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【興福寺】興福寺最古の建築「三重塔」の歴史・みどころ・行事などを徹底解説!【弁才天】

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興福寺三重塔

ごあんない

興福寺には「五重塔」だけでなく「三重塔」もあります

奈良で最も有名なお寺である「興福寺」。「興福寺」と言えば、多くの人が思い浮かべるのは、京都の「東寺」と並んで重厚で壮大な姿を見せる存在である「五重塔」。奈良市内の各地からも見える存在は、観光客にとっても奈良市民にとっても大変親しみのある存在としてよく知られたものとなっています。

しかし、興福寺には、実はもう一つ立派な「塔」があるのです。

それが、お寺の西側にひっそりと佇む「興福寺三重塔」。

こちらは「三重塔」と言うからには、五重塔ほどの規模はありませんが、高さは約20メートルに達し、重厚な本瓦葺の建築は十分な迫力と美しさを漂わせる存在となっています。

「南都焼討」後すぐに再建された歴史ある建築

「三重塔」の歴史は、その存在自体は興福寺の歴史の中では新しいものとなっている一方で、現存する「建築」自体は、現在の興福寺では最も古いと言える存在となっています。

三重塔がはじめて建立されたのは、平安時代後期の康治2年(1143年)崇徳天皇の中宮の方が建立させたことに由来するという歴史を持っており、こちらは「五重塔」・「東金堂」・「南円堂」などの主要な施設が奈良時代から平安時代初頭に建立されたのと比較すると、相当遅い建立となっています。

しかし、奈良時代に建立された興福寺の多くのお堂が完全に焼け落ちてしまった治承4年(1180年)平重衡による「南都焼討」の被害を受けた後、この三重塔は迅速に再建され、その後は災害や戦災、また廃仏毀釈のうねりなどを乗り越え、現在までほぼ再建時の姿のままで残される貴重な存在となっています。その他のお堂が再建が遅れたり、また再度荒廃したりして失われることも多かった中で、この三重塔の存在が、現在の興福寺の建築物の中では「北円堂」と並ぶ最古の建築物となっているのです。

独特の構造を持つ内部には仏画も描かれる

現在の興福寺の中では最古の建築である三重塔。その内部については、年1回の特別公開の際のみ立ち入ることが可能となっており、その際には1階部分とも言える「初層」の様子を見学して頂けるようになっています。

初層は、中央にある4本の柱(四天柱)からそれぞれ放射状(エックス字型)に板が張られており、仏像を安置する須弥壇はその構造に沿う形で「三角形」をしているなど、その他の建築、その他の寺院では見られないような唯一の構造をしています。仏像としては東面の場所のみに、ご本尊として弁才天坐像が祀られ、その他には十五童子像も安置されています。

なお、この弁才天坐像は、廃仏毀釈のうねりを受け興福寺が荒廃する時代に、世尊院と呼ばれる興福寺の子院から移転されてきたものとなっています。もっとも、興福寺における弁才天信仰平安時代の南円堂創建時に南円堂の創建に深く関わった空海(弘法大師)が天河弁財天にお参りし宇賀弁才天を感得し、その神様を「窪弁才天」として興福寺に勧請することになったという深い歴史があり、1000年以上に渡る系譜の上に位置づけられる存在となっています。

また、この他には東側の板には薬師如来、南に釈迦如来、西に阿弥陀如来、北に弥勒如来が各千体描かれているとされるほか、外陣の柱や扉にも宝相華や楼閣、また浄土の風景などといった要素が描かれていますが、経年劣化しているため鮮明に見えるという状況ではありません。

美しさの割に、知名度はかなり低い

そんな最古かつ美しい風景を見せてくれる「三重塔」の存在ですが、その知名度自体は興福寺の主要な建築物の中で最も低いといっても過言ではありません。

その一つの原因として挙げられるのはその立地。「三重塔」は周辺を南円堂や奈良基督協会などに囲まれており、その他の興福寺の建造物が目立つ存在となっているのに対して、三重塔の存在は離れた場所からは全く確認することができない状況になっています。その上、建っている場所は興福寺の西端部、猿沢池から南円堂に上がる石段の途中から脇道を進んだようなわかりにくい位置となっているため、そもそも観光客の回遊ルートから外れてしまう形となり、あまり気づかれることがないのです。

また、「五重塔」の存在感に隠れてしまっているため、関心が向きにくいという側面も否定できないほか、内部の拝観などは特別拝観時を除いては特に行われていませんので、大きな注目を集めることも少なくなっています。

「静かな興福寺」という貴重な存在、穴場スポットです!

