【御霊神社】ならまちで最も有名な神社は「えんむすびの神」として信仰を集める

奈良・御霊神社 観光スポット・みどころ

当ページの内容を含め、奈良の観光スポットに関連する内容は原則としてコロナ禍前を中心とした状況に基づく「アーカイブ」的内容となっており、その後状況が変化している場合があります。
最新の状況については、各スポットに関する公式サイト、または観光協会などの情報発信などを別途ご確認下さい。

観光のご案内

場所・概要

御霊神社は、奈良を代表する観光ゾーンである「ならまち」エリアの中心部とも言える古い町並みの一角に位置する歴史ある神社です。周辺には「ならまち格子の家」や「ならまちにぎわいの家」など主要な観光スポットも多数あり、観光客の方が常に行き交うような場所になっています。

境内は小さい空間ながらも立派な社殿と境内社が数多く設けられており、ならまちエリア中心部に現存する神社の中では、最も立派で最も良く知られた神社となっています。

歴史

御霊神社の歴史は古く、飛鳥時代創建の「元興寺」などには及びませんが、平安時代初期の延暦19年(800年)現在の奈良県五條市にあった「霊安寺」から神様を勧請したことに遡る歴史を持っています。また当初はかつて巨大な寺院であった元興寺の「南大門」の近くに神社が設けられ、現在の位置とは少し離れていたとも言われています。(南大門は、現在の「奈良町南観光案内所(鹿の舟)」・奈良交通バス田中町バス停周辺である「井上町」にあったとされています。)

現在より南側に設けられていたかつての御霊神社は、その後巨大寺院「元興寺」の荒廃と合わせる形で室町時代に一度焼失してしまい、その後北側にあたる現在の位置に移転され、再建が行われたと言われています。

ちなみに、後述するこの神社の「御祭神」である「井上皇后」は、謀殺事件に関わった嫌疑を掛けられて平城京から追放され、現在の奈良県五條市に幽閉された存在であり、その祟りを恐れて建立されたのが五條市内の「霊安寺」、そこから神様をお招きしたのがこの「御霊神社」となっていますので、「御霊神社」はその名の通り「怨霊」を鎮めるための神社となっています。

御祭神

祭神は「本殿」には井上皇后・他戸親王・事代主神を祀っています。またこの他「西神殿」には伊豫親王・橘逸勢・文屋宮田麿「東神殿」には早良親王・藤原広嗣・藤原大夫人を祀っています。これら祭神は歴史上の人物、その中でも「非業の死を遂げた人物」が目立ち、「御霊」という名前の通り、死後その祟りが恐れられた人物をまとめて祀る神社という役割を果たしてきました。

例えば、実際に奈良町エリアでかつて疫病が流行した際などには、奈良町と外のエリアを結ぶ主要な街道である「中街道」には井上皇后を、「上街道」には早良親王を、「下街道」には他戸親王の神輿を据え付けて疫病が入ってこないように防御するという形の信仰も行われたと言われています。

「えんむすびの神様」として知られる

上記のように祭神や歴史を見る限りは、その名前の通り奇怪で少し不気味な香りを漂わせる神社となっていますが、現在の御霊神社は「怨霊」スポットではなく、むしろ「縁結び」「恋愛」の神様として若い女性を中心に人気を集めている神社ともなっています。

縁結びの神としては境内社であり、「えんむすび」の提灯が目印となっている「出世稲荷社」が有名で、社務所ではハート形の絵馬や様々な御朱印なども授与(販売)されており、「怨霊」イメージとはむしろ程遠いスポットとして現在は広く知られています。

小さな境内に咲く「八重桜」も美しい

境内地は決して大規模なものではありませんが、現在は周辺地域の深い信仰を集め数千人の氏子を抱える神社ともなっており、奈良町周辺では最大級の神社ともなっています。

なお、境内地は春には牡丹や八重桜が大変美しく、隣接する「元興寺塔跡」と似た雰囲気も醸し出しており、カメラを構える観光客の姿も多く見られます。

御霊神社のみどころ・風景

鳥居周辺

御霊神社の扁額

近年新調された美しい扁額は日差しを受けると光り輝き、ならまちエリア最大級の神社にふさわしい存在感を感じさせます。

御霊神社の鳥居

歴史的な町並みの一角にある御霊神社。鳥居は「奈良町にぎわいの家」・「ならまち格子の家」を結ぶ南北の道路の東側すぐの位置、また「十輪院」などと東西に結ばれる道路沿いにあたる位置に大変堂々と立っています。

御霊神社の鳥居・狛犬

拝殿周辺

御霊神社の拝殿

鳥居を入るとすぐに、比較的華やかな印象を受ける「拝殿」の建物が設けられています。拝殿は参拝できるのみならず、おみくじなども完備されており、休日には参拝者が次々と訪れる姿が見られます。

拝殿の脇には立派な吊り燈籠もあります。金色に輝く燈籠は、「まちなかの神社」らしいにぎわいを感じさせるものとなっています。

御霊神社の拝殿内部

拝殿内部は開放的な空間となっており、太鼓や酒樽など、立派な神社の風格を感じることが出来る風景が広がっています。

御霊神社の狛犬

狛犬さんは、比較的新しいものとなっており、彩色された珍しい存在となっています。

本殿

御霊神社の本殿

本殿は拝殿にガードされた形となっているため、正面から全体を望むことは出来ませんが、市内の神社の中でも有数の立派な建物となっています。

出世稲荷社(えんむすびの神様)

えんむすびの神様「出世稲荷社」(奈良・御霊神社)

えんむすびの神として若い女性を中心に「パワースポット」としての人気を集める出世稲荷社。お社の前にはハート形の絵馬が多数奉納されています。

祭神は稲荷五柱大神として大国主命、天之宇受女命、猿田彦命、宇迦御魂命、保食命がお祀りされています。なお、この神社は昭和中期に京都の神社から譲り受けたお社であり、かつては豊臣秀吉の邸宅である「聚楽第」に設けられていたという伝承も伝えられ、密かな「秀吉ゆかりの地」となっています。

その他の境内社

神社をお参りする際にまず身を清める場所である「祓戸社」。忘れてしまいがちな存在かもしれませんが、まず境内に入ったら、この神社にお参りしておきましょう。

祓戸社の御祭神は祓戸四柱大神として瀬織津比売・速開都比売・気吹戸主・ 速佐須良比売及び市杵島比賣神がお祀りされています。

本殿の東側にひっそりと佇む若宮社。こちらは御祭神がおなじみの菅原道真公となっています。

拝殿の近くにある水子神社には、「蛭子大神」がお祀りされています。

案内板・その他

御霊神社の案内板

次項では、交通アクセスについてご案内致します。

アクセス(電車・バス)

近鉄・JR線各駅からのアクセス

近鉄奈良駅から南に徒歩14分、JR奈良駅から南東に徒歩20分

奈良交通バス

・JR、近鉄奈良駅から「天理駅」「下山」行き乗車、「福智院町」(元興寺東口)バス停下車、西に徒歩6分

・「市内循環バス」田中町(ならまち南口)バス停下車、北に徒歩4分

周辺のみどころ・観光スポット

元興寺塔跡から南にすぐ、元興寺小塔院跡から東に徒歩2分、奈良町にぎわいの家から南に徒歩2分、奈良町資料館から南東に徒歩2分、ならまち格子の家から北に徒歩2分

御霊神社周辺地図