【マイカー】前もって知っておきたい奈良市内の「道路事情」【アクセス】

奈良の交通の難所「名阪国道オメガカーブ」 各種お役立ち情報

 クルマで奈良に行く。奈良を走るとはどういうことか?

「国際文化観光都市」である古都・奈良。

奈良のまちの「交通アクセス」を考える場合、その特徴として挙げられることは、電車やバスと言った公共交通機関もそれなりに発達していることであり、観光にはそれらの利用が便利な場合が多くなっています。一方で「クルマ」を利用して奈良へアクセスして来られる方も一定数おり、市民が日常的に利用する車の量もそれなりにありますので、その他の様々な都市と同じくらいには「クルマ」の存在感はあるわけです。

さて、車を走らせる上では、その土地ごとに少し「道路事情」「渋滞事情」に違いがあったりして、その地域の雰囲気に合わせて走行することが求められるような場合がありますが、「奈良」の「道路事情」はどのようになっているのでしょうか。この記事では、やや私的な「体感」に基づいてしまっている傾向はありますが、一人の奈良市民として感じる「奈良のまち」の「道路事情」について簡単にまとめていきたいと思います。

奈良は渋滞するまち

まず、重要なことが、日本全国多くの都市で共通することではありますが、奈良のまちもやはり「渋滞する」まちであるということです。

奈良市内は一部の幹線道路以外では幅の広い道路がそれほど多くなく、平成の初期などと比較するとかなり改善されてきているとは言え、全体的に道路交通の整備はどちらかといえば貧弱な状況となっています。そのため「通勤ラッシュ」の時間帯、そして「観光シーズン」の観光客の行き帰り、また「大型商業施設(ならファミリー)」の駐車場入庫などに際して、時期や曜日によっては頻繁に渋滞が発生してしまいます。

雨天時の通勤時間帯なども、朝夕を問わず、奈良駅側の市街地周辺の国道・県道などで渋滞が発生してしまいやすく、そのあおりを受けてバスなどが慢性的に遅れやすい状況も発生しています。

もちろん、日常的な渋滞である以上、完全に道路が塞がるというよりは、ノロノロとどうにか「流れる」程度の渋滞である場合も多いのですが、一般に奈良市内の「クルマ」の移動速度は一部を除いてはそれほど速くないというのが一つの特徴と言えるでしょう。


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ローカルルール「左折可」

「道路交通」を巡っては、その県独特の道路環境に応じた、独特の「ローカルルール」と言ってもよい存在があったりします。

奈良市内、県内を走る上で道路交通を巡る「奈良のローカルルール」とも言える存在として特筆すべき内容として挙げられるのは、「左折可」という標識がやや多いことが挙げられます。

「左折可」とはなにか。それは、交差点で「赤信号」の際に、交差する車両が行き交っているような場合でも、「左折」に限り合流していくことができる。といったような内容です。

つまり、赤信号である。と思って停車していても、実は安全に注意しながら走り出しても構わない。という少しややこしい標識であるわけなのです。

奈良のまちで最も有名な「左折可」の標識がある場所と言えば、「県庁東」交差点。ここは奈良公園のど真ん中と言ってもよい場所にある交差点で、横断歩道はなく、地下道が設置されているため、「左折可」となっている訳なのですが、交差する道路の交通量がいずれも多いことから、なかなか合流していけない場合もあり、他県のナンバーを付けた車は、合流できそうな時でも止まっていることが多くなっています。そして、地域をよく知る車などにクラクションを鳴らされる。時にはそんなことになるわけです。

この県庁東交差点は、まだ「左折可」の必然性があるわかりやすい交差点ですが、奈良県内には、地下道などがない一般の交差点でも、場所によっては「左折可」となっている場合もありますので、初見の方にはわかりづらい状況は観光地周辺に限らず存在します。

やや危なっかしい「名阪国道」と「阪奈道路」

道路交通がやや貧弱とも言える奈良市内。そんな奈良市は「自動車専用道路(高速道路に準ずるもの)」に至っては、「第二阪奈有料道路」が一部区間に伸びてきているだけで、「~自動車道」のような本格的な高速道路は一切走っていません。

その代わりと言ってはなんですが、奈良市内には、無料の高速道路に近いような道路が2本も伸びてきています。

それは、「名阪国道」と「阪奈道路」

「名阪国道」はその名の通り、大阪と名古屋を結ぶ途中の自動車専用道路(事実上高速道路に近い存在)のようなものであり、途中代替の道路が少ない大和高原エリアから三重県伊賀エリア周辺の区間が、無料開放されている道路となっています。

