【安康天皇陵】御陵でありながら「大和宝来城」跡とも言われる空間

安康天皇陵 観光スポット・みどころ

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観光のご案内

観光客が少ないエリアに位置する天皇陵

安康天皇陵(あんこうてんのうりょう・菅原伏見西陵)は奈良市郊外の「阪奈道路」と「第二阪奈道路」が分岐する地点に隣接する位置にある天皇陵です。陵墓は古い集落と里山、ゴルフ場に囲まれるような場所にあるため、やや市街地から外れた位置となっており、比較的近い「西の京エリア」からの観光客もあまり訪れないエリアとなっており、静かな雰囲気が際立つ空間となっています。

被葬者として指定されている安康天皇は、在位などの実態は明らかではない古事記などに記されている時代の天皇ですが、中国の歴史書に登場する「倭の五王」の一人であるとされており、最後は天皇としては非常に珍しく「暗殺」された人物としても知られています。

本当は「宝来氏」の「大和宝来城」?

なお、この「古墳」は、宮内庁からは安康天皇の御陵として指定されている一方で、そもそも実際には誰かを埋葬する「陵墓・古墳」の分類に当てはまるものではなく、中世室町時代における周辺地域の有力者「宝来氏」の山城である「大和宝来城」であったとも推定されています。確かに周辺エリアの地名も「宝来」となっているほか、垂仁天皇陵や佐紀古墳群と比べて規模がかなり小さく、周囲の造りも郭・空堀・土塁・土橋と思われる遺構があるため単なる古墳とみなすにはやや無理がある形になっているため、古城の跡と考える方が適切と言えるでしょう。もちろん、その山城が建設される前に何らかの古墳があった可能性までは否定できませんが、少なくとも現在残る遺構等からは「お城」であるとの解釈が一般となっているのです。

基本的には宮内庁により「天皇陵」とされている場所は、多くはその天皇自身が埋葬されている訳ではないにしても、少なくとも誰かの「古墳」であるという事実がある中で、そもそも古墳ではない可能性がありむしろ「お城」であったというケースは比較的珍しい存在となっています。

なお、安康天皇陵はやや町はずれに位置し、特段の「観光案内」が設置されている訳でもありませんので、尼ヶ辻駅からなどの徒歩アクセスはややわかりづらくなっているほか、バスによる交通アクセスも市街地周辺では不便なエリアの一つとなっていますので、訪問にあたっては地図やバスの時刻等をよくご確認の上アクセスなさってください。なお、東側に隣接する位置にある「蓬莱神社」は小さな神社ですが、見ごたえがありますので、訪問される場合にはあわせてご覧になることをおすすめします。

【蓬莱神社】垂仁天皇陵をお守りする神社には「笑う狛犬」がいる
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安康天皇陵の風景

安康天皇陵
安康天皇陵への参道

「尼ヶ辻駅」から伸びる交通量の多い細い道をしばらく歩き、途中道が大きく曲がる地点からは特に観光客が歩くような道ではない閑静な道を少しづつ登っていくと、小さなマンションの前に突如「安康天皇陵(大和宝来城)」が現れます。人気の「垂仁天皇陵」等と比較すると、訪問者は歴史愛好家以外はほとんど見られません。

次項では、交通アクセスについてご案内致します。

アクセス(電車・バス)

近鉄・JR線各駅からのアクセス

近鉄尼ヶ辻駅下車、西に徒歩18分

奈良交通バス

・JR、近鉄奈良駅、尼ヶ辻駅から「学園前駅(南)※尼ヶ辻駅経由」行き乗車、「宝来」下車、北西に徒歩7分

周辺のみどころ・観光スポット

蓬莱神社から西に徒歩4分、喜光寺から西に徒歩14分、菅原天満宮から南西に徒歩18分、垂仁天皇陵から西に徒歩20分、尼ヶ辻地蔵石仏から西に徒歩25分

安康天皇陵周辺地図