【若草山】「山焼き」で有名な奈良を代表する観光名所(みどころ・入山料金・ルート・アクセスなどを解説)

若草山一重目からの眺望 観光スポット・みどころ

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最新の状況については、各スポットに関する公式サイト、または観光協会などの情報発信などを別途ご確認下さい。

若草山とは?

奈良で一番有名な観光名所の一つ!

若草山は、奈良市で最も有名な名勝・観光スポットであり、「ノシバ」と呼ばれる芝生が一面に広がる標高342メートルの小さな山です。

奈良公園の鹿」や「東大寺」といった奈良ではお決まりの定番観光ルートの一部として、また奈良市に入った人々が電車や車の中からまず第一に目にするような象徴的スポットとして、若草山は今も昔も奈良の人や観光客に愛される存在となっています。

季節の風景を味わえる「鹿」の楽園・眺望は奈良随一

山中はいつでも大勢の鹿たちで賑わっているほか、春は桜、夏は生き生きとした芝生やシダのみどり、秋は紅葉やススキ、冬は山焼きで黒くなり、ごくまれには雪化粧した姿を見せるなど、樹木が生えていない芝生の山は季節ごとの彩りが特に美しく、いつ来ても見飽きることのない美しい風景が広がります。

また、若草山は一重目・二重目・三重目(山頂付近)という三つの山塊に分かれているように見えるため、そのまたの名は「三笠山」とも呼ばれているほか、若草山は木が生えていないため、登れば登るほどに圧倒的な「眺望」が広がる山ととしても知られています。

山を登った先には奈良盆地、生駒山地、また京都方面も一望する奈良市内最大の眺望スポットとして180度の大パノラマが広がり、夜景鑑賞も大変な人気を集めています。

隣の春日山原始林も荘厳な木々の姿を見せ、都市の真横の原生林の雰囲気を間近に感じて頂くことが可能です。

若草山の歴史は?

若草山がいつから現在のような芝生が広がる「はげ山」になったのか、その詳細な歴史は明らかになってはいませんが、例えば江戸時代の『大和名所記』には「若草山」という記述が既にみられ、山火事がその原因とされるなど、現在の「若草山」の成立は近代になってからのものではなく、比較的長い歴史を持つことが知られています。

尚、山頂には5世紀頃のものであるとされる、鶯塚古墳があり、山頂に古墳があるユニークな山としても知られています。

恒例行事「若草山山焼き」

若草山では毎年1月には、お水取りなどと並び、奈良で最も有名な行事の一つとして知られる「若草山山焼き」が行われ、芝生全体が火に包まれます。

この山焼きはその発祥を縁起担ぎや東大寺や興福寺による領地争い、または単なる野焼きの延長とするなど様々な説・由来が語られていますが、「若草山」成立の歴史と同様、その詳細な由来は定かではありません。

現在のような観光行事としての起点は、100年以上遡る1900年2月17日、山焼きの夜間開催が初めて実施されたことに端を発しています。

現在は植生保全などの意味も兼ねて丁寧な野焼きが行われ、天候不順などで1度の山焼きでは焼け切らなかった場合は、その後昼間時に再度焼き直しが行われています。

また、観光シーズンには山麓部で「鹿せんべい飛ばし大会」と呼ばれるユニークなイベントも実施されており、こちらも隠れた人気を集めています。

入山・登山ルートについて

若草山に入山するには?

さて、ひとまず若草山に入山してみたい時、そんな時には基本的には「若草山麓」にある入山ゲートから入山することになります。

若草山麓は、奈良交通バス「市内循環線」の「東大寺大仏殿・春日大社前」バス停などからは比較的離れた位置にあるため、ややアクセスしづらい位置関係になっています。

しかしながら土日祝日・観光シーズンにはぐるっとバスと呼ばれる観光客向けの路線バスが、その名も「若草山麓」というバス停まで行くことが出来ますので、降りればすぐ「入山ゲート」が見えるという場所まで歩かずにバスで行くことができてしまいます。

山麓には、「北ゲート」と「南ゲート」の二つの入山ゲートがあり、いずれかのゲートから入って頂く(入山)することになります。

基本的に、東大寺大仏殿二月堂方面からは「北ゲート」春日大社飛火野興福寺周辺などの奈良公園の中心的エリアからは「南ゲート」へのアクセスが便利です。

若草山の入山料金

若草山は、入山ゲートで「入山料金」を支払わなければ入山することは出来ません。

入山料は

大人(中学生以上)150円
小人(3歳以上)80円

となっています。

なお、30名以上の団体の場合は大人120円・小人60円に割り引かれます。また障害者手帳をお持ちの者と付き添いの方1名の入山料金は障害者手帳をお示し頂ければ免除されます。

基本的に、料金を払うと言っても、自然環境維持の為に用いられる料金を支払うといったようなものですので、いわゆる寺社仏閣・植物園などの入場料と比較すると、入山料自体がかなりリーズナブルな価格設定であることがご理解いただけるかと思います。

