂けます。

また、春日大社会場へは、「舞殿」「若宮社」いずれの会場へも、JR・近鉄奈良駅から奈良交通バス「春日大社本殿行き」に乗車し、終点の「春日大社本殿」バス停で下車して頂くか、「ぐるっとバス(奈良公園ルート)に各駅から乗車頂き、「春日大社(春日大社本殿バス停と同じ場所)」バス停で下車して頂く形となります。

舞殿へは「春日大社」の本殿などがある方向、南東へ徒歩4分ほど、若宮社へは本殿などのあるエリアから更に南寄り、金龍神社などのある深い森が広がるエリアに近づいていくような形で南東に徒歩5分程度でアクセスして頂けます。

いずれの場合も、当日はそれなりに人の流れや案内表示等を頼りに行けば、まず迷うようなことはありませんのでご安心ください。

まとめ

以上、春の伝統芸能であり、かつ神事でもある「薪御能」についてまとめてきました。「能」というと、現在ではかなり硬派で難しいイメージを持たれることが多くなってしまいましたが、この能は、能楽堂で行うような「能」とは違い、「野外」の空気感を味わいながら能楽の所作も楽しめるという独特のものとなっており、一見さん、初めての方でも親しんで頂きやすくなっています。

また、1日当たり4000円と言う価格設定も比較的リーズナブルなものとなっていますので、なんだか難しくて、ちょっと無理かな。と思っているような場合でも、そんなに気負うことなく、気軽に参加してみてください。もちろん、協賛券用の座席裏から「無料」で立ち見をして頂いて、まずは様子を伺ってみる。という形でも構わないでしょう。