そして、「阪奈道路」もその名の通り、奈良と大阪を結ぶ道路であり、かつては有料道路として運営されてきた歴史もありますが、平成になる前には無料開放され、現在は第二阪奈有料道路を回避して大阪と奈良を移動するクルマの多くが利用する道路となっています。

この2つの道路、いずれも無料であり、他の道路とは明らかに分離された道路(阪奈道路は一部交差点あり)ですが、いずれも起伏が多く、一般的に「危ない」道路とされています。

特に名阪国道は「Ωカーブ(オメガカーブ)」としてクルマや道路に詳しい人なら全国的に知られているような、奈良盆地エリアと大和高原を結ぶ途中にある、500メートルほどの山を登り下りする巨大な迂回ルート、難所が存在します。

このカーブではスピードの出し過ぎなどにより、車がひっくり返ったりすることも時に発生し、過去には高架橋の上から自動車が山林に転落するような事故も発生した事例があります。

また、阪奈道路も長い上り坂と下り坂が繰り返す構造となっており、スピードが出しやすくなっており、大阪府境周辺のエリアは、名阪国道並みの難所となっており、やはり時に大きな事故が発生したりもしています。

特に名阪国道に関しては、奈良市内のオメガカーブ区間は、日本で最も事故に遭遇しやすいエリアの一つとなっていますので、通行される際は一層慎重な運転を心掛けてください。

「駐車場」事情は完全に「観光シフト」

これまでは、奈良の「道路事情」を解説してきましたが、「観光」でアクセスされる場合に気になるのは「駐車場」事情。

奈良の駐車場事情について簡単に言ってしまえば、観光に関わりの少ないエリアを除いては、基本的に「観光客」の存在だけを想定するような料金設定等を行っていることが特徴になっています。

すなわち、観光スポットに近づけば近づくほどに、土日祝日は料金が高く(場所によっては駐車時間に応じ2000円以上など)になる傾向があり、一方で平日は安いまま据え置かれる。そんな傾向が見えてくる訳です。

もちろん、「学園前」「富雄」エリアをはじめ、奈良市の郊外住宅地のエリアは、観光とはほぼ無縁のエリアですので、そのようなエリアではその他の大阪近郊などとそれほど差はないのですが、奈良駅周辺にやってくると、「観光都市」に来たことを実感させる料金設定に溢れているわけなのです。

駐車場は、観光スポットとの距離にはかなりシビアに反応しますので、奈良駅周辺でも、少し離れたような位置では格安駐車場があったり、JR奈良駅周辺は比較的安上がりの駐車場が多かったりする一方、東大寺や奈良公園・ならまちの中心部に近づいていくと、一般の地方都市では余り見ないような価格設定の駐車場もあったりします。また、そのようなエリアにも狭い道沿いに小規模な「格安」駐車場があったりすることもありますが、そういった駐車場は、大抵いつも満車ですので、観光地周辺で格安駐車場を探すのは徒労に終わる場合が多く、結局は「正規価格」とも言える一般的な駐車場に止めることになる場合が多いでしょう。

いずれにせよ、春や秋など観光繁盛期の土日祝日には多くの駐車場が満車となる場合も多いですので、マイカーでの観光は、観光シーズンには積極的にお勧めはできないというのが正直なところです。

まとめ

以上、道路事情から駐車場事情まで、「奈良市民」としての生活体感に基づいた簡単な解説を行って来ました。

簡単に言ってしまえば、奈良市は、言うほど「マイカー」生活や「クルマで観光」する人に「フレンドリー」な道路環境ではない。ということです。もちろん、一般論として慣れてしまえばなんてことはない。というのも確かかもしれませんが、例えば「新潟」であるとか「名古屋」といった道路交通網が非常に充実した街にお住まいの方が、「奈良」に車で訪問されるようなことがあれば、奈良の道路の使いにくさ、道路網の貧弱さに驚くことがあるかもしれません。

なぜ「左折可」が多いかということも、結局は限定された道路整備の状況で、多くの交通量を処理していくために、円滑に車両を流れさせるために、「左折可」としたという側面が大きい訳ですので、現在に至るまで「左折可」が残っている状況は、まだまだ道路網が弱いという現実を物語っている訳なのです。

今後も、人口が次第に減る環境下では、それほど道路整備が進むとは思えず、観光客の「公共交通利用率」も一時期と比べると増加する傾向が見られますので、クルマで奈良を訪問される方を取り巻く環境は大きく変化することはないかもしれませんが、クルマを利用される場合は、ぜひ安全運転で奈良にお越し下さい。