しかし、その知名度の低さというのは、裏返せば三重塔が貴重な「穴場スポット」であるということにもつながります。

東金堂・五重塔・南円堂といった興福寺の主要スポット周辺は、日中は修学旅行生や大勢の一般の観光客がぞろぞろと歩き回る空間となっており、時には砂ぼこりが舞い上がるほど混雑することもありますが、三重塔界隈はそのような混雑とは全く無縁。せいぜいちらほらとカメラを構える個人観光客が見られる程度で、市街地に隣接し、一大観光スポットにも隣接した位置にある貴重な「オアシス」のような空間となっています。

三重塔周辺には美しい石仏、地蔵菩薩が並んでいる風景が見られるほか、向かい側には「摩利支天石」と呼ばれる巨石が設置されているなど、隠れた魅力もたくさんありますので、興福寺に足を運ばれた際には、人混みとは無縁の静かな「興福寺」も味わいにぜひお越しください。

興福寺三重塔(外観)のみどころ・風景

興福寺三重塔を正面から望む

南円堂に登る石段の途中から西へ脇道を進むと、または北円堂の南側に伸びる道を進むと、ぽっかりと開いた小さな広場のような空間に三重塔の立派な建築が建っています。三重塔は遠くからは確認できず、周辺の木々や建物に隠されたような格好になっており、なんだか「隠れ家」のような存在になっています。

興福寺三重塔を真下から見上げる

五重塔の高さは約50メートル、1階部分(初層)の幅は約9メートルであるのに対し、三重塔は高さは約20メートル、初層の幅は約5メートルとなっており、規模自体は小さなものとなっていますが、近づくとこじんまりとした中にも重厚かつ見る者を圧倒するような雰囲気を漂わせています。

夕方に浮き上がる三重塔のシルエット

三重塔が美しい姿を見せるのは、とりわけ早朝と夕方となっており、早朝には朝日が建物に照り付けて塔全体が光り輝く姿を見る事ができる場合(季節により異なる)があるほか、夕方になると、三重塔の影で薄暗くなった周辺エリアから、美しい空に三重塔の漆黒のシルエットが浮き上がるような風景を味わって頂くことが可能で、夕焼けが美しい場合は一層格別の風景を味わって頂けます。

三重塔と南円堂(興福寺)

三重塔は「南円堂」の裏手にあるため、三重塔の内側に回り込むような位置からは、三重塔と南円堂を合わせた贅沢な風景を眺めることも出来ます。

特別公開(拝観)について

日頃は注目を集めることが少ない興福寺三重塔ですが、

毎年7月7日(9時~16時)

には塔の内部(一部)の特別公開が行われており、先にご紹介した「初層(1階部分)」に安置されている本尊弁才天坐像や十五童子像、また板に描かれた仏画などを見学して頂けるようになっています。この日ばかりは大勢の観光客でにぎわいを見せることになるのです。

拝観料金は自由参拝であり、無料となっています。

当日は「弁才天供(べんざいてんく)」として、南円堂創建時に空海(弘法大師)が「窪弁才天」を興福寺にお招きした1000年以上前から連綿と受け継がれてきた熱心な弁才天信仰の系譜に位置づけられる法要も行われ、興福寺の深い歴史を垣間見ることもできます。

なお、これ以外にも「五重塔」と同時に特別公開が2か月程度実施されたこともありますが、基本的にはその他の日には一切内部の拝観、見学は出来ませんので、日程には十分ご注意ください。

アクセス

各駅からのご案内

近鉄奈良駅から南東に徒歩7分

・近鉄奈良駅から「東向商店街」を南に進んで頂き、商店街の中央部で左側に伸びる坂道を登って頂くと、興福寺「北円堂」前に到着します。北円堂前からは南へ下る道を進んで頂くと、すぐに三重塔の正面に到着します。

JR奈良駅から東に徒歩15分

・JR奈良駅東口から出て、「三条通り」沿いをひたすら東に進んで頂き、「猿沢池」前から興福寺「南円堂」へと向けて石段を登り、石段の中間点から西向きに伸びる脇道へと進んで頂くと、すぐに三重塔の正面に到着します。

JR奈良駅からは近鉄奈良駅までバスを利用して頂き、近鉄奈良駅から徒歩でアクセスして頂いても構いません。

近隣スポット

摩利支天石は三重塔正面、北円堂は北に徒歩2分、南円堂は北東に徒歩2分、猿沢池は南東に徒歩2分、五重塔は東に徒歩3分、東金堂は北東に徒歩4分

興福寺三重塔周辺地図

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