若草山の開山期間・入場時間

さて、入山料を支払えば誰でものんびりとお過ごし頂ける若草山ですが、1年のうちに「開山期間」と「閉山期間」が設定されているほか、1日のうちにも営業時間が設定されています。

すなわち、365日24時間いつでも夜景や朝焼けも含めて楽しんで頂けるという訳ではないのです。

まず、営業時間は一般の観光施設などと同様、

午前9時~午後5時

までとなっています。

臨時開山などの特別な事情がない場合を除き、基本的にこれ以外の時間帯に若草山(入山ゲート内側)に立ち入ることはできません。

また、開山期間は、現在は

3月第3土曜日から12月第2日曜日

です。これ以外の時期は閉山期間となります。

かつては夏季は閉山されていることが多かったのですが、近年は冬の時期(山焼きシーズン周辺)を除いて年間9か月に渡って開山されています。

なお、年により開山期間は随時変更される場合がありますので、期間については改めて確認されることもおすすめします。

若草山頂へのアクセス方法・登山ルート

最後に、若草山を楽しむ際にあらかじめ確認しておきたい「登山ルート」についてご紹介して参ります。

山麓から「登山」を楽しみながら山頂にアクセスしたい場合、北入山ゲート側からの登山道南入山ゲート側からの登山道が、途中の「若草山一重目」までそれぞれ伸びています。

基本的に眺めが良いのは「南ゲート」側からの登山道であり、北側から伸びるルートは、若草山本体ではなく、若草山に隣接する一般の山林の中を登っていくごく普通の「山道」となっています。

途中まで「木陰」のあるハイキングルートを楽しみ、「一重目」からは若草山の開放感ある登山を楽しまれるか、それとも山麓から山頂まで、「若草山」らしさをずっと楽しんでいくか、それぞれのご希望に合わせ、ルートを選んでみてください。

なお、中腹にある「一重目」からは山頂までいずれの場合も同じルートを通っていく事になります。ここからはひたすら芝生やススキ、シダなどの植物が広がる、「これぞ若草山。」といったような風情がいずれにせよ最後まで続くことになります。

ちなみに、若草山の「登山」は、いわゆる本格的な装備は必ずしも求められるとは言えず、少しワイルドな「奈良公園散策」の延長線上に位置づけられるような活動と言えます(もちろん斜面を登るため、ハイキングに適した動きやすい服装が一般論として推奨されます)。

間違えて別の山に迷い込むようなことがあれば話は変わってきますが、基本的にルートもわかりやすく整備されているため迷う心配も少ないと言えます。

なお、マイカーをご利用の方は、「新若草山ドライブウェイ」を経由し直接山頂近くまでアクセスして頂くことが出来ます。この場合、山頂付近の駐車場に車を止めて頂ければ、入山料を払わずに山頂付近の広場へアクセスして頂けます。

但し、そこから山を少しでも下ろうとする場合は、山頂広場近くの入山ゲートから入山料をお支払い頂く必要がありますので、その点はご注意ください。

若草山のみどころ・風景

山麓エリア

若草山は北ゲートと南ゲート、2つの登山口から入山できるようになっています(写真は北ゲート周辺)。

芝生の印象が強い若草山ですが、山麓部や山頂付近はは「桜の名所」としても知られ、春になると美しいソメイヨシノが咲き誇ります。

若草山山麓部から大仏殿等を望む風景

入山してすぐのエリアは、「鹿せんべい飛ばし大会」などの会場に使われる広々とした芝生広場が広がっています。

登山口からは眺めはありませんが、少し芝生を登るだけで、大仏殿や奈良市街地を望む美しい風景が楽しめるようになっています。

石荒神社・野上神社

登山道の起点付近には、小さな社殿を持つ「野上神社」と大きな磐座がご神体となっている「石荒神社」が鎮座しています。

一重目

若草山一重目からの眺望

登山口周辺から山頂まで一切「木」がない以上、奈良市街地方面への眺めは若草山の登山ルートの大半のエリアで楽しむことが出来ることが特徴であり、高さに応じて少しづつ変わっていく街の雰囲気も合わせ、最初から最後まで眺めを楽しみ尽くすことが可能となっています。

写真は一重目からの眺めであり、大仏殿などは少し見えにくいですが、既に180度の圧倒的なパノラマが広がっています。

若草山一重目から奈良盆地・金剛山方面への眺望

奈良市街地・生駒山・京都方面の眺めはもちろんのこと、奈良県中南部、金剛・葛城の山々への眺めも十分に確保されており、大和三山(香久山・畝傍山・耳成山)や葛城古道周辺の田園風景を遠望して頂くことも可能です。

若草山一重目から春日山・高円山への眺望

大パノラマが広がる西側のみならず、東方向には春日山原始林御蓋山の圧倒的な自然が間近に広がります。また、大文字で知られる高円山も見えています。

二重目周辺

若草山二重目からの眺望

二重目からの眺望は、山頂からの眺め以上に様々な記念写真などでも用いられる若草山を代表する風景となっており、大仏殿平城宮跡などをひときわ美しく望むことができる場所として知られています。

シダが生い茂る若草山

若草山の山肌は「芝生」のみならず、比較的分厚い「シダ」植物に覆われているエリアもあり、夏場にはその青々とした色彩がどこか「原始的」な雰囲気をも漂わせています。

山頂(三重目)周辺

山頂からの眺めは、二重目のように大仏殿等をしっかりと望むことは出来ませんが、一番高い場所らしく実に広々とした眺めが広がっています。

若草山から望む生駒山
若草山頂から京都方面を望む

若草山からは京都方面も良く見えるようになっており、眺めの良い日は京都タワーや京都駅ビルの姿すら確認できる場合もあります。

若草山頂の「鹿」

若草山は随所に鹿の群れがいることが多く、特に山頂エリアではのんびりと眺望を楽しんでいるかのように、悠々自適の時間を過ごす鹿の姿を数多く目にすることができます。

春になると山麓部のみならず、若草山頂一帯でも多数の桜が咲き誇ります。

「鹿」と「眺望」と「桜」という魅力を一度に味わえる空間と言うこともあり、桜のシーズンには大勢の観光客でにぎわいを見せます。なお、開花・満開は山麓部と比べると1週間程度遅くなります。

若草山頂付近の「桜」

ススキ

若草山のススキ

季節ごとの彩りが美しい若草山は、青々とした芝生のみならず「ススキ」の名所としても知られ、10月から11月にかけての時期には一帯がススキの大群に包まれます。

紅葉については「はげ山」であるため若草山では余り見られませんが、奈良公園一帯の紅葉を上から眺めることが出来るようになっています。

鶯塚古墳

若草山頂エリアの一番北側には、大変見晴らしの良い「鶯塚古墳(鶯陵)」と呼ばれる古墳があり、山頂にある古墳として大変珍しい存在となっています。

登山口までの交通アクセスについて

近鉄・JR線各駅からのアクセス

奈良交通バス

・JR、近鉄奈良駅から「市内循環外回り」・「中循環外回り(近鉄奈良駅からのみ)」・「山村町」・「藤原台」・「鹿野園町」行き乗車、「東大寺大仏殿・春日大社前」バス停下車、東に徒歩12分

・JR、近鉄奈良駅から「春日大社本殿」行き乗車、終点「春日大社本殿」バス停下車、北に徒歩5分

ぐるっとバス(若草山麓バス停へは土日祝日・観光シーズンのみ運行)

・近鉄奈良駅から大宮通りルート「春日大社本殿」行き乗車、終点「春日大社本殿」バス停下車、北に徒歩5分
・「大仏殿前駐車場」バス停から「ぐるっとバス若草山麓ルート」乗車、「若草山麓」バス停下車すぐ

※大仏殿前駐車場バス停へは、奈良交通バス「氷室神社・国立博物館」バス停から北東にすぐ、またはJR奈良駅からぐるっとバス奈良公園ルート、近鉄奈良駅からはぐるっとバス奈良公園ルート・大宮通りルートでアクセス可能です。

近鉄奈良駅から東に徒歩25分

JR奈良駅から東に徒歩35分


山頂には新若草山ドライブウェイ(マイカー)でアクセスすることも可能となっています。(山頂に直接アクセスする公共交通機関は臨時に運行される「夜景観賞バス」の例外を除いて一切ございません。通常時の交通手段としてはタクシーの利用となります。)


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入山ゲート付近拡大地図

入山ゲートは、春日大社に近い南ゲートと、東大寺二月堂・法華堂(三月堂)に近い北ゲートの2か所です。

登山ルート図

登山ルートは南北2つのルートがあり、南側のルートが眺めがよくおすすめです。

周辺のみどころ・観光スポット(山麓周辺)

若草山は「奈良公園」の一部となっており、奈良公園内各エリアへも徒歩でアクセス可能です。

北入山ゲートから奈良公園「茶山園地」(桜の名所)へ南西にすぐ
北入山ゲートから手向山八幡宮へ北に徒歩2分
北入山ゲートから奈良春日野国際フォーラム甍(日本庭園)へ南西に徒歩約4分
北入山ゲートから東大寺三月堂(法華堂)へ北西に徒歩5分
北入山ゲートから東大寺二月堂へ北に徒歩5分
南入山ゲートから春日山遊歩道入口まで南に徒歩約2分
南入山ゲートから水谷神社(春日大社摂社)へ南に徒歩約2分
南入山ゲートから春日大社(本殿周辺)へ南に徒歩5分

※所要時間は入山口からの所要時間、山頂などからの場合は時間がかかります。